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それでどうする? |
遺跡のようすはディナンから聞いてだいたいわかった。 そこら中に散らばってる目に付く道具類も、その効能や使い方はだいたいわかった。
だからどうだというんだ? どうやって脱出しろっていうんだ? ディナンの体はどうしたっていうんだ?
■ ディナン To:スレイ、ALL |
ねー、オレサマちゃんの体ってどうなったの?
研究室にあるんじゃないの?
どーしてその辺探してるの?
みんな上から来たんだろう?
上はどうなってるの?お師匠様は?デュナンは?
みんなどこ行っちゃったの? オレサマちゃんはいっぱい答えたんだから、今度はみんなが答える番じゃないかな〜って思うんだぁー。 ねー、ねー、教えてよぅ〜 |
スレイはみんなに「どうしましょうか?」と視線で問い掛けた。
■ カナル To:ディナン |
……ラングドーフに最後にあってから、実際にどれぐらいの時が過ぎたか分かってるか? お前さん達が生きていた時代は、俺達から見れば遠い過去なんだ。 鏡の中で過ごしてる間に、外では数百年が過ぎてるんだよ……。 ラングドーフも、そして弟も恐らくは……。 |
■ ディナン To:カナル、ALL |
…? もう、いないってこと?そういうこと? |
ディナンは少し考え込んでいる。スレイは、鏡の前で神妙に肯いている。
■ ディナン To:ALL |
うん。なんとなくそうじゃないかなって思ってたよ。 だって、いくらオレサマちゃんでも変だって思うさ。 こんなに長い間誰もこないなんて…。ひっく。えぐ、えぐえぐ… |
■ ティトル To:ディナン |
……はやぁ〜、泣かないで下さい〜 き、きっとカナルさんたちが何とかしてくれますって(^-^) あ、あ!もしも体に戻れなくっても、私達が鏡運んで…う〜んと……。 とにかく、きっと大丈夫です〜っ! だから泣かないで下さいぃ〜(;_;) |
■ ディナン To:ティトル |
な、なんだよぅ。オレサマちゃん、泣いてなんかいないよぅ… しくしくしく… |
■ ジャン=バッティスタ To:ディナン |
おまえさん、魂だけの存在なら、 それはすでに死んでいるってことかもな、けけけ |
意地悪なんだから…
■ カナル To:ディナン |
ラングドーフに何があったかは分からないが、ともかく上の様子をみてみないか? |
スレイ、さらに肯く…
■ ディナン To:カナル |
ひっく、ひっく…。 上のようすを見てみるって… どうするの? |
■ カナル To:ディナン |
さっきのように、ディメンジョンゲートの呪文を使ってくれないか? それで、一緒にここをでようじゃないか。 |
■ ディナン To:カナル |
ゲート…?オレサマちゃん…オレサマちゃん、草原に帰りたい… デュナンと遊んだ、あの草原に… |
と言ってすっごく遠い目をするディナン。本気でミラルゴの草原の真ん中にゲートを開きかねないようすだ。
■ カナル To:ディナン |
草原も良いが、その鏡のまま草原に転がってるつもりか? お前さんのからだも探さなければならないし、ともかく上の階へ行ってみないか? |
スレイ、またもや肯く。
ディナンは不思議そうに言う。
■ ディナン To:カナル |
…オレサマちゃんの体、って言った?今… だってだって、 なんびゃくねんも経ってるのに、 オレサマちゃんの体があるっていうの…? |
■ カナル To:ディナン |
自分の師匠を信じてみたらどうだ? 何か手が残っているかも知れないぞ。 |
■ ジャン=バッティスタ To:カナル |
「手」だけしか残ってないのはイヤだぞ(笑) |
アダムスファミリーのハンド君の誕生か?
■ リグ To:ディナン |
そうだよ、ラングドーフさんが何とかしてくれてるって。 だから、いつまでもこんな暗いところにいないで外に出てお日様の光を体一杯に浴びようよ。 ね♪ |
■ ディナン To:カナル & ALL |
そう、そうかな…。みんながそう言うならそうかもしれないな…。 うん、よし。 オレサマちゃんの力、ドラゴンのおっちゃんの所までしか届かないみたいなんだけど、それでもいいかな? |
■ リグ To:おおる |
いいんじゃないかな。 ドラゴンの扉の合言葉はディナン君が知ってるんでしょ。 それなら扉の罠も作動しないし、入口まで戻ればロープがあるから崖の上まで戻るのも簡単だよね。 |
■ スレイ To:ディナン |
そういうことで………行きましょうか?(^^) |
全員が肯く。ディナンも不安そうな顔をしながらも肯いた。
■ スレイ To:ディナン、ALL |
あ、その前に! ここにあるアイテムをいくつか持っていきませんか?。 最悪の場合でも賢者の学院に行けばなにか手がかりが得られるかもしれません。 そこで何かの役にも立つかもしれませんし、思い出にもなります。どうでしょうかね? |
■ ディナン To:スレイ |
ダメ〜、それ絶対ダメ〜!! お師匠様と約束したんだもん。道具を外に持ち出しちゃ駄目だって。 そんなことするならオレサマちゃん、ゲート作ってやんないもんね! |
■ ジャン=バッティスタ |
(道具を研究室から持ち出すなってのは、
ゴミバコから持ち出すなっていうのと、
厳密には違う気もするけど…… 「研究室に戻すため〜」とかいって持ち出せねぇかな。 なんかちっこくて手ごろなのとか) |
よからぬことを考えるシーフがここにひとり。
リグは腰の水袋に手をやる。
■ リグ To:ディナン |
でも、このギョピ(デメキンの事)はいいんだよね。 この子だけ一人置いていくのは可愛そうだもん。 |
■ ディナン To:リグ |
えぇ〜っ!? ……むぅ、しかたがないなぁ。 でもぜ〜ったい、それだけだかんね! それ以外持って行ったらダメだからね〜! |
■ カナル To:スレイ、ディナン |
まあ、約束は約束だしな……ともかく、ここを出よう。 話はその後でも良いだろう。 |
■ スレイ To:ディナン、ALL |
ええ。ディナンとラングドーフさんの約束を尊重しますよ。道具は持ち出しません。
ではお願いできますか、ディナン? |
スレイは、壁から鏡を外して手に持った。
■ ディナン To:ALL |
じゃ、やるよ〜 |
ディナンが鏡の中で何やらしたと思うと、スレイの背後の床にさきほどと同じような銀色の円盤が出現した。
■ ディナン To:ALL |
ふぅ、できた〜、オレサマちゃんってエライエライ〜 (^-^ じゃあ行こうよ! |
■ カナル To:ディナン |
それじゃ、合い言葉を教えて貰おうかな? 今度落とされたら、次はないからな。 |
■ ディナン To:カナル |
?合い言葉って何の? |
■ カナル To:ディナン |
……ドラゴンの扉を通るための合い言葉だが……。 ……知らないのか? |
■ スレイ To:カナル |
カナル、ゲートには制限時間もあるでしょうし、入ってからにしましょう。 |
その言葉を遮るように、スレイはゲートに飛び込む。ディナン(の鏡)を連れて。
■ ディナン To:カナル |
そりゃー知ってるけど… わーっ! |
ディナンの言葉はゲートの中に消えた。残されたメンバーも次々と後を追う。 地下のドームには、再び静寂が訪れた。
ドラゴン扉前 |
再びディナンが作ったゲートを抜けると、その先はまさに最初に落とし穴に落ちたその場所だった。 前にはドラゴンのレリーフのある扉、そして後ろにはまっすぐに続く細い道がある。
スレイは先頭を切ってゲートを抜け、念のためにすぐに横に移動する。先程リグにつぶされた事件が脳裏を過ぎったか…。
すぐに後から仲間が次々とやってくる。 全員ゲートを抜けた所で、銀色の円盤は跡形も無く消えた。
■ スレイ To:おおる |
ふぅ、今回は無事にでることが出来ましたね(^^; |
■ リグ To:おおる |
ほんと。 でも、ドラゴンおじさんの扉には近づかない様にしないと、 またみんなとはぐれるのはやだもんね。 |
■ ジル To:リグ |
今度同じことがあっても、次は置いていくからの。 |
■ スレイ To:ディナン |
そうだ、ディナン。この扉の奥に研究室とかはないのですか? そこに手がかりがあるかもしれないのですが。 |
■ ディナン To:スレイ |
何もないよ〜 |
■ スレイ To:ディナン |
ならラングドーフさんは、この入り口をごみ捨てのためだけに造ったのですかね? |
■ ディナン To:スレイ |
あと、きんきゅうだっしゅつ路のためにね。 お師匠様は敵も多いひとだったからなぁ〜 そんなことよりさぁ、早く上に行こうよぅ。 オレサマちゃんの体はぁ? |
■ ジル To:ディナン |
まぁ、そう焦るな。とにもかくにも、ここから出る方法を考えんことにはもとに
戻っても仕方あるまい? 果報は寝て待てじゃ。 |
■ ディナン To:ジル |
オレサマちゃん、眠くなんかないもん… |
ジルがディナンをあやしている間に、考えをまとめる頭脳チーム。
■ スレイ To:カナル、ALL |
確かに勘違いをしていたみたいですね…。 どうします、あそこを登って上に行きますか? |
道の方を見ると、入ってきた時よりもずいぶん明るい。 どうやら、傾いた日の光が差し込んでいるようだ。
カナルは再びあの崖を登るのは御免被りたい心境だった。泳げないジルも同じだろう。 他の道はないか、とふと考える。
■ カナル To:ディナン |
緊急脱出路なのに、館へは繋がっていないのか? |
■ ディナン To:カナル |
繋がってるよ〜。館の研究室に続く階段があるんだ〜 |
■ カナル To:ディナン |
そこは、今は通れないのか? またあの崖を登るのは勘弁して欲しいからな……。 |
■ ディナン To:カナル |
さぁ…?みんなの方が知ってるんじゃないの? だって上から来たんだろ? |
■ カナル To:ディナン |
俺達は、崖を降りてきたんだ。 他に地下への入り口は見つからなかったんだが……。 ディナンの言い様だと、その通路を降りてきても、ドラゴンの扉の前に出ると言うことなのか? それとも、何処に繋がっているかは知らなかったのか? |
どうも話がかみあっていないようだ。
■ ディナン To:カナル |
ほぇ〜?オマエ、館には入らなかったの? お師匠様とかデュナンはもういないって教えてくれたから、 オレサマちゃん、てっきりみんなは館の中に入ったんだと思ってたけど…? じゃあどうして、お師匠様がもういないってわかったの? |
■ カナル To:ディナン |
……館は、もう無かった。 お前さんが鏡に入っていたのは、それほど長い間だったんだよ。 だから俺達は、崖を降りてここまで来たんだ。 お前さんが行き来してた時には、どうやってここまで降りてきていたんだ? この扉の奧に、階段があるわけじゃないのか? (無いのだとすると、酷く滑稽な勘違いをしてたな……) |
■ ディナン To:カナル |
……………………… |
ディナンは全てを知ったようだ。鏡の中で呆然としている。 カナルの問いにはようやく、といったカンジでこれだけ言った。
■ ディナン To:カナル |
…その扉の奥に、階段は、あるよ。 |
■ カナル To:おおる |
……行ってみるか? 取り敢えず、キーワードを教えてもらわないとな。 |
■ ディナン To:カナル |
…“こんにちわ” だよ。 |
と言ったまま、うつむいてしまうディナン。
■ リグ |
あの歌詞は、このことを言ってたんだ。 |
リグは「帽子を取ってこんにちわ」の詩を頭の中で繰り返した。
スレイは、うつむいてしまったディナンにかける言葉も見つからず…
■ スレイ To:ディナン |
ディナン……… |
暗くなってしまった雰囲気を察知して、リグが努めて明るく言う。 ちょっとしゃがんで、スレイが胸に掲げている鏡の中のディナンの顔を覗きこみながら…
■ リグ To:ディナン |
元気だしなよ、ディナン君! さっき、お師匠様のこと信じるって言ってたでしょ。 わたし達も、まだこの先を見てないんだから全てが終わっちゃったような顔しないの。 ね。 |
■ ディナン To:リグ |
…………… |
しかし、館がもう無いと聞かされたディナンから返答はない。緊急脱出路がどうなっているかも推測はついた。
スレイは、無言のままドラゴンの扉に近づいた。 そして意味は知らないまま、ディナンの発音した合い言葉を真似る。
■ スレイ To:どらごんのおっちゃん |
…“こんにちわ”… |
そして扉に触れる。
先ほどあれほど恐ろしかったドラゴンは、今度は一声も唸ることなく一瞬でかき消えた。後にはぽっかりと暗い道が続いている。
スレイは、仲間を振り返った。
■ スレイ To:ALL |
行きましょう。 |
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