SW-PBM Scenario #28

魔法使いのごみ箱

前へ 目次へ 次へ

地下のドーム

リグは、ティトルから新しいたいまつをもらって周囲を調べることにした。
たいまつに照らされた狭い範囲では、背後の壁は見えない。 それほど広い空間が背後に広がっていた。 天井もかなり高いらしく上の方は暗く、よく見えない。 見える範囲の壁は緩やかに内側にカーブしながら上昇している。 どうも自分たちは今、巨大なドーム型建造物の内部にいるようだ。
そして床には一面に何だかよくわからない道具が転がっている。 本、ボールのようなもの、壊れかけた机、ベッド、布切れ、ロープの切れ端、錆びの浮いた金属の棒切れ、丸めた羊皮紙…
■ グラスランナー To:ALL
えへへっ、こうやってお師匠様の物ここに持って来ちゃうから怒られちゃうんだよね〜 (^^;
だって、手が勝手にさぁ…

一目見て感じた印象は、まさに巨大な「ごみ箱」だった。
床にはうっすらとホコリが積もっている。ガラクタが一面に散らばっているので歩きにくい。それでも何とか一周すると、おおよぞこの地下室の全貌が掴めた。このドームは 直径 100m ほどの正円形で、四角く切り出した石を使って組んであるようだ。かなり頑丈な作りで、簡単に崩れそうには見えない。
壁には一面に模様が掘り込んである。鏡が掛かっている壁に向かってちょうど 90 度左手にまっすぐ外に向かう通路が 1 本ある。たいまつで照らしてみたが、先はよく見えない。さらに、自分たちのいるちょうど反対側に泉があり、中に金魚が一匹泳いでいるのを見た。体長 8 cm 位の小さな赤い金魚で、目が飛び出して愛敬のある姿だ。泉の縁はきちんと枠が施されている。壁の隙間から湧き出す水は澄んでいて綺麗だが、どこからか染み出して行っているらしく、枠を越えてあふれる気配はない。
バードのたしなみとして(?)床や壁や天井を調べて見るが、隠し扉のたぐいは見つけられなかった。
一周したリグが帰ってくる。
■ リグ To:オレサマちゃん
ねえねえ、オレサマちゃん。
この秘密基地にはさっきの円盤みたいなの以外に出入り口は無いの?

■ グラスランナー To:リグ
えっ?…あっ、そーか。
うん、ないよ。

■ リグ To:オレサマちゃん
そうなんだ。
じゃあ、あの道(左にある道)は何処に通じているの?

■ グラスランナー To:リグ
あの先にエレベータがあって、普段はそこから出入りするんだ。
でも、みんなはオレサマちゃんがゲートで入れちゃったからエレベータは上の階にあるだろ?エレベータは他の階から呼べないんだ。だから、出入り口は今ないんだよ〜。

■ スレイ To:オレサマちゃん
ハハハ、心配しなくても大丈夫ですって。
わたしはちゃんと約束しましたし、アナタを見捨てて逃げたりはしませんから。ね?(^^)

信用第一、わたくしを信じなさ〜いって感じの笑顔で励ます。
■ グラスランナー To:スレイ
ホント?ホントだよね。エルフは嘘つかないもんね〜。

■ ジャン=バッティスタ To:スレイ
本当か? 初めて聞いたぞ、そんな話。

■ スレイ To:オレサマちゃん
う〜ん、嘘をつくエルフも世の中にはいると思いますが…(^^;
まぁ、アナタを見捨てることは絶対しません。誓いますよ(^^)

横道の先には

スレイとジルが横道の入口に立った。

横道は、高さ 2m 幅 2m 程度。天井と壁が垂直に交わる四角い通路だ。床を見て行くと途中に丸く区切られた箇所がある。直径 2m、深さ 15cm ほどの真円の段差だ。その上空は直径 2m ほどの真円で垂直に上に伸びる穴がある。穴の上は何かで塞がれているのか、真っ暗で光は入ってこない。

さらに横道の先に目をやると、なんだかボコボコして見える。どうやら瓦礫に埋まっているようだ。

目測では、真円の区切りがある床まで 30m、そこからさらに瓦礫まで 5m ほどといった所だろうか。竪穴の高さは、少なくとも 30〜50m はありそうに見える。

スレイが先頭で、たいまつを持って横道に入った。耳をピクピクさせて危険を感じ取る。
■ スレイ To:ジル
どうやら、危険はなさそうですね…。
多分あの区切りがエレベーターでしょうね。行ってみましょう。

スレイのレーダーにも、妙な音や危険は感じられない。床を丹念に見て歩くが、変わった物は何も落ちていない。真円の段差までたどり着いた。
■ スレイ To:ジル
ここがエレベーターですか…

ただの段差のようだ。仕掛けは見当たらない。先の瓦礫へ進む。
■ スレイ To:ジル
あれは瓦礫みたいですね。…でも先程のこともありますし、確認してみましょうか。

ドラゴンのように、瓦礫も幻影であることを期待しつつ、警戒しながら瓦礫に近づいて触れてみる。瓦礫はたしかにそこに存在している。こんどは幻影ではない。
■ スレイ To:ジル
むむぅ…幻影だったらありがたかったんですけどねぇ(^^;
戻りましょうか?

帰ってみんなに報告しよう。
魔術師の日記

その間も、カナルは依然として読書中…
ページをめくっていくと、マジックアイテム制作についての経過とその試行錯誤ぶりが書かれている。
その過程で出来てしまった失敗作は、弟子に命じて粉砕処理していたが、弟子が壊すはずのアイテムを隠してしまったり、さらにこの日記もどこかへ持って行ってしまうので困っていると書かれている。
それを裏付けるように、どの日記も最後のページまで使われているものはなく、いつも途中で隠されてしまっていたようだ。
■ 日記より引用
隠すなと強要しても無理だろう。それが彼らの本質なのだ。 せめて、危険な失敗作のアイテムが持ち出されて私の知らぬ所で悪用されるのは避けたい。それだけは注意しておこう。

■ 日記より引用
ディナンもわかってくれたようだ。ゆびきりの約束をしてくれた。約束を破るような子ではない。これで一安心だ。

■ 日記より引用
ディナンのいたずらがひどいので、懲らしめの為に納屋に閉じ込めたが、彼の前には無力だった。彼にとっては部屋から抜け出すことなど造作も無いことのようだ。

■ 日記より引用
魂を閉じ込める檻ができた。これならディナンも出られないだろう。これを『シーリング・ミラー』と名付けることにする。 閉じ込めた時のコマンドワードを唱えるか、鏡を壊せば魂を解放することができるようにした。これで反省してくれるとよいのだが…

■ カナル To:グララン
(読みながら)
お前さんも懲りることを知らないな……。
あったぞ……ディナン君。

■ グラスランナー To:カナル
へ?それってオレサマちゃんのこと…?
あ、そーか。そう言えば、オレサマちゃんディナンて呼ばれてたっけ。 エへへ…

■ カナル To:ディナン
ラングドーフとの指切りは覚えているか?
どんな約束をしたか、もう一度言ってくれないかな?

■ ディナン To:カナル
お師匠様とゆびきり、ゆびきり…。え〜と、え〜っと…?
あっ、そうそうしたした。 ぜぇったい魔法の道具を外に持っていかないって約束したんだ!

■ カナル To:ディナン
覚えてるのなら良い。
……ちょっと待て。ディナンの体は、何処に有るんだ?
さっき言っていた、床に倒れていた体って言うのは、何処に有るんだ?

■ ディナン To:カナル
へ?オレサマちゃんの体?
えっと、閉じ込められたのはお師匠様の研究室だったから、 そこにあるんじゃないかな〜?

脳天気に答えるディナン。どうやら、自分の置かれた状況がよく分かっていないらしい。
■ カナル To:おおる
……もし、魂が解放されても入るべきか器がなかったらどうなるだろう?
面白そうな実験ではあるが、試す気はないな。
もう少し安全性を確認してからでも遅くないと思うんだが、どうだ?

■ リグ To:みんな
わたしも、そうした方が良いと思う。
出入り口はディナン君が作る円盤みたいなのだけみたいだし。

■ カナル To:おおる
そう言うことだ。
俺達まで出られなくなったらまずいからな。

■ ジャン=バッティスタ To:カナル
入れ物がないってのは、肉体は腐っちゃったってことかね……

古代王国期から現在まで経過したであろう年月を考えると、すでに塵になっているかもしれない。
■ カナル To:ディナン
研究室の様子は見られないか?

■ ディナン To:カナル
うん…。オレサマちゃんのすっごい力も、地上までは届かないみたいなんだ〜

ディナンは、少し表情の変わった一同のようすに何かを感じたようだ。
■ ディナン To:カナル
あっ、わかった! ここから出してくれたらオレサマちゃんが見てきてあげる!
だから出しておくれよぅ〜

■ カナル To:ディナン
……そこから出すために、体の状態を調べるんだろう(--;;

■ ジャン=バッティスタ
アホやな、こいつ

■ ディナン To:カナル
えっ?なんで?何でオレサマちゃんの体の状態を調べるの? ここから出られれば、自分の体くらい自分で戻れるよ〜

■ ジャン=バッティスタ
アホじゃなければ、そこなしのノーテンキだな。
あのあたまをぐわしとつかんで横にゆすると、カラカラと音がしそうだぜ。

カラカラのあたまをひねって一生懸命考えるディナン。
■ ディナン To:ALL
わかったぞ!
みんなはここから出る方法がなくて困ってる。オレサマちゃんは鏡から出られなくて困ってる。だったら、取り引きと行こうよ。
みんながオレサマちゃんを鏡から出してくれる代りに、オレサマちゃんはみんなにここから出られるようにしてあげる。
どうだい?

■ ジャン=バッティスタ To:ディナン
ちょっと黙ってろ、いま考えてんだから。
あんまりうるさいと裏返しにして壁にかけるぞ?

■ ディナン To:バティ
え〜ん、それはヤダよぅ…

■ スレイ To:カナル
カナル、「鏡」について何かわかりましたか?

カナルにその本見せて、と手を差し出す。そして、鏡について書かれている項を読み下すと、ディナンをやさしく説き伏せる。
■ スレイ To:ディナン
…………………。
ええとですね、今からその「鏡」について説明するから聞いてくださいね。

その「鏡」は悪戯がすぎるディナン君のために創られました。
で、これは魂だけを封印するように出来ているんです。。

………。

だから、魂を解放するためには………身体の近くで鏡を壊さないといけないんですよ。
そういう理由で身体を探したいんです…。わかっていただけました?

嘘をついているのでちょっと悲壮な顔のスレイ。 ディナンもちょっと悲しそうに答える。
■ ディナン To:スレイ
…うん、わかった。
オレサマちゃんをひとりにしたりしないならいいんだ。

もう暗闇にひとりは嫌なのだ。
スレイはディナンを安心させるように、にっこりと微笑んだ。
ここから出して

ディナンを助けて自分たちも助かる方法はないものか?DreamWeaver は何らかの糸口をつかもうとディナンを質問攻めにした。
・ロケーションで自分の体は探せないの?
■ ディナン To:カナル
そか、ちょっと待ってね。
ふぅ、オレサマちゃんが感じる範囲には無いみたいだよ

・俺達をテレポートさせることは出来る?
■ ディナン To:スレイ
できるかな…できそうな気がする! お師匠様がやるとこ見たことあるよ〜。
えいっ!…あれ?

ディナンはどうやらカナルを飛ばそうとしたが失敗した。 テレポートの魔法は接触しなければ効果がない。
・オレサマちゃんが鏡に閉じ込められた時は、自分の体が見えていた…。のに今、自分の体と鏡に位置が違うってコトは、君もしかしなくてもココにポイッってされた記憶がある?
■ ディナン To:ティトル
お師匠様が、『上にいるとお前は出せだせうるさいからここでしばらく反省してなさい』って言って、デュナンに掛けさせたんだよ。

・例の数え歌について、何か知らない?
■ ディナン To:スレイ
ん〜、いい歌だけどオレサマちゃんは知らないなぁ。
あっ、こんな歌知ってる?

そして帽子を取ってこんにちは〜の歌を熱唱する。
■ ディナン To:スレイ
これはオレサマちゃんが作ったんだよ!すごいだろ〜

・帽子をとって〜の歌、こいつが作ったのなら、いつ外に伝わったんだろ? 普通に村と交流があって、その時に教えたのか?
■ ディナン To:カナル
作ったのはずーいぶん前だなぁ〜。 お師匠様の元にもっともっとたくさんの仲間が集まればいいなぁと思って、ここへの来かたを教えるために作ったんだ〜。へっへ〜、オレサマちゃんの目論見通りだ〜。うれしーなー。
デュナンがそれを伝えに出かけたんだけど、そういえばあいつどうしたかなぁ。

・ラングドーフの二人の従者、もう一人は?
■ ディナン To:カナル
二番弟子はデュナン。オレサマちゃんの弟だ。
もちろん、一番弟子はオレサマちゃんね。

・あの扉の通り方と、ここからの距離。
■ ディナン To:カナル
扉の前でドラゴンのおっちゃんに触る前に合い言葉を言うんだ。それから触ると開けてくれるんだよ。
ここからの距離は…うーん、すっごく遠い。エレベータで上がってから 50m 位歩いてまた階段上がらなきゃならないから。

おそらく、最短距離でも 200m 位はありそうだ。
・使い魔が扉を通ることが可能か確認します。
■ ディナン To:カナル
合い言葉知ってて喋れて手があるヤツなら通れるよ〜

・次に、エレベーターの操作法を聞きます。そこでまた、使い魔が操作可能か確認します
■ ディナン To:カナル
エレベータは、リフトの上に乗れば動くよ〜。
入った人数と出る人数が同じでないと出られないし、入る時と出る時で、5kg 以上重さが違うと動かないんだ。ほら、道具持ち出す悪いヤツがいると困るだろ?

ディナンが一生懸命説明するところによると、エレベータにはリフトを支えるシャフトや物理的に動かすロープのたぐいはなく、リフトは魔法の力で動いているらしい。
リフトは直径 2m 位の青い円盤で、地上階のリフトに乗ることで動き出す。地下階に到着すると、再び降りて来た人間が全員乗るまで動かず、その際重量に 5kg 以上の差異があるとエラーになる。
エレベータは、地上階と地下階の 2 箇所にしか停止しない。それより上も下もない。地下階から地上階までの高さは、おおよそ 30〜50m 位。
今はリフトが上にあるので、エレベータのリフトが降りてくる位置に立っても、上はリフト自身で塞がれているので地上階部分は一切見えず、横道は真っ暗だ。
・本当に動かないなら、、ディナンにゲートで上(さっきのドラゴン扉の近く)に移動させられないか、頼む。なんなら、鏡も一緒にもっていってもよい。
■ ディナン To:スレイ
そんなこと言って、オレサマちゃんを置いていくつもりでしょ〜。
ふふん♪ その手には乗らないもんね〜だ

いろいろなことがわかった。とりあえず、エレベータはもう使えなさそうだということはよくわかった。外からドラゴンの番人がいる扉を開くことも無理らしい。
DreamWeaver もディナンもくたくただ。

前へ 目次へ 次へ


連絡先:とよた
E-mail:toyota@t3.rim.or.jp