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彼の家はどこ? |
セシリアの地図には、大きな半島とその付け根にあるオラン、エストン山脈から注ぐ2本の大河、主要な街道が描かれていた。それらの大河はオランの先の半島を挟んで左右に広がる。西側の川は海近くで3本に分かれ、東側の川はその名をハザード河と言いオランの中央部を流れている。一方、スレイの地図には特徴的な3本の線と海が描かれている。この線が川だとすれば、西側の大河を指している可能性も高いが、どうも地形が合わない。
■ スレイ To:ALL |
う〜ん、この線は川ですよね? こうしたら、この大きな地図のここに似ていませんかね? |
スレイは地図を裏返して大きな地図の西側の大河を指し示す。 一同は横からそれを覗き込んでああでもないこうでもない。
■ ティトル To:スレイ |
うう〜ん、川があるからそうかもしれないですよねぇ…。 でもよくわかんないですねぇ…むむぅ〜 |
■ カナル To:スレイ |
根拠が薄弱だな……。 もう少し絞り込むための条件がないと、これだけではな。 例の詩文はどうだ? 何か手がかりになるかもしれないな。 |
■ セシリア To:カナル |
そっちの地図とこれ地図だけで
そこに行こうってのかい?
やめときな、迷子になって狼にでも食われるのがオチだよ。 それで、その詩文っていうのは何のことなんだい? まさかあたしに話せない仕事をしてるんじゃないだろうね… |
■ スレイ To:セシリア |
あぁ。東方語でここに書いてあるんです。 ラングドーフっていう魔法使いさんについて書かれているらしいですよ。 |
と、地図の裏を返してそこに書かれている 4 行の詩を見せる。 セシリアはそれを一読して感想を述べる。どうやら、ラングドーフに関してはカナルと同じくらいの知識があったようだ。
■ セシリア To:スレイ |
ラングドーフ…。彼に関連する遺跡に行くのかい?へぇ… それでもってその怪しい地図と4行の詩文しか手がかりがないって? …あぁ、夢を追うってのもいい仕事だね。 |
■ カナル To:セシリア |
背に腹は代えられない、って奴ですよ……。 まあ、多少の夢もありますがね。 |
カナルの言葉に何を感じたか、セシリアはちょっと微笑んだ。
■ セシリア To:ALL |
これだけじゃ心もとなかろう。 ここの図書館で調べるか、…似たような研究をしてる賢者を知ってるよ。 その方にでも聞いてみるかい? 何なら紹介状を書いてあげるよ。 |
後半部分は意味ありげにジルを見ながら言い足してみる。
■ カナル To:セシリア |
それは助かります。 |
■ セシリア To:カナル |
ちょっと待っておいで、すぐに書いてあげるよ。 |
カナルの返答に満足したか、セシリアはすぐに机に向かい、引き出しからよく削った羊皮紙を取り出して書き物を始めた。最後に流麗な文字で署名すると、余分なインクを吸い取りくるくるっと丸めてロウで封をする。
手慣れた動作で紹介状を書き上げると、振り返ってカナルに手渡す。
■ セシリア To:カナル |
ではこれを持って知識の塔にお行き。 バイナルという方を訪ねなさい。きっと力になってくれるだろうよ。 |
■ スレイ To:ALL |
知識の塔! いやぁ、一回いってみたかったんですよねー。 |
スレイの耳がピクン!と跳ね上がる。
■ ジル To:ALL |
うむ。ここでこれ以上なやんでいても始まらんな。 「ヒントは目じゃなく足で見つけろ」という格言しかりじゃ。 さっそく行ってみるとしよう。 |
なんてジルらしい格言だろう…
■ ジャン=バッティスタ To:ALL |
知識の塔か。あんまり興味ないな。 そっちの方はみんなで行ってきてくれ。 俺様は、図書館の方でちょっと調べたいことがあるからさ。 せっかく図書カード作ってもらったのに使わん手はないだろ(笑) |
図書カードってなんや…
ともあれ、バティはここから一人図書館に向かうことに決めたようだ。 セシリアを振り返って道案内を請う。
■ ジャン=バッティスタ To:セシリア |
いきなり押しかけた上騒いで申し訳ないな。 ところで、ここの塔の出口ってこの部屋を出たら右でよかったかな? 外に出られれば図書館に行くのは造作ないことなんだがな |
■ セシリア To:男 (バティ) |
そう、右の階段を降りればすぐ出口が見える。 遺跡で面白い物が出たらまた見せにおいで。楽しみにしているよ。 |
セシリアは言外に「迷惑ではない」と匂わせてみる。 何のかんのと言いながら、彼女も弟子カナルが仲間と共に訪ねてくるのを面白がっているのだろう。それをストレートに言わないのは、弟子が師に似たのかあるいは逆か。
■ ジャン=バッティスタ To:セシリア |
そうそう、ユージア・クオレイトに何か伝言はあるかい? 伝えといてやるよ。 |
ユージア・クオレイトは賢者の学院図書館に勤める司書である。 その有能さは導師からも一目置かれているという。
■ セシリア To:男 (バティ) |
おや、彼女の知り合いかい。ふぅん。 そうだね…。 では、カーウェスの『問答集』の書写が終わったら一番に知らせるようにと伝えておくれ。 …名前を聞いてもいいかい? |
最後にちょっとバティの実力を推し量るように上目遣いで見つめてみる。
■ ジャン=バッティスタ To:セシリア |
名前? また縁があったらね。 カーウェスの『問答集』だな。それじゃ! |
バティはそんなセシリアの視線を気にもとめず、軽い足取りで部屋を後にした。
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