前へ | 目次へ | 次へ |
遅く起きた朝は |
新しい仲間が加わっての再会の宴は、最高の盛り上がりを見せたようだ。樽酒の底が見え、大皿の鶏料理を平らげる頃には、時はすでに深夜をとうに過ぎていた。
そして翌朝遅く。
DreamWeaverの一行が目を覚ましてみると、他のパーティの連中は既に仕事に出る準備を始めていた。そのうち銀の網亭からは続々と人がいなくなり、残っているのは DreamWeaver だけになってしまった。いや、酒場「幸せの木」にはまだ1人残っている者がいる。
ようやく起きてきたDreamWeaverが見たのは、静かになった幸せの木でなにやら難しい顔でため息をついているこの宿の主だった。
■ おやじ |
う〜む、やっぱり足りんかったなぁ…。 さて、あいつらにはどう言ったものか… |
■ スレイ To:おやじさん |
おっはようございます〜、おやじさん〜♪ 昨晩はたくさん騒いで飲んで、楽しかったです。 気分も新たに今日も一日がんばりますよぉ〜〜〜〜〜〜(^^) |
スレイはそんなおやじのようすにも頓着せず、いつも通り明るく朝の挨拶。
その後をティトルが転がり落ちるように降りてきた。
■ ティトル To:おやじさん |
おはよぉ〜〜わわっ〜ごっざいまっすぅ〜オヤジさん(^-^) あ、今日はいつものお出かけじゃないんですよぉ |
今までは毎日のように外出して自由を満喫していたティトル。 買い物をしたり珍しいものを手に入れたり、のーんびりと時を過ごしてきたスレイ。 今日からは仕事に入ろうと、2人とも気分を一新している。
その後ろからゆっくりとバティが、 すぐ後を凝った首筋を揉みながらカナルが降りてくる。
■ カナル To:おやじ |
やれやれ、久しぶりに飲んだな。 全く、何処の馬鹿だ? 樽で注文なんかしたのは? |
■ ジャン=バッティスタ To:カナル |
なんだとぉ、俺様の注文した酒にイチャモンつけようってのか? |
口の悪い同士、すぐにいつもの掛け合いが始まる。
■ カナル To:バティ |
酒には文句はないがな。 |
■ ジル To:カナル |
「酒に罪は無い」なかなかの名言じゃな。 まぁ、冒険の前の日は、樽エールを平らげて飲み潰れるというのが、昔からの冒険者の慣わしじゃからのぉ。 |
■ スレイ |
慣わし!そうだったんですか・・・。そう言えば毎回・・・(^^; うんうん、なるほどねぇ |
一人納得するスレイ君。
■ カナル To:ジル |
……何処の世界の冒険者の話だ、それは?(--;; それならば、全員潰るまで、また飲み直さなくちゃな。 昨日潰れてたのは、ジルとティトルと……噂をすれば影がさす。 真っ先に潰れた奴が来たようだな。 |
カナルの視線の先を、けろっとした顔のリグがやって来る。
■ リグ To:ALL |
おやじさん、みんな、おっはよ〜! ねえ、わたし昨夜変な事してなかった? いつのまにかベッドで寝てたんだけど。 |
それを迎えながら、ティトルは夕べの酒宴のすさまじさを思い出していた。
■ ティトル To:独り言? |
き、昨日の宴会〜(^^; ジルさんもすごいですケド、やっぱりリグちゃんは一番ですぅ〜 |
■ リグ To:ティトル |
えっ、ティトル姉ちゃん何が一番なの? やっぱり、わたし何かしたの? |
いつものとおり元気に大きな声でティトルに聞き返すリグ。 二日酔いで足元がふらつく体にはちと応える。
しかし、どうやらリグは全然覚えていないらしい。 ティトルの台詞から、一斉に夕べのことを思い出す一行…
昨日の夜は… |
時は戻って、昨夜。
既に大量の鶏料理はあらかた片付き、全員樽から注いだ酒をカップでちびちびやっている頃。既にお行儀よくテーブルについている者はいず、全員適当な敷物を充てて床に車座になっている。
そのままなら平和な宴会だったのだが、リグがいいカンジに酔っ払って、またいつものクセが出た。 誰かれ構わず絡む(文字どおり、絡みつく)のである。
まずはたまたまリグの左隣にいたカナルがターゲットとなったが…
■ カナル |
お子様の相手なら、ティトルで慣れてる分バティの方が上手いんじゃないか? |
■ ティトル To:カナル |
ほやぁ〜?カ〜ナルさん何かゆいましたぁ〜? |
と、すげなくたらい回されてしまった。
次のターゲットはリグの右隣。ティトルがよそ見している隙に脇が空いたバティだ。
■ リグ To:バティ |
え〜ん、バティ兄ちゃん。 カナル兄ちゃんったらそっけないんだよ〜。 |
■ ジャン=バッティスタ To:リグ |
あいつはそういうやつだよ…… オーガーの時もそうだったし、スキュラの時もなぁ |
優しく相手をするバティ。やはりお子様の扱いは慣れていると見える。 カナルはあさっての方を向いて聞こえないフリ。 リグはさらにバティの腕に絡まってくる。ちなみに「からみつく」には素早さを下げる追加効果がある(ゲームが違う >GM)。
■ リグ To:バティ |
だけどお酒飲んでる時は陽気になって欲しいよねェ。 うんうん・・・。 で・も、バティ兄ちゃんは違うよね、いつも楽しそうで優しいもんね。 |
ちょっと焦点が危なくなってきたティトルが、バティを挟んで反対側のリグに気づく。その【距離:接触】ぶりに、ちょっとなんとなくもやもやっと穏やかでない気分。
■ ティトル To:リグ |
………うゃ? リグちゃんいつのまにアソコにいるですかねぇ… |
■ スレイ To:ティトル |
いやぁ、リグって酔ったら誰にでも抱き着きますよね(笑) |
さらに穏やかでない発言で後押しするスレイ。ただし、本人まったく自覚ナシ。
樽から酒を注ぎながら、そのようすをちらりと横目で見たジル殿は、こんな批評をしてみる。
■ ジル To:スレイ |
そうなのか? でも、ワシはちと勘弁してもらいたいものじゃな。 もっと、樽っぽい色黒美人なら歓迎するんじゃがのぉ(^^;) |
■ ティトル To:ジル |
樽の黒いのですかぁ〜?なんか固そうですよぉ? あれ?でもなんで樽が美人さんなんですかぁ? |
ティトルの興味はあっという間に切り替わる。まさに「でんこうせっか」。
そこに、バティを乗り越えて迫る影!
■ リグ To:ティトル |
ねえねえ、ティトル姉ちゃん、なんのはなし〜? |
■ ティトル To:リグ |
わにゃぁ〜!び、びっくりしたですぅ(^^; リグちゃんよっぱらってるですかぁ〜? |
■ リグ To:ティトル |
はにゃ? う〜んとね、いい気分だよぉ。 |
とかなんとか言いながら、さらにティトルに接近するリグ。次のターゲットが決定したらしい。スレイは、そんなリグとティトルをじっと観察している。その耳はなんともシアワセそうだ。ジルに汲んでもらった酒を受け取りながら、カナルが適当に解説を加える。
■ カナル To:ティトル |
ドワーフというのは、物の価値を全て酒樽か細工物で判断するのさ。 俺達に、「時は金なり」と言う言い回しがあるように、ドワーフにも 「女の価値は酒樽をいくつ持てるかで決まる」とか、 「男は強くなくては生きられない。だが、細工物が下手では生きていく資格がない」 なんて格言があるくらいだからな。 |
■ ティトル To:カナル |
は…はやぁ…そうあんですかぁ って、リグちゃぁん〜くすぐったいですぅ〜 |
■ リグ To:ティトル |
だって、気持いいんだもん。 |
さらに領域を侵攻するリグ。ちなみに「のしかかる」にはまひの追加効果がある(ゲームが違うって >GM)
■ カナル |
……じゃれあってる小……子犬だな。 |
リグは小柄な体を完全にティトルに預け、鼻先をティトルの首筋に押しつけている。
■ ジャン=バッティスタ おい、こら、GM……
(いやぁ、神楽GM には負けますよ(笑))
■ カナル 比較対象が適切ではないな。
(…クールなツッコミありがとう (^^;。
大変失礼しました >神楽GM)
■ スレイ To:ジル |
た、樽娘が好みなんですか!? ( ̄□ ̄;)ガーソ (ふるふる) ・・・価値観が、価値観が違いすぎる・・・。 これが大地の妖精族・・・ |
カナルの適当な解説を真に受けて、ショックを受けるエルフ。耳が動揺を示している。 確かに、エルフの女性観とはかなり違うだろう。その時、リグが突然ティトルから体を起こした。その目は完全にすわっている。
■ リグ To:スレイ&ジル |
はい、は〜い! ジルおじさ〜ん。 わたしね、酒樽だったら1個ぐらい簡単に持てるんだよ〜。 これで、わたしも魅力的な女の子だ〜い! もう1個持ったら魅力ばいぞ〜。 |
と言うなりピョコっと立ち上がり、そこにあった酒樽に手をかける。 ちょっと足元が危なかったが、なんとか足をふんばった。 155cmの身長の上で自分の 3 分の 1 ほどにも見える(横幅は確実に 3 倍くらい?)樽が、カナルの頭の上でゆーらゆーらと揺れている。 樽の中で残り酒がちゃっぷんちゃっぷんと音を立てている。
■ カナル To:リグ |
……さすがリグ。 樽美人だな……。 |
さすがのカナルもこう言うしかなかったらしい。
■ リグ To:ALL |
わ〜い、樽美人、樽美人、樽美人だ〜い。 ・・・・・ あれ、なんかフラフラするぅ。 |
■ ジャン=バッティスタ |
やめときゃいいのに…… おだてられやすいんだな。 |
■ ティトル 独り言 |
私にもできますかねぇ……。 |
ちょっとうらやましそうなティトルのつぶやきに、スレイの耳が反応した。
■ スレイ |
てぃ、ティトルまでが樽美人に…(TT) |
■ ティトル To:スレイ |
えっ?うう〜ん〜 …ふにゃ〜、や、やらないですよほぉ〜はらぁ〜? ひっくり…かえっちゃいますぅ〜 |
ぶんぶんと激しく頭を横に振って否定した勢いで、酔いが急激に回ってしまったらしい。体の力が急激に抜けていき、このままでは後頭部から床にごっつんこ、である。
■ ジャン=バッティスタ To:ティト |
ほら、しっかりしろって。 頭ぶつけたらもっとぱー…… |
え?「もっと」、何?(笑)
しかし、そこはさすがにバティ。シーフの片鱗か?いつのまにか、倒れるティトルを後ろから抱きとめる。気持ち良く抱き留められて意識が眠りに落ちそうになるティトル。そこへ「ドンッ」という音が、地響きを伴って彼女を一瞬現実に引き戻す。音の先を見れば、リグが担いでいた酒樽を下ろしてへろへろになっているところだった。
■ リグ To:寝言? |
・・・・樽・・美人・・だ〜い。 ・・・・・ ・・・くぅ・・・・くぅ・・・・・くぅ・・・・・ |
そのまま酒樽に抱き着いて寝てしまうリグだった。
■ おやじ To:2 階 |
な、なんだ…?今の音は(汗) |
時ならぬ地響きに、1 階ではおやじがひとりあせっていた。
■ カナル To:おおる |
やれやれだ。 さて、そろそろお開きに……と言っても、どうするんだ? この酔っぱらいどもは。 ティトルはバティに任せるとして、リグはどうしたもんか……。 |
気づけばティトルはバティの腕の中で気持ちよくお休みに入っている。リグは酒樽に抱き着いたままくーくーと熟睡している。スレイとバティはまだ大丈夫そうだ。
あれ?ジルは?
思案顔のカナルが振り返ると、隅っこでもう一人大きな酔っ払いが管を巻いていた。
■ジル To:独り言 |
確かにワシは細工物は下手じゃよ。。。所詮「空鈴ジル」じゃよ。。。
ど、どうせ、生きていく資格は無いんじゃよ。。。 |
先程のカナルの適当な解説を真に受けた者がもう一人。ヤケ酒モードで樽に残った酒を汲み出そうと、リグが絡まったまま樽をゆすりだした。
どうやら、ジルに細工の腕前を尋ねるのはタブーらしい。
■ カナル To:スレイ |
……! 後は、樽美人とドワーフに任せて俺達は休むとしようか。 良い感じの二人を邪魔しちゃ悪いしな。 |
■ スレイ To:カナル |
そうですね。みんな「良い感じ」ですからねぇ(^^; |
バティに担がれたティトルが、寝言で「にゃ〜 イイ感じだなんてテレテレですぅ〜」とつぶやく。 宴会はお開きになり、みんな各自の寝床へ戻っていく。 「良い感じ」のジルとリグを残して…
それではみなさんおやすみなさい。今だけは良い夢を。
■ スレイ 今だけは!?(笑)
そんなこんなで |
昨夜の宴にしばしそれぞれの思いを馳せている一行に、おやじがカウンターを拭きながら怪訝な顔で声をかけた。
■ おやじ To:ALL |
おはようさん。 …そういや夜遅くドンッ!とかいうすごい音が聞こえたが、 何かあったのか? |
■ ティトル To:おやじさん |
あ(^^;(思い当たるフシがありあり) え〜っとぉ……なんだったんでしょうねぇ〜えへへ〜 おやじさん眠れなかったですか?? そしたらゴメンナサイですぅ…。 |
それはもちろん樽美人ことリグが樽を降ろしたときのこと。
■ リグ |
え?(・_・) |
■ ジャン=バッティスタ To:おやじさん |
ドンだろうがバンだろうが、どんがらがっしゃんだろうが、 この店じゃよくあることだろうよ…… 些細なことを気にしていると禿げるぞ |
■ リグ |
ええ?(・o・) |
ここまで言われても、リグにはやっぱり何のことやら覚えがないらしい。 おやじは額をなで上げて、笑いながらこう言った。
■ おやじ To:バティ、ティトル |
お前も人のこと言えないだろ。気をつけろよ、バティ。 いや、眠れんほどじゃなから気にせんでくれ、ティトル。 床さえ無事ならなぁ、はっはっは… |
■ リグ |
(・・;) ・・・・・あぅ。 やっぱりわたし何かやったんだ。 あとからおやじさんに謝っとこ。 |
■ ティトル To:おやじさん |
ならよかったですぅ(^-^) 今度は…多分きっと気を付けマスね☆ |
■ スレイ To:ALL |
大丈夫ですかね〜?(苦笑) |
それは、多分きっと大丈夫じゃないでしょう(笑)
おやじは気にしていないらしい。スレイの心配をよそに豪快に笑っている。
前へ | 目次へ | 次へ |