砦本館 地下2階 2nd Day 15:05- |
扉の向こうは直径15m程の、巨大な空洞であった。
天井は2m程度とそれほどの高さもなく、息が詰まるような閉塞感を覚えるくらいであった。
この部屋に通じていたのは入って来た扉だけのようで、他には扉も通路も見当たらなかった。
部屋には、壁に沿って燭台が 6本、等間隔で立てられているだけであった。
全体に薄暗い陰気な雰囲気の部屋あった。
彼らが部屋に入り、まず感じたのは、油臭い匂い。
そして床を見ると、全体に、魔方陣らしき文様が溝となって刻まれていた。
そして、その溝には燃料(ランタン)油によく似てはいるものの知らない液体が流し込まれているようであった。
そして床の上には部屋の中央とそれを囲む形で7つのテーブルが見えた。
一見したところ――、
■ テーブル A
分解された人形の部品が置いてあるように見えた。
■ テーブル B
大きな水槽が置かれており、中に何か浮いてた。
■ テーブル C
人らしきものが膝を付いてテーブルの上に座っていた。
ただ、背中には翼があるだ。
■ テーブル D
身体に白い布を被せられた少女が寝ていた。
首から上と、足先が出ているだけという状態です。
その他のテーブル上には、何かの実験器具やら本やらが置かれていた。
そして部屋の一番奥におそらくこの事件の首謀者、ウォルクライがいた。
■ ヴェアリアス To:メンバー |
イヤな予感――当たったね。 |
■ アルト |
……ここは一体……。 |
アルトは部屋の中を見回すと、素早く小声で呪文を唱える。
■ アルト |
………あらざりし力、我が目に映れ……… |
魔法感知の呪文を使い、改めて部屋の中全体を見回すアルト。
ただ部屋内から魔法の反応は感じられなかった。
ともかくも彼らはウォルクライを警戒しながらそれぞれに奇怪な物の乗ったテーブルへと近づいた。
アルトは分解された人形の部品が置いてあるように見えるテーブルへと近づいた。
もとは小豆色の短い髪をした少女――であったようだ。
身体を分割され、剣山の様な器具で皿の上に固定されている。
肌から芽が生え、根が伸びており、その頭部は無反応だが、腕や足が時折ぴくぴくと動いていた。
■ アルト |
―――――っっ…!!! ………………生きてる…のかい? な…なんで、なんで、なんで…………何てコト、するんだよ……。 |
アルトは呆然とした表情で暫し彼女を見つめていた。
エデンはバイオリンを片手に中央のテーブルまで歩く。
そしておもむろにテーブルの上の人にかかってる白い布をつまみ上げ中をちらっと覗く。
布の下の少女は全裸であった。
この薄明かりの中、肌の色は青ざめているように見えた。
そして静かに呼吸していた。どうやら眠っているようだ。
■ エデン To:ウォルクライ |
……この方がコレット様でして? |
■ ウォルクライ |
違う……そう、もうそれは違うモノ…。 |
■ ヴェアリアス To:ウォルクライ |
モノ・・・? あなた・・・・って人は・・・・・・ |
■ エデン To:ウォルクライ |
そう……では以前はコレット様でしたのね……? ならそれでも構いませんわ……。 |
大きな水槽が置かれているテーブルにジークは近づいていく。
どうやら中に何か浮いているようであった。
目を凝らして見てみると、薄い緑の水槽の中には、首から下の肌や筋肉を剥がされ、 植物の苗床となっている黒髪の少女が浮いていた。
内臓から毛根が生え、肉に根が食い込んでいた。
虚ろな銀の目がジークの方を向いており、まばたきを繰り返すが焦点は合っていなかった。
■ ジーク |
?! ・・・・・・・惨い。 |
ジークはその惨状に思わず目をそむけてしまった。
■ ヴェアリアス To:ウォルクライ |
・・・・やはり、あなただったのね。 使用人の子を誘拐して、アルスさんを眠らせたのも。 いったいここでどんな恐ろしいことを企んでいたのかしら? |
フェリオが近づいたのは背に翼がある人が、膝を付いて座っているテーブルであった。
それは緑の水を張った台の上で瞳を閉じ、背筋を伸ばして座っていた。
最初、フェリオは緑の服を着ているのかと思えましたが、彼女もまた裸でした。
翼と思えたのは、背中から翼の様な形に伸びる枝であり、そして肌や髪もまた鮮やかな緑色をしていた。
フェリオに近付かれ、ライトに照らし出されると、明りを求めるかのごとく背中の枝を広げる様に動かした。
■ フェリオ To:ウォルクライ |
ウォルクライ! あんたの悪事はもうばれてるぞ、大人しくしろ。 |
■ ウォルクライ |
それが目を覚ませば、研究は完成するというのに――。 お前達に研究成果は渡さんぞ!! |
ウォルクライはランタンを持っていたのとは逆の手を、何かを引っ張るように動かした。
■ ヴェアリアス To:ウォルクライ |
――何を!? |
ヴェアの叫びと同時に――部屋の燭台が全て倒れ落ちた。
火の付いた蝋燭が床に落ちると同時に床の上に火が走った。
どうやら溝に流し込まれていた液体は普通の油よりもよく燃える液体のようで、炎を爆発的に膨らませていった。
このままでは部屋全体が炎に包まれるのは、時間の問題であろう。
■ アルト |
くっ、火の回りが早い……まずいね、これは。 |
■ ヴェアリアス To:ウォルクライ > 仲間 |
この期に及んで・・!! みんな! はやく脱出して――! |
■ エデン To:ウォルクライ > 仲間 |
まあ……。成果だけでも残そうとは考えませんこと? 仕方ありませんわね……勝手にさせていただきますわ。 (とは言え……私が運ぶのは無理ですわね……。) 何方かコレット様を御願いできまして? |
そういってエデンは器用に部屋の外にバイオリン投げます。
■ アルト To:エデン |
エデン、コレットは私が引き受けるよ。 |
■ エデン To:少女頭部 |
(これなら運べそうね……。) ……お暇でしたら其処まで私と御一緒致しませんこと? |
エデンはコレットをアルトに任せると、別のテーブルに走り、皿ごと少女の頭を抱きかかえて扉へと向かった。
■ ヴェアリアス To:フェリオ |
フェリオさ――!! だ、だめー!! |
■ ジーク To:仲間 > フェリオ |
私はこの娘を・・・・。 フェリオさん?! いけない! |
皆が少女達を連れて脱出しようとしたその時、フェリオはその手に持った剣でウォルクライへと切りかかった。
フェリオの一撃はウォルクライに怪我を負わせたが、致命傷にはいたらなかった。
ウォルクライはそれに合わせたかのように手に持ってたランタンを立ってる床に投げ付けた。
ランタンが割れ、火の粉が飛び散ると彼の周りの付近の炎が勢いをさらに増した。
アルトはその間に上にかぶせてある布ごと、コレットを肩に抱え上げる。
ちらりとウォルクライとフェリオの方を見た後、ダッシュで扉の向こうへと退避した。
ジークは、フェリオが切りかかったのを見て、持っていた盾を投げ捨て剣を抜きウォルクライへと切りかかった。
彼の渾身の一撃はウォルクライの身体を袈裟に切り裂いた。
傍目にも致命傷と分かった
エレボスは羽の生えた少女のところへと駆け寄り、彼女をテーブルから下ろす。
そして・・・・・ヴェアはウォルクライが倒れるのを目の当たりして、へたりこみます。
■ ヴェアリアス To:フェリオ、ジーク |
なんてこと…… フェリオさんどうして!? ジークさんも!! こんな…こんな終わり方でいいの?満足なの? コレットさんたちを助ける手段があったかもしれないのに!! ……ゴホッ……ケホッゴホッ………。 |
そしてよろよろと立ちあがって部屋の奥、ウォルクライへと駆け寄る。
皿の少女の頭部を抱えたまま、部屋を出る寸前に一旦振り返るエデン。
■ エデン To:ウォルクライ |
ではね、ご機嫌よう……ウォルクライ先生。 ……いずれ機会が御座いましたら、また色々とご教授下さいましね。(ペコリ) |
ジークは水槽のあるテーブルへと戻り、その中の少女を抱える。
■ ジーク To:水槽の少女 |
・・・・・・少しの間、辛抱してください。 |
■ フェリオ To:ウォルクライ |
・・・・・・・・・お前は・・・正気だったのか・・・? |
炎の向こうに倒れるウォルクライを見つめながらフェリオはそうつぶやく。
それにウォルクライは血を吐きながら答える。
■ ウォルクライ To:フェリオ |
狂う…の…も、わるく…な……。 |
だが、彼は最後まで言うことは出来ず、こと切れた。
■ ヴェアリアス |
こんな傷……わたしが魔法で………ゴホッコホッゴホッ……。 |
ヴェアは倒れたウォルクライの傷口に触れ、怪我を癒すべく名も無き生命の精霊の力を求める。
しかし、何も起きなかった。
■ フェリオ To:ヴェアリアス |
・・・死んだよ・・・。 |
そういうとフェリオはへたり込んだヴェアを抱え上げて部屋から逃げだす。
ジークは少しだけ、つらそうな視線でヴェアを見て、次いでフェリオを見た後に、水槽の少女を抱えて退避していった。
砦本館 地下2階 > 地下1階 通路 |
地下の部屋から逃げ出した冒険者達はこれ以上火の手が上に回らないようにそこの扉を閉めた。 そして改めて助け出した少女達を見る。
■ ヴェアリアス To:コレット |
コレットさん、コレットさん? 起きて! 目を開けて! |
ヴェアはその中でただ眠っているだけに見えるコレットを揺さぶって声を掛けた。
■ ヴェアリアス #精霊語 |
生命の精霊よ…傷を………ぅ んぅ……うっ……あたまが………はぁっ……はぁっ…… |
■ フェリオ To:ヴェアリアス |
ふぅ・・・。 ・・・親愛なる我が神チャ・ザよ・・・人々に幸運をもたらす神よ・・・大いなる汝が力を介し我が力を彼の者に分け与えよ・・・ これでほとんど終わりだぜ・・・。 |
そのヴェアを見てフェリオは残っていた自らの気力をほぼすべて分け与えた。
そしてヴェアは生命の精霊の力をコレットへと使う。
逃げ出す際にコレットの肌に出来ていた火傷は完治したが、目は閉じたままで肌の色も変化はなかった。
■ ヴェアリアス To:コレット |
コレットさん! コレットさん! コレットさ……… |
さらにヴェアは何度かコレットに呼びかけたが、やがて首を横に振って仲間達を見た。
■ ヴェアリアス To:コレット |
だめみたい……… |
ふとヴェアはコレット達の傍に居ると、ドライアードの存在を感じることに気がついた。
■ ヴェアリアス To:コレット |
ドライアード………… |
ヴェアは困惑したようにそっとコレットの頬に触れた。
エデンは壊れたバイオリンを拾い上げ、上へと向かう。
仲間達もそれに続いた。
Game Master | 神楽kagra@na.rim.or.jp |