ロスフェル市街 中央通り 2nd Day 11:00- |
試合後、エレボスは砦を出て竜の足跡亭に向かっていた。
昼の中央通りは馬やロバ、馬車、徒歩の人、人、人と賑わいを見せている。
そんな喧騒の中を歩いていると、ふと1本の路地の奥が気になる。
昼でも薄暗いその場所に目を向けると…、誰か人が倒れているのが見えた。
微かに動いていたが、苦しそうな動きである。
■ エレボス To:怪我人(?) |
!! あれは? 大丈夫ですか? |
声を掛けて近付く。
ロスフェル市街 路地 |
倒れていたのは、人間の少女。
身長はエレボスよりもあって、150cm程度。伸ばした金髪が、帽子の下に見えた。
■ 少女 |
く…はぁ、はぁっ。ぅぅ…。 |
苦しそうに胸を押さえている。
顔に見覚えが、と思うが…。
■ エレボス |
この子は。 おっと、そんな事よりも・・・・・・。 |
神の力を借りて彼女に癒しの奇跡を掛ける。
すると痛みは引いた様子で、少女の苦しい息も元に戻った。
閉じていた目を開けて、若草色の瞳でエレボスを見る。
■ 少女 To:エレボス |
あなた、昨日の…。 |
何とか半身を起こそうとする少女は、昨晩食事を共にしたミディ = ルエナ嬢であった。
今日は街の平民が着るような服装をしていて、貴族の娘という雰囲気は無かったが…。
■ エレボス To:ミディ |
大丈夫ですか? まだ無理をしないで下さい。 |
落ち着いた所で聞く。
■ エレボス To:ミディ |
何があったんですか? |
■ ミディ To:エレボス |
発作。最近無かったんだけど…。 もう大丈夫。君のおかげで楽になったから。 …君の名前、何て言ったっけ? |
■ エレボス To:ミディ |
エレボスです、昨日は食べる事に夢中でしたから自己紹介もしませんでしたから(^^;;; えぇ〜っと貴方はティニャさん・・・・・・否、ミディさんですね。 発作、病気持ちなんですか・・・・・・。 近くに誰もいないんですか? |
■ ミディ To:エレボス |
今日は1人で街を歩きたかったんだ…。 |
■ エレボス To:ミディ |
そうですか、済んでしまった事は仕方がないですね。 また発作が起きるかも知れません、家まで送りましょう。 |
■ エレボス To:ミディ |
良いんですか? 丁度お腹が空いていたんですよ。 |
■ ミディ To:エレボス |
まだお昼には早いけど、何か作ってあげるよ。 |
■ ミディ To:エレボス |
え!! 作ってくれるんですか? それは楽しみです。 |
だが、気が付くと、路地の表通り側に、人相と身なりの悪い三人の男が立ってエレボス達を見ていた。
手前の二人は痩せていたが、後ろの男は厚い胸板を持った大柄な奴である。
(路地は幅が 2m程と狭く、前に出ているのは2人)
後ろの男の人相の悪さは、"極悪な面構え"と呼ぶに相応しいもの。
見ていると、三人は手にダガーを構えた。
■ 後ろの男 To:仲間 |
嬢ちゃんには傷付けるんじゃねぇぞ。 小僧の方はどうしたって構いやしねぇ。手早く済ませちまえ。 |
■ エレボス To:ミディ |
っち、ミディさんが目的か・・・・・・。 表通りに出られる道を知っていますか? |
ミディを守りながら後退。
■ エレボス To:悪党 |
ミディさんには指1本触れさせないぞ。 |
手下Aの攻撃は回避。
手下Bに当てられました。
エレボス、傷は負わずに済みました。
■ ミディ To:エレボス |
奥の道を抜けると、別の通りに出る、けど…。 |
エレボスを心配する。
■ エレボス To:ミディ |
それなら早く逃げてください。 私の事は気にしないで。 まず自分が助かる事だけを考えて下さい。 |
■ 後ろの男 To:仲間 |
何てこずってやがるんだ。 俺と代われっ! |
後ろの男が、前進して向かって来た。
■ エレボス To:悪党 |
私より後は絶対にいかせないぞ。 |
手下A、下がります。
手下Bのミディ捕獲は、エレボスに妨害されました。
頭領の攻撃が命中。
エレボス、傷は負わずに済みました。
ミディは逃走して、曲がりくねった路地の奥に消えていった。
■ エレボス |
無事に逃げられたみたいだな。 |
■ 頭領 To:仲間 |
ちっ、逃げやがった。 お前達は小僧を押さえてろ! |
■ 手下A、B To:頭領 |
へい、承知っ。 |
表通りの方には、野次馬が集まり始める。
少し後退するエレボス。
横の壁に、長さ 4m程の角材が束ねて立て掛けられていた。
■ エレボス To:悪党 |
貴方達は私を怒らせましたね。 死んでも文句は言わないで下さいよ。 |
角材に手を掛け、倒す事にする。
しかし、相手の動きがそれより少し早かった。
頭領はエレボスの脇を抜けて奥に向かい、手下Bは攻撃を仕掛けて来る。
攻撃を回避し、角材の束を倒すエレボス。
■ 手下A、B |
ぐぁっ! |
手下A、Bは共に散らばった角材の下敷きになった。
表通りの野次馬の中から、官憲らしき姿の者が現われる。
■ 官憲 |
一体何の騒ぎだっ! |
手には、食べかけのパンを握っていた。
少し早い昼食の最中だったらしい。
■ エレボス To:官憲 |
その人達は誘拐犯です、捕まえて下さい。 |
■ 頭領 To:仲間 |
何やってるんだ…、早く起きあがれっ(゜▼゜;)/ |
頭領は一旦立ち止まってそんな事を叫ぶ。
手下達が起きあがろうとしたその時、官憲の男が角材の上に飛び乗った。
■ 手下A、B |
ぐぇっ! |
官憲の勝利。
しかし、エレボスにそちらを見ている暇は無かった。
■ エレボス To:頭領 |
お前だけは許さないぞ |
頭領がミディを追いかけるのを止めるべく、素手で殴り掛かるエレボス。
…当りはしたが、全く効かない。
頭領は、そのまま奥に走っていった。
ロスフェル市街 路地奥 |
追い掛けて路地を奥に行くと、先に少し開けた場所が見えた。
先をゆく頭領は、一瞬躊躇した後その場所に入ってゆく。
その場所は、街の中にぽっかりと空いた、直径10m程の"穴"であった。
穴の淵ぎりぎりまで建物が建ち、穴の周りには、今通って来たものと同じ路地が数本見える。
穴の上には、路地と路地を空中で結ぶ様に、板が渡されていた。
固定方法はよく分からなかったが、かなり不安定な代物。
それぞれの板の幅は、30cm程度しかない。
穴の深さは約15m。底には水が溜まっている様であったが、所々ごつごつした岩場も見える。
ミディは、板の上を渡っていた。位置は丁度穴の中央。
そして、頭領も板の上を進み始めていた。位置はミディと穴の縁の中間。
頭領が乗った為、板は嫌な音を立ててたわんでいた。
ミディはその為に足がすくんで動けず、落下するのを堪えている状況である。
■ 頭領 To:ミディ |
そこを動くなよ…。 一緒に落ちちまいたくないだろ、お嬢ちゃん。 |
頭領はじりじりとミディに近寄ってゆく。
■ エレボス |
偉大なるラーダ神……我が力にて我が敵対する者に制裁を。 |
穴の淵まで追い付いたエレボスは、頭領に向けて気弾を放った。
■ 頭領 To:ミディ |
ぐぁっ…(XoX) なっ、わっ、うわわわわぁぁ――。 |
フォースを受けよろめいた頭領の身体が板の上を転がった。
そのまま穴へと落ちて…いけば良かったのだが、その手がミディの足を咄嗟に掴んだ。
道連れになるミディ。
あわやという所であったが、何とか板を掴んで両手でぶら下がり、墜落を堪える。
その足に、片手でぶら下がる形の頭領。
このままでは、頭領より先にミディの手が力尽きると思われた。
■ エレボス To:頭領 |
しつこいと女性に嫌われるぞ!! 偉大なるラーダ神……我が力にて我が敵対する者に制裁を。 |
再び放たれる気弾の奇跡。
頭領は痛みに手を緩ませ、ミディの足を離す。
落下してゆく頭領。少し遅れて、着水した音が響いた。
エレボスは板にぶらさがったままのミディに手を貸し、無事引き上げた。
そのまま、来た路地に連れて戻る。
助かってほっとしたのか、路地の上で足を伸ばして息を整えるミディ。
服のあちこちが汚れ、ほつれ、靴は片方が無く、両の腕と手には擦り傷という有様であった。
髪を押さえていた帽子も無くなっている。
■ ミディ |
さすがに、今のは、死ぬかと、思ったぁ…。 |
■ エレボス To:ミディ |
私がもっとしっかりしていたら、こんな危険な目には・・・・・・。 ・・・・・・ごめんなさい・・・・・・。 |
■ ミディ To:エレボス |
ううん、とても、助かった、よ。 |
苦笑するミディ。
しばらくすると、先に手下共を踏み倒した官憲の男が来る。
■ 官憲の男 To:エレボス |
奴は…ボルクはどうした?! |
■ エレボス To:官憲 |
逃げられてしまいました。 |
■ 官憲の男 To:エレボス |
あっちか? |
返事を聞いた官憲の男は、元気に板を渡って行った。
■ ミディ To:エレボス |
戻って来る前に、この場は去ろ(^^; |
ミディは、立ち上がってエレボスの服の袖を引いた。
エレボスも思い出した様に空腹感に襲われる。
■ エレボス To:ミディ |
そうですね しかしちょっと寄りたい所があるのでお付き合いして頂けますか? |
■ ミディ To:エレボス |
? それなら、早く行こうか。 |
そういってエレボスの手を引っ張って歩き出します。
ロスフェル市街 中央通り 2nd Day 11:20- |
表通りに出ると、エレボスはまず洋服屋と靴屋を探した。
店舗を構えた洋服屋ではなく、通りの脇に馬車を停め、運んで来た様々な服を広げてる露店。
靴だけではなく、他の服飾品も山積みとなっている雑貨屋。
そういった店がある。
エレボスはミディへ、まず替えの服を買って与える事に。
ロスフェル市街 中央通り 服を売る露店 |
――服を選び、試着するミディ。
■ ミディ To:エレボス |
似合うかな? |
馬車から、白のワンピースに着替えたミディが出てきた。
少し彼女には大きめの服だと思える。
■ エレボス To:ミディ |
とても似合います、でもちょっと大きいかもしれませんね。 |
■ ミディ |
ん〜っ…(-_-) |
着ている服を見て唸る。
■ ミディ To:店主 |
おばさん、やっぱりもう1つ小さいのにしとく。 |
服選びには時間が掛かった…。
エレボスは、店主である4、50代のおばさんに値段を確認する。
■ エレボス To:ミディ&お店の人 |
すみません、いくらになりますか? そうだこの帽子も下さい |
側に掛けてあった帽子を手に取る。
■ 店主 To:エレボス |
ああ、いいね。 服と一緒でよく似合うよ。 全部合わせて、35ガメルでどうだい? |
■ エレボス To:おばちゃん |
はいお代です。 |
35ガメル、支払うエレボス。
■ ミディ To:エレボス |
あの時、財布を落してなければなぁ…。 |
ミディは情けなさそうにそう言った。
ロスフェル市街 中央通り 雑貨屋 |
続けて、靴も買う事に。
■ ミディ |
(じ――〜っ) |
靴選びは簡素な物(7ガメル)で即決したが、その後、山積みになっているアクセサリー類に目が釘付けのミディ。
それも、結構高そうな宝石付きの物等を見ていた。
放っておくと、何時までも見ていそうである。
■ エレボス To:ミディ |
綺麗なアクセサリーですね。 |
と声を掛けた直後、
ぐぅ〜〜〜!!
…エレボスの腹が空腹を訴えて大きく鳴った。
店内、そして通りの人々の視線がエレボスとミディに集まる。
ミディは店から出ると(しっかり買ってもらった靴を履いて)、エレボスを無視して通りを歩いていった。
一人取り残されるエレボス。
■ エレボス |
あ・・・・・・行ってしまった・・・・・・。 また、発作が起こらなければ良いけど、でも今の私は力にはなれないし・・・・・・。 |
追い掛けたりはしない事にする。
ミディの姿は、雑踏の中に消えていった――。
竜の足跡亭 2nd Day 11:55- |
竜の足跡亭に入るエレボス。
店内の客は少なかった。
カウンター席には誰も居らず、テーブル席にばらばらと3人の男が座っている。
昨晩と同じく、主人はカウンターの中に居た。
■ 主人 To:エレボス |
おや、昨晩の。 昼食か? |
■ エレボス To:主人 |
こんにちは、また寄らせてもらいました。 お薦めの料理を下さい、大盛りで。 |
飲み物も、酒以外で何か無いか頼む。
■ 主人 To:エレボス |
果物ジュースやミルクになるが、それでいいのか? |
■ エレボス To:主人 |
では、果物ジュースを下さい |
待っていると、"ラムーア"という料理が出て来た。
厚いピザ生地の上に、酒で味付けした羊の肉や諸々の具を載せて焼いた料理である。
■ エレボス To:主人 |
ちょっとお聞きしたいんですが・・・・・・。 アルスって人は知っていますか? |
■ 主人 To:エレボス |
知ってるが? この街の領主様の弟だ。 |
■ エレボス To:主人 |
アルスって人はどんな人なんですか? 強いとか弱いとか? 女癖が悪いとか? 短気とか? ・・・あ、ここだけの話、アルスさんがある事件の容疑者なんですよ。 知っている事があれば詳しく教えてくれませんか? |
■ 主人 To:エレボス |
強くて女癖は…知らんが、短気らしいな。 残念だが、うちにはあまり顔を出してないよ(^^; 容疑者というと、何だ…どこぞの屋台を壊したとか、食い逃げしたとかか? |
程度の低い事件である。
■ エレボス To:主人 |
あれ? ご存知でしたか・・・・・・。 屋台を半壊してしまったんですよ。 喧嘩らしいのですが喧嘩の原因がわからなくてねぇ〜。 |
事件は原因不明の喧嘩沙汰という事になった。
■ 主人 To:エレボス |
まぁ、そんなところかと思ったんだが…。 やったのは何時の話だ? 昨日今日はそんな話を聞かなかったが? |
■ エレボス To:主人 |
ついこの間らしんだよ、私もはっきり知らなくてね。 こっちも仕事だから調べなくちゃ行けなくてねぇ〜。 |
起きた日時も不明。
■ 主人 To:エレボス |
そうか…。よく分からない事件だが、大変だな。 |
■ エレボス To:主人 |
時期的には最近なんだけどねぇ〜。 まぁ〜、良くある事らしいので上の連中も投げやりなんですよ(^^;;; |
そう言っておいて、話題を変える。
■ エレボス To:主人 |
もう1ついいですか? ロスフェル砦に研究をしているウォルクライって人はご存知ですか? |
■ 主人 To:エレボス |
話はよく聞くね。 植物の研究をしてるという学者さんだろ。 その成果とやらで、畑の収穫が今年は大分増えそうだと、皆喜んでるよ。 |
主人は、宿を引き払って出て行く客の相手をしながら、エレボスの会話に付き合ってくれた。
■ エレボス To:主人 |
植物の研究をしているんですか? いやね、何かの研究をしているとは聞いていたんですが。 どんな事をしているのか知らなくて・・・・・・。 ウォルクライさんは何時頃からこちらで研究をしているか知ってますか? |
■ 主人 To:エレボス |
名前を聞くようになったのは、1年くらい前からだが? 何でも、植物を水やりの手間が掛からないものに変える研究だと聞いてるよ。 水不足の畑には、助かる事この上なしだろうな。 |
■ エレボス To:主人 |
へぇ〜、そうなんですか・・・・・・。 そのような研究ならもっと頑張って欲しいですねぇ〜。 水不足な土地は結構ありますから成功する事を祈りたいですね。 あ、これをもう1つ追加して下さい。 |
ラムーアの大盛りと果物ジュースを会わせて追加する。
――エレボスは食事を終えると、砦に帰って休む事にした。
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