砦本館 1階 玄関前 1st Day 15:20- |
玄関を出ると、落ちた手摺をフォンが片付けていた。
■ アルト To:フォン |
旦那、掃除どうもご苦労さん。 |
声を掛けて横を通り過ぎるが、ふと足を止めて振り向く。
■ アルト To:フォン |
あ、そうそう。 此処の屋上の手摺りだけど……死人が出ない内に、さっさと新しいのに取り替えといた方が良いと思うよ? |
■ フォン To:アルト |
奇遇だな。 わしも今そう思っとったところだ。 |
■ アルト To:フォン |
そりゃ気が合うね(^^) ……ところで、後からちょいと、旦那の奥さんに話を聞きに行きたいと思ってるんだけどさ。 今どの辺にいるか分からないかい? |
■ フォン To:アルト |
部屋――あの塔の1階で、休んどるはずだが。 依頼の件は何とかなりそうか? |
■ アルト To:フォン |
大丈夫。 まぁ旦那はそう心配せずに、屋上の手摺り直しにでも集中してなって。 すぐに朗報をお伝えするよ。 |
返事をして、アルトは中庭の南に見える花壇(?)へと向かった。
砦内 花壇(?) 1st Day 15:30- |
その部分だけ、土が耕され植物が育っていた。
花が少々。知らない雑草や小麦等の穀物が残りの大半を占めている。
水撒きが足りないのか、土は乾いていた。
■ アルト |
んー…こりゃ花壇って言うより、ちょっとした畑みたいだねぇ。 特に見に来るまでもなかったかな…? |
顔を上げて辺りを見回すと、アルスが砦の外に出てゆくのが見えた。
門の所には、バスクの姿が見える。
■ アルト |
ん……………? |
門の方へと、アルトは歩み寄った。
アルスの姿が見えない事を確認してから、バスクに声を掛ける。
砦正門 |
■ アルト To:バスク |
や、守衛の兄さん。 暑い中、見張り大変だね。 |
■ バスク To:アルト |
ああ…。 外に出るのか? |
■ アルト To:バスク |
いや、ちょいと挨拶しに寄っただけだよ。 到着した時は、馬車に酔っててロクに人の顔見る余裕もなかったからね。 私はアルト。兄さんは何て名前だい? |
■ バスク To:アルト |
おれは、バスク。 ……アルトさんは魔術師か? |
やはり、珍しいものらしい。
それが若くて綺麗な女性だと尚更。
■ アルト To:バスク |
そ、ご覧の通りね(^^) 力仕事以外で役に立つことがあれば、いつでも腕を貸すよ? まぁ…大抵の事じゃ、バスクさんに手助けは必要なさそうだけどね。 |
■ バスク To:アルト |
その気持ちだけ、で充分。 |
ぽりぽりと頭を掻く。
■ アルト To:バスク |
ところで、さっき此処から出て行ったのはアルスさんかい? 砦の中でも会ったんだけど、なかなか腕っ節の良さそうな人だよねぇ。 ……実は、ちょいと仲間が明日彼と手合わせをすることになっててさ。 出来れば事前に少し実力を知っておきたいんだけど……やっぱ彼、かなり強いのかな? |
■ バスク To:アルト |
前の彼は弱かった。 でも……、今の彼は強くなったと思う。 |
■ アルト To:バスク |
ふぅん……? 何処かで修行でもして来たってことかい? |
■ バスク To:アルト |
旅に出て、腕を磨いたのは分かる。 |
■ アルト To:バスク |
旅……か。 なかなか大した実力の持ち主みたいだね。 ――色々どうもありがとう。 仕事の邪魔して悪かったね(^^) |
礼を言って門を離れる。
この後は、中庭を散策して周る事にした。
砦内 厩舎 1st Day 15:50- |
厩舎の脇に、馬を外された馬車が置かれている。
厩舎の中には、馬車馬と乗用馬がそれぞれ 2頭繋がれていた。
乗用馬のうち1頭は、気性が荒らそうな黒馬である。
中をざっと見回して、その場を後にする。
砦本館の裏には、表から見えなかった井戸ともう一つの花壇、そして小さな小屋が見えた。
砦内 井戸 1st Day 15:55- |
見つけた井戸に近寄る。
直径約1mの物で、滑車付きの支柱と、ロープで繋がった桶が脇に置かれていた。
置き蓋を開けて覗き込むと、水による光の反射が奥に見える。
小石を落として、水面までの距離を確かめた後。
■ アルト |
……水はあるみたいだね。 ちょうど歩き疲れて喉も渇いたことだし……。 |
桶を井戸の中に下ろす。
汲み上げた冷たい井戸水を、手ですくって飲んだ。
■ アルト |
ん…………ふぅ、冷たくておいし……。 ……そーいや、ヴェアはあれからまだお茶会頑張ってんのかな……。 |
何となく、砦に向かって合掌。
■ アルト |
さて、尊い犠牲になったヴェアの分までしっかり働かなきゃね。 |
井戸を離れ、本館裏の花壇へ移る。
砦内 花壇(?) その2 1st Day 16:10- |
表にあった物と、様子や規模は同一。
生えている植物もほぼ一緒であった。
■ アルト |
……ここにも畑もどきが? 砦ん中で作物を作らなきゃいけない程食料に困ってるわけでも無さそうだし……。 こりゃたぶんウォルクライとかって男の研究用だね。 |
続いて、本館から離れて建てられた小屋に向かう。
砦内 小さな小屋 1st Day 16:15- |
物置のような小屋であった。石造りで、随分古い物である。
鍵穴と取っ手が付いた鉄扉が付いている。
小屋の中からは、何の音も聞こえない。
軽くノックしてみるが、反応は無かった。
扉は施錠されている。
■ アルト |
これは倉庫……かな? |
周囲を見回し、人影がない事を確認した後。
■ アルト |
念入りな調査は、仕事の基本……っと♪ ……閉ざされしものよ、我が前に道を開け……。 |
アンロックの呪文を唱え終えると、鍵の開く微かな音がした。
扉を少し開けて、そっと中を覗き込む。
床に、地下に下る階段が見えた。
又、右側の壁にランタンが掛けてある。古く、手入れしないと使えそうに無い代物であったが。
階段の奥は、闇に閉ざされていた。
■ アルト |
……ビンゴ、かな? 何だか露骨に怪しい階段だねぇ……。 ――――ん? |
つい先程から曇っていた空から、突然土砂降りの雨が降り始めた。
1st Day 16:20- |
急に辺りが夜を迎えた様に暗くなる。
続けて、稲光と遅れての雷鳴。
そして、凄まじい量の雨が降り続く。
■ アルト |
通り雨…………。 どうやら、天も此処が怪しいと言ってるみたいだね。……よし、 ……光よ、輝きて闇を裂け……。 |
ライトの呪文を唱え、魔法の光をメイジスタッフの先に灯す。
鉄扉を閉めた後、アルトは階段をゆっくり降りていった。
砦内 階段小屋内 |
■ アルト |
随分長い間使われてない場所らしいね……。 |
扉を閉める際、手に錆が付いていた。
階段は、石を適当に組み合わせた乱雑な造りの物。
急な角度で地下へと続く。
砦内 階段小屋地下 |
地下の部屋に出る。
4m四方程の小部屋で、壁は剥き出しの岩盤。
少しじめじめして、空気も冷たい感じがする。
左右の奥の壁には、暗く大きな穴が開いていた。
その穴の近くには、手動で操作する門があった。
今は水が僅かに流れているだけだが、穴は水路らしい。
全開となっている水門は、全体が錆びていた。
■ アルト |
水門? こんな所に……。 |
地下水路を覗き込むが、光の届く限り穴が続いていた。
穴の断面は、高さ150cm、幅80cmの楕円形である。
■ アルト |
……やっぱ、ただの水門室だったのかねぇ? こういう時に、エデンがいれば良かったんだけど……。 もし雨で水かさが増すとやばいし……ひとまず今回はこの辺で切り上げるとしようか。 |
階段を登って見ると、雨は大分小降りになっていた。
階段小屋の扉を閉め、離れの塔に行く事にする。
砦内 塔前 1st Day 16:40- |
塔の高さは3階建ての建物相当。砦本館より、そして外壁よりも高い。
アルトの知識では、塔の中の1階と2階部分が部屋、3階部分は見張り台という構造の監視塔だと思えた。
地震で崩れなかっただけはあり、しっかりとした石組みの建物である。
1階にある、唯一の扉は閉まっていた。
手を掛けると静かに開く。
扉のすぐ向こうは、塔の玄関部屋となっていた。
1階の部屋に通じる扉と、塔の内周に沿って2階へと登る階段口が見える。
1階の部屋への扉は、半開きになっていた。
部屋の中には、フォンともう一人(多分、レイア)が居る。
軽く扉をノックした後、声を掛けるアルト。
■ アルト To:レイア、フォン |
こんにちは、ちょいとお邪魔するよ? |
■ レイア To:アルト |
おや、誰だい? |
アルトの姿を認めて。
■ フォン To:レイア > アルト |
話していた客人だ。 何か話か? 中に入ってくれ。 |
■ アルト To:フォン |
お、掃除はもう終わったみたいだね。お疲れさん。 こっちが旦那の奥さんかい? |
■ フォン To:アルト |
名前は既に伝えていたな。妻のレイアだ。 |
銀髪に黒の瞳。やや小太りの人間女性。
50歳という歳相応に老けていた。
■ アルト To:レイア |
初めまして(^^) 私はアルト。今日から仲間と一緒に事件の捜査をすることになったんで宜しく。 |
■ レイア To:アルト |
どうも。夫の無理を聞いて頂いたそうで。 さ、お座りになって。 |
勧められた椅子に、素直に座る。
■ アルト To:レイア |
さて……。 早速だけど、事件の時の状況について奥さんからも聞かせてもらって良いかな? 当時現場で、奥さんから見て何か気付いた事とかあれば、話のついでに頼むよ。 |
少し間を置いて。
■ レイア To:アルト |
さっき、夫とも話してたんだけど……。 玄関ホールに入って調べてた時、あたしは誰かに見られてる様な気がしてね。 もちろん周りを見ても誰も居なかったんだけど。 暗かったし、あたしは目が悪いから見逃したのかも知れないねぇ。 |
■ アルト To:レイア |
へぇ……薄気味悪い話だね、それは。 まだ犯人がどこかに隠れてて様子を伺ってたって事かな……。 何にせよ、無事で良かったよ。 犯人と言えば、一応容疑者はアルスってことになってるけど、その辺はどう思ってるんだい? |
レイアの口調が重くなる。
■ レイア To:アルト |
悪い癖が出て、本当にあの子がやってしまったのかも知れないけれど……。 もしそうだとしても、何か理由があると思うんだよあたしは。 |
■ アルト To:レイア |
理由……そうかもしれないね。 ……まぁ、どんな理由があっても人を殺して良いわけないとは思うけどさ……。 「悪い癖」って事は、以前にも何か? |
■ レイア To:アルト |
兄と違って、短気で抑えの効かない性格をしてる子で。 そう、 5年前くらい前だったかねぇ……。 街で襲われた事があって、その相手を殺してしまったんだよ。 そりゃ、襲った奴が悪いと思うんだけど。 あの子が止めを刺したから相手が死んだんだ、っていう話もあってね……。 |
■ アルト To:レイア |
なるほど……。 でも、襲われるって事は少なからず何か因縁があったのかもしれないねぇ。 悪いけど、その時の状況や相手についてもう少し話を聞かせてもらえないかな? |
■ レイア To:アルト |
その時の……。 |
5年近く前の事を思い出すレイア。
・起きたのは貧民街の路地。
・相手は前にアルスと喧嘩して負けた者。
・相手が何か卑怯な手を使ったらしい、という噂も聞いたが詳しくは知らない。
という話が聞けた。
■ アルト To:レイア |
実は、仲間の一人が明日、そのアルスとちょいと手合わせをやることになっちゃってね。 彼の実力のほどについても、少し詳しく教えて貰えると有り難いんだけど……。 |
■ レイア To:アルト |
アルスは、昔から喧嘩ばかりしてた子でねぇ……。 相手が多くてもかかって行ったりして、よく負けてたみたいだけど(^_^; 2月程前に、街で乱暴者3人を片付けたという事があってね。 武器を持った相手にやりあったらしいから、剣術の腕は相当上達してるんじゃないかねぇ。 |
■ アルト To:レイア |
1対3でやり合って勝ったってのなら、確かに大した腕前だね。 ……ていうか、その人数差でやり合おうとする根性の方を褒めるべきかな? 何だか、似たようなことをしそうな馬鹿をもう一人知ってる気がするけど……。 でも、上達の原因は腕だけじゃないかもしれないよ。 彼の持ってる剣について、何か心当たりはないかい? |
■ レイア To:アルト |
前に家宝の剣だとか本人から聞いたけど、どうなんだろうね(^^; |
■ フォン To:レイア |
……嘘じゃないのか? |
■ アルト To:レイア、フォン |
ん、嘘っぽいね。(きっぱし) そっか、じゃあその辺は本人に直接聞くしかないか……。 |
話題を変える。
■ アルト To:レイア、フォン |
ところで、聞いてると2人は随分昔からここの人間とは馴染みが有るみたいだけど。 いつ頃から城の管理を? |
■ フォン To:アルト |
わしがここに住み込む様になったのは、2年前からだ。 妻はそのずっと前から、ここで働いておったがな。 |
■ レイア To:アルト |
使用人も長くしたけど、ルドラとアルスの乳母役をさせてもらったりしてねぇ。 |
■ アルト To:レイア、フォン |
へぇ? じゃあ2人とも息子みたいなもんなんだねぇ。 |
■ レイア To:アルト |
そんな感じだよ(^^) |
フォンは「ふん…」と、つまらなさそうな感じで話を聞く。
■ アルト To:レイア&フォン |
なら、なおのこと頑張って真相を調べなくちゃね。 (……旦那の方は、ちょいと違うみたいだけど…?) さてと、色々どうもありがとう。また何かあったら聞きに来るから、よろしく頼むよ(^^) |
椅子から立ち上がり、入口へ。
扉を出掛かったところで、振り向いてもう一つ質問する。
■ アルト To:フォン |
――あ、そうそう旦那、最後にもう一つだけ。 ここには地下水路が有るみたいだけど、水量の調節なんかは一体どこでやってんだい? |
■ フォン To:アルト |
街のあちこちに水門が設けられとる。 使われてなくなって久しいが……。 本館の裏にも1つあるな。 |
■ アルト To:フォン |
ふぅん……? どうもありがと。 |
色々考えつつ、塔の外へ。
そのまま大木の脇を通って、本館へと戻る。
砦本館 1階 玄関ホール 1st Day 17:05- |
玄関ホールで立ち止まり、
「犯人の隠れられそうな場所」
が無いか確認する。
長身の人間が陰に隠れる事が出来そうな置物類は無い。
2階部分まで吹き抜けとなったホールを見上げ、その場を後にする。
砦本館 2階 客間(冒険者・女性部屋) |
手に付いていた錆を洗い落とし、アルトは部屋に戻った。
部屋にはまだ、誰も戻っていない。
歩き回った疲れもあり、食事の時間までベッドの上で横になって休む事にした。
Game Master | 神楽kagra@na.rim.or.jp |