銀の網亭 1階 |
予定の時間にはまだ少し早い頃、依頼人らしき人物が銀の網亭を訪れた。
連れはおらず、1人。直接カウンターのおやじの元に行く。
男は、身長160と少し。小太りで頭髪はやや後退した黒髪の人間。
右の片足が無く、杖を突いて歩く姿が特徴的であった。
おやじが男を伴い、皆の居るテーブルに来る。
■ おやじ To:全員 |
こちらが依頼人のフォンさんだ。 お前達の説明はしておいた。 …ええと、ヴェアリアス。お前がリーダーでいいんだよな。 それじゃ、仕事の話を聞いてやってくれ。 |
■ ヴェアリアス To:おやじ |
は? わたしが? なんで?? どうして??? |
それには答えず、おやじはカウンターに戻る。
フォンは軽く礼をして、テーブルの空いてる席に座った。
杖は椅子の背に立て掛けておく。
■ ヴェアリアス To:フォン |
あ・・・・えーと・・コホン はじめまして、ヴェアリアス・ファレリーです。 |
■ ジーク To:フォン |
はじめまして(^^) 私はジークといいます、よろしく。 |
■ エデン To:フォン |
………エデンですわ。(ぺこり) |
■ フォン To:全員 |
依頼に目を留めて頂けて感謝する。 わしが依頼人のフォン=マーベリック。ロスフェルで砦…いや、城の管理等をしている者だ。 依頼書に書いたが、事件の解明をお願いしたい。 詳しい説明はこれからするが、犯人を暴き、捕らえて欲しいのだ。 |
■ フェリオ |
(ロスフェル? ・・・そーいやそんな街があったようななかったような・・・) |
■ ジーク |
ロスフェル・・・・・・・?(^^; |
知らない街の名前に惑う二人。
ジークは頬を掻いて、仲間の方を見る。
■ ヴェアリアス To:フォン |
さっそくですけど、事件って何があったんですか? |
■ フォン To:全員 |
ある晩、城内で人殺しを見たのだが、妻を呼んで現場に戻ると死体が消えていた。 おかげで誰も信じてくれそうにない…。 殺されたのは、翌日から"家に戻った"という事になった、コレットという娘だと思うのだが…。 |
事件のあらましを説明をする
■ ジーク |
家に戻った・・・ですか(^^; |
ジークは、世間体の問題かと思って苦笑する。
■ ヴェアリアス To:フォン |
"家に戻った"という事になった? どういうことですか? 人間の言葉ってやっぱりわかんないわ。 |
■ フェリオ To:フォン |
・・・??? あ〜っと・・・フォンさんだっけ? それだけじゃ俺には全然状況が読めないんすけど・・・。 |
■ フォン To:フェリオ |
あ、あぁ。少し気が焦ってしまったな。 |
■ フェリオ To:フォン |
まず最初に、誰も信じてくれないと言いましたが城には他にも管理をする人達がいるんですか? それからいるとしたら人数は? 更に城の規模は? |
質問に出て、城の事が気に掛かるアルト。
■ アルト To:フェリオ、フォン |
ん? ………確か、ロスフェルの城は 2年前の地震で倒壊したんじゃなかったかい? ……実際に見たわけじゃないから、今がどんな状態なのかは知らないけどさ。 |
■ フォン To:全員 |
その通り。元の城は地震で崩れてしまった。 今は、それ以前に砦として使われていた場所を城と呼んでいてな。 部屋数が全部で20足らずの、小さな砦だよ。 今は妻と2人、住込みで管理をしている。 |
情報を得る為、フォンへの質問は続く。
■ フェリオ To:フォン |
被害者は家に"帰った"と言ったけど、誰がそんな事を言ったんですか? |
■ フォン To:フェリオ |
誰かが口にした、という訳では無いんだ。 使用人が居なくなる事は度々あってな…。 |
歯切れの悪い答え。
■ フェリオ To:フォン |
それから殺しの手口というか・・・やり口は? 刃物を使ったとか、殴り殺したとか・・・。 ・・・目撃したのは犯人に気付かれたんですか? |
■ フォン To:フェリオ |
殺されたのは――、首を絞めていたんだ。 顔は暗くて良く見えなかったが、コレットより背の高い奴で…。 見たんだ、奴はわしを。 いや…見た、様な気がしたのでわしは恐怖に駆られてその場を逃げ出した。 逃げるわしを、相手は追って来なかったが…。 |
興奮気味に話すフォン。
■ アルト To:フォン > おやじ |
(何だか、厄介そうな事件だねぇ……) ……まぁ旦那、少し落ち着きなよ。 ここには、その殺人犯は追っかけて来やしないからさ。 マスター! こっちに水を一杯持ってきてもらえるかい? |
頼んですぐ、奥さんがポットとカップを持って来る。
■ 奥さん To:アルト |
はい、お水。 |
■ アルト To:奥さん > フォン |
悪いね(^^) ほら、これでも飲んで気を静めなよ…。 |
カップに水を注ぎ、フォンの前に置く。
■ アルト To:フォン |
……で、話の続きだけどさ。 さっき、現場から逃げたって言ったね。あと、戻ってきたら死体が消えてたとか……。 その辺のくだりを、もう少し詳しく教えて貰えないかい? |
フォンは、水を一息に飲み干し、
■ フォン To:全員 |
覚えている事を、順に説明するとだ… |
事件が起きたのは、今日から 3日前の夜。(時刻は、午後 8時頃)
工具の手入れを、その晩はしていた。
午後に玄関の補修をしていたのだが、工具の幾つかを置き忘れていた事に気付き、取りに戻った。
玄関ホールに近付いた時、中から人の声がしたので何気なく覗いた。
コレットが首を絞められているのが見えた。
犯人は男か女かは判らない。暗く…顔も見たかも知れないが覚えていない。
犯人がこちらを見た…様な気がしたので恐怖に駆られてその場を逃げ出した。
妻と住んでいる離れまでは、片道約 2分。
起きていた妻と一緒に、現場へ戻るまでに掛かった時間は 5分程。
現場には、死体も遺留品も無かった。10分後にコレットの部屋を訪ねたが、本人は居なかった。
■ ジーク |
死体だったとしてそれが消える? ・・・・・ふぅむ? |
■ フォン To:全員 |
こんな説明で、分かってもらえるだろうか。 |
■ エデン To:フォン |
……ええ……大体は……。 とりあえず、事件については判りましたわ。 それでは、いくつか確認をさせていただいてよろしいかしら? |
頷くフォン。
■ エデン To:フォン |
まずはロスフェルの事……それから、貴方様の事ですわ。 ロスフェルですけど……。 此処オランから南西へ 2日ほどの街で間違いありませんわね? そして、2年前の地震でロスフェルの本城が倒壊……。 現在は砦として使われていたところを城と呼んでいるのですわね? それでは現在……御領主……ネヴィル男爵様はそこにお住まいですの? |
質問に、フォンは適時肯定して頷き返す。
■ フォン To:エデン |
そうだ。 今はルドラ様、つまり領主の公邸、そして執務の場として使われている。 |
■ エデン To:フォン |
御領主様には、もうこの事をお伝え致しまして? ……仮に……私共がお城に伺って……あちこち調べ回りましたら……。 御領主様はご気分を害されないかしら……? |
■ フォン To:エデン |
冒険者を犯人探しに雇う、とは言っていない。 周囲をあからさまに探られては、事情を知っていても気分を悪くされるだけだろう。 わしの恩人という事で、君達が砦に 2日間泊まれる様、話を付けるつもりだ。 なに、客人として失礼な態度を取らなければ怒られる事も無いだろう。 冒険者や魔術師といった者にも理解のあるお人だからな。 |
■ ジーク To:フォン |
客人・・・・2日・・・。 ということはその 2日間で、全てを調べないといけないと言うことですか? |
■ フォン To:ジーク |
難しいか…? |
何とか頼む、という目で見られる。
■ ジーク To:フォン |
いえいえ、頑張りますのでご安心を(^^) |
■ アルト To:ジーク |
随分と慌ただしい 2日間になりそうだねぇ。 かなり手際良くやらないと、2日なんてあっと言う間だよ? …昨日言ってた腕の見せ所ってのは、どうやらこの事みたいだね。 |
■ ジーク To:アルト |
みたいですね・・・・・。 しかも悟られては行けないんですよね・・・・。 かなり難しいかもしれません。 でも、頑張りましょう(^^) |
■ フェリオ To:フォン |
あのさぁ・・・2日間泊まれるって言ったけど・・・つまり、2泊3日って事か? 2日間ってのが初日の夕方に着いて翌日の朝方に帰るってのと、初日の昼前に着いて3日目の昼頃出るってのだと大分違うぜ? |
日数について、確認を取る。
■ フォン To:フェリオ |
この話の後、馬車を引き取ってすぐ出発すれば、明日の昼頃にはロスフェルに着ける。 その日を初日として、3日目の朝まで、だな。 |
■ フェリオ To:フォン |
それから、アンタの恩人って事で行くらしいけどどういう風に行くんだ? 道中で恩を受けた・・ってな形にするのかい? |
何かを思い出す顔をして、
■ フォン To:フェリオ |
街道の途中に、道が悪くなっている所があった。 そこに馬車の車輪がはまり込み、馬も脚を痛めてしまったが、通りかかった皆のお陰で助かった…という所でどうだろう。 |
■ アルト To:フォン |
お約束、ってやつだね。 まぁこっちには、馬車を修理できるドワーフも、馬を治療する癒やし手もいるし…言い訳としちゃピッタリかな? |
話の辻褄を合わせておく。
■ エデン To:フォン |
次に貴方様の事ですけれど………。 城の管理等と仰いましたけど……、具体的にはどのようなお仕事をしていらして? |
■ フォン To:エデン |
建物の補修。あとは、馬車の整備や運転もわしの仕事だ。 |
■ エデン To:フォン |
事件の日から今日までに、何か………。 そう…、身のまわりで変わったことは御座いませんでした? たとえば……危険な目に遭われたとか……。 |
■ フォン To:エデン |
ロスフェルを立つ、事件翌日の昼前までには何も。 買出しや届け物を兼ねて馬車で来たんだが、その道中も問題は無かった。 |
■ エデン To:フォン |
最後に事件の事をお聞きいたしますわ。 その……あなた様は犯人が被害者の首を絞めてる所を目撃して……。 犯人に見つかった気がしてその場を離れたのですわね? では、コレット様が亡くなられたかどうかも、犯人の目的も判りませんのね? |
■ フォン To:全員 |
そうなんだ…。 本当に首を締められていたのがコレットだったのかさえ、正直言うと自信がない。 |
一旦、気を落とすが、
■ フォン To:全員 |
しかしだ。 何か仕出かしてもおかしくないという奴に心当たりはある。 しかも、その男は1週間前から城に泊まっているんだ。 |
口調を強めた後、また水に口を付ける。
■ フェリオ To:フォン |
心当たり・・・ね。 そいつの事を詳しく教えて欲しいな。 まず、どうしてそいつが犯人だと思うのか? それから何で城にいるんだ? も一つオマケにいつ頃から使用人が消えはじめたんだい? そいつが街に来る前・・・なんてんじゃ容疑者と思いにくいぜ? |
■ フォン To:フェリオ |
名前はアルス=ネヴィル。ルドラ様の弟だ。 だが、粗暴な奴でな。父親と喧嘩して家を飛び出したと聞いている。 あの晩、城で人を平気で殺せるのは奴だけだろうし、コレットとの仲も悪い感じだった…。 ――使用人が突然居なくなる事は、何度かあったんだが…。 あいつが城に来た時と、前後して起きている気はする。 …奴は、用事も無く、時々思い付いたように戻ってくるんだ。 聞いたところだと、今回はもうあと 1週間程居座るつもりらしい。 次の犠牲者が出ていなければいいのだが…。 |
■ アルト To:フォン |
事件の内容は大体分かったけど……どうも、腑に落ちないないねぇ? いくら首を絞めているところを見たとはいえ、その娘が実際に死んだかどうかは不明なんだろう? 死体がなかったのは、そのコレットとかいう娘が旦那が逃げた後に自分も逃げ出して、犯人はそれを追いかけて行った……ってな理由かもしれないじゃないか。 なら事件は未遂のままだし、殺人犯はいないって事になるよ? わざわざ旦那が自腹を切ってまでして、この事件の犯人を捜したい理由は、何だい? |
■ フォン To:フェリオ |
わしの住んでいる所で起きた事件だ。妻や、親しい人もいる。 何より、目撃して何もしないというのは許せない事だろう? 戻った時、コレットが無事生きているのなら、わしの勘違いだったで済むだろう。 だが、そうではない…嫌な胸騒ぎがしてな。 |
■ アルト To:フォン |
………なるほどねぇ…。 ……念の為確認するけどさ、もしその領主の弟とやらが犯人だったとして、証拠を掴んでも領主が庇うような場合は、どうなるんだい? まぁ依頼は犯人の逮捕って事だけみたいだから、その後どうするかはそっちに任せるとして……依頼は終了したことになるのかどうかって事だね。 あと、実は全て勘違いで、犯人なんていやしなかった時とかさ? |
■ フォン To:アルト |
わしの勘違いだった時は、それでいい。 報酬を受け取った後、この依頼の事は忘れてくれ。 もし庇うようであれば、その事の非を問うしかないだろう…。 それでも庇い立てるなら、領主としての資格はない。 もしもの時は…ルドラ様の行いを正してくれないか? |
■ ヴェアリアス To:フォン |
行いを正す? たとえ、その領主が不正を働いていたとしてもわたし達が裁く権利なんてないと思うよ? それだったら結局あなたも自分の正義を押しつけてるだけじゃない。 |
フェリオはヴェアの意見を抑えて、
■ フェリオ To: フォン |
間違いを正すのは当然だ。 もしもの時は我が神の名に賭けて、必ず裁きを与えてやる。 |
■ ヴェアリアス To:フェリオ、フォン |
罪を重ねたのなら法で裁いたほうがいいと思うけど。 事件の真相がわかったときは衛視に通報するのが当然じゃない? それでもわたし達は依頼を達成したことになるよね? |
■ フェリオ To:ヴェアリアス、フォン |
・・・でもよ、相手は領主だろ? 正し方によってはヤバイ事態になりかねない。 |
アルトの方をチラッと見て、
■ フェリオ To: フォン |
全員がお尋ね者なんてのはごめんだぜ? |
■ フォン To:フェリオ、ヴェアリアス |
一領主と信じる神を比べるか…。 確かに、時と場合というのはあるかもしれんな。 わしも、命を懸けろとまでは言えん。 その場で出来るだけの事をしてくれれば満足だ。 |
■ フェリオ To: フォン |
あぁ、そうかい・・・。 (はん、あんたが奥さんや親しい人を護りたいと思うように、俺にも護りたいもんってのがあるんだよ・・・神の教えよりもな・・・) |
■ エデン To:フォン |
あの……この事件の事は貴方様以外、幾人の方が御存知ですの? 他の何方かにお話し致しまして? |
■ フォン To:エデン |
妻以外には、「首を締めているを見た」という話まではしていない。 |
質問が一段落した所で、報酬の話に移る。
■ フォン To:全員 |
前金として、300ガメルを持って来ている。 そして、犯人を捕らえて頂ければ、残りの 1,200ガメルを支払おう。 |
■ アルト To:フォン |
ま、2日間の仕事ならその辺が妥当な線だね。 仕事中は食事付きって聞いたけど、それで構わないのかい? |
■ フォン To:アルト |
ああ。 大したもてなしは出来ないだろうが、任せてくれ。 |
■ ヴェアリアス To:フォン |
ところで、その容疑者の領主の弟さんってどんな人? 粗暴な奴といわれてもよくわからないし。 もし、その人が犯人だったとしたらわたし達が捕まえるときに抵抗するでしょう? なにか噂を聞いた事ないかな? 安全のためにも、相手の強さも分からないのに飛びかかるわけにはいかないの。 |
■ フォン To:ヴェアリアス |
何やら剣術の真似事をしておるし、街でゴロツキ共と派手に喧嘩した事も昔あったみたいだが…。 妻や、使用人のセレンなら詳しいかも知れんな。 しかし、お前さん達の腕なら大丈夫だろう。 |
冒険者達を見まわし、そう答えた。
時間が立ち、銀の網亭を出入りする人も増えて来る。
■ フォン To:全員 |
そろそろ店に人も増えて来たな…。 これが前金だ。 |
銀貨が入っていると思われる袋を机の上に置く。
■ フォン To:全員 |
準備が良ければ、すぐ出発したいのだが――どうだ? |
■ エデン To:フォン |
少々………お時間をいただけまして? 準備をして参りますの……すぐ戻りますわ。 |
■ フォン To:エデン |
うむ。 わしも、道中の食事を 6人分揃えなくてはならんし、この足だ。 乗って来た馬車は、通りの端の広場で預かってもらっているから、準備が済んだら直接来てくれ。 |
■ ジーク To:フォン |
分かりました(^^) あ、でも、6人分の食材、一人で運べます? なんでしたらお手伝いしますが? |
フォンを手伝うジーク。
(荷物持ちが骨の髄まで染み付いているらしい(^^;)
エデンは仲間に、今から盗賊ギルドに行くと耳打ちする。
■ フェリオ To: エデン |
・・・・あ、そうか・・・。 おい、エデン、これ持ってきな。 |
お金の入った袋を、エデンに投げ渡す。
■ エデン To:フェリオ |
…………………。 ……まだ、必要ないとは思いますけれど……。 それでは一応、預かっておきますわ……。 |
出発に向けての準備に、各自取り掛かった。
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