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Sword World PBM #25
「天使のつるぎ」 | ||
| 結界 |
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リーゼルの家の前 |
朝。一行はリーゼルの家の前で、リーゼル一家の見送りを受けている。
■ルァン To:イェルク |
イェルク!!はい、お弁当作ってあげたよ。みんなで食べてね。 |
ルァンが、草で編んだバスケットのようなものをイェルクに手渡す。イェルク は少しとまどったようにバスケットを見つめていたが、両腕でバスケットを抱き しめると笑顔になった。昨日のような、笑うしかないから笑うような笑顔ではな く、年相応の無邪気な笑顔。
■イェルク To:ルァン |
うん、ありがとう。食事が楽しみだ。 |
イェルクとルァンが話している間に、リーゼルが冒険者達に近づいてくる。
■リーゼル To:ALL |
それでは、イェルクをよろしく頼む。 |
ノエルは何も言わずに頷いた。
■ルァン To:ALL |
じゃあね〜。悪いのやっつけたらまた来てね〜。 |
■ウィード To:ルァン |
さっさとやっつけてまた遊びにくるよ。(^^) それまで良い子にしてなきゃだめだぞ〜。 |
ウィードが微笑みながらルァンの頭をなでた。
■ルァン To:ウィード |
えへへ、大丈夫大丈夫。 |
■ノエル To:ルァン |
じゃ、絶対にまたくるからね。 |
しゃがみ込んで、ルァンに向かって指切りのポーズをするノエル。
■ノエル To:ルァン |
あのね、人間の世界ではなにか大切な約束をするときに、こうやって"指切 り"するの。また遊びに来るの、大事な約束だから。ゆびきりしよ(^^)。 |
■ルァン To:ノエル |
あー、ノエル、ルァンのこと馬鹿にしてるー。指切りくらい知ってるもん
!!! はい、ゆーびーきーりー。 |
と、ルァンは小さな手をさしだし、ノエルを小指を組んでみせた。
■ノエル To:ルァン |
(^-^) (苦笑) |
■アトール To:all |
よし、じゃあ出発しようか。 |
■オジイ To:ALL |
………では、行きましょう。 |
封印の洞窟前 |
封印の洞窟は、山の斜面の切り立った岩盤にぽっかりと空いていた。
洞窟の入り口には、何か光を屈折させる透明なヴェールのようなものがゆらゆ らと揺れている。これが結界らしい。
■ソフィティア To:イェルク |
ねぇねぇイェルクさん。ヴェーザってこの中をうろうろしてるの? |
■イェルク To:ソフィティア |
さぁ………じっとしているのかうろうろしているのかは分からない。 |
洞窟に近づくと、四隅にイェルクが言っていたような直径3センチほどの透明な 球体がはめ込まれている。
■イェルク To:ALL |
これが宝珠だ。………入り口にはヴィーザはいないようだな。 |
■ノエル To:イェルク |
ふぅん・・・ 私が見てもわかるのかな? どれぐらい広いかとか、知らない? |
■イェルク To:ノエル |
ごめん………洞窟の中のことは全然知らないんだ。 |
宝珠はぱっと見たところ、ただの水晶球に見える。特に何か文字が書いてある とかいうわけでもない。まさにただの水晶球だ。
結界は空間自体がゆらゆらと揺れているようで中は見通しづらいが、ぱっと見 たところ目に付く範囲には何もいない。中はごく普通の自然の洞窟のようだ。
■ノエル To:アフル |
ねぇ、何か感じることとか、ない? |
聞かれたアフルが精霊力を感じようと精神を集中させる。ここでも、剣から感 じたのと同じような強い精霊力が感じられた。様々な精霊力を無作為に混ぜたよ うな感覚だ。
■アフル To:ノエル |
うん、昨日その剣を持った時も感じたんだけど…、何て言ったらいいのかな、い
ろいろな精霊力が混じってる感じがする…。 とにかく、普通の精霊力の状態じゃない事は確かだよ。 |
■ノエル To:アフル |
混ざりあってって、普通は混ざり合っているものじゃないの?ほら、今だっ て木の精霊とか、命の精霊とか、風の精霊とか、いろいろといるんでしょう? 私には感じられないけど。 |
■アフル To:ノエル |
うん、でも、普段はこんなに精霊力は強くないんだ。 ここは、いろんな精霊がみんな強く働いているみたい… |
■ノエル To:アフル |
強い精霊力ねぇ。みんながみんな強かったら、やっぱり喧嘩して変な雰囲気 になるのかしら? |
■オジイ To:ALLandイェルク |
うむ。どうも、残念ながら自分には全く感じませんね。 ところで、イェルク。封印は前よりも弱まっていますか。たとえば、今すぐにで も外れそうなぐらいに。 |
■イェルク To:オジイ |
いや………そうでもない。 |
イェルクは結界に近づき、右手をすっと伸ばした。そのまま思い切って結界の 方に突き出す。
だが、イェルクの白い手は空中でぴたりと止まった。
■イェルク To:ALL |
………俺ではまだ入れないみたいだ。どのくらい保つか分からないが、すぐに ということはないだろう。 |
■ノエル To:イェルク |
精霊力が強いというのは、強力な精霊魔法が使えるという意味ではないわよ ね。それなら私にも無理かしら・・・ |
ノエルもそろそろと結界に手を近づけてみる。結界に手のひらを押しつける触 れると、ぷよぷよとした柔らかな感触がした。
更に押し込むと、手から異様な感覚が浸透してきた。手から身体の中心に向かっ て何かが染み込んでくるようだ。安らぐような、恍惚とした、吐き気を催すよう な、憎悪に満ちた、とにかくあらゆる感覚を一つにしたような感覚。
■ノエル To:ALL |
私・・・この壁嫌い。 結界を破らないで中に入れたとしても、気が狂って何をしようとしていたん だか忘れてしまいそうよ。 みんなも試してみたらわかると思うけど・・・ でも、イェルクさんの手が止まったところよりは中に入れたわよね? |
■イェルク To:ノエル |
ノエル…あまり怖いことをしないでくれ。 確かに無理をすれば入れそうだけど………やめておいた方がよさそうだな。 |
■ノエル To:イェルク |
ほんと、こんな気の狂いそうな結界とおって剣を奪いに来たインプって根性あ るわよね。 |
■イェルク To:ノエル |
そうだな。使い魔というのはそういうものなのかもしれないが。 |
イェルクは、結界をとんとんと叩きながら言う。ノエルにとってはぷよぷよし たゲル状の結界だったが、イェルクにとっては硬質らしい。
■アトール To:all |
その使い魔というのは、この中に、うじゃうじゃいないのかな? |
■ノエル To:アトール |
使い魔って普通は同時に1匹しか召還できないから、うじゃうじゃというこ とはないと思うわよ。 |
■ノエル To:ALL |
あと、見ておきたいものとかある?なければそろそろ村に向かいましょう。 |
■イェルク To:ノエル |
うん……… |
気乗りしない様子でイェルクが頷いた。
■オジイ To:ALLandイェルク |
イェルク。あまり村には行きたくないのかい。 どうする、みんな。このままヴィーザを倒しに行くことも考えてもいいと思うん です。 リーゼルに重要なことは全部教えて貰っていると思いますし………。 |
■ノエル To:オジイ |
そうね。情報は必要なものは全部そろっていると思う。 ただ、勝手に封印を解いてしまって心証悪くしないかって、思うの。 私たちはこの仕事が終わったら遅かれ早かれオランに帰るからいいけど、イ ェルクさんはずっと村にいるわけだしね。 |
■イェルク To:ノエル&オジイ |
………俺は………平気。もう慣れてるから……… |
イェルクはそれなりの覚悟はあるらしい。というより、現状でこれ以上心証が 悪くなりようがないほど差別されているのだろう。
■ウィード To:ノエル |
イェルクはああ言っているが…どうする? |
■アトール To:all |
うーむ。難しいところだな。 あと、長老に聞かなきゃ解らない情報は、初代のイェルクの旦那の事とか、 代々イェルクという名前を継ぐように決めたのは何故かとかいうあたりか。 ここら辺の情報を先に確認する必要があるかどうか・・・ 確かに、ヴィーザを片付けてから最後に確認しても良さそうではあるけど。 |
■アフル To:ALL |
そんな事、別に聞かなきゃいけないって事は無いんじゃないかな? その事を知っておかなきゃ倒せないって事はないだろうし、それを聞きたいって 言うのは単なる好奇心だと思うよ。 ヴィーザに魔法が効かないなら、長老さん達を説得して、協力してもらっても意 味無いだろうし。 このまま倒しに行っても問題無いと思う。 |
■オジイ To:ALL |
自分もアフルに賛成ですね。このまま倒しに行きましょう。 |
三人分の意見が出たところで、ノエルも踏ん切りが付いたようだ。ノエルも頷 いて、洞窟の入り口から離れる。
■ノエル To:ALL |
まぁ、きちんと後始末さえできていれば怒られることもないかしらね。 腹が減っては戦は出来ぬっていうし。 ルァンちゃんの作ってくれたお弁当食べて、それからはじめましょうか。 |
■イェルク To:ノエル |
うん………そうだな。食べよう。 |
イェルクが洞窟から少し離れたところに弁当を広げ始める。バスケットを開け ると、多少形のいびつなサンドイッチが出てきた。だが、これはこれでルァンが 頑張って作っているところを想像すると、美味しそうに見える。
■オジイ To:ALL |
よっしゃあ。 いただきます。 旨いですねえ。 もぐもぐ。 むしゃむしゃ。 うん、ごちそうさまです。 |
■ノエル To:イェルク&ALL |
あぁ、おいしかった(^^) こんなにおいしいならまた、ルァンちゃんのお弁当、食べさせてもらわなく ちゃね。 |
封印の洞窟前 |
昼食を終え、冒険者達は再び洞窟の前に戻った。
イェルクが剣を抜きソフィティアに手渡す。相変わらずのなまくらだが仕方ない。片手が空くので、オジイの持っている予備の盾も借りる。いつでも持ち替えられるように、愛用の剣は腰から外さない。
ウィードは松明を取り出しいつでも火を付けられるように火種を準備している。
準備が終わったのを見て、イェルクはぺたんと結界に手を当てた。
■イェルク To:ALL |
………結界を開くぞ。いいか? |
イェルクが確認するように振り返ると、アフルは緊張した面持ちで1回深呼吸してか ら答えた。
■アフル To:ALL |
うん、いいよ。 |
■アトール To:ALL |
OK。 |
■オジイ To:ALL |
ああ。 |
オジイは洞窟の真正面に立つ。
■ウィード To:ALL |
オーケーだ。(^^)/ さあ、ヴィーザを倒しに行こう!!! |
■イェルク To:ALL |
じゃあ開くぞ。 |
ソフィティアは、最初の一撃を加える役目の重責のせいか、表情がやや硬い。
■ソフィティア To:イェルク |
……うん。 |
イェルクがもう一度結界に触れる。
ひと呼吸おいて、「ぴん」という小さな音とともに、宝珠が壁から離れて宙に浮き上がった。ゆっくりと空中を移動し、4つの宝珠はイェルクの手の中に収まる。
■イェルク To:ALL |
………結界を……開いた。 入ろう。 |
封印の洞窟 |
ウィードが松明に灯をともし、先頭のオジイに渡す。
ノエルが略式でマイリーへの祈りを捧げてからそれに続く。
一行は、ノエルやイェルクを守るように隊列を組むと、洞窟の中に入った。
洞窟の中は意外と広い。松明を持ったオジイ・魔剣を持ったソフィティア、そしてアフルの三人を先頭にしても歩けるくらいだ。
少し進むと、洞窟の奥に皓々とした光が見えてきた。見たところ奥はかなり広い部屋になっており、そこに光源があるらしい。
■ノエル |
光? |
火の光ではない。もっと白い、魔法的な光だ。
アフルにはそれが光の精霊ウィル・オー・ウィスプの光だとすぐに分かった。
■アフル To:ALL |
あれは…、ウィスプの光だよ。 ヴィーザがいるのかも。 |
■オジイ To:ALL |
気をつけて。 |
■オジイ To:イェルク |
イェルク。ヴィーザがでてきたら、宝珠の力を使って魔法を押さえて欲しいんです。 あとは、自分たちの仕事です。 |
■イェルク To:オジイ |
うん……… |
■アトール To:all |
一応、奥の様子を聞き耳たててみよう。 何かつかめるかもしれない。 みんな、ちょっと静かにしてみてくれ。 |
全員が静かになったところで、わずかな物音も聞き逃さないよう真剣な面もちで耳をそばだてる。
しかし、特に目立った物音は聞こえない。
■アトール To:all |
何も聞こえないけど、ここからじゃよくわからないな。 しょうがない。俺が入り口の近くまで行ってもう一度聞き耳を立ててみる。 鎧の音が聞こえるとまずいから、みんなはここで待機していて、俺が合図をしたら来てくれ。 合図は、○でたぶん大丈夫、×で何か中にいるようだ、と言うことにしよう。 敵がいて、やばいと思ったら大声で呼ぶよ。 |
実際に○と×を示して見せた後、アトールは奥の部屋の入り口近くまで忍び足で近づき、再び聞き耳を立てた。
この距離まで近づくと、ごくごく小さな音だが、部屋の奥で誰かがため息をつく音が聞こえた。それから、かさと身動きするような音。誰かいるのはほぼ間違いなさそうだ。
■アトール To:心の中で |
うーん、やっぱりこの部屋に何かいるのは間違いなさそうだな。 |
みんなの方に×を示して中に誰かいるのを知らせるアトール。
■ノエル To:ALL |
心の準備はいいわよね |
■アトール To:ALL |
いよいよクライマックスかな? |
そして一行は、奥の部屋に足を踏み入れた。
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