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Sword World PBM #25
「天使のつるぎ」 | ||
| 封印の一族 |
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リーゼルの家 |
■リーゼル To:イェルク |
ところで、イェルク─── |
リーゼルは突然イェルクの方を向き、裏口の方を親指でさした。
■リーゼル To:イェルク |
───ミァンが夕食の支度をしているはずなんだが、手伝ってきてやってくれ ないか? |
■イェルク To:リーゼル |
え?あ、うん。わかった。 |
少しとまどったように口ごもりつつイェルクは頷き、裏口から部屋を出ていっ た。
■ノエル To:リーゼル |
イェルクさんに聞かせられない話なんですね。 ヴィーザもまたフェザーフォルクだったとか。 |
■リーゼル To:ノエル |
………宝珠はヴィーザのものだった。今、宝珠を扱えるのはイェルクの子孫だけ
だ。 これが………どういうことか分かるか? |
■オジイ To:リーゼル |
ということは、イェルクはヴィーザの・・・・・・。 じゃあ、ヴィーザは人間型じゃなくて・・・・・・。 |
■ノエル To:オジイ |
人型には違いないでしょう? 人間サイズで、ただ翼があるだけのこと・・・ |
アフルは黙って考えていたが、恐る恐る口を開いた。
■アフル To:リーゼル |
……イェルクはヴィーザの子孫だってことですか? |
■リーゼル To:アフル |
彼女は………ヴィーザの実の娘だ。 |
■オジイ To:リーゼル |
そのイェルクっていうのは、そこで料理をしている……… イェルクなんでしょうか。 |
■リーゼル To:オジイ |
………あのイェルクが300年も生きているように見えるか? |
■オジイ To:リーゼル |
そうですね。失礼しました。 |
■アトール To:リーゼル |
ちなみに、今のイェルクってのは、初代から数えて何代目に当たるのか
知っているか? こういうのは長老の方が詳しいのかな? |
■リーゼル To:アトール |
分かるとすればフェザーフォルクの長老だろうな。わざわざ記録しているかど うか知らないが。 |
■ノエル To:リーゼル |
まだ他にも話していないことがありそうですね。 ヴィーザを倒す・・・あるいは封印を維持する・・・上で重要な何かを・・・ |
■リーゼル To:ノエル |
………イェルクは色々話してくれたよ。ヴィーザが、ああなってしまったいき さつもな。 |
■アフル To:リーゼル |
…教えてもらえませんか?祖先の方のイェルクさんから聞いたことを全部。 |
■リーゼル To:ALL |
……… |
リーゼルは、さっきイェルクが出ていった扉の方をちらりと見て、そして頷い た。
■リーゼル To:ALL |
300年前の事件より更に前だ。古代王国が滅んで200年ほど経っていたが、まだ
古代の魔術師にも生き残ってる奴がごく少数とはいえ、いた。そいつが作ったん
だ、異界から呼び出したのかもしれないが───精霊力の固まりみたいなバケモ
ノをだ。 ヴィーザはごく普通の───なわけはないか、とにかく生まれつき白い翼と強 い魔力を持って、フェザーフォルクの村で生まれた。 さて、古代の魔術師が呼び出したバケモノは結局主人の制御を受け付けず、暴 れ出した。俺が生まれる前のことだから聞いた話だが、この時もかなり酷いこと になったらしい。この時は、ヴィーザが古代の魔術師が持っていた剣と宝珠を手 に入れて、バケモノを倒した。 まあ、ここまでは俺の生まれる前の話だ。イェルクも生まれる前だ。詳しいこ とまでは分からん。 さて、その後イェルクが生まれた。俺もな。で、みんなバケモノのことなんて やっと忘れかけてた頃に───奴が再び現れたんだ、ヴィーザの身体を乗っ取っ て。倒された時に乗り移って、ずっと力を蓄えていたらしい。 ヴィーザを倒したのはイェルクだった。だがさすがに親を殺すことはできずに ───剣で弱らせたところを宝珠の力で封印した。 それからイェルクはずっと一人になった。俺が時々イェルクのところに遊びに 行った時も、彼女は一人でいた。俺が遊びに行くと色々話をしてくれたが、いつ も淋しそうだった。 だから、2年ほど空けて久しぶりに会った時に、彼女が子供を連れていたのには 驚いたな。 ………それからしばらくして、イェルクは死んだ。まだ20歳を少し越えたくら いだったはずだ。イェルクの子供はフェザーフォルクの長老に引き取られた。 ───で今に至る。 |
■ノエル To:リーゼル |
まだよくわからないことがありますね・・・ リーゼルさんのお話だと、ヴィーザは一人で200年ほど生きていたようで すけど、彼女も白い翼のフェザーフォルクだったのでしょう? 白い翼のフェザーフォルクは長くても30年ほどしか生きられないと、イェ ルクさんが言っていました・・・ |
■リーゼル To:ノエル |
ヴィーザがバケモノに「取り憑かれた」時点では、まだ20歳かそこらだ。取り 憑かれてからはあまりあてにはならないと思うぞ。現に300年以上生きているわけ だからな。 |
■ノエル To:リーゼル |
とりつかれたから寿命がのびるというのも不思議な気はしますけどね(^^; |
■リーゼル To:ノエル |
どういう理屈かは俺も分からんよ。 |
■ノエル To:リーゼル |
それから、本当に倒すべきなのはヴィーザではなくてヴィーザに乗り移った
バケモノ。それだけを倒すことができなかったのはすでに手遅れだったから?
|
■リーゼル To:ノエル |
それはイェルクも悩んでいたな。だが結局、バケモノだけを引き剥がすこと自 体できなかったようだ。 |
■ノエル To:リーゼル |
イェルクさんにできなかっただけなのか、それとも誰にもどうにもならなかっ
たのか・・・ 精霊魔法ではどうにもならないことも、他の魔法を扱えたならどうにかなっ たかもしれないですし。 ただ、村が襲われているときにそんな悠長なこといっていられませんしね。 仕方なく器になったヴィーザごと封印するより他なかったのでしょうね。 |
■リーゼル To:ノエル |
300年前の時点でイェルクが手を尽くしてるとは思うが………。まぁ、可能性と しては、手がないとは言い切れないな。 |
■ノエル To:リーゼル |
あと、どうしてもつながらないのがインプを召還していたということ。 強い精霊を扱えるからインプが召還できるというものではないはずです。けど、 誰の話を聞いていても、精霊力の話ばかりで闇司祭の力・・インプを召還でき る能力に関しては何一つ触れられていません。 |
■リーゼル To:ノエル |
そうだ。奴はどういうわけか暗黒魔法も使う。300年前にも暗黒魔法を使って自 分の傷を治そうとしていたらしい。精霊魔法にも治癒の魔法はあるが、それとは 違うようだ。 |
■オジイ To:リーゼル |
たしか、精霊魔法の回復魔法の方が強力だったですよね。 と、いうことは、なぜ精霊魔法で治癒しなかったか分かりますか。 |
■リーゼル To:オジイ |
精霊魔法は、イェルクが宝珠で封じてたからだと思うが……… |
■ノエル To:リーゼル |
使う魔法を封じることはできても、ヴィーザの持つ強い精霊力そのものは封
じることができなかったのですよね。 だからこちらの使う魔法が通じなかったのでしょう? |
■リーゼル To:ノエル |
強い精霊力というよりは、精霊力に対する耐性という感じだな。宝珠の力で作 り出す結界をヴィーザ自身も持っているらしいんだ。 |
■オジイ To:リーゼル |
それでは、ヴィーザがほかに古代語魔法とかを使っていたということはありま すか。 |
■リーゼル To:オジイ |
古代語魔法を使ったという話は聞かないな。使えなかったのか使わなかったの かは知らない。 |
■ノエル To:リーゼル |
あと、ヴィーザには魔法が効かなかったと言うことなのですけど、これはヴ ィーザにとりついたバケモノが強い精霊力を持っていたからだけなのでしょう か。 |
■リーゼル To:ノエル |
ヴィーザ自身が元々そんな力を持っていたということはない………と思うが。 |
■ノエル To:リーゼル |
封印の宝珠は、イェルクさんとその子孫のイェルクさんにしか扱うことがで
きないようですね。例の剣もその宝珠と組で作られている・・・ |
少し不安げに訊ねる。
■リーゼル To:ノエル |
剣を鞘から抜けるのはイェルクだけだ。だが、一旦鞘から抜いてしまえば、振 り回すのは誰にでもできる。 |
■ノエル To:リーゼル |
剣を鞘から抜くのは、ヴィーザにもできると言うことですよね。今の話だと。 |
■リーゼル To:ノエル |
おそらくな。 |
■ノエル To:リーゼル |
ヴィーザって、その剣以外では傷つけることはできなかったのですか?精霊 魔法以外はすべて通用したとか、先祖のイェルクさんから聞いていませんか? |
■リーゼル To:ノエル |
だめだ。普通の武器も銀の武器もまず効かない。宝珠で作られる結界と同種の 力があると思えばいい。だが一旦剣の力で結界を潰してしまえば、武器も通用す るかもしれないな。 |
■オジイ To:リーゼル |
先ほど、イェルクの子供が長老に引き取られたっておっしゃってたですよね。 その初代イェルクを引き取った長老は、現在のイェルクの村の長老と関係あるんで すか。 |
■リーゼル To:オジイ |
さぁ、その辺りは知らないな。あそこは別に世襲制はとってなかったと思うが。 |
■オジイ To:リーゼル |
あ、あと、その初代イェルクの旦那は、誰だったとか知っておられますか。 |
■リーゼル To:オジイ |
知らない。聞かなかったしな。 |
■アトール To:all |
ずっと一人で寂しそうにしていたって事だから、子供は出来なさそうな
状況だしな。 そこら辺は、いずれ長老に聞かないと駄目かな? |
■アトール To:リーゼル |
今の話だと、代々イェルクという名前を継ぐように決めたのも、長老が 決めたみたいだが、どうしてなんだ? |
■リーゼル To:アトール |
い、いや、俺に聞かれても……… |
■ノエル To:ALL |
さてと これからどうしましょうか。 直接封印のところまで行って強引にヴィーザを倒してしまうか。 それともフェザーフォルクの村に行って長老たちを説得するのか。 |
■アフル To:ノエル |
長老さん達を納得させられるのなら説得してからの方が良いと思うけど… 封印が弱まっているって証拠がイェルクが見たって言うインプだけなんだよね。 それだけで納得させるのはやっぱりムリかなぁ… |
■オジイ To:ALL |
できれば、長老やラザを説得してからヴィーザに相対したいものですけどねえ。
イェルクやリーゼルさんの協力を仰げばできないことじゃないと思いますよ。 |
■ノエル To:ALL |
それから、封印を解くとして、イェルクさんにヴィーザのことをどう説明す
るのかという問題もあるわよ。 一時的にでも力を押さえておかないことには私たちの力でヴィーザを倒すこ とはできないだろうし、力を押さえるためにはイェルクさんの力が必要なんだ から・・・ たぶん、そのときにはイェルクさんも正体を知ってしまうことになる。 |
■アフル To:ノエル |
イェルクには本当の事を言っておいた方が良いと思う。 結局はわかる事なんだから、その時になってショックを受けるよりかは、今、言っ ておいた方がショックは少ないだろうし… |
■オジイ To:ALL |
ええ、それはできれば早いうちがいいと思いますね。 ただ、彼女のことを考えると言いにくいですが………。 |
■リーゼル To:ALL |
俺が今まで黙っていて勝手なことだと思うかもしれないが………なるべく傷つ けないように話してやってくれないか?あの子は俺が共通語を教えたせいであんな 言葉遣いだし、大人ぶって強がっているが、あれでもまだ子供なんだ。イェルク 自身が思っているより、彼女はずっと弱い。 |
■オジイ To:リーゼル |
ええ………。 |
■ノエル To:ALL |
まぁ、どちらにせよ、例の剣を見せてもらうのが一番先ね。 |
■アトール To:ALL |
ちょっと質問なんだけど、いいかな? いつもの事で申し訳ないんだが、魔法関係に関しては俺は疎いんで今ひとつ ピンとこないんだけど、封印って解く必要があるのか? なんか、これまでの話を聞いていると、剣を扱えるのは人間だけ、精霊力の 強くないものは壁を通れる、剣を鞘から抜けるのはイェルクだけだけど、 抜いた後は誰でも使える・・・・ 総合すると、イェルクに剣を抜いて貰って、封印をそのままにして俺らだけで ヴィーザを退治に行けるって事なんじゃないのか? |
■ノエル To:アトール |
それは難しいと思うわよ イェルクさんの話だと、ヴィーザの力を弱めるためには一度封印を解いて宝 珠を持っていかなければならないといっていたから。 私たちが宝珠の力なしにヴィーザを倒せるほど強ければ問題ないわ。でも今 までの話を聞いただけでは、ヴィーザの力を押さえてもらってさえ、倒すのは 難しいのではないかという気がしてくるの。 |
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