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Sword World PBM #25
「天使のつるぎ」 | ||
| 封印の一族 |
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野営地 |
日が沈み、野営中。
ノエルとウィードと、それからイェルクだけが起きている。
■ノエル To:イェルク |
そういえば村の人数が増えているかもしれないって言っていたわね・・・
だれかおめでたな人がいるの? |
■イェルク To:ノエル |
いや、別にそういうわけではないが。 |
■ノエル To:イェルク |
やっぱり・・・自分のあとを引き継いでくれる白い翼の子が産まれたほうが うれしい? |
ノエルの問いに、ウィードは露骨に顔をしかめた。
■ウィード To:ノエル |
ノエル、それは関係のない話だろ。 イェルクだって複雑な心境なはずだ。 それくらいにしとけよ…。 |
■イェルク To:ウィード&ノエル |
いや………構わない。そうだな………子を持つということがどういうことか俺
にはよく分からないんだが………俺と同じ思いはさせたくないな……… それに─── |
イェルクは自分の膝を抱えるように背を丸めた。
■イェルク To:ウィード&ノエル |
───いや、なんでもない。 |
■ノエル To:イェルク |
ごめん |
横に座り腕を回して抱きしめる。
■ノエル To:イェルク |
もう寝よっか。 |
───野営中は特に何もなく、無事に夜が明けた。
エルフの集落 |
野営地を出発し、エルフの集落に向かう。
歩くこと数時間、森の中に小さな集落が見えてきた。ちょうど夕食時とあって か、ところどころかまどの煙らしきものが上がっている。
集落に入っても、特にとがめるものはいない。ちらちらとこちらを気にするよ うな視線は感じるが、せいぜいその程度だ。
■ノエル(独り言) |
エルフの村って閉鎖的だというけど、いきなり攻撃してきて村に入れないよ
うなことまではしないのね。 それともその村によるのかしら。 |
そしているわけがないと知りつつも、ノエルはつい知った顔を探してしまう。
そのまま、一行はイェルクに案内されて一件の小さな家の前にたどり着いた。
家の前の家庭菜園らしきところで、小さな女の子が何か摘んでいたが、こちら に気づくとぽてぽてと走ってくる。
■ノエル To:女の子 |
こんにちわ。私はノエル。あなたは? |
■女の子 To:ノエル |
ルァンだよ。 |
ルァンと名乗った女の子は、ノエルが差し出した右手を握り返した。
ウィードは屈んで女に目の高さを合わせて話しかける。
■ウィード To:女の子 |
俺はウィードっていうんだ。よろしく、ルァン。 |
■ルァン To:ALL |
うん、よろしく、ウィード。 ねぇねぇ!イェルク!どうしたの?おともだち? |
ルァンは好奇心いっぱいに目を開いている。
■イェルク To:ルァン |
そんなところだ。リーゼルはいるか? |
■ルァン To:イェルク |
うん。中にいるよ。入って、入って。 |
■オジイ To:ルァン |
ありがとう。じゃあおじゃまするね。 |
リーゼルの家 |
ルァンに引っ張られて家に入ると、エルフの男が出迎えてくれた。エルフにし ては体格の良い、どちらかというと体育会系の男だ。
■リーゼル To:ALL |
リーゼルだ。あなた達がイェルクが探してきた冒険者か? |
■オジイ To:リーゼル |
そういうことになりますねえ。あ、申し遅れましたがどうも初めまして。オジイ っていいます。 |
■アフル To:リーゼル |
俺は、アフルって言います。 |
■ウィード To:リーゼル |
ウィードバルだ。よろしく。m(__)m |
ウィードはペコッと頭を下げた。
■ノエル To:リーゼル |
ノエルです。 |
■アトール To:リーゼル |
俺はアトール。 あなたにいろいろと聞きたいことがあって、イェルクの村に行く前に 寄らせて貰ったんだ。 |
■リーゼル To:ALL |
よろしく。 |
リーゼルは立ち上がり頭を下げた。そして、一行に席を勧め、皆が座ったのを見て自分も席に戻る。
■オジイ To:リーゼル |
早速なんですが、今回のイェルクさんからの依頼に関して何点か疑問があったもんでこちらにおじゃましたんですよ。 まず一点目なんですが、リーゼルさんはヴィーザが襲ってきたときその姿とかを見られたんでしょうか。見られていらえないでしょうか。 |
■リーゼル To:オジイ |
………。俺はヴィーザが襲ってきた時には姿を見ていないんだ。気が付くと………火の海だった。 |
■ウィード To:リーゼル |
その火ってのは魔法によるものなのか? 家で焚いていた火って事はないよな? |
■リーゼル To:ウィード |
精霊魔法だ。元は家の火だろうがな。 |
そこでリーゼルはちらりとイェルクの方を見た。そしてすぐにオジイの方に視 線を戻す。
■リーゼル To:オジイ |
………俺を助けてくれたのはイェルクだった。イェルクの、先祖だ。 |
■アフル To:リーゼル |
リーゼルさんを助けたイェルクの先祖っていう人も「イェルク」って名前だったんですか? |
アフルの質問にリーゼルが答える前に、イェルクが横から口を挟んだ。
■イェルク To:アフル |
先祖が俺と同じ名前なんじゃない、俺が先祖と同じ名前なんだ。代々、役目と 一緒に名前も受け継いでいる。 |
■ウィード To:イェルク |
名前であり、役職のようなものって訳だ。 |
■ノエル To:イェルク |
それじゃ、たとえ同時に二人の白い翼の人がいても、封印を守る役目の人は 一人だけで、その人だけがイェルクと呼ばれると言うこと? |
■イェルク To:ノエル |
そうだ。 |
誰が決めたかは知らないが、とにかくそういう制度になっているらしい。
■オジイ To:リーゼル |
そのヴィーザを封印したときの封印ってのはどのようにして行ったとかご存じで すか?たとえば宝珠がどのようにして作られたとか知っておられますか。 |
■リーゼル To:オジイ |
俺自身まだ子供だったからな。隠れてるうちに終わってたよ。 |
■オジイ To:リーゼル and イェルク |
それじゃあ、宝珠や封印についてはほとんど分からないということですよねえ。
あと、その宝珠が弱まってインプがでてきたって聞きましたけど、ほかにも宝珠が 弱まっている兆候とか分かりますか。たとえば、リーゼルさんの場合昔から見てお られるんで分かる点などもあるかと思うんですが………。 |
■リーゼル To:オジイ |
俺が知ってるのは、奴の魔法で一面火の海になったところと、封印されてしまっ た後だ。インプが出てきたってのも俺がいたわけではないしな。 |
■オジイ To:リーゼル |
じゃあ、当時ヴィーザがどのような魔法を使ってたとか、どのような妖魔を使役 していたかなんてのも分からないですよねえ。多分、インプは使ってたのでしょう けれど。 |
■リーゼル To:オジイ |
そうだな。………炎の魔法を扱うのは確かだと思うがね。 |
もちろん暗黒魔法も、だが。
■オジイ To:リーゼル |
ヴィーザを倒す際の剣がどのようにして作られたとかってわかりますか? |
■リーゼル To:オジイ |
あれは元々ヴィーザ自身の武器だったらしい。それをイェルクが手に入れたと言っていた。 |
■アフル To:リーゼル |
それじゃあ、ヴィーザ自身の武器がヴィーザを倒すための剣だってことですか? |
ここで、リーゼルはちらりとイェルクの方に視線をやった。イェルクは剣の話は初耳だとでも言いたげな表情で座っている。
■リーゼル To:アフル |
元々はヴィーザの力を封じるために作られた剣らしいよ。宝珠と一組でな。ヴィーザは自分の脅威になる剣を自らの手元に置くことで、その脅威を避けようとしていたんだ。 それをイェルクが、先祖の方のイェルクが、ヴィーザから奪った、というわけだ。 |
■アトール To:リーゼル |
ふーん、剣もヴィーザの力を封じるために一緒に作られたと言うことは、 現在の封印っていうのは不完全とも言えるのかな? |
■リーゼル To:アトール |
元々、完全なものではないさ。だましだまし使っている状態だからな。 |
■ノエル To:リーゼル |
それで、先祖のイェルクさんがヴィーザを封印するときにその剣は使われた のでしょうか? |
■リーゼル To:ノエル |
ああ、ヴィーザの力を削ぐのに剣は必要になったらしいからな。 |
■オジイ To:リーゼル |
その剣、今こちらにあるそうですね。よろしければ見せてもらえないでしょうか 。 |
■リーゼル To:オジイ |
ああ、そうだった。イェルクに剣を返しておかないとな。後で見せてもらって くれ。 |
リーゼルは部屋の隅に無造作に立てかけてあった剣を手に取ると、それをイェ ルクに手渡した。
■イェルク To:リーゼル |
う………うん……… |
少し何か言いたげだったが、結局イェルクは素直に受け取った。
■オジイ To:イェルク |
イェルクさん、後でかまわないんでよろしかったら剣を見せてくださいね。 |
■イェルク To:オジイ |
………え?あ、ああ、うん……… |
何か他のことが気になるのか、少し上の空で答える。しかし、それを誰も気にとめることはなかった。
■アフル To:リーゼル |
あ、そうだ。リーゼルさんの他にヴィーザに襲われた時の事について知ってる人っていませんか? |
■リーゼル To:アフル |
直接ヴィーザの姿を見たかもしれない奴はみんな死んだよ。………300年前に。 |
■ノエル To:リーゼル |
つまり、あなたはその事件があったときは本当の子供で、ヴィーザが現れる
と同時ぐらいに安全なところに隠された。 気がついたときには村は焼け、おそらくヴィーザと対峙していたであろう大 人たちは全て殺されていた。 今この村にいるエルフはみな事件のあったときには子供だったか、そのあと に生まれたものばかりである。 安全になってから自分達を助けてくれたのは先祖のイェルクさんだった。 ヴィーザのことはその先祖のイェルクさんから聞いたこと以外には知らない。 そのときのことは、すべて今ここにいるイェルクさんに話している。 と、こういうことでいいのかしら。一つでも私の勘違いしていることあります? |
■リーゼル To:ノエル |
まぁ………そんなところだな。 |
リーゼルのあいまいな言い方に、ノエルはふと首を傾げた。しかし、ことさらに取り上げたりはしない。
■ノエル To:リーゼル |
そのときいたエルフで一番の使い手が、”炎の精霊王”をも自在に操ること のできるほどの力を持っていたということでいいのですよね? |
■リーゼル To:ノエル |
エルフでは誰ひとりとしてそんな使い手はいなかった。そんな高度な魔法を扱 えたのは彼女だけだったよ。 |
と、親指でくいくいとイェルクの方を指す。
■ノエル To:イェルク |
で、彼女のはなつ呪文はいっさい効かなかったと・・・ |
■リーゼル To:ノエル |
俺が直接見たわけではないがな。 |
■ノエル |
それにしても・・・ 今いるイェルクさんとリーゼルさんを助けたイェルクさんって、よっぽど似 ているんだろうなぁ・・・ |
■ノエル To:リーゼル |
それから、あなたが先祖のイェルクさんに助けられたとき、他にだれかいま した?フェザーフォルクだけでなく、人間や他の村のエルフとか、とにかくあ なたの知らない誰か。 |
■リーゼル To:ノエル |
いや……… |
当時のことを思い出したのか、リーゼルは嘆息しつつ答えた。
■リーゼル To:ノエル |
逃げるのに必死だったからな……… |
■ノエル To:リーゼル |
いえ、そう言うことではないんです。戦闘が終わってヴィーザが封印された
あとに、あなた達は先祖のイェルクさんに助けられたのでしょう? そのときにイェルクさんに仲間がいたのかということなのですが。 |
■リーゼル To:ノエル |
彼女は、一人だった。ずっと、最後まで。 |
■ノエル |
あれ?まるで・・・戦いの間もずっと見ていたような言い方・・・ |
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