Sword World PBM #25

「天使のつるぎ」



来訪者




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野営地

 しばらくして、枯れ木を両手一杯に持ってオジイが帰ってきた。
■オジイ To:ALL
 よいっしょ。これぐらいで枯れ木は足りますかねえ。

■ノエル To:オジイ
 そうね。たぶん大丈夫でしょう。
 じゃぁ、食事の準備も始めないとね。
 ハーブもいろんなのが見つかったし、保存食も少しはおいしく食べられるはずよ(^^)

 少し遅れて、アフルも木の実などを集めて戻ってきた。
■アフル To:ALL
 うーん、これだけしか集まらなかったよ(^^;;
 でも、ま、保存食だけよりかはましかな。

 全員が戻ったところで、オジイが集めてきた枯れ木をまとめ、火を付ける。

 その時、アトールが樹の上の方に気配を感じた。反射的に視線を樹の上に走らせる。が、一瞬遅い。
 アトールが身構えるのとほぼ同時に───

 とん

 ───と軽い音を立てて、たき火のすぐ横に矢が突き刺さる。
■ノエル To:ALL
 え?

 矢の飛んできたほうを振り返り、突き刺さった矢を見る。
 普通の矢だ。普通の矢が、地面に垂直に刺さっている。
■アトール To:all
 気を付けろ!樹の上に誰かいる!

 一番最初に反応したのは、最初に気配に気づいたアトールだった。シーフとしての訓練は伊達ではない。
 その声にようやく我に返り、オジイは樹を見上げた。
■オジイ To:矢の飛んできた方向
 誰だ!

 オジイはそう叫びながら、背負い袋の横に立てかけてあった弓を取りに走った。
 が、次の矢が、オジイと弓の間に刺さり、進路を阻む。
■矢の主 To:ALL (東方語)
 お前ら、こんなところで何をしている。

 言うが早いか、声の主は木の上から飛び降りてきた。ほぼ垂直落下に近いスピードで降りてきて、ばさっと一度『羽ばたいて』地面に降り立つ。
 降りてきたのは、イェルクと同じく翼の生えた亜人だった。ただし、長身の男で、翼は茶色である。
■ウィード To:矢の主
 見てのとおりだ。
 ここで野営しようとしているんだ。ここじゃダメなのか?

 ウィードは言いながら立ち上がり、杖を構えた。
■ノエル To:イェルク
 知ってる人?
(対立している他の部族の人とかだったらやっかいかなぁ・・・)

■オジイ To:矢の主
 ・・・・・・。

 オジイは恨めしそうに矢の主を見ている。
 イェルクも苦々しい表情をしている。
■イェルク To:ノエル (共通語)
 ラザ………俺の村の………いけ好かない男だ。

■ウィード To:イェルク (共通語)
 同じ村の仲間ね…
 仲が良さそうで何よりだ…

 ウィードは視線をラザとかいう男に固定したまま、イェルクに話しかけた。
■ノエル To:ウィード (下位古代語)
 ・・・・・・・・・・
 ひど・・・ここでそんなイヤミなこと言わなくても

■ウィード To:ノエル (下位古代語)
 いいから相手に集中しろよ。
 戦闘にならないとは言い切れないぜ。

 ウィードはノエルの話に取り合おうとせず、矢の主の方を見ている。
■ノエル To:ウィード (下位古代語)
こっちから戦闘にするようなことしないでね

 そう言いつつ、ノエルは他に隠れているものがいないか周囲へ注意を向けている。しかし、その気配は感じない。
■ウィード To:ノエル (共通語)
 そのつもりだよ。だが…相手次第だな。

 イェルクは、ラザかいう男とは、視線すら合わせようとしない。ラザは共通語が理解できないのか、へらへらとした軽薄な笑みを浮かべたままイェルクの方を指さした。
■ラザ To:イェルク (東方語)
 ん〜?何をこそこそ話してんだ?愛しい恋人だとでも紹介してくれてんのか?
 っと、それより………

 軽薄な笑みは残したまま、指を引っ込め腕を組む。そのまま、ラザはウィードに向き直った。
■ラザ To:ウィード (東方語)
 別に野営が悪いとは言わねぇさ。だが、まぁ、ただピクニックしじゃねぇだろ。
 何をしに来た、人間の魔法使い。

■ウィード To:イェルク (共通語)
 どうするのがいいんだ?
 このいけ好かない男に依頼の話をしてもいいのか?

 わざとらしく共通語で話すウィード。
■ラザ To:ウィード (東方語)
 おいおい、悪ぃが俺に分かる言葉で話してくれねぇか。

 共通語が理解できなかったのか、ラザが少しいらだったように言った。
■アトール To:all (共通語)
 どうやら、東方語しか通じないみたいだぞ。

■オジイ To:ラザ (東方語)
 そいつは失礼しました。
 この言葉なら大丈夫ですかねえ。
 あ、自分オジイっていいます。
 あなたのお名前は?

 オジイは、にこにこしながら話しかけている。状況が今ひとつ分かっていないのかもしれない。
 ラザは相変わらずこちらを小馬鹿にしたような笑みを浮かべたままだ。そして、わざとらしく言葉を続ける。
■ラザ To:オジイ (東方語)
 ラザだ。イェルクをここまで連れ戻ってくれたことには、礼を言う。
 もし用件がそれだけなら、人間の慣例に従ってもてなすなり謝礼をするなりしよう。
 君たちがイェルクを連れてきたのではなく、イェルクが君たちを連れてきたのならば…話は別だ。

 ラザは友好の意を示すとでも言いたげに腕を広げてみせた。しかし、その口元には相変わらず軽薄な笑みが浮かんでいる。
■ウィード To:イェルク (共通語)
 奴はああ言ってるがどうする?
 あんたは俺達の依頼人だ。ここはあんたが判断するところだろう?
 ただ、一個人の意見として言わせてもらうなら、俺も奴はいけ好かない男だと感じるけどな。

 ウィードが話している間に、オジイがアフルとソフィティアに東方語の会話を説明している。
■ソフィティア To:オジイ (共通語)
 なんだか、はなしが拗れてるみたいね(^^;

■オジイ To:ソフィティア (共通語)
 どうもそうなりそうですねえ。

■ノエル To:イェルク (共通語)
 やっぱり独断で動いていたワケね

 考え込むような仕草をしながらノエルがつぶやいた。責めようというのではなく、ただ悩んでいるらしい。
■ウィード To:イェルク (共通語)
 ………………。

 ウィードも無言である。
 イェルクは少したじろいだように上目遣いでウィード達を見回し、ぽつりと言った。
■イェルク To:ノエル&ウィード (共通語)
 ………村の連中は皆反対しているんだ………。

■ウィード To:イェルク (共通語)
 村の連中は自分達だけで倒せると思っている。
 だが、あんたはもしもの事を考えて冒険者を連れてきた。そういう事だろ?
 あいつに、いや村の連中に、その事を話した方がよいと思うな。
 話した上で説得するしかないだろう…。

■ウィード To:ALL (共通語)
 村の連中を説得できなきゃ俺達は無用になるかもな…。

 しかし、ウィードの言葉に、イェルクはふるふると首を横に振った。
■イェルク To:ウィード (共通語)
 違う………長老が、ヴィーザを倒すこと自体反対しているんだ。そして、皆、長老に従っている。

■ノエル To:イェルク (共通語)
 反対する理由ってどんなのかしら?
 封印さえもとに戻せるというなら、倒さなくてもかまわないとは思うけど。
 ともかく、長老を納得させることができたら、村の人も反対しなくなるのね?

■イェルク To:ノエル (共通語)
 恐らくは………

 自信なさげにイェルクが頷いた。
 長老を納得させるのが難しいという意味なのか、長老を納得させても村人が従うかどうか分からないのか、どちらの意味で自信がないのかは分からなかった。


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ゆな<juna@juna.net>