Sword World PBM #25

「天使のつるぎ」



山へ




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グロザムル山脈

 登山一日目。
 獣道と大差ない森の隙間をかき分けて進む。そして、しばらくして日が沈み始めた。
 少し───と言ってもせいぜいたき火ができる程度───に開けた場所まで出ると、イェルクは立ち止まり振り返った。
■イェルク To:ALL
 そろそろ野営にしないか?もうそろそろ日が落ちるし、俺は足が疲れた。

■オジイ To:ALL
 そうですねえ。じゃあ、ここで野営を張りますか。
自分もちょっと疲れてきましたし。ふ〜う。

 そういいながら、オジイはバックパックを手近な木陰に置き、背伸びした。
■ウィード To:ALL
 そうしよう。
 意思と体の動きが一致しないんだ…^_^;
 あまり無理をするといざと言う時に魔法が唱えられないしさ。

 ウィードもそれなりに疲れた様子だ。
■ノエル To:ALL
 そうね・・・
 もう少し開けた場所のほうが安全かもしれないけど、近くには他に休めるような場所ないんでしょう?
 ここで交代で休むことにしましょう。

■ソフィティア To:ALL
ふぅ、今日はここで休むのね。馬車も楽だったけど、体がなまっちゃって。

 などと言いつつ、腕をぐりぐりと回す。ソフィティアは結構元気そうである。
■オジイ To:イェルク
 あ、そうそうイェルクさん、もうマントとか取っちゃってもいいと思いますよ。こんな山の中まで人とか来ないでしょうしねえ。

■イェルク To:オジイ
 そ、そうか?………着けているとまずいか?

 あまり気が進まない様子だ。
■アトール To:イェルク
 まずくはないけど、暑苦しそうだぞ(^^;
 目的地にたどり着く前に依頼人に倒れられたら、我々もどうしようもないぞ(笑)

■ノエル To:イェルク
 ここから先はあなた達の領域ではないのですか?
 なら私たちのことは気になさらずに、くつろげる格好をしていただいてかまいませんよ。

■イェルク To:ノエル
 ………わかった。見ても…気味悪がったりしないでくれ。

 イェルクがフードとマントを外し地面に置いた。
 まず、ほとんど白に近い銀色の髪が広がった。長時間フードの中だった割には、乱れた様子もない。
 黒い長袖の服を着ているのでわかりにくいが、手や顔を見る限りやはり肌は白い。病的と言ってよいほどだ。目は赤い。
 顔立ちは整っていると言ってよいだろう。言動と比べ、かなり若く見える。人間で言えば、10代前半、せいぜい10代半ばくらいだ。子供と言っても過言ではない。

 それから、翼だ。背中から翼が生えている。
 翼は白かった。ほとんど真っ白に近い。かろうじて翼の根元と、羽の先だけが薄い茶色をしている。
■ノエル(心の中)
 どこが『醜い』んだろう。こんなにきれいなのに。
 フェザーフォルクと人間の美的感覚が違うのかな?

■オジイ To:イェルク
 きれいな翼ですねえ。

 オジイはイェルクに見とれているようだ。ノエルも何も言わずにイェルクを見つめている。
■イェルク To:オジイ
 …綺麗…なんかじゃない。
 ………あまりじろじろ見ないでくれ。

 イェルクは視線を避けるように、再びマントを付けて翼を隠そうとした。
■ノエル To:イェルク
 あの・・・ごめんなさい。もうじろじろ見たりしませんから・・・
 マント、取っていただけませんか。
 なんだか私たちのこと信用されていないようで悲しいです。なんていうか、その・・・翼だけではなくて、心まで隠されてしまったようで。

■アトール To:ノエル
 嫌がるのを無理に強制することはないさ。
 人や種族が変われば、考え方も変わるだろうし。
 例えばノエルだって、他の種族の人から胸を見せてくれ、って言われたら困るだろう?(笑)
 心を開いてもらえるかどうかは、俺達の仕事ぶりで示してやろうぜ。

■イェルク To:ALL
 ………

 イェルクはうつむいたまま黙り込み、しばらくして再びマントを地面に置いた。
■イェルク To:ノエル
 ノエルたちは、こんな私の話を信じてここまで来てくれた。信用している。

 イェルクの反応に、ノエルはとまどいを隠しきれず、イェルクとアトールの顔を交互に見た。
■ノエル To:イェルク
 ごめんなさい

■イェルク To:ノエル
 平気だ。
 ………食べ物を探してくる。宿以外での人間の食べ物は、塩辛いものか味のないものばかりだ。

 宿以外でイェルクが食べたものと言えば、干し肉や乾パンばかりである。塩辛いか味のないものばかりというのはあながち間違っていないが。
■オジイ To:ALL
 じゃあ野営の準備をしますか。
 枯れ木を集めてきますね。

■ノエル To:イェルク
 えーと・・・
 私もご一緒していいですか?あなた達の"狩り"がどのようにおこなわれるのか興味あるんです。

 ノエルが興味深そうに近づいてくるが、イェルクは首を横に振った。
■イェルク To:ノエル
 今日は狩りはしないぞ。適当に食べられそうな木の実を拾ってくるだけだ。

■ノエル To:イェルク
 そうなんですか・・・残念ですね。

■ノエル(心の中)
 やっぱり自分の姿を見られるのイヤだから離れようとしているのよね、きっと。
 でもここでついていかないと、さっきのわだかまりになっちゃいそうでいやだし。
 でも、いやがってるなら無理についてはいけないし。
どうしよう・・・

■アフル To:ALL
 俺も、保存食にはあきたし、なんか捜してくるよ。

 と、イェルクとは別に、アフルも食料を探しに出かけた。
■イェルク To:ノエル
 どうした、ノエル?行かないのか?

 なにやら考え込んでいるノエルの心中を知ってか知らずか、イェルクは怪訝そうに振り返った。さっきまでマントを着けていたのが実は暑かったのか、はたはたと翼で顔に風を送っている。結構間抜けな仕草である。
■ノエル To:イェルク
 あ、いきます〜。
せっかくだから、木の実だけじゃなくてなにかハーブとか味付けのできそうなものも探しましょ(^^)

 さっきまでの深刻そうな表情もどこ吹く風、急に元気になるノエル。イェルクは、その様子には特にどうとも思わなかったのか、素直に頷いた。
■イェルク To:ノエル
 そうだな。ハーブがあれば、あの塩辛いだけの肉もそれなりに食べられるかもしれない。

 よほど干し肉が口に合わなかったらしい。


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ゆな<juna@juna.net>