SW-PBM Scenario #24

水面に映る夢

第四章.サラ
「サラの実家」


このページでは新しい投稿が下に表示されます。

前ページへ #24目次ページへ 次ページへ

Contents


サラの実家

 「砂漠の花亭〜サラの実家」
 話は少し戻って、サラ、イスカ、スレイが宿を出ていった後の話―――

 「砂漠の花亭」を出て、通りに出ると、日差しはかなり強くなっていた。 しかし、幸いと言うべきか、乾燥した地域なので、汗はあまり出ない。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
うっ、まぶしい!・・なるほどね、これではロッドが昼間に外を 歩きたくないのもわかるな。あの白い肌ではたちまち火傷を 起こしてしまうだろう。
スレイも気をつけて、顔を直接日光にさらさないほうがいい。 エルフの頬にそばかすは似合わないからね。

イスカはマントを頭からフードのようにかぶった。

■スレイ(意識) TO:サラ(憑依中)
そばかすはいやですよ〜

■スレイ(サラ憑依中) TO:スレイ(意識)
あ、ああ、ごめん。忘れてた(^^;
幽霊長くやってると、服着てる事も忘れちゃって(^^;;;

スレイ(サラ憑依中)も、言われて慌ててフードをかぶる。

■スレイ(意識)
そう言えば、日焼けしたエルフには会ったことないなぁ。
こんがりしてて・・・・・・・・・うん、いいかもしれませんねぇ(^^)

日焼け程度ですめば良いが、スレイの肌では水ぶくれを作ってしまうだろう。
 こうしてフードをすっぽりとかぶった、どこからどう見ても旅人の2人は、 ルーイェンの街を歩いていった。
 通りには街路樹が植えられ、僅かではあるが、木陰を作り、
道の端には一段他高くなって水路が走っていた。水路は水の祠からの湧き水を 街全体に運ぶものだ。

 「砂漠の花亭」からさほど遠くない所に、サラの実家はあった。
一軒の料理屋らしい建物の前でスレイ(サラ憑依中)は立ち止まる。 店の看板には「ステラ母さんの料理屋」とある。

■スレイ(サラ憑依中) To:イスカ
ここだよ、営業・・・してるみたい。
ウェイトレス誰がやってんのかな。
私、いなくてもどうにかなっちゃうんだね・・・。


あ、入ろっか(^^;。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
そうだね、ここまで来たんだ。覚悟を決めるしかない。 自分が死んだ後のことなど、本来は知るはずもないんだ。 だから、何を見たとしても・・あきらめる覚悟をね。

イスカを見て頷くと、覚悟を決めたようだ。
ゆっくりと、店の扉を押し開いた。

 「ステラ母さんの料理屋」
 「砂漠の花亭」より、いくらか狭い店内には、昼を過ぎているというのに、 まだ客がかなりいた。
 その間を、少し太った中年女性と、まだ幼い男の子(12歳以下だろう) が、忙しそうに行き来する。

■スレイ(サラ憑依中)
・・・・・・

その様子を見て、一瞬動きが止まる。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
どうしたの、ええと、サラ?
さりげなく、席についたほうがいいんじゃない?

イスカがサラに囁く。
サラははっとして、促されるままに、近くのテーブルについた。

■スレイ(サラ憑依中) To:イスカ
―――あの子さ、私の・・・あ、ええと、サラの弟でアレックスと言うんだけど、 店なんか一回も手伝ったことないのに、働いてるからちょっと驚いちゃって。

イスカに話し掛けつつも、目はまだ少年と中年女性を追っている。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
そう・・。そういえば、面差しが似ているね。
まだ小さいのに、立派なことだ。

■スレイ(意識)
・・・

スレイも頷いたらしかった。(意識体なので、サラにはその感覚が伝わったのみだが)
やがて、中年女性が2人のテーブルにやってきた。

■ステラ=ノーキアス To:お客さん
いらっしゃいませ。
お待たせしてすみませんね。今ちょうど込んでる時間帯なんで(^^;。

ご注文をどうぞ。

■イスカ To:ステラ
いいや、商売繁盛で結構ですね。じゃあ、私はこれと・・これを。
スレイは何にするの?

イスカはタヒーナ、シャクシューカ、赤ワインを頼んだ。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
サラのお勧めでお願いしますっ♪(^^)

■スレイ(サラ憑依中) To:ステラ
あ、わ、私はターメイヤとシャクシューカとマンゴジュースをお願い。・・・します。

しばらくぶりの会話(?)に緊張してしまう。
だが、まさかステラがそんな事に気づく訳もなく、 メニューを取ると、ステラは行ってしまった。

■スレイ(サラ憑依中)
ほ。

ほっとしたのもつかの間、10分も立たないうちに料理が運ばれ始める。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
うわぁ、おいしそうな料理ですね、サラ♪

明るく言ってみるが、サラからの返事が無い。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
・・・・・サラ?


本当の想い

■スレイ(サラ憑依中) To:ステラ
あ、あの・・・。
前にここに来たときには、ウェイトレスの女の子がいましたよね。
か、彼女はどうしちゃったんですか?

サラは一生懸命平静を装って、聞いてみた。
だが、グラスを持つ手が震えている。
このエルフの客の一種、なんでもない問い掛けは、 ステラの顔からも笑顔を消した。

■ステラ To:お客さん
ああ、お客さん、あの子の事覚えててくれたんですか。
恥ずかしい話なんですが、家出されましてね。
もうすぐ一ヶ月になってしまう。最初は2、3日で戻ると思ってたんですけど、 はぁ・・・、今ごろどこでどうしているのやら。
おかげで、今はあの子の代わりにアレクに手伝わせてますけど、 アレクじゃサラのような働きは出来ませんし、 本当、困ってるんですよ。

■イスカ To:ステラ
アレク・・サラの弟さんですね?
サラの代わりは、やはりいないということか。それでいいんだ。

サラの様子を心配そうに伺いつつ、つぶやく。
このつぶやきは、ステラの耳にも入ってしまった。

■ステラ To:お客さん
はい?
何が”それでいいんだ”―――ですか?
当たり前じゃないですか、何人子供がいたってみんな一人一人可愛いんですよ。 みな、私がお腹を痛めた子ですからね。
あの子の代わりなんていやしません。

■スレイ(サラ憑依中)
お腹を痛めた・・・子?

■イスカ To:ステラ
ああ、これは失礼。そんなつもりでは。
娘さん・・戻ってくるといいですね。

イスカは、ステラに聞こえているとは思ってなかったので、ちょっと慌てたようだ。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
子を想わない親なんていないんですね・・・・

■スレイ(サラ憑依中) To:スレイ(意識)
うそ、だって・・・
私、拾われっこじゃなかったの?
私ばっかり 働かされて、ぶたれて、辛くて・・・!

サラの叫びは聞こえない。
ステラは涙ぐみながら、イスカに訴える。

■ステラ To:お客さん
ええ、ええ、戻ってくると信じてますよ!

でもね、本当は・・・あの子が元気で幸せにやってるなら、 もう・・・。
うちに戻ってきたくない気持ちもわかるんですよ。長女だからってんで、 私たちはあの子に厳しくしすぎたかもしれません。

だから、元気で幸せに・・・どこかで生きていてさえくれたら、 私はそれで満足しようと思うんです。

サラは心の中で泣いた。

■イスカ To:ステラ
・・・・・。
それを聞けて、良かった。サラも、喜んでいるでしょう・・。

サラの事を思うと、言葉が出てこない。
スレイ(サラ憑依中)は目に涙を溜めて・・・

■スレイ(サラ憑依中) To:ステラ
お母さんがサラを思うように、
サラもお母さんの事を思ってる、・・・きっと。

だから、お母さん、元気になって・・・ね。

震える声で、これだけ言うのが精一杯だった。
気丈にも笑顔を作ろうとさえする。
ステラも手の甲で涙をぬぐうと、 これに応えるように、わざと明るく振るまった。

■ステラ To:スレイ(サラ憑依中)
ありがとう、優しい人達だね。
そうだよ、めそめそしててもしょうがない。
前向きに生きなくっちゃね。

じゃ、私は失礼しますね、こんな話しちゃってすみませんでした。 でも、聞いてくださって嬉しかったですよ。

■イスカ To:ステラ
いいえ、こちらこそ。本当にありがとう。

ステラは軽くお辞儀をすると、カウンターの方へ戻って行った。
その様子はきびきびとしていて、頼もしく感じさせる。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
さぁ、ステラさんのお料理を食べましょう(にこ)

■スレイ(サラ憑依中)
ん・・・。

ステラが立ち去ると、一応運ばれた食事を食べ始める。
サラは、もそもそと食べ物を口に運んだ。
イスカもサラ気を遣い、声をかけるような事はせず、 2人は黙って食事をした。
料理はどれもサラの好物だったはずだが、悲しみの中で食事をしても、 味などわからなかった。
ただただ、機械的に食事を終えると、スレイが話し掛けてきた。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
そろそろ行きましょうか、サラ。みんなも待っていることでしょうから

■スレイ(サラ憑依中)
・・・そろそろ出ましょう。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
そうだね、行こうか。もう心残りはないね?じゃあ、ごちそうさま。

全員が早く店を出たかったに違いない。

 「料理屋〜砂漠の花亭」
 外へ出ると、日差しが少し和らいでいた。
太陽が少しづつ西へ傾き、夕暮れが近くなってゆくのだろう。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
いい、お母さんでしたね・・・・。

スレイのこの言葉は起爆剤になった。

■スレイ(サラ憑依中)
私・・・死にたくなかったよぉ。
もっと、もっと生きたかった・・・。

ぴたっと止まると、両手で顔を覆い、泣きじゃくりはじめた。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
サラ・・・・・・・・。

アレクがサラの分まで生きてくれますよ・・・・。
それに・・・・
それにサラは、皆の心の中で永遠に生き続けてゆけるのですよ・・・
そう、永遠にね。。。

■スレイ(サラ憑依中) To:スレイ(意識)
ひっく・・永・遠・・・?

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
・・気のすむまで、泣きなさい。

イスカはスレイ(サラ憑依中)の両手を握って優しく言った。

■スレイ(意識) To:サラ(憑依中)
サラ・・・思いっきり泣いていいですよ。胸を貸してくれる人はいるんですから・・・

スレイ(サラ憑依中)はイスカに抱きついて、声をあげて泣き始めた。
イスカは自分より背の高いスレイの体を支えると、なるべく人目につかないよう、 物陰に座らせて、サラが泣き止むまで背中をさすってやった。

■イスカ To:スレイ(サラ憑依中)
どう、落ち着いた?
・・つらいことだったね。これもみんな、スキュラのせいなんだよ。 私たちが必ずかたきをとるから。そうすればサラは、いつまでも 家族のことを見守っていけるから。

■スレイ(サラ憑依中) To:イスカ
うん、うん・・・。

サラがようやく落ち着つくと、まっすぐ砂漠の花亭に戻ることにした。
本当はイスカもスレイももう少し歩き回ってみたかったのだが、 サラがこんな状態では、それは辛すぎるからだ。

前ページへ #24目次ページへ 次ページへ

シナリオ目次ページへ戻る
SW−PBMメインページへ戻る

連絡先
GM:澤口 佳子(かなめ)
E-Mail:kaname@yk.netlaputa.ne.jp