封印
スラム 倉庫の中 |
■ ヴァーン To:古の亡霊 |
へっ、消えちまいな?! 亡霊め! ジャンニ!!! |
ヴァーンがコマンドワードを叫ぶ。
永遠とも感じられる一瞬。
唐突に箱の蓋が開くと、辺りは箱からあふれ出した、『ピッカリ君(仮称)』の何倍もの明るさのすさまじい光の奔流に包まれた。
アニエスに飛びついたパオルも、もつれあったまま、その光に包まれてしまった。
■ クリカイル(アニエス) |
何故だ! なぜお前ら如き虫けらに! |
いくつもの光の束がアニエスの胸のペンダントに向かって迸る。
クリカイル(アニエス)は、憎悪と苦痛で歪んだ顔で、冒険者達を睨み付けた。
■ 仮面ラーダRX クリカイル |
純真な子供達を操り、 その心を傷つけた貴様は断じて許さん!! 闇に帰れ!! |
■ アルト To:クリカイル |
…………変態魔術師の最期だね……。 |
■ フェリオ To:仮面ラーダRX |
(あんたの蹴りも物理的に子供を傷つけてたけどな…………) |
……映身への攻撃は、その本体の魂を傷つける事になるのだが。
■ ヴァーン To:古の亡霊 |
くたばりやがれ……亡霊め……。 |
■ クリカイル(アニエス) |
ぐぅ……ぐぁぁぁぁぁっ! |
そして光が爆発し、パオルはその衝撃で壁まで吹き飛ばされた。
冒険者達がようやく視力を回復すると、アニエスがその場に倒れていた。
その首からネックレスは消え失せ、箱は何事もなかったかのように蓋が閉じられていた。
■ パオル |
はぅ〜……。(  ̄□ ̄;)!! 。。。。(o_ _)oバタッ |
■ 仮面ラーダRX |
任・務・完・了!! |
その光の爆発を背に何やらポーズを取る。
……本当に完了したのだろうか?フェリオは、回りを見渡しながらアニエスの元に屈み込み、
■ フェリオ To:アニエス? |
……終わった……のか? おい、アニエス? 大丈夫か? |
平手で、軽く頬を叩く。
■ アニエス To:フェリオ |
う、う〜ん……! 痛い! 何するのよ! |
■ フェリオ To:アニエス |
ふぅ……それだけ元気がありゃ大丈夫そうだな……(^-^) 立てるか? |
■ アニエス To:フェリオ |
! あのペンダントは? あの変な声は? ……お兄ちゃんが助けてくれたの? ……うわーん。 |
フェリオにしがみついて泣き出した。
■ アニエス To:フェリオ |
良かった……ヒック……怖かったの。 ネックレス掛けて……あたしじゃないみたいに。 でも、あたしなの。 変な力でみんなのことお人形みたいにしちゃったのもお兄ちゃん達にマホウを使ったのも、あたしなの。 怖かったの……みんな死んじゃえって……。 |
どうやら、クリカイルに操られていた間の記憶も持っているらしい。
恐怖と自己嫌悪で、錯乱気味のアニエスに、
■ フェリオ To:アニエス |
あぁ、よしよし……気にするなよ、アニエス。 君は悪い夢を見てただけだよ、君のせいじゃない・・・。 それに君は俺達を助けてくれただろう? あの魔術師に逆らって呪文を曲げたじゃないか。 あれを食らってたらちょっと痛かっただろうけど……アニエスのおかげで助かったんだよ……ありがとう。 さぁ、君のお父さんやお母さんが心配してるからお家へ帰ろうな(^-^) |
フェリオは、優しくそう語りかけた。
しかし、アニエスは、未だショック状態から回復する様子はなかった。
■ フェリオ To:アニエス |
とりあえず、これでも食べて元気になりな。 |
フェリオは、一つ頷くと、そう言ってシルクハットに手を突っ込んだ。
取り出したるは、リンゴ……ではなく、ハトのティルト。
■ アニエス |
! |
アニエスに、驚愕と好奇の表情が戻ってきた。
■ フェリオ To:アニエス |
あ、あれ?(^-^;; わりぃわりぃ、失敗しちゃったぜ……今度こそっ!! |
再びシルクハットに手を差込、今度はちゃんとリンゴを出す。
■ フェリオ To:アニエス |
ほら、アニエス、リンゴでも食べて元気を出せよ(^^) |
差し出されたリンゴをおずおずと受け取ると、一口囓る。
■ アニエス To:フェリオ |
すっごぉぉい! それに、このリンゴも美味しい! |
リンゴを頬張りながら可愛らしい笑顔を浮かべるアニエス。
その姿を確認し、フェリオは他の子供にも残ったリンゴを配った。
■ アルト To:ディラン |
…………やれやれ……。何とかなったみたいだねぇ。
ところでディラン、正気に戻ったんならさっさと上からのきな。 |
もつれ合ったままのディランに、アルトの肘がはいる。
体を起こしたディランを引き剥がし、アルトは改めて周りを見渡した。
■ ディラン To:アルト |
お、ここは天国か? こんな別嬪さんが起こしてくれるなんて……。 |
■ アルト To:ディラン |
…………天国に行きたいってんなら、止めはしないよ? |
ディランの頭を殴り、脱力したようにその場に寝転がった。
■ アルト |
あー…………疲れた……。 |
■ ディラン To:アルト |
……確か俺は……。 ……何が起こっていたんだ? ……アルトが助けてくれたのか? |
アニエスと違い、ディラン達には状況が掴めていないようだ。
■ ディラン |
しかし、嬢ちゃんがあんな目にあってたとはな。 冒険者の力を借りたのは、正解だったな。 |
■ アルト To:ディラン |
(正解だったな……?) ………ディラン、あんたただのメッセンジャーじゃなかったのかい? |
身を起こして、ディランを怪訝な表情で見つめるアルト。
■ ディラン To:アルト |
おっと、余計なことまで……。 男にだって、多少はミステリアスな部分も必要だろ? |
■ アルト To:ディラン |
ふ〜ん……ま、別に良いけどね……? |
ディランのウィンクに、アルトは取り敢えず納得せざるを得なかった。
■ ヴァーン To:ALL |
なんとか……片付いたか……皆も……無事みてぇだな……。 |
何の変哲もないただの小箱のようになった箱をしっかり掴んだまま、その場にへたり込む。
■ パオル |
うっぷ……きもちわりぃ……(ーー; |
叩きつけられた壁からむっくりと起きあがった。
酒を飲んで動き回ったから酔いが回ってきたらしい……。
■ パオル To:ALL |
ふはぁ〜……とりあえずは終わったみたいですね……。それにしても……なんとか皆無事で良かったですよね? |
■ 仮面ラーダRX To:おおる |
どうやら子供達もみんな無事のようだな……。 よし!後のことは君たちに任せた! 必ず子供達を親元に送り届けてやってくれ! アディオス!! ラアァァ〜DASH!! らぁだ〜♪ らぁだ〜♪ かめ〜んら〜あ〜だぁ〜〜♪<BGM:ロンリーラーダ |
冒険者達の緊張が解け、強烈な脱力感に包まれたまま、数分が過ぎた。
しばらくして、倉庫の入り口からひょっこりとジョージが現れた。
なぜが、ぼろぼろの格好で……。
■ ジョージ To:おおる |
ここにいたんですか? いやぁ……捜しましたよ。 あれ? みなさん戻ってらっしゃったんですか? 何か重要な情報は掴めましたでしょうか? ああ……パオル君、これ差し入れです(もう冷めてるけど)。 そうそう……。ついでに例の箱と似たような箱を買ってきたんですよ、 どうも奴にとって重要な物らしいですし、これを使って一泡吹かせてやりませんか? |
■ パオル To:ジョージ |
ジョージさん……。どこ行ってたんですか? お腹が空いて空いて、どーしょーも無かったんですよぉ〜!! |
■ アルト To:ジョージ |
リーダー……アニエスなら、もうとっくに助け終わったよ……。 毎度々タイミングの悪い男だねぇ、まったく。 それにその怪我……今度は、スラムのごろつきどもに襲われでもしたのかい? |
■ ジョージ To:アルト |
え……ええ。ちょっとその辺で金色のネズミに襲われまして……(^^; |
■ アルト To:ジョージ |
あの噂の? そりゃまた……災難だったねぇ。 |
■ フェリオ To:ジョージ |
まぁまぁ、いいじゃんか……リーダーも色々と大変だったんだよな?(^-^) |
■ アルト To:フェリオ&ジョージ |
分かってるよ(^^) ちょいと発破を掛けてやりたくってさ。 責任感の強いリーダーの事だし、気にするなって言ったら余計に気にするかと思ってね。 ……ま、でも結局みんな無事だったんだし……あんま落ち込むんじゃないよ? |
そう言って、ジョージの背中をかるく叩いた。
■ ジョージ To:おおる |
では、私はシェル君とアニエスちゃんをリトナル商会まで連れていきましょう。 アルトさんとフェリオ君はその箱を学院まで届けに行くでしょうし、 ヴァーン君とパオル君は他の子供達を家まで送っていただけますか? |
■ パオル To:ALL |
あ、ちょっと待って下さいジョージさん。 えっと……ヴァーン……んん(ちょっと詰まった)……は盗賊ギルドの方へ連絡しとかないと駄目じゃないんですか? ディランさんの事もありますし。それにシェルさんも何とかしないと……。神殿とかで癒して貰う事は出来ませんか? ボクの方もちょっと体が痛いですし……。 |
■ ジョージ To:パオル&おおる |
そうですね。 では、私とパオル君とシェル君は子供達を送りながらラーダ神殿にいきましょう。ついでに官憲の方にも報告しておきます。 ヴァーン君とディラン君と(ちらっと上を見る)リュース君はギルドの方に行って下さい。あと、その付近にお住まいの子供達を送っていただけますか? |
■ リュース To:ジョージ |
呼んだかい? |
■ ジョージ To:リュース |
ええ……。お陰様でなんとか解決したようです。 ディランさん共々ご協力ありがとう御座いました。 |
■ リュース To:ジョージ |
なあに、先に助けて貰ったのはこっちだからな。 こっちこそ、助かったぜ。 |
崩れた天井からひょいと飛び降り、そう礼を言った。
■ アルト To:ALL |
おっけー。 後始末が終わったら、後は打ち上げも兼ねてひとつ酒場でぱーっと騒ぐとしようか(^^) |
■ ヴァーン To:アルト & リュース & ディラン |
いいねぇ、大騒ぎしようぜ? ぱぁ〜っとな! そいじゃ、ガノンのところに顔を出しに行くとするかい? お二人さん。 |
ヴァーンは、よろよろと立ち上がると、リュース、ディランと共に歩き出した。
■ フェリオ To:アルト&おおる |
じゃぁ、俺達もさっさと学院に報告に行っとこうぜ? こんな箱をいつまでも持ってるのも嫌だし……。 つー訳でこっちは学院に行ってからバートンさん家に戻るんからよ……先に着いたらネックレスの事は諦めてくれって伝えといてな。 |
と、アニエスの方を見て、
■ フェリオ To:アニエス |
君も一刻も早く帰りたいだろうけど……一人で帰す訳にもいかないからとりえず一緒に来てくれな(^^) |
アルトとフェリオは、アニエスを連れて学院へ。
そして、気絶したシェルを背負ったパオルとジョージは、子供達を連れてラーダ神殿へと向かった。