SW-PBeM Scenario #21
子供達は夜の住人
10章 冒険者、戦いに備える

勝利を呼ぶ秘策

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オランの街  リファの家

 学院を出ると、アルトとシェルはリファの家へ向かった。
 レントの家を知らないため、リファに教えて貰うつもりらしい。
 学院で予想外に時間をくってしまったために、今は既に夕日も落ちかけている。
 扉をノックすると、顔を出したのはリファだった。
■ アルト To:リファ
や、リファ。また来たよ(^^)
度々悪いね。

■ リファ To:アルト
えっと、アルトおねーちゃんだっけ?
アニエスは見つかった?

■ アルト To:リファ
あぁ、もちろん。ちゃんとリファと約束しただろう?

 リファに小指を見せると、にっこり笑いかけた。
■ アルト To:リファ
きっと明日には一緒に遊べるから、安心しなって。
……ところで、今日はちょいと他にも用があってね。
レント坊の家の場所を教えてもらいたいんだけど、構わないかい?

■ リファ To:アルト
えっ? 構わないけど……。
どうかしたの?

■ アルト To:リファ
なに、大した用じゃないよ。ちょっとばかし借りたい物があってさ。
もう日が落ちかけてるから、暗くなる前にさっさと行っておこうと思ってね。

■ リファ To:アルト
ふうん?
まあいいわ。

 アイザとレントの家までは、5分も掛からないようだ。
■ アルト To:リファ&シェル
すまないね、助かったよ。
よし……んじゃシェル、さっそく行くとしようか。


オランの街  アイザ・レントの家

■ アイザ To:シェル
どうかしたの、エルフのお兄ちゃん?

■ シェル To:アイザ
あ、ボクのこと覚えててくれたんだね(^^)
え〜とね、実はレント君にちょっと頼みがあってきたんだ。
レント君はいる?

■ アイザ To:シェル
レント? うん、ちょっと待っててね。

 奧に声を掛けると、レントがぱたぱたと走ってきた。
■ レント To:シェル
なぁに?

■ シェル To:レント
呼び出しちゃってゴメンね。(^^;;)
実はレント君にちょっと頼みがあるんだけど、いい?

■ レント To:シェル
いいよ。

 無責任に承諾するレント。
■ アルト To:シェル
お、頼もしい返事だねぇレント坊。
よしよし、やっぱ男はそうでなくっちゃ(^^)

■ シェル To:レント
え〜とさ、この前ボクがいろいろ話を聞きに来たときに、レント君、『ぴっかり君』っていうカンテラ見せてくれたよね。
あれをちょっとの間、ボクに貸してくれない?

■ レント To:シェル
……ダメだよ! あれはアニエスちゃんからもらったんだから。
ボクんなんだから、ダメ!

■ アルト To:レント
こら……さっきいいって言っただろう(--;;

 子供の言うことは、理屈では無い。
■ レント To:アルト
でもぉ……ダメなものはダメなの!

■ アルト To:レント
一度言った約束を守らないと……夜中に枕の中から5人のマナ・ライが出てきて、魔法で舌を引っこ抜かれるんだよ。
そう親父やお袋さんから教えてもらわなかったのかい?

 この一言だけでも、バース(アルトの師匠)の苦労が容易に想像できる。
■ シェル To:レント
……レント君、よく聞いてね?
ボクが『ぴっかり君』を貸りたいのは、そのアニエスちゃんのためなんだ。
レント君と約束したとおり、ボクらはアニエスちゃんをちゃんと見つけたんだけど、アニエスちゃんは悪い人に捕まってたんだよ。
その悪い人からアニエスちゃんを助けるのに、『ぴっかり君』を使わなくちゃいけないんだ。
ボクらもなんとかしてアニエスちゃんを助けたいんだよ。
……もう一度考えてみてくれない?
明日には必ず返すから。

■ アイザ To:シェル
アニエスちゃんが!?
ほら、レント!

■ レント To:シェル
……ほんとうにかえしてくれる? ぜったいこわさない?

■ アルト To:レント
もちろん、ちゃんと返すよ(^^)
絶対に壊さな……いように、努力もするからさ。
貸してくれるかい?

■ シェル To:レント
うん、必ず返すよ。

■ レント To:シェル
……分かった。アニエスちゃんのためだもんね。
ボクもがまんする!

■シェル To:レント
ありがとう。
アニエスちゃんは必ずボクらが助けるからね。

■ アルト To:レント
よし。よく言ったね、レント坊。
これでもう今晩は、マナ・ライも諦めて出てきやしないさ。
……で、こいつはどうやって使えばいいんだい?

■ レント To:アルト
うんとね、ここをね……。

 原理は分からなくとも、使い方は単純らしい。
 レントの説明でも、十分に使い方は分かった。
■ アルト To:レント
なるほど……よし、ありがとさん。
んじゃ、これは借りてくよ。

 『ぴっかり君』を受け取ると、二人はレントに手を振りつつ家を後にした。

オランの街  リトナル商会

■ フェリオ To:バートン
ちぃわ〜っす(^^)
バートンさんいますか〜?

■ バートン To:フェリオ
また来たのか。
どうした?

■ フェリオ To:バートン
実はっすね、色々と対策を練った結果、一応っすけど対処法が見つかった感じなんすよ。
そんでまぁその準備の為にバートンさんとこの品物を少し貸して欲しいなぁ〜って思ってんすけど……いいっすか?

■ バートン To:フェリオ
何か役に立つもの……。
……そうだな、この剣なんかどうだ? 刺すとほら、剣先が縮んでケパの実の汁が出るんだ。
この精巧な仕掛け……ドワーフの巧みの技が活きてるだろう?

 剣をあてたバートンの指には、なにか血の様な赤い汁がついていた。
■ フェリオ To:バートン
へぇ!! こりゃすごいなぁ……マジックに持ってこいっすよ。
ってそうじゃなくてさ〜、なんか……相手をビックリさせたり威嚇したりするような物ないっすか? 大型とりもちとか……。

■ バートン To:フェリオ
それなら、これはどうだ?

 出してきたのは、小型の家のようにも見える犬小屋程度の箱。
■ バートン To:フェリオ
床にトリモチが仕込んであってな。
この中にはいると床にくっついて出て来れないって寸法だ。

■ フェリオ To:バートン
ふむふむ……これいいかもなぁ……もうちょっと大きいのありません?
具体的には……そうっすねぇ……10メートル四方くらいのサイズのやつ持ってませんか?

■ バートン To:フェリオ
有るにはあるが……。

 バートンは、奧に引っ込むとなにやら物色し始めたが、しばらくすると、差し渡し5mほどの板を一枚持って出てきた。
■ バートン To:フェリオ
ほれ、これが入り口の片方。しっかり持ってろよ。

 板をフェリオの渡すと、また奧へ。
■ フェリオ To:バートン&リュース
はぁ……持ってろと言われても……ちょっと大きすぎるかなぁ、やっぱ?

お〜い、リュース、とりあえず手伝ってくれよ〜。


■ リュース To:フェリオ
何だ? ……うへぇ、なんじゃこりゃ?
お〜い、こんなもん持ってくつもりかよぉ……。

 呆れ顔のリュースをよそに、バートンが二枚目の板を持って現れた。
■ バートン To:フェリオ
ほらよ、これが入り口の片割れ。

■ フェリオ To:リュース
なぁ……これを使って戦おうと思うんだけど……どう思う?

■ リュース To:フェリオ
……これで殴りかかろうっていうのか?

■ フェリオ To:リュース
え〜っと……主に足止めに使おうかなぁ〜なんて思ってるから殴るのもありだけど……使えないと思うか?

■ リュース To:フェリオ
……悪い事は言わねえ。
やめとけ
第一、どうやってあそこまで運ぶ気だ?

 それよりも前に、どうやってこの中に入ってもらうのか?
■ フェリオ To:リュース
そ、そうか……止めといた方が良いか……。

 三度、板を抱えてバートンが現れた。
■ バートン To:フェリオ
ふう、これが側面……向かって右だな。

■ フェリオ To:バートン
あ〜……えっと、バートンさん?
実はこの板は色んな意味で凄すぎてアニエスちゃんにまで危害が加わる可能性があるってんでボツになりました……。

代わりになんかありません?(^-^;;


■ バートン To:フェリオ
……。

 恨めしそうにフェリオを見、ついで板に視線を落とす。
■ バートン To:フェリオ
また、これをしまうのか……。

■ フェリオ To:バートン
あ、いや……手伝いますよ(^-^;;
ほらリュース、一緒に運ぶぞ〜。

ところで……何かボーラの様に危害を加えずに足止めが出来そうなモノってないっすか?


 リュースは、「俺がぁ?」と言った顔をしながら手伝う。
■ バートン To:フェリオ
ボーラみたいなもの? ボーラじゃまずいのか?
なら、武器店に行って買ってくればすむだろ?
! おい、そっち側、ちゃんと持てぇ!

■ フェリオ To:バートン
あぁっとぉ!! う〜、重いぃ……。
大体こんなサイズの物何処にしまってたんすか……。
それに、もしかしたらボーラ以上に優れた商品があるかもしれないな〜って期待しながら来たんすよ〜。

■ バートン To:フェリオ
……うちは、基本的に骨董屋だぞ?

■ フェリオ To:バートン
あうぅ……あるかな〜? って思っただけですよ〜。
実はお金がなくてボーラも買えないんで何か役に立つ物を……と思って来てみたんですが……仕方ないっすね……とにかく全力で頑張ります。
お邪魔しました〜〜…………(T_T)

■ バートン To:フェリオ
何かしらんが、気をしっかり持てよ……。

 肩を落とし、哀愁を漂わせつつ去っていくフェリオ。
 その背中を見送り、バートンは重要なことに気がついた。
■ バートン To:フェリオ
一枚しか片づけて行かなかったな!


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