勝利を祈る酒宴
スラム 倉庫の前 |
時間は、少し遡る。
アルト達が学院で調べ物をしている頃、ヴァーンとパオルは例の倉庫に見張りをするために到着した。
倉庫は、未だ闇に閉ざされていた。
外から見た限りでは、先程と変わりはないように思えた。
倉庫の近くには、しかし、リュースの姿は見当たらない。
■ ヴァーン To:パオル |
ん〜、リュ―スの野郎は…………まだ女のところで油売ってやがんのかな。いねぇじゃねぇか。せっかく、心配してきてやったのによ。 |
■ パオル To:ヴァーン |
(=●^0^●=)バグバク、(=●^0^●=)モグモグ。 まぁまぁヴァーンさん。(=●^0^●=)バグバク、とりあえず……(=●^0^●=)モグモグ、これでも食べて落ち着いて下さいよ。 |
そう言って突きだしたのは、途中に屋台で買ってきた豚の丸焼き肉の塊。
ちなみに今パオルが食べているのは豚の頭である。
■ パオル To:ヴァーン |
(=●^0^●=)バグバク、(=●^0^●=)モグモグ。 いやぁ〜、この……耳がなかなか……。歯ごたえがあって美味しいですよ。 |
■ ヴァーン To:パオル |
(=●-0-●=)ガツガツ、(=●-0-●=)モグモグ。 ほほう、なかなかいけんなぁ、コイツは。しっかしパオル、その鼻とか耳とかホントうまいのかい? 普通は食べねぇと思うぜ?! そんなところまで(にやにや |
■ パオル To:ヴァーン |
ふぁい?(=●^0^●=)バグバク。だぃひょーふでふよ。 ……ヴァーンさんには後で尻尾をあげますからね。 ちゃんと食べて下さいよ。あ、この鼻のとこなんかもどーですか? |
ヴァーンの顔の前に、豚の頭(鼻)を突きつけた。と、そのとき。通りの向こうにリュースが顔を出した。
パオルの気配に気付くと、すすっと足音もたてずに近寄ってきた。
■ リュース To:ヴァーン |
おっとすまねえな、兄弟。 まさか、ヴァーンの方が先に来てるとは、面目ねえ(^^;; 中の様子はどうだ? まだ中にいそうか? |
■ パオル To:リュース |
(=●^0^●=)モグモグ。こぅんにぃひわ〜。(ごっくん!) リュースさんも一つどうですか? |
差し出したのは豚足。
■ リュース To:パオル |
お、こりゃあ、うまそうだ! ありがとうよ。 |
■ ヴァーン To:リュ―ス |
へへっ、お楽しみだったのかい? えらく遅いじゃねぇか、ええっ? リュ―スさんよぉ(にやり まっ、俺たちも今ついたところだ、中の様子を探るのはこれからさ。 手を貸してくれよ、兄弟。あんたの腕も頼りにしてるんだぜ? |
■ リュース To:ヴァーン |
とんでもねえ。見てくれよ、この痣! 帰ったら、いきなりこれもんよ。 |
握り拳で、殴るジェスチャー。
見ると、右目の辺りが少しはれていた。
■ パオル To:独り言 |
うわ〜……女の人って恐いなぁ〜。 |
■ リュース To:ヴァーン |
で、俺は何をすればいい? |
■ ヴァーン To:パオル & リュース |
おうおう、お熱いじゃねぇか、ええっ?(にやにや っと、オノロケは今度ゆっくり聞かせてもらうとしてよ、とりあえずは中の様子をもういっぺん探ってみようと思うんだがどうかな。もちろん俺とリュース、二人でだ。パオルには邪魔がはいらねぇように見張っててもらう。どうだ? |
■ リュース To:ヴァーン |
これがノロケに見えるか? まあ、いいや。いっちょ、俺の腕前見せてやるぜ。 |
先程の戦闘を思い出し、緊迫した面持ちで聞き耳を立てる二人。
一方、そんな二人を隣の倉庫の影から見つめながら、
■ パオル |
(=●^0^●=)バグバク、(=●^0^●=)モグモグ。 くぅ〜美味しいぃなぁ〜……。 |
食事中は嫌なことは思い出さないのか、緊張の欠片もなく肉塊にかぶりついている者もいる……。中の様子をうかがうと、どうやらまだアニエス達は中にいるようである。
■ ヴァーン To:リュース(小声で) |
ん〜、どうやらまだ中には居るみてぇだな。ま、それだけわかれば上等だよな、うん。 よっしゃ、引き揚げるぜ?! ヘ(-.-ヘ;)... |
■ リュース To:ヴァーン |
OK……。 |
気配を絶ち、周囲を警戒しながら二人はパオルの元へ戻った。
■ パオル To:ヴァーン、リュース |
(=●^0^●=)モグモグ。ふぅ……ごちそうさまでした。 で、どーでしたか? あ、ちゃんとヴァーンさんも分も残してますよ。ハイ。 |
今回差し出したのは、豚の尻尾。
■ パオル To:ヴァーン |
何でも古来より、豚の尻尾は勇気の証らしいですよ。 あれ? ネズミの尻尾かな? 確か、ウサギが幸運だったし……。 あれれ?ま、いっか! |
■ ヴァーン To:パオル & リュース |
ありがとよ(-_-;) 豚の尻尾じゃねぇことだけは確かだよな、きっと…… さてと、敵はまだ倉庫の中だてことは確認できたわけだけどよ、これ以上動きようがねぇよな、俺たちだけじゃ。すまねぇが兄弟、ひとっぱしり使いに行ってもらえねぇかい? 他の連中は三角塔に行ってるはずだからよ。俺とパオルが見張りに残ってるって伝えてほしいんだ。 (女が待ってる奴を危ない目にはあわせらんねぇからな。見張り番なんかさせらんねぇぜ……) パオルは俺と一緒に見張り番だ。かまわねぇよな? |
豚の尻尾を嫌そうにつまんだまま、リュースに依頼する。
■ リュース To:ヴァーン |
ああ、構わないぜ。 それと……そいつ、くわねーのかい? なら、俺がもらっとくぜ。 じゃあ、あとでな! |
言うが早いか、ブタの尻尾を掴むと、そのまま走り去った。
■ ヴァーン To:パオル |
せっかちな野郎だな、あいつは。(笑) ところでよ、パオル、前から気になってたんだけど、そのヴァーンさんってのヤメにしてくんねぇかな。呼び捨てでかまわねぇんだぜ? |
■ パオル To:ヴァーン |
あーあ、持ってかれちゃった……。 魚の尾の部分は美味しいでしょ? とすると豚のも結構いけるかもしれないのに……。 え? 呼び捨てですか……。うーん……ヴァーンさんはヴァーンさんだし、ジョージさんもジョージさんでしょ? 何か変です? |
■ ヴァーン To:パオル |
だってよ、俺もオメェもたいして年もちがわねぇんだぜ。オメェにサン付けで呼ばれたら、なんかこっちもパオルって呼びづれぇじゃねぇか? だいたいダチ公と思ってる奴にサン付けで呼ばれるってのもなんかよ……まあ、無理にとはいわねぇよ。 |
と、肩をすくめ、酒を取り出して一口ぐいっと飲み干した。
■ パオル To:ヴァーン |
さてと……見張りを続けますか・・・。 ところでヴァーンさん……じゃなくて、ヴァーン…………さん。 えっと……倉庫内で最後に破壊の魔法を使われた時ですけど……。 あの時、ボクらに直撃しなかったって事はアニエスさんの心はまだ残ってるって事ですよね? 今度はボクらが彼女を助けてあげないと…………でもできるのかな……。 |
■ ヴァーン To:パオル |
できるかな……じゃなくて、助けてやる、だろ。アニエスちゃんの心が残ってんなら、きっとなにか方法があるはずさ。とっついてる化け物をなんとかしてさ。 まえのレイチェルお嬢ちゃんの時(#18)だって、かなりやばかったけどさ、なんとかなったじゃねぇか。大丈夫さ。 ……オメェも意外に弱気なトコがあるよなぁ、そのたいした食いっぷりに似合わずよ。(にやにや |
■ パオル To:ヴァーン |
……そう……ですね、かならず助ける。……ですよね。 できるできないじゃなくて、これはやらなきゃならないんだ……。 かならず……やり遂げなくちゃ……。 |
■ ヴァーン To:パオル |
はは、その意気だ。ほれ、パオルも飲むかい? |
と、酒袋(in サラマンダラテル)を差し出した。
■ パオル To:ヴァーン |
はい? 飲み物ですか? 丁度、咽が乾いてたんですよ。……頂きます。 |
ヴァーンから、素直に酒袋を受け取って飲むパオル。
■ パオル To:ヴァーン |
うぶっ!! な、何ですか……コレ? キツイ飲み物ですね。ヴァーン……さんはいつもこんなにキツイの飲んでるのか……。 |
■ ヴァーン To:パオル |
ククッ、そうかい、そんなにキツイかねぇ〜? これくらい水みてぇなもんだろ? |
と、笑いをかみ殺しつつ、平然ともう一口飲んで見せる。
■ ヴァーン To:パオル |
へへ、こいつは『サラマンダラテル』ってんだがよ、俺の故郷の村じゃな、こいつを飲み干せるようになったら一人前の男って認められるんだ。ほれ、もう一口どうだい? |
■ パオル To:ヴァーン |
…………ふむ。(ーー それを飲めば、一人前の男として認められるんですね? それじゃあ飲んでみせますよ! |
そう言うと、ヴァーンから酒袋を受け取り、残りの『サラマンダラテル』を一気に飲みはじめた。
■ ヴァーン To:パオル |
おうおう、たいした飲みっぷりだなぁ、ええぇ? さっすが、パオルだ、ははは。でもまあ、あんまし無理すんなよ、これから大仕事が控えてんだからよ、なっ?! |