あの箱は?
スラム 倉庫の前 |
這々の体で、全員がようやく倉庫から脱出できた。
暗闇に慣れた目に、光が眩しい。
■ 仮面ラーダ |
うわっ……眩し……って、
ああっ! マ……マスクが……しまった! とりあえずラーダッシュ! |
最後のアニエスの呪文で、マスクの一部が破損したらしい。
壊れた部分を隠して、仮面ラーダは走り去った。
■ リュース To:おおる、ヴァーン |
なんだありゃ? っと、そんな場合じゃねーやな。さっさと逃げようぜ、兄弟! |
オランの街 スラム |
■ パオル To:その場にいる人 |
はぁはぁ……、とりあえずは助かりましたね……。 フェリオさんの傷の具合はどうですか? 困った事にジョージさんがいないし……。 ま、まさか……まだあの倉庫付近にいるんじゃ!? |
■ フェリオ To:パオル |
ちっと……大丈夫じゃねえな……。 痛みが全くなくならねえ……相当な威力の魔法だぜ……こりゃぁ……。 そーいやリーダーは何処に居たんだ? この傷は俺じゃ癒しきれねえから出来ればリーダーに癒してもらいてぇんだけどよ……。 ……間に合えば、だけどな……。 |
賭け。アニエスがそう言っていた呪文は、未だフェリオの体を蝕んでいた。
■ アルト To:フェリオ&パオル |
リーダーも、私が中に入るまでは、確かに一緒にいたんだけど……。 ……まいったねぇ……。何とかしてやりたいけど、生憎神様に知り合いはいなくてさ。 っと、そうだ! さっきの、あの仮面何とかっていう男。あの男なら、どうにか出来るんじゃないかい? よし。まだそう遠くへは行ってないだろうし、ちょいとその辺を探してくるよ。 |
言うが早いか、その辺を探しに走り出した。
スラム 倉庫の側 |
アルトが先程の倉庫の近くに来たとき、ちょうどジョージがその隣の倉庫から出てくるところだった。
何故か、呪文によるものと思われる痛々しい怪我をして……。
■ ジョージ To:アルト |
(……あいたたた……酷い目に遭いましたね……) ……アルトさんじゃないですか、どうかしたのですか? 血相変えて……。 |
■ アルト To:ジョージ |
リーダー!? どうしたんだい、こんな倉庫で。しかも、そんなボロボロになって? ……と、それよりも……。 フェリオが今大変なんだよ。詳しくは後から説明するから、急いで一緒に来てもらえるかい。 |
■ ジョージ To:アルト |
……これは……その……そ、そう! 急に屋根が爆発いたしまして……。 なんと!? フェリオ君がどうかしたのですか? それは一大事ですね。すぐ向かいましょう。 |
■ アルト To:ジョージ |
屋根? んなとこで一体何を……。 ……ん! あぁ、なるほど!状況が劣勢だったんで、上から奇襲をかけようとしてたって訳だね。 さすがはリーダー、あの状況下でそこまで気が回るとはねぇ……。 さ、フェリオはこっちだよ。かなり辛そうなんで、ひとつすぐに治療を頼むよ。 |
オランの街 スラム |
■ アルト To:ALL |
みんな、リーダーを連れてきたよ! |
■ シェル To:ジョージ |
あ、ジョージさん、どこ行ってたの? せっかく、ラーダ仮面さんが助けに来てくれてたのに〜。 すごく、カッコよかった〜♪ また、会いたいな♪ |
噂のラーダ仮面に会えた事が、よほど嬉しかったのだろう。
■ ジョージ To:シェル |
そうですか……。また、私は会えませんでしたね……。 私とはあまり縁がないのでしょうか。 |
■ フェリオ To:ジョージ |
あぁ……リーダーか……すまねえな、ちょっときついのもらっちまってよ(--;; |
■ ジョージ To:フェリオ |
…………確かに……今にも死にそうな顔色ですね……。 ちょっと待って下さい……。 神聖語: (大いなる知識の神ラーダよ……彼の者に生命の奇跡顕わしたまえ!) |
直接呪文を解除するわけではなく、フェリオに力を与えて耐えきらせようと言うことらしい。
しばらくすると、ようやく呪文の効果が切れたのか、フェリオの呼吸が楽になった。
■ ジョージ To:フェリオ&おおる |
……まあこれでしばらくは大丈夫でしょう……。 皆さんもかなり疲労しているようですね…………。 とりあえずは場所を移りませんか? |
■ フェリオ To:ジョージ |
ふぅ……ありがとよ、リーダー(^^) ってなんだよ!? あんたも怪我してんじゃねえかよ? 暗かったし俺は途中で目が見えなくなっちまったけど……リーダーも一緒に戦ってたんだなぁ……気付かなかったぜ(^^;; ま、それはさておき……リーダーの言う通り、適当に休めそうな場所見つけようぜ? ……リュースには聞きたいこともあるしな? |
■シェル To:フェリオ&ジョージ |
うん。とりあえず休もうよ。疲れちゃった。 それにしても、神様の力……神聖魔法だっけ? ……ってすごいね。あれだけの怪我が治っちゃうんだもんね。 そういえば、フェリオはラーダ仮面さんに目を治してもらってたよね。あれも神聖魔法だったの? |
■ ジョージ To:シェル、フェリオ |
ほとんどの生物を創造したのは神々ですからね……。 まあ、私程度の信仰ではたいしたことは出来ませんが……。 ほう……なるほど、そんなことがあったのですか。 道々、中での事をお聞かせいただけませんか? |
■ フェリオ To:シェル&ジョージ |
ああ、あいつが使ったのも神聖魔法だよ、しかも俺にはまだ使えない魔法だ。 あいつもジョージと同じくらいかそれ以上の実力を持ってんじゃねえか?
そーいやリーダーは途中まで外に居たんだったな。 |
なるべく先程の倉庫から離れるべく、一行は疲れた体を起こし、歩き出した。
オランの街 スラムのはずれ |
■ パオル To:リュース |
さてと……それじゃあ詳しい事を聞かせてもらえますか。 一体、貴方はあの倉庫で何をしてたんですか? それに子供が次々と行方不明になってたけど、それは貴方の仕業何ですか? いや! そんな事よりも……さっきのアレは何なのですか? |
珍しく声を荒げて、リュースを問い詰めるパオル。
■ リュース To:パオル |
おいおい、そんなおっかない顔で睨むなよ。 俺はヒガイシャだぜ? ……わーったよ。全部はなしゃ良いんだろ? |
パオルの迫力に押され、リュースは両手をあげ、観念したように話し出した。
■ リュース To:おおる |
あの箱はよぉ、この前の仕事でちょっと手に入れた物でよ。 それを手に、ヤサへ帰ろうとしてたらよぉ、いきなりあのガキにがつんさ。 訳もわからねーうちに、あの倉庫へ連れ込まれて、そしたら兄弟達が助けてくれたってわけ。俺が知ってるのはこれぐらいだぜ? |
■ フェリオ To:リュース |
ちょっと待てよ。 箱だけか? アニエス……っとあの魔法を使った女の子がつけてたネックレスもお前が盗んだんじゃないのか? |
■ リュース To:フェリオ |
盗んだたぁ人聞きの悪い! 務めを果たしたって言ってくれよ。 それに、あのネックレスは最初からあのガキがしてたもんだ。 俺は知らねーな。 |
■ フェリオ To:リュース |
ハン! 務めを果たしただと? 盗人が偉そうな事を言うな……。 チャ・ザの神官としては盗人は官憲に突き出すべきなんだがな。 今は時間がないから情報が欲しい……ちゃんと協力してくれたら見逃してやっても良いぜ?(ジョージ達がこいつを見つけてくれってケイトとか言う女性に頼まれたらしいしな)
で、もう一回聞くぞ? |
■ ヴァーン To:フェリオ |
おいおい…………。 |
■ アルト To:フェリオ&リュース |
フェリオ……つい焦るのは仕方がないけど、そう喧嘩腰になるもんじゃないよ。 まぁ、危うく死にかけたんだし、気持ちは分かるけどさ……。
えーと、あんた、リュースとか言ったっけ? |
■ リュース To:フェリオ |
だから、本当にネックレスなんてしらねーってーの! それに、店を教えて、そこに突き出されたりするのはごめんだぜ。 |
とは言ったものの、取り囲む剣呑な視線は、それを許してはくれないようだ。
■ リュース To:ヴァーン |
……なあ、兄弟、同じギルドの仲じゃねーか、見逃してくれよ……。 見逃してくれるんなら、兄弟だけにゃあこっそり出所を教えても良いぜ |
■ ヴァーン To:リュース |
だったら、あらいざらい話してもらわねぇとな。 安心しな。おめぇさんには俺と一緒にギルドに行ってもらわなきゃならねぇんだ、官憲に突き出すようことにはさせねぇよ。 |
■ リュース To:ヴァーン |
たのむぜ? そう言うことなら、店のことも話してもいいぜ。 |
■ シェル To:リュース |
リュースさんが最初にあの箱を持ってたんでしょ? なら、箱の中身が何か知ってるの? もし、知ってるなら教えてくれない? |
■ リュース To:シェル |
最初から空だったぜ? まあ、細工も見事だし、箱その物にもに価値がありそうと踏んだんだが、飛んだ災難だったなぁ。 |
■ アルト To:リュース |
中身を知ってるって事は、一度は開けてみたって事だね。 その箱には最初、鍵とかはかかってなかったのかい? |
■ リュース To:アルト |
ああ。俺が手に入れたときから、鍵なんか閉まってなかったぜ? そもそも、あの箱にゃ鍵穴すらなかったぞ。 |
■ アルト To:リュース |
へぇ……? ってことは、何かを封印する道具ってわけでもなさそうだね。 魔法の品には違いないはずなんだけど……良く分からないねぇ。 |
かるく首を傾げ、考え込むアルト。
■シェル To:アルト |
ねえ、アルトさん、その箱がどんな魔力を持ってるか、アルトさんの魔法でわからないの? |
■ アルト To:シェル |
魔法で? んー……確かにそういう魔法も、無くはないけど……。 残念ながら、今の私じゃちょいとまだ役者不足だねぇ。 どっちかっていうと、そっち方面はシェルのが得意分野なんじゃないかい? |
■シェル To:アルト |
う〜ん、ボクが分かるのは精霊の力だけだもん。 箱に精霊……例えば、シルフやウンディーネが閉じ込められてるんなら分かるんだけどね… 倉庫で戦った時も、アニエスちゃんとペンダントには精霊の力を感じたけど、箱には感じなかったんだ。 |
ちょっと肩をすくめながら、そう言った。
■ アルト To:シェル |
それだけでも、大したもんだよ。 ……でも、そうなるとますます箱の正体が気になるねぇ? ま、それも出所さえ分かれば何とか調べることが出来るだろうし……。 後は誰かさんの情報次第、ってとこだね。 |
アルトも、ちらっとリュースの方を見ると、同じく肩をすくめて苦笑い。
■ ジョージ To:リュース |
(いままで黙って聞いてたけど口を挟みたくなったらしい。) 失礼。 少しお伺いしてもよろしいでしょうか? 貴方が襲われたのはいつ頃だったか覚えてらっしゃいますか? それと、貴方があの倉庫に連れてこられたときから子供達はおかしかったのですか? …………あと、子供達と倉庫内で何を話したかも伺いたいのですが? |
■ リュース To:ジョージ |
何時かだって? ……確か、一昨日の夜だな。 さっきも言ったろ? 一仕事終えてヤサへ帰る途中、いきなりあのガキが目の前に現れてよぉ、魔法か何かか? 急に眠くなっちまって、目が覚めたら倉庫に転がされてたのさ。 最初は同業者の仕業かとも思ったけど、どうやらそうじゃないらしくってよ。 何故かしらねーけど、あの箱がたいそうお気に入りの様だったぜ。 ふぅ、のどが渇いてしょーがねーや。だれか、酒は持ってないかい? |
■ ヴァーン To:リュース |
ほらよ、飲みな。 |
酒袋を取り出して、リュースに投げてやる。
■ リュース To:おおる |
ありがてえや。これがなきゃ、何のための人生かわからねーからな。 あのガキ共との会話って言ったって、話してたのはあのネックレスをしたガキだけだったな。他のガキ共は黙りこくったままでよぉ、気味悪いったりゃありゃしねえ。 ……そういえば、あのガキ、封印がどうとか、もっと力の出せる体がどうとか、そんなことを言ってたな。 |
■ フェリオ To:おおる |
箱…………ネックレス…………封印…………力…………う〜ん……なんか繋がったような繋がってないような…………。 ま、現時点でわかった事はアニエスもどきはネックレスでアニエスを操っているらしいって事、それから箱を大事にしているって事、あと何かの封印がなされていた事、更にもっと力が出せるって事……こんくらいか? ま、封印についてはまだ継続中なのかもしれねえけど……。
でもヤバイぜ、もっと力が出せるようになっちまったら俺達じゃどうしようもなくなる……今夜にもリベンジしねえとな。 |
■ アルト To:フェリオ |
でも、リベンジったって正統法でぶつかったんじゃ、またさっきの二の舞だからねぇ……。 どういう仕組みか知らないけど、仲間全員があの子供達みたいになるのはぞっとしないよ。 加えて、こっちは下手に攻撃も出来ないときてる。 何か弱点でも見つけないことには、悔しいけど相手にならないね……。 |
■ フェリオ To:アルト&リュース |
そりゃそうだけど……あんまし時間を置くのもまずいだろ? あいつが何人もああいう風に出来るとしたら……大変だぜ。 ……そーいや、リュースよぉ、何でお前は子供達やディランみてーにされなかったんだ? |
■ リュース To:フェリオ |
そればっかりは、俺にもわからねえなぁ。 あのペンダントに、あんな力があるって言うのだって、さっきのディランの旦那を見て初めて知ったぐらいだからな。 くわばらくわばら。ガキの気まぐれに感謝しろって事かな? |
■ フェリオ To:リュース |
気まぐれに感謝ねぇ……。 どうせ感謝するんだったらお前さんに幸運を授けたチャ・ザに感謝するんだな。 |
■ リュース To:フェリオ |
助けてくれるんなら、何にだって感謝するぜ? でもよぉ、チャ=ザさんは、盗人にゃあ加護はくれねぇんじゃねーか?(にやり) |
■ フェリオ To:リュース |
確かに盗賊にゃぁ加護はくれねえだろう……けどな、待ってる人を悲しませない為にならチャ・ザは力を貸してくれるのさ。 でも、チャ・ザの加護がいらねえんだったらはっきり言えよ……。 今すぐ後悔させてやるぜ? |
■ リュース To:フェリオ |
ちょいと待ちなよ、兄さん。 さっきも言ったろ? 助けてくれたんなら、文句はねーよ。 ホント、感謝してますって。マジでしぬかと思ったからな。 |
■ フェリオ To:リュース |
わかりゃい〜んだよ(^-^) まぁ、これを機に盗賊を辞めてチャ・ザを信仰して真っ当に働くってのも良いと思うぞ。 そうすりゃこんな事に巻き込まれる事もなくなるだろうしな。 |
■ リュース To:フェリオ |
そうは言ってもなぁ……。 すっかりこの稼業にそまっちまったからな。 |
■ ヴァーン To:リュース |
そうだよな、一度染まっちまったらなかなか抜けらんねぇのが俺達の稼業……でもな、ホントにやばぇ裏稼業ばかりじゃなくてよ、俺みてぇに自慢の腕の生かし方を考え直すってのも無駄じゃねぇと思うぜ。 こいつら――と、パーティーの面々を指し示して――みてぇな連中と組んでよ、便利屋稼業ってのも悪かねぇもんだ。 |
と、リュースから酒袋を受け取って、口に運ぶ。
■ フェリオ To:リュース |
そうそう、問題は力の使い方だよな。 盗賊の技術だって使い方によっちゃ人を助ける事が出来るんだ。お前だって表通りを胸を張って歩けるような生き方をしたいって思った事……あるだろ? お前と同じ技術を持ってるヴァーンにはそれが出来るんだぜ? そりゃあヴァーンは裏の舞台で活躍する事だって多いけどな……少なくとも俺はヴァーンの事をおてんと様を正面から受けて立派に表道を歩ける奴だと思ってる。 だからお前にだってきっと出来る、そんな生き方がさ。(^-^) |
■ リュース To:フェリオ |
(でも、そうは言ったって、俺達が居なきゃ冒険者稼業も上手くいかねーだろうが……。 ギルドに世話になったことがないとは言わせねーぞ?) そうかもな。でもまあ、今の生き方がそこまで嫌な訳じゃないからな。 気が変わったら、その時は世話になるさ。 |
■ フェリオ To:リュース |
おう、気が変わったらいつでも来いよ、歓迎するぜ(^^)
……それから一つ言っとくけどよ……。 |
リュースは、苦笑いするしかなかった。
■ ジョージ To:リュース&おおる |
それにしても、一昨日の夜ですと貴方が襲われた時には、すでに犠牲者は出ていたことになりますね。 箱とペンダントの力は関係ないのでしょうか……。 ペンダントは最初からアニエス嬢が持っていたとなると、バートンさんの所から持ち出した可能性が高いですね。 まずは、報告も兼ねてリトナル商会に戻りましょう。 |
■ パオル To:ジョージ、ALL |
そーですね。とりあえず一度報告してからの方が良いですよね。 じゃ、行きますか……。 (それにしても、今のままじゃ勝算なんて無いよね。なんて無力なんだ……剣の力じゃどーすることもできないよ…………) |
目的地が決まり、一行はリトナル商会へと向かった。
■ ジョージ To:リュース |
ああ、そうそう……貴方、リュースさんで間違いありませんね? ケイトさんから伝言を引き受けたのですが………。 『さっさと帰ってこい、このろくでなし』だそうです。 ちゃんと聞こえましたか? 念のためもう一度言います。 『さっさと帰ってこい、このろくでなし』 |
■ リュース To:ジョージ |
……なんだそりゃ? ……ケイトめ、つまらねーこと頼みやがって。 |
■ジョージ To:リュース |
まあ、心配してくれる方がいらっしゃるのはいい事ではありませんか。 早いうちに帰るなり、連絡をするなりして、安心させてあげて下さい。 |
■ ヴァーン To:リュース |
へへっ、ケイトってのはおめぇさんのコレかい? ――と、指で卑猥な仕草をして見せてから、リュースの耳元に口を寄せて―― おい、店の名前、ちゃんと教えろよ?! |
■ リュース To:ヴァーン |
まぁな。兄弟にも、今度紹介してやるよ。 安心しとけって。命の恩人との約束だ。しっかり守るぜ? こう見えても、義理だけは欠かした事無いんだぜ。 |