謎の仮面神官登場
オランの街 屋台のリンゴ売り |
街は、午後の活気に溢れていた。
ベントの家へと向かうフェリオの目に、山と積まれた真っ赤なリンゴが飛び込んできた。
しげしげと眺めるフェリオに気づき、屋台のおやじが声を掛ける。
■ おやじ To:フェリオ |
お、兄ィちゃん、良い目してるね? それは、ロングフォレスト産のブルーフィールドってリンゴさ。 蜜がたっぷりで甘いのが特徴だぜ。 2個で1ガメルだ。どうする? |
■ フェリオ To:おやじ |
へえ、ブルーフィールドか……うまそうだな(^¬^) |
言うが早いか、手に取って、しゃくしゃくと食べ始めた。
■ フェリオ To:おやじ |
ん! ……もぐもぐ……こいつぁ……しゃくしゃく……んぐっ……うまいぞ! (そ〜だ、もしかしたらアニエスもお腹空かしてるかもしんねえな。 そしたら可哀相だな……よし、こいつを買ってくか。) おやっさん、こいつを……10個程貰うぜ(^^) え〜っと5ガメルか……安いもんだぜ、ほらよ。 |
当然、食べた分も含めて10個である。
オランの街 ベントの家 |
ミーシアに教えられた場所に、ベントの家はあった。
戸を叩くと、ミーシアより、少し年上の30代前半といった女性が顔を出した。
■ ジョージ To:ベントの母 |
突然の訪問失礼いたします。 一昨日からリトナル氏のお嬢さんの行方がわからなくなり、現在捜索しております。 アニエスさんはお宅のベント君やルース君と仲が良ろしかったと伺っています。 それで、ベント君ご本人からからお話を伺いたく訪問した次第です。 |
■ ベントの母 To:ジョージ |
アニエスちゃんが!? ……それは、リトナルさんも心配なさってるでしょうね。 失礼ですが、あなた方は? |
■ ジョージ To:ベントの母 |
失礼。申し遅れましたが、私、ラーダの神官でジョージ=マクドヴァルと申します。 リトナル氏からアニエス嬢の捜索を依頼されております。 |
■ ベントの母 To:ジョージ |
そうなんですか。きっとアニエスちゃんを見つけてあげて下さいね。 あの子でしたら、今日もルース君と一緒にそこら辺を走り回ってると思いますよ。 |
■ ジョージ To:ベントの母 |
その辺……ですか? もし、よろしければベント君がよく遊びに行かれる場所などお教え願えますか? |
■ ベントの母 To:ジョージ |
そうですね、いつもでしたら、前の通りかこの裏の通りか。 そうじゃなければ、川の方かしら? |
前の通りとは、リトナル商会や、リファの雑貨屋がある通り。現在は、アルト達が聞き込みを行っているはずである。
裏の通りとは、この路地を抜けた先にある。川は、その裏の通りを歩いて20分ぐらい。
■ ジョージ To:ベントの母 |
それと、奥さんも何か気づいたこととかがございましたらリトナル商会までご一報いただけると幸いです。 |
わかりました、と言う母に別れの挨拶をすると、ジョージ達は裏の通りへ向かった。どうやら、川の方へ行くつもりらしい。
オランの街 裏通りの川 |
裏の通りをしばらく行くと、川のそばで石を投げて遊んでる二人組の少年を見つけた。
ガタイの良い子と、ちょいと小太りな子。
■ フェリオ To:ジョージ&ヴァーン |
ん、あれだな。 多分ガタイの良い方がベントで小太りな方がルースだろうな。 よし、行こうぜ? |
正解。
■ ジョージ To:フェリオ&ヴァーン |
失礼。急用を思い出しましたので、先に聞き込みに行っていただけますか? でわ! |
言うが早いか、ジョージは物陰に走り去った。
■ フェリオ To:ジョージ&ヴァーン |
は? 急用って…………お、おい、ちょっと待てよ〜〜! …………あ〜あ、行っちゃった…………。 しょ〜がねえな、そんじゃヴァーン、二人で行くとしようぜ? |
■ ヴァーン To:ジョージ & フェリオ |
はぁ? ……なぁるほど……ね。(にやり |
ヴァーンには、何か心当たりがあるらしい。
■ フェリオ To:少年A&B |
よお、なかなか楽しそうだな(^^) え〜っと、君がベントでそっちがルースか? 俺はフェリオ、アニエスのお父さんの友達だ、よろしくな(^^) アニエスのボーイフレンドの君達にちょっと聞きたい事があるんだけど……いいかな? |
■ ベント To:フェリオ |
おう、俺がベントだけど……。 何か用か? 変な格好の兄ちゃん。 それに、ボーイフレンドって何だよ? あんな女かんけいないぜ。 |
■ ヴァーン To:フェリオ |
ぷっ……変な格好の兄ちゃん……いやぁ、子供ってのは正直だなぁ、おい?! |
■ フェリオ To:ベント |
変な格好とは酷えなぁ……こう見えても俺は天才マジシャンなんだぜ? ま、そりゃあ置いといて、単刀直入に用件を言おうか。 実は……アニエスが一昨日から家に戻ってないんだ。 それでおやじさんに頼まれて俺達が探してるんだよ。 ボーイフレンドじゃあないって言っても一緒に遊んだりしてるだろ? 何か知らないか? |
■ ベント To:フェリオ |
何だって? 本当か? べ、別に俺は一緒に遊んでるつもりはないけど、あいつが……。 |
どうやら、初耳らしい。
■ ルース To:ベント |
ベント、マジシャンだなんて言ってるけど、なんかこいつ怪しいよ。 そう言って、僕たちを騙そうとしてるのかも……。 |
■ ヴァーン To:ガキども |
おいおい、確かにこいつの格好は思いっきり怪しいかもしれねぇが、坊や達を騙しておれたちになんの得があるってんだい? まあ、そう警戒しなさんな。とりあえず話を…… おいっ! あれは誰だ?! |
ヴァーンが突然近くの家の屋根を指さした。
■ フェリオ To:??? |
くっ、逆光のせいでシルエットにしか見えねえ!何者だっ!? |
そこには、太陽を背にして逆光になっているためよく見えないが、確かに誰かが立っていた。
その影は、「トウッ!!」というかけ声と共に飛び降り、なにかポーズのようなものを決めた。
■ 仮面ラーダ To:子供達 |
やぁ! オレは仮面ラーダ。 今、行方不明の女の子を捜している。 君たち、アニエスちゃんという子を知っているかい? 一昨日から行方が判らないんだ。 何か知っていることがあれば教えて欲しい。 |
謎の男、仮面ラーダは、白銀色の仮面の中から、くぐもった声でそう尋ねた。
■ ヴァーン To:独り言 |
やっぱりなぁ、こんなことだろうと思ったぜ。(にやり |
■ ベント To:仮面ラーダ |
すっげー! 仮面ラーダだ! |
■ ルース To:仮面ラーダ |
ほ、本物だ! あ、握手して下さい! |
説明しよう!(富山敬風に)
仮面ラーダとは、ラーダ神の英知の光を身に纏い、邪悪なる秘密結社と闘う謎の戦士である。
最近は、ラーダ神殿にて毎週アトラクション(布教活動)を行い、若い信者獲得に励んでいた。
ベントの母親は、熱心なラーダ信者であったため、毎週の礼拝は欠かしたことが無く、その母親に連れられてラーダ神殿を訪れていたベントは、仮面ラーダに強い憧れを抱いていたのだった。
■ ヴァーン To:独り言 |
おいおい、たいした人気だなぁ。こりゃあ、仮面ラーダ……ぷぷっ……様にお任せといくかな。いや、ラクチン、ラクチン♪ |
■ 仮面ラーダ To:ルース |
今回の事件を解決するには是非とも君たちの協力が必要だ。 アニエスちゃんについて何か知っていることはないかい? |
■ ルース To:仮面ラーダ |
か、かんげきだ! |
■ ベント To:仮面ラーダ |
ずるいぞ、俺も俺も! |
二人と固い握手を交わしながら、仮面ラーダはおもむろに尋ねた。
■ フェリオ To:誰とも無しに……(笑) |
…………………………………………………………………………。 はい? …………あの人……………………誰? ってゆーか何でアニエスの事…………知ってるの? …………仮面被ってる? なんかポーズ取ってる? 呼びかけ口調? ……………………えっと、ここは何処だっけ? 俺は何してんだろ? …………俺? おれはわたし? わたしはぼく? ぼくは…………だれ? |
状況について行けずに、意識がどこか遠くへ行ってしまっている。
■ ヴァーン To:壊れかけのフェリオ |
おいっ! しっかりしな! おめぇ、知らねぇのかい? ありゃあ、正義の使者仮面ラーダ様だ。 いいかい? 下手に刺激すっと、俺達を悪の手先とみなして襲いかかってくるかもしれねぇからな。ここは、黙ってまかせとくんだ。 |
懸命に笑いを堪えながらフェリオの頬をパンパンパンと軽く叩き、そう囁いた。
■ フェリオ To:ヴァーン |
………………はっ!? す、すまねえ、後少しで逝っちまうとこだった。
それにしても……正義の死者か…………。 |
■ 仮面ラーダ To:ベント |
オレはこのオランを守らなければならない。 行方不明のアニエスちゃんを救け出さなければならないんだ。 |
■ ベント To:仮面ラーダ |
あの変な格好の兄ちゃんと同じ事言ってら。 兄ちゃんも、やっぱりうそつきじゃないんだ。仮面ラーダの友だち? |
■ 仮面ラーダ To:ベント |
ああ、同じ事件を追っているようだな。 アニエスちゃんが居なくなって心配している人はたくさんいるんだ。 アニエスちゃんのお父さんやお母さん……友達……。 君たちも誘拐や迷子には気を付けるんだぞ。 |
■ ヴァーン To:ガキども |
そうだ、俺達は影ながら仮面ラーダ様のお手伝いをしてるんだ。怪しいもんじゃね
ぇって分かったろう? さあ、仮面ラーダ様のいうことをよぉ〜っく聞くんだぜ? |
真面目くさった顔で、調子よく話を合わせて子供達に語りかける。
■ ルース To:フェリオ |
ならさぁならさぁ、本当に手品とかできるの? |
■ フェリオ To:ルース |
……………………………………………………………………………………。 え〜っと、いや、まあ出来る事は出来るけど…………後でな(^^; (と、とりあえずあの男は敵じゃない……かな?(^^; いきなり出てきた時は誘拐犯かと思ったけど……よく考えりゃ、白昼堂々と仮面を被って登場するなんて…………誘拐犯じゃなくて愉快犯だな……) |
■ ベント To:仮面ラーダ |
アニエス? 分かんないです。 別に、いつもからかって……遊んでるわけじゃないし。 |
■ 仮面ラーダ To:ベント |
なるほど。 最後にアニエスちゃんに会ったのはいつだったか覚えているかい? それと、君たちのまわりで何か最近変わったことが起きなかったか? |
■ ベント To:仮面ラーダ |
最後にあいつにあったのは、三日前かな? それと、変わったこと……うーん、何かあるかな? |
アニエスが行方不明になった、前の日である。
■ ルース To:仮面ラーダ |
……そういえば、 |
二人が必死に思いだした噂話は、
といったものだった。
- アニエスは、鶏肉が嫌いらしい。
- ルースの家に買いに来たアニエスの母親の情報。
- 真っ赤な袋を担いだ人さらいがいるらしい。
- 子供を殺して袋に入れる。その血で、白かった袋が真っ赤に染まったようだ。
- スラムには、でっかい鼠の化け物がでたらしい。
- 金色に光り輝く、体長4mになろうかというでっかい鼠がスラムに現れたが、強い冒険者が退治したらしい。
■ 仮面ラーダ To:ベント&ルース |
くっ! なんて事だ! この世界の平和を乱す悪人を放っておくわけにはいかない! 安心しろ! その人さらいは必ず見つけだしてラーダブレイクだ!! |
怒りに燃える拳を震わせ、悪の打倒を誓う。
■ ヴァーン To:ガキども |
そうだ! 仮面ラーダ様がきっと悪いヤツラを退治してくれるさ! |
■ 仮面ラーダ To:ベント&ルース |
協力ありがとう! 有効な情報が手に入ったよ。君たちのおかげだ。 大丈夫。後は必ずオレ達が解決するさ! それでは君たち、元気でな! アディオス! ラァーダッシュ!! |
■ ベント To:仮面ラーダ、ルース |
それじゃぁねぇ〜! すごかったな! 俺達も、向こうで仮面ラーダごっこしようぜ! |
全力疾走で消えた仮面ラーダに手を振ると、ベントとルースも走り去った。
そして、残されたのは二人。
■ ヴァーン To:ガキども |
坊や達も将来立派な正義の味方になって仮面ラーダ様のお手伝いができるように、今のうちからしっかり練習するんだぜぇ〜!! っておい、行っちまったぜ。ったく、最近のガキは人の話を聞きやしねぇ……(`´メ) |
■ フェリオ To:独り言 |
………………ちょっと待て…………。 オレ達が解決するってどーゆー意味だ?(^^; まさか、他にもあんな仮面の奴等(色違いとか)がいるのか? それとも俺達とあいつは協力体制、一心同体なのか?(^^; どっちにしろ面白……いや、大変な事になりそうだ(^^;; それにしてもリーダーの奴……何処行ったんだ? …………ったく、しょ〜がねえなぁ、リーダー拾ってさっさと帰るか。 |
■ ヴァーン To:フェリオ |
なあ、何を遠い目をしてブツブツ云っていんだい? まあ、世の中、深く考えねぇほうがいいことがいっぱいあるんだ、正義の味方が手をかしてくれるってんだ、それでいいじゃねぇか? ところで、ホントに仮面ラーダを知らねぇのかい? 最近、オラン中のガキどもの間でよ、人気沸騰中なんだぜ? |
と言いながらも、ヴァーンの口からは、必死に耐えても耐え切れない笑いが漏れていた。
■ フェリオ To:ヴァーン |
そ、そうなのか? ……俺も年を取ったな……。 最近の若い者の流行にはついていけねぇ(^^;; |
しばしの後、路地からひょっこりとジョージが顔を出した。
■ ジョージ To:フェリオ |
ああ、すみません。ちょっと腹の調子がおかしくて……。 もう聞き込みは終わってしまったようですね。 それでは、待ち合わせ場所に戻りましょうか……。 道すがら子供達から聞いた情報を教えていただけますか? |
■ ヴァーン To:ジョージ |
おおっ、ジョージよぉ、まったく何処へ行ってたんだい? またまた、仮面ラーダ様が現れたってのによぉ。なんか、今回も手を貸してくれるらしいぜ? ありがてぇこった。 いやあ、それにしてもよ、いつ見てもかっこいいよなぁ、仮面ラーダ様は……。 |
と、真顔でウンウンと頷いてみせる。
■ フェリオ To:ジョージ |
何だよ、トイレ行ってたのか。 そーそー、聞き込みの最中に判明したんだが、覆面をした極めて怪しい男が一応協力者として存在するらしいぞ? 確か……奇面ラーダとかゆー名前だったな……。 それから、子供達に聞いた噂話だけどな…………。 |
フェリオは、リトナル商会への帰り道、今ベント達から聞いた全部の情報をジョージに語った。
これで、ジョージも子供達の話を聞くことが出来たのだった。