「親馬鹿」改め「馬鹿親」
リトナル商会 居間 |
■ バートン To:シェル |
似顔絵ですか……私達にはあまり絵の才能はありませんから……。 そうだ、前にペリオールに描いて貰った絵があったな。 |
そう言うと、バートンは、家の奧から一枚の絵を持ってきた。
絵には、バートンとミーシアが描かれいた。
そして、その間で椅子の上にちょこんと座る女の子。栗色の柔らかそうな髪と大きな茶色の瞳をし、服装は、白いブラウスに、茶のチェックのスカート。
なかなか可愛らしい女の子だ。
■ シェル To:バートン |
この子がアニエスちゃんですか。 可愛らしいお嬢さんですね(^^) あの、このアニエスちゃんの似顔絵、描き写させてもらっても構いませんか? |
■ ヴァーン To:バートン |
じゃあ、ちょいと写させてもらうぜ? ......φ(。。) (お仕事、お仕事……) |
■ バートン To:シェル、ヴァーン |
構いません。 なるべく可愛く描い下さいね(^^) |
それでは、似顔絵の意味が無くなる……。
■ ヴァーン To:バートン |
へいへい…。 ん、待てよ、この肖像画……実物のアニエスちゃんよりエライかわいく描いてあるなんて事はねぇだろうな。 この親父のこったから「うちの娘はもっとかわいいだろ〜? んん〜?」とか云って200%ぐらい美化して描かせてたりしてな……。 |
可能性は否定できない。
■ ミーシア To:ヴァーン |
多少は、そう言うところもあるかも知れません(^^;; でも、これでも十分に用は足りると思います。 |
■ バートン To:ヴァーン |
可愛さは、これでも足りないぐらいです。 |
■ ヴァーン To:ミーシア |
おっと、聞えちまったかい。ハハハ、気にしねぇでくれ。(@-@;) (やべぇ、やべぇ、口は災いの元だね、こりゃ……) |
■ アルト To:バートン&ミーシア |
……何で娘さんの捜索を冒険者に頼もうと思ったんだい? 普通、こういう場合は街の警備隊辺りに頼むのがお約束だと思うんだけどさ。 |
もっともな疑問である。
■ ミーシア To:おおる |
ええ、そちらにも当然頼みました。 ですが、主人が……。 |
少々答えにくいらしい。
■ バートン To:おおる |
行方不明の娘の捜索を冒険者に依頼する悲しみの両親! 燃えるシチュエイションじゃないか! 大丈夫、アニエスも俺の娘だ。きっと行方不明を楽しんでいるさ! |
パコーン!
ミーシアの手にする盆が乾いた音を立てた。
バートンが、後頭部に手を当て呻く。
■ ミーシア To:おおる |
……失礼しました。 最初に主人の馬鹿な意見を聞いた時には呆れましたが、私もあなた方冒険者にも依頼した方が早くアニエスを見つけていただけると思い、賛成しました。 一刻も早く、アニエスを見つけていただけるようにお願いいたします。 |
改めて、深く頭を下げるミーシア。
■ シェル To:バートン&ミーシア |
(悲しみや不安の精霊達がたくさんいる……) (明るく振る舞ってても、やっぱり不安なんだね……) |
■ フェリオ To:バートン |
確かに燃えるシチュエイションだ! 悲しむ両親! 苦心の末探し出す冒険者!! そして感動の親子再会!!! 素晴らしい! 最高だぜ! |
■ バートン To:フェリオ |
そうだろう! 君とは気が合いそうだな! |
類は友になる。
友になったから、口調もかなりフランクになったらしい。
……ただ単に、慣れない口調に疲れただけかも知れない。
■ フェリオ To:バートン |
そっすね! 任して下さい、娘さんは必ず我々が見つけ出します! これだけ燃えるシチュエイションが他にあろうか? いや、断じてない! 例え我が身が果てようとも必ず、必ず娘さんを探し出してみせましょうぞ!! |
■ ヴァーン To:独り言 |
……。 (やれやれだな。 しっかし、いや〜な予感がしてきたぜ。 この親父の娘だからな、 「わたし、ちょっと冒険に出かけてただけなのよ」 とかいって俺たちが探してる間に、ひょっこり帰ってきたりすんじゃねぇのか。 となると、用無しの俺たちはおまんまの食い上げ……俺は破産だなぁ…… ヘ(T.Tヘ) |
前金ぐらいは払ってくれるから大丈夫だ(?)
■ アルト To:バートン |
なるほどねぇ。 ま、燃えるかどうかはともかくとして、選んだ手段には間違いなかったね。 もちろん選ばれた冒険者たちにも、さ(^^) 任せときなよ。あんたの大事な宝物は、すぐにまたその腕の中に連れて帰って来てあげるよ。 |
■ ジョージ To:バートン&ミーシア |
ご期待に添えるよう全力を尽くします。 ……そういえば、以前にも銀の網亭に依頼を持ち込まれたと聞きましたが、 差し支えなければどのような話だったか教えていただけませんか? |
■ バートン To:ジョージ |
別に構わんが。 あれは2年前だったかな? ちょいと仕入れにブラードまでいくときに、護衛を頼んだんだ。 その時仕入れた、『伝説の剣闘士ルーファス5歳の時の頭蓋骨』は、誰にも売らずにまだ仕舞ってあるぞ。 ……どうだい、特別に見せてあげようか? |
■ アルト To:バートン |
……誰だい、そりゃ……。 (5歳の時の頭蓋骨……んなもんをわざわざ護衛までつけて運ぶとは、この旦那ただもんじゃないね……(--;) |
アルトは、あのルーファスを知らないのか!?
いや、そう言う問題ではないのだが……。
■ ヴァーン To:独り言 |
…………なんじゃ、そりゃあ?? ……(-。-) ボソッ |
■ フェリオ To:バートン |
何ぃ!? あ、あの伝説の『有名人頭蓋骨シリーズ』を! 噂によればモラーナ王国が邪竜クリシュによって滅ぼされた最大の原因はクリシュの宝物だった『マナ・ライ8歳の時の頭蓋骨』を略奪した為だとか……。 そんな逸話まであるシリーズの中でも超Sランクのレア物にして世界にたった一つしかないと言われる『ルーファス5歳の時の頭蓋骨』を……。 …………は!? まさか娘さんはルーファスの頭蓋骨を狙う連中に誘拐されたのでは! |
フェリオは、ナチュラルにぼけているのか、ギャグをかましているのかが分かりづらい。
■ バートン To:フェリオ |
し、しまった! まさかそんな……しかし、まだ犯人からの要求は……。 |
フェリオの台詞に愕然とするバートン。
■ フェリオ To:バートン&自問 |
むう……未だに犯人からの要求はなしっすか……。 (とゆー事は違うのか? いやいや、可能性としては捨て切れない……。 しかし、もし俺が犯人だったら…………正面から襲撃をかけて強奪するよなぁ。 何せこの家はその筋の人間にとっては宝の山だからな……。(★_★)) …………まあ要求がない以上、対策は「頭蓋骨を何時でも用意出来る様にする!」に しましょう。 きっとそのうち必ず、犯人からの要求がありますからね。 |
(ぼそぼそ)
ミ:まぁ、本当にあんな物目当てにアニエスを誘拐したとも思えないけど。
バ:しかし、あれだけは渡すわけには……。
ミ:……娘の命とあんながらくたのどっちが重要なんです?
バ:どっちもだ!
ミ:……(--#
■ ミーシア To:フェリオ |
もし、万が一そんな要求が来たら、いくらでも渡します。 そんなことより、アニエスを……。 |
■ バートン |
うぉぉぉ、許せん! 許せんぞ! 娘も、ルーファスの骨も、どちらも渡さん! |
■ アルト To:フェリオ |
……なっ……そ、そんな凄いもんだったとは……。 知らなかったとはいえ、知識を探求する者として一生の不覚っ! …………私もまだまだだねぇ。 |
……だから違う……。
■ シェル To:バートン |
え!? ルーファスってあの伝説の!? ぜ、ぜひとも見せて下さい!! ……あ、今それどころじゃないですね……すいません(ペコッ) |
ルーファスを知っているなら、その段階で疑問を持つべきである。
■ バートン To:シェル |
こんな時だからって、何も遠慮することは……。 |
ミーシアの険しい視線に気づき、語尾が小さくなる。
■ バートン To:シェル |
そ、そうだな。 アニエスを見つけてくれたら、そのお礼に、ということで後日にな(汗) |
■ パオル |
……………………………………………………………………。(−−;; 確かに『剣聖ルーファス』の話に聞いことあるけど、5才時の頭蓋骨 って……あからさまに怪しいよね……。(ぼそ) というより、どー考えても大嘘だよ。(ぼそぼそ) |
これがもっともな意見である。
■ フェリオ To:バートン |
ちぇ…………今すぐは見せてくんないんすか…………。 だが、娘さんを見つけ出せば見せてくれるんすね? よ〜し、ますます燃えてきたぜ! |
■ ミーシア To:おおる |
お礼といえば、まだ今回の依頼の報酬をお話ししていませんでしたね。 皆さんで2000ガメルほどご用意しました。 前金は、2割が相場だとか。これでいかがでしょうか? |
冒険者側から報酬の話が出てこないため、ミーシアが切り出した。
■ ジョージ To:ミーシア |
ええ、それで充分です。 必ずや娘さんは発見いたしますので安心してお待ち下さい。 |
■ ミーシア To:ジョージ |
よろしくおねがいします。 |
■ アルト To:バートン |
あ、ところで、後からで構わないから娘さんの部屋があったら見させてもらえないかい? 何か手がかりになるような物があるかもしれないからさ。 |
良いところに気が付いた。さすが影のリーダー。
ちなみに、ジョージが真のリーダー。
パオルが、食い気のリーダー。
ヴァーンが、男気のリーダー。
シェルが、好奇のリーダー。
フェリオが、お笑いのリーダー……。
■ シェル To:バートン |
あ、すいません。 アニエスちゃんの部屋、ボクも見せてもらっていいでしょうか? |
■ フェリオ To:シェル |
シェルも二階へ行くのか? だったら俺も行くぜ(^^) そうだ……先に行っとくけどよ、降りる時はマント掴むなよ(^^;; |
さすがに学習したらしく、釘を差しておくフェリオ。
■ バートン To:アルト、シェル、フェリオ |
構わないよ。 それじゃ、二階へ。 |
■ フェリオ To:心の声 |
へっへっへっ……もしかしたら娘の部屋にもなんか変わった物があるかもな、楽しみだぜ(^^) |
当初の目的と、微妙な差違が認められるのは気のせいだろうか?
■ パオル To:バートン、アルト、シェル、フェリオ |
ま、待って下さいよぉ〜。ボクも行きまーす! |
似顔絵を描いているヴァーンと、その監督(?)であるジョージを残し、みんなで二階のアニエスの部屋へと向かった。
リトナル商会 アニエスの部屋 |
年頃の女の子らしく、部屋の中には可愛らしい小物などが並べられていた。
花の刺繍が施されたカバーの掛かったベッド。綺麗な彫刻の彫られた衣装ダンス。宝物がごちゃごちゃと置かれた机。様々な人形や玩具、可愛らしい背表紙の本などが詰まった棚。
普段通りの、生活感漂う部屋である。
■ アルト To:シェル&フェリオ |
さて……。アニエスちゃんには悪いけど、ちょいとお邪魔させてもらうよ。 隠されし真実は身近なところにあり、ってね。 ひとまず私はこの辺から調べてみるから、シェル達は向こうを頼むよ。 |
気を遣ったのか、男性陣が調べ難い机の中や衣装ダンスを中心に部屋を調べていくアルト。
■ シェル To:アルト&フェリオ |
そっちはよろしく〜 じゃ、ボクは本棚から調べてみるよ。 本の間とかになんかはさまってないかな〜 |
アルトの指示で、本棚を中心に調べるシェル。
■ フェリオ To:シェル&アルト |
オッケイ♪任しときな(^^) さて、そんじゃあ俺はこっちを調べるかな…………。 |
フェリオは人形や玩具、小物などが置かれた棚を中心に調べた。
密かに頭蓋骨が置いてないか、と期待しているらしい。
■ パオル |
何もないかなぁ…………まぁ無いよね、フ・ツ・ウは……。 で、ベッドの下はどーでしょう…………か。 |
ベッドには、普通何かあるのだろうか?
無神経にも女の子のベッドを探しだすパオル。この辺がパオルのずれてる所であろう。
……この辺だけか?
リトナル商会 居間 |
ちょうどその頃……。
一階の居間では、順調に(?)ヴァーンが似顔絵を描いていた。
■ ヴァーン |
......φ(。。)(一枚目) へへっ、いい出来じゃのぅ……(自己満足度95%) ......φ(。。)(二枚目) おぅ、すんばらしぃ出来じゃ……(自己満足度103%) ......φ(。。)(三枚目) ん? ちょいと、しくったか……(自己満足度79%) |
どう見ても、三枚目が一番上手い……。
三枚目ならば、似顔絵として十分通用するだろう。
しかし、一枚目と二枚目は、アニエスの似顔絵というには少々難がある様な……。