酔っては依頼を受け損ねる!?
銀の網亭 酒場「幸せの木」 個室 |
さてその頃。
部屋に残った面々はと言うと、
■ ヴァーン To:部屋に残った面々 |
よっしゃぁ! 仕事の話はもうおしまいだよな。早速宴会といこうか。へへ、フェリオみたいに鮮やかじゃねぇけどよ、俺だって手品の一つぐらいできるんだぜ。見てろよ? |
ニヤニヤしながら、背中に手をまわすと、何処から取り出してきた物か酒瓶を取り出した。火酒やワインなど、その数4本。
■ ヴァーン To:部屋に残った面々 |
やっぱ先立つモンはちゃんと用意しとかなくちゃな? ここんとこ倹約中で、ろくに飲めなかったからなぁ。今日は思いっきり飲んだくれてやるぞぉ! |
ポン! と景気の良い音を立てて栓を空けると、手近なグラスにそそぎ、一気にあおった。
■ フェリオ To:ヴァーン&部屋に残った面々 |
おお!? 見事な手品だぜ、ヴァーン(^^)
……でも、あの勢いじゃあリーダーは今すぐにでも依頼人の家に行っちまいそうだぜ? |
殊勝な事を言う。
が、しかし、
■ アルト To:フェリオ&ヴァーン |
まぁまぁ、せっかくのパーティ結成記念なんだしさ。 ちょっとくらい固いことは言いっこなしだよ。
っと……おっ、ヴァーン、いい飲みっぷりだねぇ。見たとこ酒は結構いける口かい? |
■ ヴァーン To:アルト & フェリオ |
へぇー、アルトもなかなか話せるねぇ。勝負ならいつでも相手になるぜ? フェリオも細けぇこと言ってねぇで、飲もうぜ? |
■ フェリオ To:アルト |
う〜ん……まあそれもそうだな、つまりパーティー結成記念”パーティー”ってとこか? …………なんか、空気が寒くなったような…………(^^;;;; え〜っと……と、とりあえず飲もうぜ、俺も飲みくらべでも一気でも付き合うからよ(^^;;; |
あっさりと丸め込まれたようだ。
■ アルト To:フェリオ |
そーこなくちゃ♪
仕事も酒も、美人の酌もある。これで飲まなきゃ野暮ってもんだよ。 |
■ フェリオ To:アルト |
おっ、お酌たあ気が利くな(^^) 後は、宵桜でもあれば完璧だな |
■ ヴァーン To:アルト & フェリオ |
ん〜、楽しくなってきやがったぜ。 |
ヴァーンもご機嫌で、杯に酒を足す。
こんな極寒の中でも、酒さえあれば平気らしい……。……そうこうしている内に、ミルクを手にしたシェルが戻ってきた。
ちなみに、ジョージは、まだおやじがリトナル商会までの地図を描き上げるのを待っていた……。
■ シェル To:ヴァーン&フェリオ&アルト |
ただいま〜。 フェリオ〜、ミルク持って来たよ〜(^^) ……あ〜!!ヴァーンさんてば、もう飲んじゃってる〜!! どうすんですか〜、ジョージさん、これから依頼人のとこに行くって、やる気満々なのに〜!?(アセアセ) フェリオや、アルトさんはまさか、まだ飲んでないよね!? |
扉を開けた瞬間に飛び込んできた部屋の中の様子を見、シェルは愕然とした。
■ ヴァーン To:シェル |
おう、今始めたとこだ。まだ一杯しか飲んでねぇよ。 |
■ アルト To:シェル |
ほえ?ちょうど今から飲むとこだけど……。 シェルも一杯やるかい?(^^) |
■ シェル To:アルト |
えぇ!? ボク!? ………………。 さ、さすがにやめとくよ……まだ明るいし……。 |
答えるまでに、一瞬の間があったらしい。
■ フェリオ To:シェル |
おう! サンキュー、シェル(^^) 安心しなよ、俺はまだ飲んでねえからよ ……だってミルクを飲んでからじゃねえと悪酔いするからなあ…………。 |
シェルからグラスを受け取ると、一息に飲み干す。
■ フェリオ To:ヴァーン |
ふぅ〜、流石にもう新鮮味に欠けてたなぁ。 でも、これで悪酔い対策もばっちりだぜ。 それじゃあ、俺も飲ませてもらうか。 |
■ ヴァーン To:フェリオ |
ほらよ、コイツは俺の一番のお気に入りなんだ、うまいぜぇ。 |
と、火酒をフェリオの杯に注ぐ。
一杯で喉を焼き尽くす言われる最凶の火酒である。
■ シェル To:フェリオ |
(あ〜あ、飲みはじめちゃった……)
……ほどほどにしといてよ〜? もうじき、ジョージさん帰ってくるんだから……。(ポリポリ) (こんなの見たら、ジョージさんゼッタイ固まっちゃうよ) |
次の瞬間、背後に人の気配を感じたシェルは、自分の予想が的中したことを知った。
■ ジョージ To:おおる |
………………………………。 依頼の申請をしてまいりました。 今から全員で依頼人の所に行こうと思います。 ……依頼人は骨董品商リトナル商会のバートン・リトナル氏。 家族構成は妻と娘1人の3人、この依頼の娘さんだそうです。 バートン氏は以前にもこの冒険者の店に依頼した事があり、「気の良い奴」だとマスターは言っておりました。 リトナル商会につきましては多少後ろ暗い噂があるとのこと……。 以上です。 |
しばしの沈黙。
いろいろと言いたいことが脳裏に現れては消え、全て押し殺すまでの時間。眼鏡の奧のジョージの細い目が、一瞬凶悪な色正義に燃える怒りを帯びたことに、何人が気付いたであろう?
■ シェル To:おおる |
……で、どうするの? 酔ってないなら、このまま行く? それとも、3人の酔いが覚めるの待つ? |
精霊使いでもあり最も近くにいたシェルが、ジョージの心の移り変わりに敏感に反応したのか、慌ててその場を取り繕う。
■ ジョージ To:シェル&おおる |
まさか……少しくらい酒が入っても仕事に支障をきたさない自信があるから飲んでおられるのでしょう? すぐに出ますよ。支度して下さい。 |
■ ヴァーン To:心の声 |
うっ、ちょいとまずかったか。おぢさん、か〜な〜り怒ってんぞ。やべぇなぁ、おい。 |
ジョージの台詞は、先程のフェリオとアルトのギャグ以上に冷たい。
■ アルト To:シェル |
3人……って私はまだ一応しらふだよ、シェル(^^;; |
しっかり保身に走るアルト。
■ シェル To:アルト |
え!? アルトさん、しらふだったの!? (アルトさん、ほんとに酔ったらどうなるんだろう……?) |
精神点を消費せずにブリザードが使えます(嘘)
■ シェル To:ジョージ&フェリオ |
あ、そだね(ポリポリ) じゃ、支度しなくきゃ(ごそごそ) ……そうだ、フェリオ、ミルク代、マスターさんに払ってね。 |
■ ジョージ To:酔っぱらい |
さすがに泥酔者が依頼を受けに来たのでは、依頼人の心象がよろしくありませんのでここに残っていただくことになりますが……。 とりあえず、飲んでおられないのはシェルさんとどなたです? |
■ ヴァーン To:ジョージ |
おいおい、俺は全然酔っ払ってなんかねぇぜ。 (うぇ〜、怖ぇよぉ〜) |
■ アルト To:ジョージ |
(う……まずいねぇ、これは。今の内にせめて一杯だけでも……) ……………………こそこそ。 |
同じ部屋の中、いくらコソコソしても視界にはいるであろう。
■ シェル To:ジョージ |
え〜と、今んとこ飲んでないのは〜(キョロキョロ) ボクとパオルさんと…アルトさんかな? (アルトさん、ほんとに飲んでないのかなぁ……) |
…………。
どうやらばれていないようだ。
■ アルト To:シェル |
はは、冒険には常に酒がつきもの。 これしきで酔っぱらうようじゃ冒険者なんて…………。 |
■ フェリオ To:ジョージ |
お〜、リ〜ダ〜おっかえり〜★ え、な〜に? もう行くのか〜 よっしゃあ、待ってろよ〜、迷子の小猫ちゃあん♪ このフェリオ・ベオレルフ様が悪い魔法使いから助け出してやるからな〜 さあ、リ〜ダ〜!女の子が捕まってる魔術師の塔はどこだ〜? |
………………。
■ ヴァーン To:心の声 |
あっちゃ〜、やべぇって。そんな火に油を注ぐようなこと言ちまったら、へ、変身しちまうぞ……。(謎) |
■ アルト To:フェリオ |
フェリオ……(--; 姫を助けるナイト様が酔っぱらってちゃ様んなんないよ? しっかりしな。 ……そうか……フェリオが残るとなると、必然的に賭けはフェリオの負けだねぇ。(ぼそ) |
このアルトの一言は強力だったらしい。
■ フェリオ To:アルト |
……え? ちょ、ちょっと待てよ! 冗談だよ、じょ〜だん。 俺が酒の一杯や二杯で酔う訳ねえだろ? ヴァーンだって酔ってねえみたいだし、皆で行こうぜ、皆で(^^) (……下手な冗談で危うく戦線離脱するとこだったぜ、この賭けに俺の借金返済がかかってるってのになぁ(^^;;;) |
本当に冗談だったのか、それは本人以外知る由はない。
■ シェル To:フェリオ&おおる |
あれ? なんだ、酔ってなかったの。 じゃ、問題ないね。 早速、行こうよ。 |
■ ジョージ To:フェリオ&おおる |
それならばよろしいのですが………。 では準備を済ませて下さい。 ………ところで、パオル君はどちらに? |
一の二の……周りを見渡すが、確かに一人少ない……。
■ フェリオ To:ジョージ |
準備する程のもんは持ってねえよ …………ん? パオル? …………そーいえば、いないなあ……。 依頼を決めてた時はいたから、てっきりリーダー達と一緒におやじさんとこに行ったと思ってたんだけど? |
■ シェル To:フェリオ |
え? パオルさん? さっき、降りたときには一緒じゃなかったよ? でも、ここにいないってことは、下にいるのかなあ。 フェリオ、ちょっと下見て来よ |
といいながら、シェルはフェリオのマントを掴んで、歩き出した。
当然、フェリオは後ろ向きである。
■ フェリオ To:シェル |
…………まあ、今から依頼を受けに行くんならどうせ下に降りんだろーから良いけどな。 (……ってちょっと待てよ! 俺ってばこの態勢で階段降りたらどうなるんだ?(^^;;;) おーいシェル、ストップだ! ドントムーブ!! ウェイト〜!!! 間に合わね〜〜!!!! あああああああああああああああぁぁぁ。 |
■ シェル To:フェリオ |
(なんか、今すごい叫び声がしたような……?) ……………… ……フェリオ? ……だいじょぶ? |
シェルが、漸くフェリオのマントを掴んでいる自分の手に気付いたのは、階段を下りた後だった。
合掌。チーン。
銀の網亭 酒場「幸せの木」 |
その頃の食欲魔人。
■ パオル To:おやじ |
(=●^0^●=)バグバク(=●^0^●=)バグバク おやじさん、クリームシチューを後一皿ね。 (=●^0^●=)モグモグ、やっぱ依頼を聞く前にちゃんと腹ごしらえをしておかないとね……。(=●^0^●=)バグバク |
■ おやじ To:パオル |
(ふう、追加の仕入れを頼んでおいて正解だったな) おう、全くその通りだ。ようし、たんと食えや。 ……まあ、そう言うまでもないな。 それにしても、他の奴らと一緒じゃなくて良いのか? |
いつもの通りでした。
階段下で荒い息を吐くフェリオ達を追い越し、ジョージは再び酒場に入った。
カウンターで一心不乱に食事をする目標を確認し、ジョージは捕捉に向かった。
■ ジョージ To:パオル |
食事中でしたか……。 すみませんが、食べ終わったらすぐにでも依頼人の所に行きますよ。 なるべく急いで下さい……。 |
■ パオル To:ジョージ |
('◇')ゞ はい、了解です! もう少しで食べおわりますから。 (=●^0^●=)パクパク(=●^0^●=)パクパク……。 |
パオルの前の皿には、まだゆうに普通の二人前の量が残っていた。
■ シェル To:パオル |
あ〜、パオルさんってばやっぱり下にいたんだ。 ……ところで……このお皿の山って、全部パオルさんが食べたの? (人間って、エルフと胃の構造が違うのかなあ……?) |
何とか復活したフェリオを連れて、シェルや他のメンバーも酒場にやってきた。
どうやら、パオルの食欲は、シェルの常識をはるかに越えていたようである。
■ ヴァーン To:パオル & おやじ |
相っ変わらず、よく食うねぇ、オマエサンは。 おやじ、この残りの酒、詰めてもらえっかな。 |
二階であけた火酒のビンの残りに追加して、ヴァーンは酒を一袋分購入した。銘柄は『サラマンダラテル』。一杯で喉を焼き、二杯で胃を溶かすといわれる最凶の火酒である。
■ おやじ To:ヴァーン |
おう、『サラマンダラテル』だな? それと、さっき上に持っていった酒の分もしっかり払えよ?(笑) ほら、あわせて10ガメルにまけといてやる。 |
■ ヴァーン To:おやじ |
よっく見てやがんな、さすがに。(にやり) ほい、10ガメルおいとくよ。 |
■ おやじ To:ヴァーン |
俺が、何年この店をやってると思ってるんだ? お前さんも、いずれは俺でも見抜けないぐらいの技を身に付けて見ろよ。 |
にやりと笑うおやじ。元冒険者は伊達ではない。
■ パオル To:おやじ |
あ、おやじさん。ボクの勘定もお願します。 幾らですか? |
■ おやじ To:パオル |
おう、相変わらず食うも食ったな。 香草のサラダに、平目のムニエル、オニオンステーキにチキンシチュー。 そしてパンとドリンク……まあ、デザートはサービスだ。 締めて、20ガメルだな。 |
ちなみに、安さと美味さで有名な『銀の網亭』 一食分は、3〜4ガメルほどである。
■ パオル To:シェル&ALL |
(=●^0^●=)パクパク(=●^0^●=)パクパク……?。 もう少しで……(=●^0^●=)モグモグ……ゴクゴク。 ふぅ〜……御馳走様でしたっと。 「ドラゴンの胃袋」の名は伊達じゃ無いですからね! さてボクの方はもう良いですよ。それで今から何処に行くんですか? |
■ シェル To:パオル |
(ドラゴンの胃袋……なるほど……(^^;) え〜とね、依頼人の人に会いに行くんだって。 リトナル商会っていう骨董屋さんのバートンさんっていう人らしいよ。 |
■ アルト To:パオル |
……「歩くブラックホール」ってのもいいかもしれないねぇ……(感心) |
全員が身支度を終え、おやじに教えたられた依頼人の家、リトナル商会に向かって出発しようとしていた。
行方不明の子供の捜索とは言っても、シェルとフェリオに取っては、初めての冒険である。
否応なしに緊張が高まっている……はずである。
■ おやじ To:シェル |
おい、ミルク代を忘れてるぞ(笑) |
これは、緊張のためであろうか?
■ フェリオ To:おやじさん |
あ〜っとミルク飲んだの俺なんだ、うまかったぜ(ちょっとぬるかったけどな(^^;;) そ〜だ、とりあえずツケにしてくんない? 依頼を終わらせて帰って来たら大宴会やるからさ、そん時にまとめて払うよ(^^) だから、依頼の成功と俺達の安全をチャ・ザに祈っといてくれよ? そんじゃ、行ってくるぜ〜。 |
……おそらく違うであろう。
■ おやじ To:フェリオ |
……ちゃんと無事に帰ってこられるんだろうな? まあいい。しっかり稼いで戻ってくるのを待ってるぞ。 |
■ シェル To:おやじ |
……あ、そうだ、マスターさん、ちょっとお願いがあるんです。 |
店を出ようとしたとき、シェルは大事なことを思い出した。
■ シェル To:おやじ |
この弓、この依頼が終わるまで預かっててくれませんか? 森の長老からもらった弓なんだけど、ボクまだうまく使えないから……。 |
そう言うと、肩に掛けていたロングボウをおろし、おやじに渡した。
『シェルよ、道具に使われるではないぞ。この弓を使いこなせるようになった時こそ、お前自身の旅にも何かしらみえてくるやもしれんな』
この弓を与えてくれたときの長老の言葉が、シェルの頭をよぎった。今まで幾度か試してはみたが、シェルにはまだこの弓を扱える自信がなかった。
■ おやじ To:シェル |
? まぁ、良くはわからんが構わないぞ。 ほれ、一応預り証をだしとこう。 |
相変わらずの汚い字で、おやじはサラサラと預り証を書き、シェルに渡した。ジョージ、パオル、アルト、ヴァーン、シェル、フェリオ。彼ら(名前はまだ無い)の初めての冒険は、こうして始まった。待ち受けるは、強大なる魔術師の陰謀か、はたまた凶悪なるモンスターの影か。
……まあ、そんなたいそうな物では無いかもしれない。しかし、こういった地道な冒険が、後の英雄につながるのだ!(と思う)
一行は、『銀の網亭』の扉を開けると、待ち受ける冒険への第一歩を踏み出した。