SW-PBeM Scenario #21
子供達は夜の住人
第1章 冒険者、依頼を受ける

Let's Betting!?

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銀の網亭  酒場「幸せの木」 個室

 早々にパーティーを組み上げた面々は、恒例の宴会をすべくおやじが用意した個室に移った。
 ……それとも、隔離された、というべきか?

 しかし、さすがは一度冒険を経験しているだけのことはある。ヴァーンがいつの間に書き写したのか、依頼書の写しをテーブルの上に広げた。宴会の前に、依頼を決めてしまおうという腹づもりらしい。

■ ヴァーン To:おおる
 さってと、メンバーが揃ったところで、さっさと仕事決めちまおうぜ? なんせ、早いモン勝ちだからなぁ、ここは。
 どれがいいと思う? 皆も見てくれ。
 おっと、そうだ、リーダーも決めとかなくちゃあな。誰か、俺に任せろって奴はいるかい?

■ ジョージ To:おおる
 リーダーですか? 別に決める必要はないと思いますが、名目上だけでも必要だと言うのでしたら私がやりましょう。
 そして、依頼ですが……。
 私はコレを希望します。かなり切迫した状況に見えますので……。
 できるだけ早く娘さんを捜してあげたいと思いますがいかかでしょう?

 パーティー一の良識派をもって知られる(?)ジョージが、リーダー役を引き受ける。
 そして、良識有る神官らしく、ジョージは「娘を捜している」と依頼を指さした。
■ パオル To:ALL
ジョージさんがリーダーなら安心できますね。
改めて、よろしくお願します!

■ シェル To:ジョージ&おおる
リーダーはやっぱりいた方がいいんじゃない?
みんなの意見が割れたときに困るから。
ボクは、ジョージさんがリーダーやってくれるんなら文句ないよ。
じゃ、ジョージリーダーさん、よろしく(ニコニコ)
で、え〜と、依頼ってどんなのがあるのかなぁ〜。
ボクはこの依頼がいいと思うんだけど、どうかなあ?

 シェルの指さした物は、可愛らしい文字で一緒に宝を探してくれる冒険者を募集すると書かれていた依頼書であった。現在は、書き写したヴァーンの字であるのため、一種異様な雰囲気ではあるのだが。
■ ヴァーン To:シェル
 ん〜、こいつはちょっとなぁ〜。お宝なんてモンはアテにならねぇもんだし、なんかだか悪戯っぽく思えてしょうがねぇしな。どうかと思うぜ?

 夢のない一言。
■ フェリオ To:ジョージ&オール
あれ? 俺は、あんたとヴァーンとパオルが前の仕事をした時のリーダーはあんただったんだろうなぁって思ってたんだが、違ったんだな。
ま、でもあんたがリーダーになるってんなら異存はないぜ、頭良さそうだし頼りになりそうだからな(^^)
で、その依頼はどんなのなんだ? ……ふむふむ、行方不明の娘さんの捜索ねえ……。
な〜んかさぁ……切迫した状況ってゆーか、依頼人が親馬鹿っぽく感じるんだけど、気のせいかなあ……。
それに依頼料が書いてねえって事はただ働きか?
まさか、冒険者になって最初の依頼がボランティアとは思わなかったぜ……。
あ、でも別に嫌だって訳じゃねえよ、行方不明の子供をほっとける訳ねえもんな、俺もこのボランティアに賛成だぜ(^^)

■ アルト To:フェリオ&ジョージ
わざわざ依頼書に「とても可愛らしい子供」なんて書くあたり、確かに親馬鹿っぽいねぇ(^^;
ま、ただ働きになるかどうかは交渉次第、ってとこじゃないかい?
こうして依頼書通して冒険者に仕事を頼んでんだ。全く報酬なしってことは無いだろうしね。

ひとつそこら辺も含めて、これからよろしく頼むよ、リーダー♪


 勢い良く背中を叩かれたジョージが、少々大げさによろけてみせる。
■ ジョージ To:おおる
 ゴフッ!
 ……ケホ……まあ……ご期待にそえるよう尽力する所存です……。
 依頼の件ですが、報酬額が書かれていないのは、依頼人と直接交渉するものと思われます。
 まあ、自分の子供が突然居なくなったときの心境は想像に難くなく、依頼人は非常に不安でいらっしゃると思いますので……。
 イタズラであるにしろ、何らかの事件であるにしろ探してあげたいと思います。

■ フェリオ To:ジョージ
へ? な〜んだ、報酬でるのかぁ……。
いやあ、俺さぁ……この街のチャ・ザ神殿に一年間居候してたんだけど、そん時は結構ボランティアで迷子の犬とか捜してたからよ、つい……(^^;;;
……まあ、確かに依頼人が親馬鹿だからこそ子供を心配する気持ちも大きいもんだろうしな……。
(俺には心配する親の気持ちも…………心配される子供の気持ちもわかんねえけどよ……)
……悪戯かどうかもわかんねえけど、誘拐とかだったら大変だもんな……。

 ふと昔の自分の境遇を思い出すフェリオ。
 悲しいかな、親子の情に薄かったフェリオには、こういった親子の感情は解りかねた……。
■ パオル 
………………………………………………(^^;
(なんて書いてあるのか分かんないや……やっぱり共通語の勉強をしないといけないよね。)

 こちらは、共通語が読めない人。取り敢えず黙って聞いていることにしたらしい。
■ ヴァーン To:おおる
 俺も、この依頼でいいんじゃないかと思うぜ? 可愛らしい娘さんが行方不明と聞いちゃ、捨ておけねぇしな。(にやにや
 まあ、報酬のほうは、親馬鹿だとすりゃあ金に糸目はつけねぇだろうし、そんな心配しなくてもタダ働きってことはねぇだろうぜ。

 こちらは、邪悪な笑みを浮かべている人。金儲けと可愛い娘さんに浮かれているらしい。
■ パオル To:ALL
(なるほどね。人探しの依頼なんだ)
そうですね。困ってる人を見過ごすわけにはいきませんよね。
この依頼、是非とも受けましょう!
(う! 急にお腹が…………)トイレ、トイレ……。

 言うが早いか、パオルはすっと部屋を抜け出した。
■ フェリオ To:シェル
宝捜しも悪くねえけどさ、行方不明の方が一応、事態は深刻だと思うぜ?

■ シェル To:おおる
そだね。宝探しの依頼って、アテにならないみたいだし。(ポリポリ)
ジョージさんが言った依頼の女の子、もしかしたら、今でもどこかで泣いてるかもしれないよ。
だったら、早く助けてあげようよ。
ところで、ヴァーンさん、なんでさっきからニヤニヤしてるの??

 まだ人間に馴染みの薄いシェルは、不思議そうな顔で、しかし鋭いつっこみをいれた。
■ ヴァーン To:シェル 
 ぐへぇっ べ、べ〜つにニヤニヤなんかしてねぇよ?
 まあ、困ってるモンを見捨てねぇのが任侠ってもんなんだよ、うん……。

 と、慌ててすました表情を取り繕う。

 受ける依頼が決まったと見たのか、すっとフェリオがヴァーンに近づいた。
■ フェリオ To:ヴァーン
あんたは非常に可愛らしいってーのに反応したみてえだが、子供とも、書いてあるぜ?
…………どうだ? 一つ、賭けをしねえか? 依頼に全く関係ないどーでもいい賭けだがな…………。
賭けの内容は簡単だ……ずばり、「非常に可愛らしい愛娘」の年齢当てだ……。
あんたと俺で娘の年齢を予想する……近かった方が賭けの勝者だ。
掛け金は10ガメル、ドンピシャで当てたら+10ガメルを敗者が払うってルールでどうだ?
もちろん、自信がなけりゃあ無理にとは言わないぜ?

■ ヴァーン
 (ぬぅ、これは挑戦かぁ?!)

 こっそりと、ヴァーンに耳打ちするフェリオ。当然、ヴァーンがそれに乗らないはずもなく、不敵な笑みを浮かべつつ、
■ ヴァーン To:フェリオ
 へへっ、俺はべつにかまわねぇけどよ。そうだ、なんなら掛け金15ガメル、ドンピシャで+15ガメルでもいいぜぇ? まあ、アンタ次第だけどよ?

 ギャンブラーの血が騒ぐ。肩をすくめながら、フェリオの表情をうかがうヴァーン。勝負は、既に始まっているのだ。
 そして更に、
■ アルト To:ヴァーン&フェリオ
そこの二人、なーに男同士でこそこそ話してんだい。
まったく、感心しないねぇ?人様の不幸をギャンブルのネタにするなんてのはさ。
冒険者精神ってのは、そもそも人助けをもっとーにだねぇ……?

……なーんてね。
何か面白そうな話してるねぇ。その話、私も一口のせておくれよ♪
リーダーには内緒にしておくからさ。


 更に、一人参戦。
■ シェル To:フェリオ
そだね、行方不明の方が大変だよね。(ポリポリ) ……って、あれ??
(フェリオさん、ヴァーンさんやアルトさんと何をボソボソ話してるんだろう?)

 善からぬ相談。
■ フェリオ To:ヴァーン&アルト
おっと、アルトも参戦か?
ふっ、「チャ・ザの胴元殺し」と呼ばれるこの俺に挑むとは良い度胸だ
でも、三人勝負となると近かった奴が勝ちってーのは止めた方がよさそうだなあ……。
…………よし、ルール変更だ
ドンピシャのみが当たりでレートは30ガメルにしようぜ、その方がシンプルで不公平じゃねえからな(^^)
さて、誰から予想する? 俺は最後で良いぜ?

■ ヴァーン To:フェリオ & アルト
 フッ Ψ(-◇−)Ψ
 「チャ・ザの胴元殺し」とは恐れ入ったぜ。
 まあ、ルールはそれでいいな、順番は……フェリオが最後でいいってんなら、アルトから賭けていいぜ。

■ アルト To:ヴァーン&フェリオ
おっけー。んじゃお先に遠慮なく♪
んー……そーだねぇ……「可愛らしい子供」……ときたら……。
よしっ、私は10歳で勝負するよ。
ふ……これでこの勝負、もらったも同然だね。

 当然ながら、10歳という年齢に根拠は無い。
■ ジョージ To:ヴァーン&フェリオ&アルト
ほう……それでは私は8歳にしましょう。

 顔を寄せ合って小声で話す三人の間に、ジョージがヌッと割ってはいる。
 当然ながら、8歳という年齢にも根拠は無い。
■ ヴァーン To:アルト & ジョージ & フェリオ  
 おわぁっ、なんだよ、いきなりよ?! 
 ん? そうか、そういや、アンタも真面目そうなツラして、実は結構こういうの好きだったけな、ジョージ。でもまあ、いつぞやみたいに大損こいても知らねぇぜ?(ひひひ……)

   んで、アルトは10才、ジョージは8才ときたわけか、なら俺様は12才に賭けるとすっか。へへっ、悪いが30ガメルはいただきだな。(にやにや……)

 当然ながら、12歳という……。
■ フェリオ To:ヴァーン&ジョージ&アルト
オッケイオッケイ、アルトが10歳で、ジョージが…………8歳………………はぁ?
ちょ、ちょっと待て! リーダーあんた、何時の間に?
…………ま、まあちょっと意外だったが、俺の懐に入る金が増える分にはかまわねえかな……。
ほんじゃ、ジョージも参戦……っと。
へへっ、面白くなってきたぜ〜。

■ アルト  To:ジョージ
へぇ……てっきりリーダーってガチガチの堅物男かと思ってたら、意外と話の分かる奴だったんだねぇ……。

 少し安心するアルト。
■ フェリオ To:賭け事メンバー(笑)  
ふっ……皆、なかなか妥当な線を突くじゃないか……。
だがな、この「マジシャン協会の蒼き予言者」と呼ばれるこの俺様には、既に女の子の年齢は分っている!

情報を整理しよう
まず最初のポイントは依頼人が親馬鹿であるという事だ……。
親馬鹿というものは往々にして幾つになっても子離れ出来ないもんだ。
つまり、子供という表現は全く当てにならん! と言えるだろうな。
次のポイントは行方不明という事だ。
原因はわからんが、依頼人は極度な親馬鹿にも関わらず、子供の行方を見失っている……。
という事は愛娘はある程度自分で考え、行動し、判断が下せる年齢であると思える。
なぜならば、この究極の馬鹿親は出来る限り子供を自分の目の届く所に置こうとしたはずだ……。
しかし、子供もある程度の年齢になれば、親の目の届かぬ所で行動する事も多くなるだろう。
結果として、行方不明という事態が生じた訳だ。

以上の事から推測すると、ずばり女の子の年齢は…………11歳だ!
ふっ、完璧だ……自分の才能が恐いぜ……(笑) は〜〜〜っはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!


 いろいろと言葉を並べているが、当然なが……。
■ ジョージ To:おおる  
 ……まあ、どうやらこの依頼に決まったようですので、私は店のマスターにその旨伝えてきましょう。
 もし依頼人に会うまでに時間があるようでしたら、ついでに料理でも注文してまいります。

 ジョージは、話がまとまったことを受け、おやじに依頼の手配を頼むべく部屋を出た。
■ シェル To:ジョージ&おおる  
あ、待って、ジョージさん。
料理頼んでも、一人じゃ持てないでしょ?
ボクも行く〜。
そうだ、みんな〜、なんか注文ある〜?

 暇を持て余したのか、気が利くのか。
■ フェリオ To:シェル  
あ、シェル! 下に行くのか?
それじゃあ、悪いんだけどミルク頼んできてくれ〜
あ、一杯だけで良いぜ、その後は酒をたくさん飲むからよ(^^)

■ シェル To:フェリオ  
フェリオに牛乳一杯と。
わかった〜。(^^)

 先に部屋を出たジョージの後を追い、シェルも下の酒場へ向かって階段を駆け下りた。

銀の網亭  酒場「幸せの木」 カウンター

 昼時を過ぎ、店の中は閑散としていた。
 二階から降りてきたジョージとシェルに気付き、おやじがグラスを磨く手を止めた。
■ おやじ To:ジョージ、シェル
受けたい依頼は決まったのか?
それとも、早速宴会用の注文か?

 ジョージは、掲示板から一枚の依頼書(#21)を剥がすと、おやじに見せた。
■ 依頼掲示板

娘を捜して下さい!

昨日から行方不明の娘を捜し出して下さい!
名前はアニエス。とても可愛らしい子供です。
どうか、お願いいたします。

依頼を受ける場合は、おやじまで

■ ジョージ To:おやじ  
我々はこの依頼を引き受けることにしたいのだが、手続きをお願いしたい。
依頼人との連絡を取っていただけますか?
それと報酬額についてですが、依頼人から何か聞いているのなら伺いたいのですが?

■ おやじ To:ジョージ
おっ、はやいな。なになに、ああ、バートンの依頼だな。

依頼料については聞いていなかったが、依頼してきたのはリトナル商会のバートン・リトナルって奴だ。
前にも冒険者を斡旋したことがあるが、金払いの悪い奴じゃなかったぞ。


 依頼書を覗き込みながら、おやじは答えた。
■ ジョージ To:おやじ
すると、報酬額は直接依頼人と会ってから交渉と言うことになりますか?
依頼人と会うのはいつ頃になるでしょうか?
あと、そのリトナル商会とバートン氏について簡単で結構ですのでお教え願いたい。

■ シェル To:おやじ&ジョージ
(……リトナル商会のバートンさん?どっかで聞いたことあったかな?)

 二人は、記憶の中からリトナル商会、そしてバートンと言う名を探した。
 しかし思い出したことは、リトナル商会が骨董屋であるということのみ。そして、
■ おやじ To:ジョージ
必要以上に、依頼人について話すべきではないだがな……。
リトナル商会は、骨董屋だ。まぁ、他にも少々後ろ暗いところもあるが、この世の中、そう言う奴らも必要だしな。
バートン自身は、気の良い奴だぞ。確か家族は、奥さんと一人娘……この依頼書にある娘だな。

依頼料に関しては、本人に聞くしかないだろうな。
……大丈夫だとは思うが、お前さん達、あまりふっかけるんじゃないぞ。
そういえば、依頼を受ける冒険者が決まったら、すぐに連絡をくれって言ってたが。
どうする? バートンの所に行ってみるか?


 記憶は、すぐにおやじの情報で裏打ちされた。
■ ジョージ To:おやじ
なるほど……。だいたいわかりました。
急を要する依頼のようですので、他の仲間に連絡次第依頼人に会いたいと思います。
リトナル商会の所在地を教えていただけますか?

■ おやじ To:ジョージ
おう、そうしてやってくれ。
場所はだな……。

■ シェル To:おやじ
(ヤバッ、フェリオのミルクまだ頼んでない!)
あ、すいません。マスターさん。
ミルク一杯くださ〜い(アセアセ)

■ おやじ To:シェル
お、毎度あり。
支払いは、店を出るときで良いぞ。

注文はミルクだけで良いのかい?
まあ、急ぐとは言っても、腹が減っては何とやらってな。


■ シェル To:おやじ
ありがと。
時間があったら、ゆっくり食べるんだけどね、うちのリーダーせっかちだから(^^)
勘定は出る時に払うよ。
じゃ!

 シェルは、ミルクを受け取ると、二階の個室へ向かった。

 階段へ向かうシェルを見送りながら、ジョージは新たな質問を口にした。
■ ジョージ To:おやじ
…………ああ……一つ聞き忘れましたが……。
この依頼書には、娘さんは昨日居なくなったとありますが、いつの事でしょうか?

■ おやじ To:ジョージ
この依頼書が張られたのが昨日だから、一昨日って事になるか?
一昨日のいつ頃いなくなったか、までは知らないがな。


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