狼は、野に放たれた
銀の網亭 酒場「幸せの木」 |
込み合ってきたカウンターを離れ、彼らはテーブルに腰を下ろした。
■ ヴァーン |
ふぅ、なんだか、えらい騒ぎになっちまったな。 え〜と……ああぁ、とりあえず、自己紹介だ! 俺はヴァーンだ。鞭とレイピアを使う。弓も少々いける。本業は……仕事人だ! 以上! |
■ ジョージ |
……自己紹介ですか? そうですね……私はジョージ・マクドヴァルといいます。 本業は正義……い…いや、ラーダの神殿の神官です。 宜しくお願いします。 |
■ フェリオ |
(……ジョージさんだっけ? ……正義って何だろな……?) |
口には出さなかったのは、賢明であろう。
■ パオル |
えっと自己紹介ですね。 ボクの名前はパオル=バード、パオルって呼んで下さい。 まだ駆け出しですけど、これでも剣士です。 皆さん、ヨロシクお願します。 では次の方どうぞ! |
■ シェル |
ボクはシェル=レインっていいます。 ボクにできることは精霊の声を聞くことです(精霊使いです)。西部から旅をして来たので、オランのことは良く分からないんです。 なんで旅に出たかっていうと、ボクって好奇心が人一倍旺盛らしくて、いろんなものを見てみたくって。どうか、皆さん、よろしくお願いします。(にこにこ) |
言うまでもないが、シェルはフェリオのマントの端を握り締めたままである。
■ フェリオ |
(……どうやら俺はエルフって種族に対する先入観を変えなきゃいけないみたいだな……どっちかっつーと話に聞いたグラスランナーって種族の特徴に似てるなあ……) |
変えるべきは、『シェルが一般的なエルフである』と言う認識の方である。
■ フェリオ |
俺は神官戦士のフェリオ・ベオレルフだ それから、最初に言った秘密の技……って程でもないんだが、こいつの事だ。 からっぽだろう? ……こいつをこうすると…… |
そう言って、手にしたシルクハットを空中に回転させながら投げると、そこから一羽の鳩が飛び出した。
■ フェリオ |
へへ、どうだい? 俺の本業はマジシャンさ、冒険者は副業……って言ってもやる事はちゃんとやるから安心してくれ、もう一度自己紹介だ。 俺はアレクラストでナンバー2の大マジシャン、フェリオ・ベオレルフだ。こいつは「ティルト」だ、よろしく頼むぜ? |
紹介された「ティルト」──フェリオの鳩は、軽く首を傾げて見せた。
■ シェル To:フェリオ |
わあ、すごい!やっぱり、森の外って面白いものがあるんですね〜。森から出て来てよかった♪ ハッ!? すいません! つい……(アセアセ) (う〜ん、なんか思いっきり変なふうに見られちゃったなあ。気を付けなきゃ。……ほんと、ボクってエルフらしくないよな。なんで、グラスランナーに生まれなかったんだろ??) |
漸くフェリオの怪訝な視線に気付き、慌ててフェリオのマントの裾を離す。
しかし、エルフらしくないエルフなんて、最近は珍しくないから良いのではないだろうか?
首尾良く5人まで仲間が集まった彼ら(名前はまだ無い)だが、ここに来て、重大なことに気付いた。
そう、それは、
■ フェリオ |
…………さて、自己紹介も済んだ訳だが……こうしてみると、み〜んな男だな(^^;; やっぱり、厳しい冒険にはある程度の「華」が必要だと思わねえか? それに仲間も6人くらいはいた方が良いだろ?(^^) って事であと一人は女の子が良いと思うんだが……どうだい? とりあえず、俺はそう思うんだがね……。 皆の意見が聞きたいね。 |
■ パオル |
…………………………………………。 はぁ、そういうもんなんですか? そうですねぇ……ボクは別に異存はありませんよ。 とりあえず、その女の子が魔法使いなら問題ないと思いますよ。 後、必要な人は魔法使いでしょ? |
■ ヴァーン |
ん〜、やっぱ、学院にツテがないと不便だろうしな、野郎ばっかしってのも……。 ちぃ〜とばかり、むさくるしいよなぁ、やっぱり。 しょうがねぇな、あと一人は古代語魔法を使える女の子を探すっきゃねぇよなぁ。(にやにや) |
■ フェリオ |
オッケイオッケイ、古代語魔法の使える女の子だな? 早速、カウンターにでも行って捜してくるぜ さ〜って、かわいい子はいないかね〜♪ |
■ ヴァーン |
おっと、ちょうど俺も酒が切れちまった……。 |
こうして、狼が二匹、世に放たれた……。
ちょうどその頃。
■ アルト To:おやじ |
や♪マスター、相変わらず繁盛してるねぇ。 へぇ……今回もまた、なかなか頼りになりそうな奴らが集まってるみたいじゃないか。 こりゃ私ものんびりしてらんないね(^^) ここは一つ、掲示板にでも自分を売り込みに行って来るとするよ。 すぐ戻ってくるから、ひとまずエールを一杯置いといてもらえるかい? |
飛んで火にいる何とやら。
■ フェリオ To:おやじ |
おやっさあん♪ あのさあ、やっぱ冒険に出るんなら6人くらい仲間がいた方がいいよな。 そんで、今5人いるんだけどよ、み〜〜んな男なんだわ(^^;;; そんで、なんつ〜か……こう……冒険の疲れをやさし〜く癒してくれる女の子が欲しいんだよ(^^) 後、足りない職業はソーサラーなんだけどさあ。 良い子いないかなあ? もしいたら紹介してくんないか? あ、女の子限定★だぜ? ほんじゃあ、よろしく♪ |
■ ヴァーン To:フェリオ&おやじ |
おいおい、おめえさんも俺にまけず劣らずセッカチだねぇ。 ところで、おやじ、もう一杯頼むぜ。 |
■ フェリオ To:ヴァーン |
おっと……すまねえな、ついあせっちまったぜ(^^;; 思い立ったら即、行動するのが性分なんでね(^^) ま、一緒にゆっくり捜そうや……。 |
そう言って、手にしたグラスを傾けようとした時、
■ フェリオ To:おやじ |
おやっさん、隣の子、ソーサラー……だよな? 丁度いい、誘ってみるわ(^^) 迷惑かけたな、すまねえ(^^;; |
■ アルト To:フェリオ |
っと、そこの面白そうな兄さん、今ソーサラーを探してるって言ったかい? ちょうど今掲示板に売り込みに行く途中だったんだけどさ、ちょうど良かった。 美人で華麗なソーサラーが必要ならここにいるよ(^^) どうだい? 良かったら仲間に入れてくれないかい。 |
■ フェリオ To:アルト |
え? ……え〜っと、君は……ソーサラー? 随分と早く見つかったなあ(^^;; まあ、でもちょうど今、君を誘おうとしてたんだよ、なんたって条件にぴったりだからな(^^) 「美人」で「華麗」で「ソーサラー」……君なら120点満点だぜ★ 仲間になってくれるってんなら大歓迎だ、一番テーブルで仲間は待ってるんだ……ああ、そういやあ名前を言ってなかったな(^^;; 俺はフェリオだ、よろしくな(^^) で、君は何て名前なんだい? |
いきなり声を掛けられて少々あせりながらも、フェリオはここぞとばかりにまくし立てた。
■ アルト To:フェリオ |
はは、そうはっきりホントの事言われると照れるねぇ(^^) 兄さんも、その個性的なマント良く似合ってるよ。 あんたが仲間なら、少なくとも退屈はせずに済みそうだね。 フェリオ、ね。 私の名前はアルト。ま、ひとつよろしく頼むよ(^^) 一番テーブルっていうと……へぇ、もうあんなに集まってんだね。 そっちで酒飲んでる兄さんもフェリオのお仲間さんかい? |
■ フェリオ To:アルト |
俺は正直者で通ってるんだ、本当の事しか言わねえよ 良いマントだろ?このマントは俺の大事な商売道具の一つだからな(^^) 他のメンバーもなかなか個性的だぜ? 退屈はさせねえよ★ アルトか……良い名前だな★よろしく頼むぜ …………あっ、こいつはヴァーンだ 仲間の一人だ、よろしくな★ (……ヴァーンの存在を忘れてたな(^^;;) |
■ ヴァーン To:アルト |
よろしくたのむぜ? 美人で華麗なお嬢さん?(にやにや) さてと、話がついたみてぇだし、テーブルに戻ろうぜ? |
■ アルト To:ヴァーン |
よろしく、ヴァーン(^^) 最初っからこんな面白そうな奴らと出会えるなんて、我ながら今回はツイてるね。 んじゃ、テーブルの方のメンバーにも挨拶させてもらうとしようか。 |
■ フェリオ To:アルト&ヴァーン |
ああ、そうだな……。 ジョージさん達をあんまり待たせるのも悪いしな、って事で一番テーブルに移動するぜ? アルトも早く来いよ〜(^^) |
■ フェリオ |
ありゃ?もう行ってたんだな、なら俺が最後かあ……。 な〜んて、言ってる間に早く行くか(^^;; |
本当のところ夏の虫がどちらであったかは、これからの彼らの冒険を見ていただく皆様に判断していただくとしよう。
カウンターに行ってからほとんど間を置かずに帰ってきた二人と、もう一人の女性に、テーブルに残った面々は少々面食らったようであった。
■ ヴァーン |
な〜んかよ、あっけなく見つかったぜ? 美人の魔法使いさんがよ。 |
■ フェリオ |
あっけないとは失礼な、ちょうど、カウンターに行った瞬間に彼女もカウンターに仲間探しに来てた……。 しかも、こっちの条件に完全にマッチする女の子が……だぜ? こりゃあ、まさしく運命の出会いってやつだな、うんうん…………って事で6人揃ったぜ。 どうする? もう依頼を受けに行くかい? |
■ アルト |
お、こっちにもなかなか楽しそうなメンツが揃ってるねぇ。 っと、私の名前はアルト(^^) 今紹介された通り、美人のソーサラーさ。 一仕事終わって、今仲間を探しててね。 良かったら、私も仲間に加えてくれないかい? きっと損はさせないよ。 |
■ パオル To:アルト&ALL |
こんにちわ〜。 こちらこそヨロシクお願します。 あ、ボクの名前はパオル、パオル=バードです。 これでも一応、剣士を名乗ってます。 よし! これで揃いましたね。それじゃあオヤジさんの所にちょっと行ってきますよ。 |
言うが早いか、パオルは席を立ってカウンターへダッシュした。
■ シェル To:アルト |
こんにちわ〜。 ボクはシェル=レイン。エルフの精霊使いだよ。 西の方から、ここまで旅してきたんだけど、本格的な冒険は初めてなんだ。 よろしくね〜♪(ニコニコ) |
緊張も解けてきたのか、シェルの口調もくだけた物になってきた。
どうやら、これが地であるらしい。
■ アルト To:シェル |
やー元気な剣士さんだねぇ。 っと、こんちは(^^)こっちはエルフのシェル、だね。よろしく頼むよ。 エルフと一緒にパーティ組むのはこれで2度目だけど……何か随分雰囲気が違うんだね。ま、気楽に話せそうで嬉しいよ。 |
■ シェル To:アルト |
ははは、そだね。森から出てくるエルフって、変わり者が多いけど、ボクは極めつけかも(^^) 森にいたときも、エルフらしくないってよくいわれたよ。 ボクはこの性格気に入ってるけどね。 |
■ アルト To:シェル |
性格なんてのは、多少人と違ってた方が味が出るってもんさ。 特に、旅の仲間は変わった奴らの方が、私は好きだよ(^^) 何せこれから苦楽を共にする仲間だからね、面白い奴らと組んどかなきゃ退屈だろう? ってことでシェル、これから仲良くやっていこうね。 |
こうして、また一つ新たなパーティーが結成された。
彼ら(名前はまだ無い)の明日はどっちだ?
今はまだ、それを知る術はない。GMとしては、ただそれが明後日の方向でないことを祈るのみである。