集いし者たち
銀の網亭 酒場「幸せの木」 |
時は今、場所はオランの冒険者の店。新たなる血湧き肉躍る冒険を求め(ていない奴もいるが)、『銀の網亭』はそれなりの賑わいを見せていた。そんな『銀の網亭』の扉を開いた冒険者が、また一人……。
■ ヴァーン To:おやじ |
よう! おやじさん、ここんとこ御無沙汰しててすまなかったな。ほら、このまえ紹介してもらった仕事、あれなんとか無事に片付いたぜ。まあ、俺もいろいろと勉強になったよ。うん。 そうだ、アレ頼むぜ、俺の大好物のお酒チャン、そうだなぁ、火酒の「サラマンダラテル」にしよう、一杯頼むよ。 |
■ おやじ To:ヴァーン |
ほらよ、おまえさんの大好きなヤツだ。でも、あんまり飲みすぎてへろへろにはなるなよ(笑) なんにせよ、無事仕事を終えてきたのは良かったな(^^) |
■ ヴァーン To:おやじ |
おう、ありがとうよ! 大丈夫、程々にしとくよ、まあ、俺はほどよく酒精がまわってねぇと調子がでなくてさ。(笑) |
■ おやじ To:ヴァーン |
はっはっは。おまえさんらしいな(笑) ま、なんにせよ酒はうちの店から買っていってくれよ。おまえさんの好きなヤツそろっているからな(笑) |
バタン。騒々しく開かれたドアに目を向けたおやじがは、今日仕入れた食材の量を、頭の中で慌てて確認した。
なぜなら、今現れた、柔和そうな顔立ちの戦士ときたら……。
■ パオル To:おやじ |
こんにちわ〜。 お久しぶりですね、おやじさん。 前回の依頼もなんとか無事にこなせましたよ。 あ、スミマセン。サンドイッチを三人前とオレンジジュースをお願します。 さてジョージさんは来てるかな?(キョロキョロ、店内を見回す) |
■ おやじ To:パオル |
おぉ、御苦労さんだったな。仕事はうまくったようで安心したよ。 今度は飲み物を間違えないよう気をつけてくれよ(笑) |
女将に、目配せで追加の仕入れを頼むと、おやじはにこやかに注文の品を用意始めた。
■ ジョージ To:パオル |
こんにちは、パオル君。2週間ぶりですね。 その後、どうですか? |
ラーダ神官であるジョージが、前回の冒険を共にしたパオルに気づき、横の椅子を引き座った。
■ ジョージ To:おやじ |
ああ……マスター、こっちにも木苺のジャムとパンをお願いします。 |
■ パオル To:ジョージ |
あ!お久しぶりですね、ジョージさん。 いつも通り、食欲はバッチシありますよ! き、木苺のジャムですか?どうやら、ジョージさんはあれから木苺ジャムが気に入ったみたいですね……。 とりあえず一緒に冒険に出てくれる仲間を探しましょうよ。 そ〜だな・・、うん。あの人にどうかな? |
パオルが指し示す先には……。
■ ジョージ To:パオル |
ええ……まあ……。パンはアレに限りますよ。 ……あれは、ヴァーン君じゃないですか(笑) 相変わらず飲んでますね………。 |
■ おやじ To:ジョージ |
すまんすまん。他の連中に気を取られていて、注文とったのわすれていたよ。 ほら、木苺のジャムとパンだ |
■ ジョージ To:おやじ |
ああ、ありがとうございます。 今日も大盛況ですね……。 |
■ おやじ To:ジョージ |
あぁ、この時期は混むからな。 もし、反応が遅れちまったらゆるしてくれよ。 俺もがんばってはいるんだがな…… |
ジョージとおやじが会話をしている隙に、パオルは音もなく席を立った。
一人酒をあおるヴァーンの世界が、突然闇に覆われた。人の手のようなぬくもりを感させる闇は、脳天気にこんな事を言いだした。
■ 謎の手 To:ヴァーン |
だ〜れだ? さてボクは誰でしょう? ヒント、人畜無害でシャイな少年。 |
■ ヴァーン To:謎の手 改め パオル |
ぬぅ〜、その声は…人畜無害でシャイ等とは口ばかり、通った後にはペンペン草もはえねぇ、この世の者とも思えない喋る胃袋、食欲魔人パオルだなぁ〜!! へへっ、来てたのかい? 全然気付かなかったぜ? |
パオルもヴァーンも、共に死線をくぐり抜けた仲である。言いたい放題言っておいてから、ヴァーンはにやりと笑うと、おもむろに振り返った。
■ パオル To:ヴァーン |
む! さすがはヴァーンさん。 お久しぶりです、今日もお酒ですか? 本当に好きなんですね。 しかし……食欲魔人ってのは、ちょっと頂けないですねぇ。 そうですね、カッコ良く『ドラゴンの胃袋のパオル』って呼んでほしいですよ。 |
仲のいい二人である。
そんな二人を、ちょっと遠くから見る青年がいた。
先程から、『銀の網亭』で周りを眺めていた青年は、見るからに場慣れしていなかった。
青年は、しばしの逡巡の後、思い切って席を立った。
■ フェリオ To:ヴァーン |
(う〜ん……先客かあ……なんか知り合いっぽいなあ……) え〜っと、ちょっといいか? 人畜無蓋でシャイな少年君? 実はそこの腕の良さそうな兄ちゃん(ヴァーン)に用があるんだけどよ あんたも、お仲間さんかい? 実は冒険の仲間を探しててな、よかったらそこの兄ちゃんを誘おうと思ってたんだがな 俺は剣と神聖魔法が少し使える(1/1レベル)んだが、器用な真似が出来なくてね…… それで、もしあんたらが仲間なら俺も連れてってくれねえか? これでも少しは役に立つぜ? どうだい? |
■ ヴァーン To:フェリオ |
へっ? あ、ああっ まあ、腕が良さそうだなんて、そんな見込まれちゃあ、てれるなぁ、ハッハッハッ。 って、そんなことより、仲間探してんのかい? ちょうど良かった、俺も次の仕事の仲間を探しに来たとこなんだよ。で、あんた神官戦士なのかい? |
パオルの首を絞めていた手を離し、ヴァーンはしげしげとフェリオを見つめた。
黒地に虹の模様のマントに、シルクハット。誰がどう見ても芸人のいでたちである。
■ フェリオ To:ヴァーン&パオル&ジョージ |
ああ、どっからどう見ても神官戦士……には見えないかもしれねえけど、これでもれっきとした神官だぜ? ……どうやら、そっちの兄ちゃんも戦士っぽいが俺より強そうだな……まあ、それでもフォローくらいは出来るぜ? それに俺には誰にも負けない秘密(?)の技があるんだよ冒険するには仲間が必要だからな…… で、どうだい?仲間にしてくんないか? |
■ ジョージ To:ヴァーン&フェリオ |
ヴァーン君、お久しぶりです。 (秘密の技? ……この男、何者!?) えーと、こちらは始めての方ですね。 私はジョージ・マクドヴァルと申します。 私もちょうど仲間を探しておりましてね……。 よろしければ是非とも御一緒していただきたい。 お名前をお聞かせ願えますか? |
何故、そんなに「秘密の技」に反応するのか?
しかし残念なことに、恐らくフェリオの技とは、ジョージが期待するものとは少々違うであろう。
とその時、フェリオは体が急に重くなったような気がした。
原因は、彼のマント……いや、それもまた遠因ではあるのだが……。ともかく、直接の原因は、彼のマントを掴む新たな登場人物であった。
■ シェル To:ALL |
あの〜お話中すいませ〜ん あの〜、ちょっといいですか〜? あなたのマント非常に個性的ですね〜、ちょっと、見せてもらっていいですか〜? あ、自己紹介まだでしたね。ボクはエルフの精霊使いで、シェル=レインっていいます。よろしく〜(ニコニコ) |
■ フェリオ To:ジョージ |
え? ああ、よろし……うああっ!? …………痛ええええ!! ……つ〜、何てこった…… あ〜いや、みっともないとこ見せたなえ〜っと、あんたもこの二人(ヴァーン&パオル)の仲間かい? とりあえず、よろしくな俺の名前はフェリオだ、こう見えても一応神官戦士なんだまだまだ修行中だがね一緒に行ってくれるってんなら心強いな、よろしく頼むよ |
本日の教訓:マントを引っ張ると危ない。
■ シェル To:フェリオ |
あ、すいません すいません、好奇心旺盛なもので(アセアセ)つい……フェリオさんですね?よろしく!(ニコニコ) |
さすがにマントから手を離し、フェリオに謝るシェル。
■ ジョージ To:シェル |
精霊使いの方ですか? ちょうど良かった、是非我々と御一緒していただきたい。 失礼、私はジョージ・マクドヴァルと申します。 詳しい話はテーブルででも………。 |
■ シェル To:ジョージ&フェリオ |
あ、ほんとですか!?ボクも冒険仲間探してたんです〜。ジョージさんですね?こちらこそよろしく!(ニコニコ) そうですね。カウンターでかたまっいると迷惑だろうし、どこか、空いてるテーブルにいきましょう! フェリオさんも一緒にテーブルにいきましょうよ! |
気付くと、再びマントの裾を掴んでいるシェル。
教訓は、余り活かされてはいないらしい。
■ ヴァーン To:おやじ |
ちょっとまってくれ、なんだか人数が増えちまったみたいだし、テーブルに行こうぜ おやじさん、テーブルに移りたいんだけど、どのテーブルがいいかな? |
■ パオル |
ん? いつのまにか人が一杯だ……。 皆さん、とりあえずテーブルに行ってから、ゆっくりお話しましょう。 ほら丁度あそこのテーブルがあいてますよ! それじゃあ皆さん、テーブルに移りましょう。 |
■ ジョージ |
わかりました、あのテーブルですね。 では、そちらに移りましょう。 |
■ シェル |
は〜い、いきま〜す(ニコニコ) |
■ フェリオ |
わかったぜ、一番テーブルだな さて、そんじゃあついて行きますか…… (……エルフって変わった種族なんだなあ……マント離してくんないかな……ちょっと考えを改めよう……) |
後ろ向きに引っ張られるよりは……。
仕方はなく、フェリオはシェルの前を歩くことになった。