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第九章「庭園」 |
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庭園 |
庭園とやらにたどり着くと、まず森にぶち当たった。よく見ると、木々は整然と立ち並んでいて、わざわざ植樹したものだと分かる。そこに舗装された道が延びている。
石の敷き詰められた道を進むと、巨大な花畑に出た。こちらは、花を付けている草が少ないせいか、閑散として見える。
奥のベンチには老人が腰掛けており、クリスに気付くと立ち上がりぺこりと頭を下げた。
■パオル To:クリス |
・・・・・・これは・・なかなか・・・大きいですね〜。 これだけの庭園を作るとなると、すごくお金がかかったんじゃないんですか? |
■クリス To:パオル |
先代のオーズ叔父さん、つまりレイチェルのお父さんが作らせたものですからね。どのくらいかかったかは知らないんです。僕が産まれる前ですし。 |
■パオル To:クリス |
(ふむ・・・昔、庭園を作った年に餓死者が出たっての知らないのかな?) それじゃあ、現領主のディオンさんは知ってますか? |
■クリス To:パオル |
さぁ………。父は直接関与していないはずですし、あまり詳しくは知らないかと。 |
■パオル To:クリス |
・・・そうですか・・。 (本当かな?本人に直接聞いてみるしかないか・・・。) |
■ドリス(独り言) |
ひやや〜……。 凄い広さ…これが全部庭園の中なの? (キョロキョロとあたりを見回す) これだけのもの作ったらそりゃお金かかるよね……(ぼそぼそ) |
■ドリス To:クリス |
(ふと気付いて) あ、申し訳ありません。まだ名乗ってもいませんでしたね。 私、ドリス・キャザミーと申します。 それで、あの…この庭園にはどのようなものがあるんでしょうか? よろしければ、簡単にでよろしいので、案内していただけますでしょうか? |
■クリス To:ドリス |
っと、そうでしたね。僕こそ失礼しました。よろしく、ドリスさん。 他の貴族を呼んで晩餐会など行うために作られたそうですからね。あの (と庭園の中央を指さして)建物で100人そこらもてなすことができるのですよ。今は領民に公開しているので、そのような使い方はしていないですが。 元は、一年中花が楽しめるように様々な植物が植えられていたのですが、父の代になってからは草が伸びすぎないように刈るだけで、生命力の弱い草は淘汰されてしまいましたからね。 他には―――特にないですね。植物を楽しむための庭園ですから……… |
■パオル To:クリス |
なるほど〜・・・。 あ、でも・・思ったほど、この庭園は大きい割には華やかじゃないですね。 もっとキレイに、花が咲き乱れてるのかと思ってましたから・・・。 やっぱりこれだけ広いと、管理が大変なんですかね? |
■クリス To:パオル |
そうですね。最近は、管理の手間がかかりにくい植物を中心にしていますけど、面積が面積だけにやはり手間はかかりますよ。 でも、領民が自主的に手入れしてくれている部分もかなりあるので、助かっています。 |
■パオル To:クリス |
ふむふむ・・。今は領民に開放されてるって、さっき言いましたよね? それ以外はあまり使ってないんですか? 例えば・・・そう、ハーブとかそういったものを栽培とかしてないんですか? |
■クリス To:パオル |
さぁ………ほとんど、当番制で領民が管理をしている部分が占めているので、細かいことは何とも……… |
■パオル To:クリス |
う〜ん、仕方が無いな・・・。 あ、あのお爺さんは領民の方なんですか? |
■クリス To:パオル |
そうですよ。 よくお孫さんをつれて来ている人です。 |
という答えを聞くか聞かないかというところで、パオルは老人の座っているベンチまで突然猛ダッシュ。
■パオル To:ジジイ |
すみませ〜ん! ちょっとお聞きしたいんですけど・・。あ、ボクはパオルって言います。 え〜と・・・(そうだ!)一応レイチェルさんの友人なんです。 それでここには、どんな植物があるんですか? あとハーブとかはないんですか? |
■老人 To:パオル |
んー?レイチェルさんとはどなたかね。 あー、なんだって、ハーブ? と、言われても…儂にはちょっと分からんのぉ………。ドクダミならそこいらに生えとるじゃろて。 (中央の建物を指さし)あっちの方で、香草の類を植えとると聞いたことはあるが、そういうのを探しておるのかね?しかし、あれは勝手に取っていったら怒られるじゃろ。 |
■パオル To:老人 |
(香草?(☆☆)キラーン!!) なるほどね〜・・・、それでその香草は誰が植えたんですか? |
■老人 To:パオル |
さぁ、のぉ。持ち回りでやっておるから、今年の当番が誰かは知らんわい。 |
■パオル To:老人 |
そういえば昔この庭園が作られた頃、この街で餓死者が出たって聞いたんですけど・・本当なんですか? それと前領主様ってどんな方だったんですか? |
■老人 To:パオル |
あ………あぁ………まぁ………そ、そうじゃな、今の領主様の方が人気はあるようじゃなぁ……… |
老人の視線は、明らかにクリスを気にしている。答えづらい質問をされて、老人はいささか迷惑そうだ―――
■パオル To:老人 |
(チラリとクリスを見て)・・・・う〜ん・・。 (小声で)それじゃあ、ボクが言った事でYESなら縦、NO なら横に首を振ってもらえますか? まず・・前領主は皆さんにとって迷惑な存在でしたか? あと現領主様は良い人ですか? 誠実な人ですか? 公平な人ですか? 信頼できる人ですか? 領民に慕われていますか? |
■老人 To:パオル |
……… |
老人は、首を動かさずにパオルの方を見ている。かなり嫌そうだ………
■老人 To:パオル |
儂は平民じゃ、貴族の方を評価できるほど偉い身分ではない。 それだけじゃ。 |
■パオル To:老人 |
・・・。(なるほどね・・、思ったほどこの街も平穏で無いのかもしれないな。 第一本当に良い領主と思ってるなら、少しくらいは褒め称えても良いはずなのにね・・・。 これはちょっと疑わしいな、少なくとも現領主のディオンさんは・・。 それにクリスさんも、本当に知らないのかどうか・・・。 これはボクが思ってたほど、楽観的でいられないかもしれないな〜。) あの・・、どうもスミマセンでした。 失礼な事ばかり言って・・。それじゃあ、失礼しました! ペコリ(老人に頭を下げた) |
そして、またまた猛ダッシュで、ドリスの所に戻ってくるパオル。
■パオル To:ドリス |
ふぅ〜・・・・・。(一息ついて) (小声で囁く) あの〜ドリスさん・・。 ハーブとか見分けがつきますか?後・・高価そうなやつとか・・・、ま・や・くとか・・・。 分かります? |
■ドリス To:パオル |
(同じく小声で囁き返す) う〜ん、あまり自信ないけど一応注意しておくね。 (でもそんなものは簡単に見つかる場所にはないと思うけど…しかもここは領民が自由に出入りできる場所なんだし…) |
■パオル |
OKです!それじゃあ・・・。 |
■ドリス To:クリス |
(庭園の中央の建物を指して) あの、あちらの建物を見せていただいてもいいですか? |
■クリス To:ドリス |
いいですよ。 |
■ドリス To:パオル |
パオルくん。見にいってみようよ。 (そういうと。一応回りの植物に注意しながら建物へ向かう) |
■パオル To:ドリス |
もちろん、ボクもそのつもりでしたよ。 |
■ドリス To:クリス |
(建物へ向かって歩きながら) ところで、レイチェルさんがいるところでは聞きづらかったんですけど…クリスさんが知っている昔のレイチェルさんと今のレイチェルさんの容姿…髪の色だけでなくて、もしかして全然違うんでしょうか? 何か昔のレイチェルさんの絵姿など残っていたら、後で確認のため見せていただきたいのですが…… |
■クリス To:ドリス |
………ええ、正直言って、別人です。身長がだいたい同じくらいだという以外は、ほとんど……… ああ、絵姿なら一枚だけありますよ。別館の廊下に飾っているので、後でお見せしますね。 |
■パオル (独り言) |
(それを聞いて) 記憶と持ち物は本物・・・。でも姿が違う・・か・。・・ふむ〜。 |
石畳を進んでいくと、程なくして庭園の中央の建物へと出た。
数本の柱で屋根をささえ、その下にはテーブルと椅子が並んでいる。庭園を見ながら立食パーティなどができるような作りらしい。公園にある休憩所を二回り大きくしたもの、と言えばイメージしやすいだろうか。
■クリス To:ドリス&パオル |
大したものではないですが、ここからが一番眺めが良いようになっているんですよ。 |
■ドリス To:クリス |
へえ、確かにいい眺めですね。 ここからだと庭園の中がほとんど見渡せるようになっているんですか? (などといいつつさりげなく建物に怪しいところはないか確認) |
■クリス To:ドリス |
そうですね。ここが一番中心になっていますから。 |
■パオル |
(キョロキョロ)・香草・・香草、香草はどれかな〜。 これか!?(それらしき植物を見つける) |
■パオル To:ドリス |
ドリスさん!ちょっとこれを見て下さい! (ドリスを手招きする) これって香草ですか? どんなものか分かります? |
■ドリス To:パオル |
(とてとてとやって来て) どれどれ? |
パオルが見つけてきたのはラベンダーのようだ。比較的寒冷な地方に生育し、鎮静・健胃・整腸・血圧降下などの作用がある。オイルを取って香料として用いたり、ハーブティとして飲むこともできる。花は夏先に咲くので、今は咲いていない。
■ドリス To:パオル |
これは…ラベンダーだね。 香料にしたり、ハーブティにして飲んだりするやつ。 ごく普通の香草だよ…… (小声で) あたしちょっと、このあたりを魔法で確認してみたいんだけど……。 クリスさんをこちらへ呼ぶから、その間うまく引き止めて置いてくれないかな……。 こんな一般の人が自由に出入り出来るようになってるんなら、多分何もないような気がするけど一応念のためにね…… |
■パオル To:ドリス |
コクン・・。(うなずく) (ど〜やって引き止めれば・・・、やっぱり世間話かな?) |
■ドリス To:クリス |
(クリスの元へ戻って) すみません、パオルくんがちょっと聞きたいことがあるそうなんですが、あたしではちょっと判らなくて…… |
■クリス To:ドリス&パオル |
はい。なんですか? |
■パオル To:クリス |
あ、スミマセン。これなんですけど・・。(先ほどの香草を指して) この香草も領民の方が植えたんですか? |
■クリス To:パオル |
そうだと思いますよ。当番制でやっているらしいので、あまり細かいことは知りませんけど。 |
■パオル To:クリス |
ふむふむ・・・・・。(話題がないよ〜・・・(汗汗)) あ、あの〜・・・・。 今日はちょっと・・、天気が・・・・よくないみたいですね〜・・・。 |
晴れ
■ドリス |
(クリスがパオルの方へ行ったら、こっそりセンスマジックの呪文を唱える) 万物の根源たるマナよ、常には知覚せざるその輝きを我が瞳にうつしたまえ!! (建物の中、および建物から見渡せる範囲で庭園の中に魔力を放つものがないかぐるっと見回してみる) |
ぱっと見て、魔力を感じさせるものはないようだ―――
■ドリス |
キョロキョロキョロキョロ (魔法の持続時間目一杯まで庭園の中をじっくり観察してみる) う〜ん魔力を放つものは何もなしかあ……。 本当にここには何もないのか…それとも隠されているのか…… |
■パオル To:クリス |
・・・・・。(う〜ん間がもたない・・・。) !!(話題が閃いたらしい) そういえば、クリスさんのお母さんはどんな方なんですか? |
■クリス To:パオル |
え………母上ですか。母上はずっと病弱で…あまり会うことがなかったんですよ。僕が幼い頃に亡くなってしまったので、正直言ってどんな人と言われても………。 |
■パオル To:クリス |
あ、スミマセン・・。余計な事を聞いちゃって・・・・。 そうですか・・・、ボクも物心着く頃には母さんはいなかったです・・。 (なんか余計に話しづらくなったな・・・。) |
■パオル To:クリス&ドリス |
(だめだ・・、もう間がもたない・・・。) あの〜、そろそろ屋敷の方に戻りませんか? ボクは十分堪能しましたけど・・・。 |
■クリス To:パオル&ドリス |
っと、そうですね。レイチェルのことも気になりますし、そろそろ戻りましょうか。 ドリスさんはどうしますか? |
■ドリス To:クリス |
そうですね。そろそろ戻りましょう。 どうも、ご案内くださいまして、ありがとうございました。 |
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