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第九章「お茶会」 |
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アングラード邸・食堂 |
アングラード邸の中に案内されると、まずその豪華な内装が目に付いた。
うんざりするほど広い食堂では、既にお茶の準備が整いはじめている。
■クリス To:ALL |
どうぞ、おかけください。 |
■ジョージ To:クリス |
失礼します。(イスに座る) |
■ヴァーン To:パオル |
(部屋の中を見まわしながら、パオルをつっついて、小声で、) おい、すげぇな……。 (ほう、田舎貴族のくせに屋敷の中もえらい豪勢だねぇ。こりゃあ、随分と金かけてるわ。) |
■パオル To:ヴァーン |
(部屋の中を見て) ・・・・すっ・・ごいなぁ・・・。これなら食事もさぞかし・・・ (ヴァーンに突つかれて我にかえり、こちらも小声で) あ、そうですね!でも食堂って、こんなに豪華なんですかね。 しかしこの資産は凄いんじゃないですか?これが貴族なのか・・。 |
■ドリス |
(溜め息をついて) もうっ…パオルくんったら……しょうがないなぁ……。 レイチェルちゃん…大丈夫かな……。 (とレイチェルの方を気づかう) |
■ジョージ To:クリス |
クリス様の方からは我々に何か質問はございますか? 知る範囲でならお答えさせていただきます。 |
■クリス To:ALL |
そうですね………。 7年前レイチェルに何があったのか、7年間どうしていたのか………今のレイチェルの姿はどういうことなのか。知りたいことは僕としても山積みなのですが……… っと、お茶の用意ができたようですね。 |
■アーギー(心の声) |
?・・・さっき言ってた「記憶」はじゃあ、あってたのかな・・? ・・・・んー・・・・・・・ |
メイドが出払っているのか、紅茶と茶菓子を料理人らしき男が持ってきた。
■料理人 To:ALL |
どうぞ。 |
可愛いメイドならさておき、30そこらの男が持ってきたのでは、いまひとつ華に欠ける。というか、男自体、どこか陰気である。
■ヴァーン |
……。 うぇ、ふつうこういう時はかわいい娘が出てくるもんだがなぁ。 |
■パオル To:ヴァーン |
・・・全くそうですね。 この場の雰囲気を変えてくれそうな、美人なメイドさんだったら良かったのに・・。 ホントに残念ですね〜、ヴァーンさん。 |
■クリス To:ALL |
………で、現状について分かっていることは、どの程度ですか? |
■ジョージ To:クリス |
ありがとうございます。(お茶が来たときに礼を言う。) まず、我々の知る限りでは、オランでレイチェル嬢と最初に会ったのは冒険者の店の女将ということです。 「店の前で倒れているところを発見した。」と聞いております。これが約1週間ほど前です。 レイチェル嬢は身につけていた装飾品の一部を売り、ここへ戻るために冒険者の店に護衛を依頼しました。 そして、我々がその依頼を引き受けたというわけです。 (お茶を一口飲む) 次にレイチェル嬢についてお話しします。 オーズ=アングラード子爵の娘、レイチェル=アングラードと彼女は名乗りました。 そして最初に「アングラードの街」までの護衛を依頼されました。 その街についてオランで調べた結果、最初に聞かされたこととかなり食い違う点が出てきました。 すでにオーズ子爵が亡くなられていることや、街名がアールブルグに改名されている等です。 その事についてレイチェル嬢にうかがったところ、7年前にアングラードを出た後、オランの冒険者の店の前で発見される前の記憶は全くないと言うことです。 ですから、その事実についても全くご存じなかったようで、かなりショックを受けている様子でした。 他に帰る場所もなく、オランにもお知り合いの方はいらっしゃらないとのことでしたので、レイチェル嬢は改めてアールブルグまでの護衛を我々に依頼されました。 そして、姿ですが……我々が最初に会ったとき……おそらく店の女将さんが発見したときから、現在の姿だったと思います。 以前のレイチェル嬢を存じませんので、詳しい相違点は判りませんが、我々の知っているレイチェル嬢はその方なのです。 |
■クリス To:ALL |
そうですか………。つまり………………ふぅ…見たままということですね…… ともあれ、彼女が本当に――― |
ちらりとレイチェルの方を見て、視線を戻す。
■クリス To:ALL |
―――本物のレイチェルで、7年間の記憶を失っているのであれば、何か記憶を取り戻す手がかりがあればいいのですが…。 |
■ジョージ To:クリス |
7年間分の記憶を失ったかどうかは定かでは無いのですよ。 魔術等により眠らされている間は年を取らないケースもあるらしいので……。 しかし、記憶につきましては、7年前に出発した時等の記憶だけでも何とかして差し上げようとしたのですが……。 結局は道中ではこれといった成果はなく、ここに到着した次第です。 7年前‥‥記憶がとぎれる直前に何が起こったかだけでもわかるとよろしいのですが‥‥‥ |
■クリス To:ジョージ |
なるほど……… 当時、僕が最後にレイチェルを見たのは………オーズ叔父さんがひどい肺炎にかかって………その……… |
レイチェルの方を気にしてか、少し言いづらそうにしつつ、クリスは続ける―――
■クリス To:ジョージ |
………亡くなった日の……次の日でした。何か包みを抱えてひどく慌てた様子で、どこかへ走っていってしまったんです。その時は、何か忙しいことでもあるんだろうと思っていたのですが、結局それ以来レイチェルは行方不明になってしまいました。 でも、さっきの話からすると、レイチェルは、そもそもオーズ叔父さんが死んだこと自体――― |
クリスは、レイチェルの方に首を傾げてみせた。
と、突然、レイチェルは頭を両手で抱えるようにして、大きくかぶりを振った。
■レイチェル To:ALL |
覚えてません………覚えてませんっ!! わたくし何も知らない……… |
■アーギー |
!? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
突然のレイチェルの行動に一瞬驚く……… しかし、すぐに真剣な表情になって今の一連のやりとりについて考えはじめた。
■アーギー(心の声) |
・・・・・・今の彼の話は・・・? ・・・じゃあ父親が死んだ時、レイチェルさんがそこにいたってことも・・・? |
■クリス To:ジョージ |
―――ふぅ。 だ、そうです………。 |
■ヴァーン |
……。 (お嬢さんのあの様子……慌てて出ていったときに抱えてた包みの中身はなんなんだ?……やっぱり、親父さんの件で何かを知ってたにちがいねぇ。) |
■アーギー |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
■パオル |
ふむ・・・・。ポリポリ・・、ポリポリ・・。ズズ、ズ・・・。 (レイチェルさんの記憶喪失の原因に、父親の死が関係してる可能性アリか・・。 最悪の場合・・、自分が父親を殺してしまった為にそのショックで、記憶を失ったというのもありうるかもね・・・。) |
■ジョージ To:クリス |
ところで、クリス様。一つお伺いしてもよろしいですか? レイチェル嬢の持っていらっしゃるネックレスの事なのですが……… 彼女はとても大事になされているようですが、何か由来があるのでしょうか? 不都合が無ければお聞かせ願えませんか?……いえ、ただ道中気になったものですので。 |
■クリス To:ジョージ |
ネックレスですか?あれは曾祖父が曾祖母にプロポーズするときに贈ったものだそうで、以来当主が結婚する時に花嫁があのネックレスと付けることになっているのですよ。 あの埋め込まれた宝石はちょっとした魔法の品だそうで、暗い所に置くとうっすら光るんです。まあ、ただそれだけのものなんですけどね。 |
■ジョージ To:クリス |
なんと!?暗いところで光るのですか!? ………失礼………昔からそういった物が好きでしてつい……。 |
暗いところで光るというのに反応したらしい……。興味津々。
■ドリス(心の中で) |
あのネックレス…魔法の品だったの? あ〜ん全然気がつかなかった…あたしって未熟者ぉ……。 よし、次からは怪しげなものを見つけたら片っ端からセンスマジックしておくことにしよっと (変な決意を固めるドリスであった) |
アングラード邸・食堂 |
■パオル |
ポリポリ・・、ポリポリ・・、ポリポリ・・、ポリポリ・・・。 ズズ、ズ・・・。ポリポリ・・、ポリポリ・・・。 うん・・、なかなかですよね。美味しいです。 |
■ヴァーン |
……。 (むぅ、この食器は……。) |
言うまでもなく高価な皿である。どのくらい高価かというと、4枚割ればヴァーンが破産するくらい………。
■ヴァーン To:パオル |
(パオルを突っついて、) う〜ん、この皿もなかなかの銘品だぜ。 オメエさんも、食ってばかりじゃなくてよ、ちっとはそういうトコにも目をやらねぇとな。(にやにや) |
■パオル To:ヴァーン |
え〜〜そうですか?う〜ん・・・。 それで結果的にお腹が膨れるのなら、ボクも少しは興味を持ちますけどね・・。 ポリポリ・・、ズズ、ズ・・・。 |
■パオル To:クリス |
あ、そうだ。クリスさんのお父さんのディオンさんは、どこかに出かけてるんですか? |
■クリス To:パオル |
取引の交渉です。予定が遅れているようですが、今日中には帰って来ると思いますよ。 っと……… |
ちょうどそのとき、門のところで会ったアルベルトとかいう兵士(兵士A(仮)) と、もう一人別の兵士(兵士B)―――こちらは若い女だ―――が入ってきた。
■兵士B To:ALL |
お部屋の準備ができましたが、まだお話があるようでしたら、お荷物だけ運んでおきましょうか? |
■パオル To:兵士B&クリス |
あ、スミマセンよろしくお願します。 ところでクリスさん、この屋敷に巨大庭園があるって話ですけど・・。 少し見せてもらえますか? |
■クリス To:パオル |
ええ、構いませんよ。 庭園と言っても、今は一般に開放しているので、公園と言った方が近いですけどね。 では、彼ら(と兵士二人を指さす)に荷物を預けて、行きますか? |
■ヴァーン To:クリス & 兵士B |
ああっと、俺も見に行きてぇんだが……。 すまねぇが、荷物を頼めるかい。 (と、兵士Bに荷物を預ける。ついでに、この女性をじっくり観察する。) |
兵士B(女性の方)は、さすがに屋敷の中ということもあって軽装だ。ハードレザーを着込み、バスタードソードを腰から下げている。
髪は茶色で目は黒い。年頃は意外と若く、よく見るとレイチェルと大差ないように見える。
■ヴァーン |
……ん? (茶色い髪に目が黒くて、年の頃は17、8ってとこか、まさかなぁ。) |
■パオル To:ヴァーン |
(ヴァーンの左肩にアゴを乗せながら・・、もちろん背の低いパオルは背伸びしてる) ・・・・結構キレイなひとですね〜。 ふ〜ん・・、ヴァーンさんはこんな感じの人が好みなんだ〜・・・。 ボクはどちらかというと、髪の毛は黒のほうが良いけどな〜。 (ヴァーンの顔をチラリと見て) もっし、も〜し!ヴァ〜ンさ〜ん!鼻の下伸びてますよ〜! グリグリ・・。 |
ヴァーンの両脇を両拳でグリグリ。
■ヴァーン To:パオル |
(パオルの囁きを聞えないフリをしていたが、脇をやられて、) あぅ! (と、おもわず、変な声を出して、身を捩る。) |
■パオル To:ヴァーン |
はいはい、ヴァーンさん!いつまでも見とれてないで、トットト、さっさと、ちゃっちゃと、サクッと庭園を見に行きましょうよ! グリグリ・・。 |
まだグリグリしてる。
■ヴァーン To:パオル |
パ〜オ〜ル〜 テメェ〜、いつまでやってんだぁ? (と、声を震わせながら振り向いて、パオルの頭を鷲掴みにすると、思いっきり髪の毛を引っ掻き回す。) うむ、なかなか斬新かつワイルドな髪型でよく似合っとるよ、パオル君。 (と、妙に満足げに、うんうんと頷くいてみせる。) |
■パオル To:ヴァーン |
あう〜・・シャイな雰囲気をかもしだし、なおかつカワイイと評判の僕の髪が・・・。 ・・・・・・・・・う〜〜〜ん・・・・・・・・・。(考え中) 仕方が無い、たった今からワイルドでカッコイイを売りに ・・って!そんな訳ないじゃないですか!! ・・・ったくもう〜、派手にやってくれちゃって〜・・・・。(髪を撫で直してる) なんでボクみたいな、人畜無害な少年にこんな事するかな〜・・ヨシッ! これで直ったかな?そもそも年上の者は年下の者に優しくすべきなのに・・・(ぶつぶつ・・)。 |
パオルは直したつもりのようだが、まだまるで寝起きのように髪がはねている。
■兵士B To:ヴァーン |
………? ………確かにお預かりしました。部屋に運んでおきます。 |
■ドリス To:レイチェル |
(庭園か……あたしも見ておきたいな) ねぇレイチェルちゃん…一緒に庭園を見にいってみない? もしかして何かレイチェルちゃんの記憶を取り戻すきっかけがあるかもしれないし…… |
■レイチェル To:ドリス |
………いえ、わたくし、屋敷の方におりますわ。わたくしに仕えてくれていた使用人達がどうなったかも知りたいですし……… |
■アーギー To:ALL |
(考え込むような厳しい表情をした後) ・・オレも・・・・・今はここに残る。 今も・・・少なくとも誰か1人はレイチェルさんについておく必要があるはずだと思うから・・。だから・・・・・。 ・・・・・・・他は・・・どうする・・? |
■ジョージ To:レイチェル&おおる |
では、私も屋敷に残らせてもらいましょう。 まだ依頼は生きていると思いますので、報酬をいただくまでは依頼を遂行させていただきます。 他に残る方はいらっしゃいますか? |
■ドリス To:アーギー&ジョージ |
そう、じゃあ、あたしはどうしようかな… (庭園も見ておきたいがレイチェルも心配なので少し迷う) やっぱりあたし庭園を見てくる。 残る人たちはレイチェルちゃんのことお願いね |
■パオル To:ALL&クリス |
それじゃ、行きましょうか?それじゃあ、ヨロシクお願しま〜す! ・・あ、ヴァーンさんは一緒に庭園へ行かないんですか? |
■ヴァーン To:パオル |
あ〜、お嬢さんが行かねぇんだったら、やっぱりやめとくわ、俺は。 |
■パオル (独り言) |
・・やっぱり女の人がいないとダメなのか・・・。 (周りに聞こえるように)あ〜・・・ヴァーンさんにとってボクは単に遊びだっんだね・・。 散々もて遊んだあげく、この仕打ち・・・ヒドイよ〜・・・・シクシク・・。 |
■ドリス(心の声) |
えっえっヴァーンくんってばそういう趣味あったのっ……。 うわあっ。どきどきわくわく……。 (何故か期待のまなざしで2人を見つめる) |
■アーギー |
・・・・・・・・・。 (一瞬、あきれるような表情を見せる) |
■ヴァーン To:パオル |
(ギョッとして、) パ、パオル、な、なにをほざいてんだっ?! (皆の物問いたげな視線と凍りついた空気にあわてて、) ちょ、ちょっとまて、おれは別に男なんかに興味はねぇぞ。ご、誤解だって……。 くっ、パオル、テメェ〜! (と、かるく一蹴り \(‘O´θ/おりゃあっ) |
■パオル |
(  ̄□ ̄;)!!あ痛っ! |
■ヴァーン To:ヴァーン |
(嘘だろ?! 蹴った俺の足の方が痛ぇぜ。) ま〜た、大袈裟な声出しやがって。その御大層な鎧を着けてんだ、痛ぇはずがねぇだろうがよ。 ……パオル、最近オメェ、なんか変だぜ? (と、首をひねるが、合点がいったというふうに呟きだす。) そうかぁ、よっぽどひもじかったんだな、可哀想に――ここ一週間、干し肉とかそんなものばかりだったからなぁ――すっかり、壊れちまって。これからは、腹いっぱい食わせてやっからな。 |
■アーギー |
・・・・・・・・・・。 (無言のまま首を傾げる) |
■パオル To:ALL&ヴァーン |
ふぅ〜・・・・・すっきりした〜!! さぁ庭園へ行きましょうよ!ってアレ!?皆さん、どうしたんですか? やだな〜皆さん。お腹が空いて気が立ってたから、ちょっとヴァーンさんをからかっただけですよ! |
■クリス |
……… |
状況が分からず、クリスはぽかんとしている………
1分ほどして、ようやく我に返り、クリスは立ち上がった。
■クリス |
あ、ああ、そうですね。えっと、庭園でしたね。それでは行きましょうか。 |
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