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第六章「楽しい日がくれば」 |
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野営地 |
アーギーとラクルの順番になった。ジョージとヴァーンは既にテントに戻っている。
■アーギー To:ラクル |
(袋の中のワインを1、2口ずつゆっくりと飲んでいる) ・・・・・さすがに1日目からは、何もないかな、やっぱり・・。 (ラクルの方を向いて) ラクル、そっちは大丈夫かな・・って、あれっ・・・・・・・? |
どうやらラクルはよほど疲れていたのか、うとうとと半分眠りかかっているようだ。
■アーギー To:ラクル |
(ラクルの方に近寄る) ちょっと、ラクル・・・。 寝るんなら何か着ないと、風邪ひいちゃうよ・・・・ |
返事はない。膝に毛布をかけているだけで、あまり暖かくなさそうだ。
■アーギー To:ラクル |
・・・しょうがないな、もう・・・。 (毛布を持ち、ラクルの肩に掛ける) ・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
寒そうにしていないか、心配そうにラクルの寝顔を窺うアーギー。
と、その時―――
■レイチェル |
………あら? |
レイチェルは羊皮紙を綴じたノートのようなものを片手に、テントから半分身を乗り出した状態で硬直している………。
■レイチェル To:アーギー |
あの………その………わたくし、日記を書き忘れていたのを思い出して………その………お邪魔するつもりは……… |
レイチェルはなにやら(かなり)誤解しているようだ………
■アーギー |
? お邪魔・・・? |
一瞬考え―――そして、眠っているラクルを見て、どういう意味か悟った。
■アーギー To:レイチェル |
・・・・(思わず吹き出す)ハハハッ・・・・何だそういう事か・・ (一息ついて) ・・お邪魔だなんてとんでもないですよ・・。何も大した事はしてないし・・。 ラクルが・・よっぽど疲れたのか、眠っちゃったみたいだから、毛布を掛けてあげてただけですよ。風邪をひかせるわけにはいかないですからね・・。 |
■レイチェル To:アーギー |
そ、そうでしたの。 |
■アーギー To:レイチェル |
・・・それよりレイチェルさん・・やっぱり、初めての野宿じゃ・・なかなか寝つけない・・ですか? ・・・って言っても、オレも実はこういうのは初めてだから、人のことは言えないんだけど・・。 |
■レイチェル To:アーギー |
ええ、なんだかドキドキしてしまって眠れないのですわ。不謹慎だとは思うのですけれど、釣りをしたり、料理をしたり、とても楽しくて………。 |
言いながら、レイチェルはたき火の側に座る。
■アーギー To:レイチェル |
そっか・・・。 ・・・そんなに楽しいのなら、オレも明日は一緒にいろいろやってみようかな・・。 ・・・なんか今日はオレ、「護衛する」ってことばかり考えちゃってたから・・。 |
■レイチェル To:アーギー |
そうですわよ。それに、アーギーさんも一緒にいれば、より「安全」ですもの。 |
レイチェルが「名案」とでも言いたげに手を叩く。
■アーギー To:レイチェル |
「安全」か・・・・・・(にこっ) ・・・・ありがとう。 |
昔から身体が弱かったせいで「一緒にいれば安全」な存在である自覚がなかったためか、レイチェルの言葉が妙に嬉しかったようだ。
■アーギー To:レイチェル |
(一息ついて) ・・・・明日も、楽しくなるといいですね・・。 ・・あと・・・ちょっと言いにくいんだけど・・・できれば、街にたどり着いたも・・楽しい日が来れば・・いいですね・・。 |
■レイチェル To:アーギー |
………ええ。 はい。がんばりますわ。 |
少し考えるような仕草のあと、無邪気な笑顔でもう一回ぽんと手を叩く。
■レイチェル To:アーギー |
あ、そうでしたわ。わたくし、日記を書こうと思って起きてきましたのに。 ふぅ、今日は書くことがたくさんあって大変ですわね。 |
■アーギー(心の声) |
・・・・・・・・(クスッ) ・・よかった。レイチェルさん、そんなに悩んでるようじゃないみたい・・・。 ・・・ていうか、単にオレが考え過ぎなだけか・・ハハッ・・。 |
―――などと他愛もない話をしているうちに、交代の時間が来た―――。
■アーギー To:レイチェル |
・・・そろそろ、交代かな・・・。 あ、レイチェルさん、すまないけど・・・。 (眠っているラクルを指差して) すまないけど、ラクルを・・・・・このままテントの中に運んでくれないかな・・? その・・さすがにオレ1人で運ぶ、ってわけにはいかないから、さ・・・ |
■レイチェル To:アーギー |
はい。それでは後でドリスさんに手伝ってもらって運んでおきますわ。 それでは、アーギーさん――― |
ラクルの毛布をかけ直しながら、顔だけ振り返り、脳天気な笑顔でレイチェルは片手を振った。
■レイチェル To:アーギー |
おやすみなさい。 |
■アーギー To:レイチェル |
うん・・。・・おやすみ・・。 |
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