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第六章「インディアンポーカー」 |
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野営地 |
他の者は寝静まったようだ。
テントの外にいるのは、ジョージとヴァーンの二人だけになっている。
■ヴァーン To:ジョージ |
(焚き火に薪を足しながら、) ……さてと、話しときてぇ事ってのはなんだい? |
■ジョージ To:ヴァーン |
そうですね・・・まずは仕事の話から・・・ 率直に伺いますが、ヴァーンさんはディオン=アングラード氏をどう思われますか? 彼が、到着したレイチェルさんをどう扱うかという点においての質問なのですが、 あなたの見解を伺っておきたい。 |
■ヴァーン To:ジョージ |
そりゃあ、会ってみなきゃわかんねぇよなぁ。半々だと思うぜ、どう転ぶかは。 だいたい、そのディオンてのがどんな奴かわからねぇだろ。決めつけてる奴もいるみてぇだが、お嬢さんの親父の死因のことだって、そいつの指図と決まったわけじゃないし、わかってることは、領主としてはまあ及第点だって事ぐらいだからな。 案外、姪が帰ってきたって単純に喜んでくれるかも知れねぇし……。 (いったん言葉切って、傍らの酒袋から一口ぐいっと呑む。) だけどな、お嬢さんがなんで屋敷を飛び出したかってことを考えるとあんまり楽観的にはなれねぇよな。ディオンにやっぱり後ろめてぇところがあって、お嬢さんになにかヤバイ事を知られてるとか思ってるなら、まじで消されるかもな。そうなったら、俺たちも……。 (と、首を切る手真似をする。) まあ、お嬢さんの行方にかけてた賞金を取り下げてるぐらいだから、諦めてる――もしくは安心している――のは確かだが、家族の元へ帰りついてめでたしとなるのか、わざわざ消されるために帰ってきた大間抜けってことになるのか……。 まったくディオン様次第ってわけだ。なるようにしかならんて事だな。 (と、肩をすくめて、酒袋に口をつける。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
なるほど、やはりレイチェルさんが出発したときの状況で変わってきますね・・・ 道中でレイチェルさんの記憶の手がかりが掴めるかどうかということになりますか。 |
■ヴァーン To:ジョージ |
そうだな……。 (と、焚き火の炎を眺めながら、) それと、親父さんの事は話しとかねぇとなんねぇだろうな、やっぱり……どう転ぶにせよ、知っておくべきだと思うぜ、お嬢さんは……。 (ふぅと、溜め息をついて、) だけどなぁ……なんせまだガキだからなぁ……。 |
■ジョージ To:ジョージ |
確かにそうですね・・・・・・ ・・・・・・・・・・でも時期をみた方がよさそうです。 まだ、不確定な要素が多いですし、レイチェルさんの記憶も気になります。 ・・・・・・・それと、違う話なのですが・・・・・・ 前から気になってましたが、あなたは私の事を少し誤解していると感じられますが・・・ しばらくは一緒に仕事をするわけですから、うち解けないまでも出来るだけお互いを理解しようと思いましてね・・・・ しかし、失礼ながらあなたは私と話し合って理解し合えるタイプではなさそうに思えましたので、 ・・・・・どうです? 賭事などはいかがですか?こっちの方が少しは気が利いているでしょう。 |
■ヴァーン To:ジョージ |
……別にアンタの事をどうこう思ってるわけじゃないんだがな……そりゃあ、多少オカタイなとは思ってるけど、坊主なんてそんなもんだろ? (でもまあ、賭けをしようなんて、坊主のわりにはそう堅物ってわけでもないんだな……。) まあ、賭けをしようってんなら受けてたつぜ。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
賭の方法は・・・・・そうですね・・・・・カードなんかはお持ちでしょうか? それと、ルールは私の方で決めさせていただきます。 賭事の経験は私より多いでしょうからね・・・・・・ |
■ヴァーン To:ジョージ |
(肩をすくめて、) べつにかまわねぇよ。 カードならあるぜ。ちょっと待ってな。持ってくるからよ。 (と、テントに引っ込んで下品な柄のカードを取ってくる。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(メガネを外してカードを調べる) ええ、これで充分です。 (何枚かのカードを抜いて) ・・・・・・・・・ここに1〜6までのカードが4枚ずつあります。 山からお互い一枚ずつ引きまして表を見ずに相手にだけ見せます。 相手の引いたカードの数字を見て、自分が引いたカードの数字が、 相手のカードの数字より大きいと感じたら賭け金を上乗せして下さい。 相手の提示した賭け金でよろしければ「勝負」を宣言します。 さらに賭け金をつり上げたければ上乗せ金額を提示して下さい。 少ないだろうと感じたら勝負を降りてくださって結構です。 その場合は自分の今までの賭け金がそのまま相手に渡ります。 全く賭けなかった場合でも場代として最低1ガメルは相手に渡ります。 「勝負」を宣言された場合カードを公開しまして、 自分の引いたカードの数字が相手のものより大きければ勝ちです。 同じ場合は引き分けとします。 勝った方は相手の賭け金を受け取ります。 上乗せの権利はお互い2回まで・・・上限は・・・10ガメルくらいにしましょうか? そのルールで異存はありませんか? |
■ヴァーン To:ジョージ |
ああ、問題ねぇ。さっさとはじめようぜ。 (と、にやりと笑って、カードを切る。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(眼鏡を外したままヴァーンのシャッフルを見ている) さすがに手慣れていますね・・・・ (切り終わったら)・・・・・一回、カットを入れさせていただきます。 (カードの山を適当に一回だけ入れ替える) では、表を見ないように上から一枚引いて下さい。 |
■ヴァーン To:ジョージ |
ほらよ。 (と、一枚カードを引いてジョージに見せて、反応を窺う。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(ヴァーンのカードを見て) なるほど・・・ (自分もカードを引いて見せる) 私のカードはこれです。 |
■ヴァーン To:ジョージ |
ほ〜ぅ……じゃあ、俺から賭けさせてもらうぜ。 (にやりと笑って、コインを積む。) そうだな、3Gいっとこうか。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
フフッ・・・怖いですね・・・。 勝てそうもありませんが、最初から降りるのもなんですので その3Gに1G上乗せして4ガメル・・・・ |
■ヴァーン To:ジョージ |
じゃあ、もう4Gで倍額だな。 (と、余裕たっぷりにコインを上積みする。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(ちょっとビビる)
・・・・・・・・・・かなり、自信がありげですね。 いいでしょう。ここまで来て後へは引けません。もう2ガメルです。 (さらに2ガメルをのせて10ガメルにする) さあ、勝負しましょうか? |
■ヴァーン To:ジョージ |
よ〜し、うけるぜ。 |
カードを見せあう。
ジョージが4、ヴァーンも4。
引き分けだ。
野営地 |
■ヴァーン To:ジョージ |
なんだ、イーブンか。 よっしゃ、次いこうぜ。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
かなりヒヤヒヤしましたよ。やりますね、ヴァーン君。 |
引いたカードを見せあう。
■ジョージ To:ヴァーン |
(カードを見て) ほう・・・・・わかりました。 今度は私から賭けさせていただきますよ・・・・・ (目の前に賭け金を押し出す) まずは4ガメル。 |
■ヴァーン |
じゃあ、おれは、 (と、1G上乗せする。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
今度は少ないですね・・・・。どうかしましたか? 私はさらに3ガメルです・・・・・そろそろ勝負しますか? (3ガメル上乗せする) |
■ヴァーン |
(にやっとして、) 2G上乗せで上限までだ。勝負するかい? |
■ジョージ To:ヴァーン |
(しばらくヴァーンを睨んだ後) ・・・・・・わかりました。私の負けです。降りましょう。 どうぞご自分のカードをご覧になって下さい。 |
■ヴァーン |
ほう5か、アンタのは3だ。じゃあ、8ガメルはもらっとくぜ。 (と、じゃらじゃらとコインを手前にかき寄せる。) |
女性用テント |
その頃、女性用テントでは………
■ドリス |
う〜ん。だめだよ〜ヴァーンくん。 賭け事なんかしたらアーギー様に怒られるよぉ…むにゃむにゃ(寝言) |
野営地 |
■ヴァーン |
ん? (と、なにか聞こえたように辺りを見まわす。) ……いや、なんでもねぇ。 どうする? まだ続けるかい? |
■ジョージ To:ヴァーン |
そうですね・・・・・、もう一戦お願いできますか? 負けたままというのもシャクですしね・・・・・・ |
カードを引き合い、お互いに見せる―――
■ヴァーン |
じゃあ、俺から賭けさせてもらうぜ。 そうだな、2Gってとこだな。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
そうですね・・・・最後ですしチビチビいくのも何ですね・・・・・ いきなり8ガメル上乗せして10ガメルです。 勝負しますか?それとも降りますか? |
■ヴァーン |
(にやりと笑って、) うけるぜ。ほらよ、アンタのカードは2だ。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
負けましたか・・・・・あなたのカードは3でした。 |
■ヴァーン |
ハハ、わりぃな。ま〜た、勝っちまった。10Gは遠慮なくいただいとくぜ。 あんまり負けが込まない内に、そろそろやめとくかい? |
■ジョージ To:ヴァーン |
そうですね。勝てそうな気がしません。終わりにしましょう。 (眼鏡をかけてヴァーンを見る) (「性格はどうであれ判断力と頭の回転はかなりいいようですね、誤解していたのは私の方でしたか・・・腕は確かのようですし問題はなさそうですね・・・」) さすがはシーフですね、なかなか勉強になりましたよ。 その18ガメルは授業料と思っておきます。 また機会があればお相手していただけますか? |
■ヴァーン To:ジョージ |
いつでもうけるぜ。アンタがやる気になったらな。 (と、にやりとしてから、) そういやぁよ、昼間ギルドに顔を出したときによ……。 と、クラリスと妹の話をする。 ってな事があってな。オランに帰る前に向こうでちょっと時間を貰いてぇんだが……。 (と、ジョージの顔を窺う。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(少し考えて) それはかまいませんが・・・・・・ そのクラリスさんはヴァーン君を待たずにどこかへ行ったのですか? ギルドで会えるとはいえ、少し勝手な気がしますが・・・ |
■ヴァーン To:ジョージ |
まあ、確かに気の悪い話だがよ、俺たちみたいな人種なんてそんなもんだぜ。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
しかし、その話からすると故オーズ氏は相当酷い人物だったようですね・・・ かなり大勢の人に恨まれてることでしょう。 アールブルグでのレイチェルさんへの風当たりは強いかもしれませんね・・・・・ |
■ヴァーン To:ジョージ |
(顎を撫で回しながら、) そうだな。それだけに、最悪の場合はどうするかって事も考えておかなきゃならねぇだろうな。 もしも、ディオンが頼れねぇとなったら――親父の悪評からして、その娘と知れれば――多分誰にも助けてもらえねぇだろうし……。 そうなると、屋敷まで届けたらおしまいってわけにもいかねぇだろ。どこまで面倒をみてやるのか、覚悟を決めておかないとな……。 |
■ジョージ To:ヴァーン |
そうですね・・・他に頼れそうな人となるとディオン子爵のご子息であるクリス=アングラード氏ですか・・・ レイチェルさんの話では彼女とはかなり親しかったようですし、口添えしていただける可能性もありますね・・・・ ・・・まあ、状況が変わらない以上、着いてからの話ですね。 今できることはヴァーン君が言ったとおり覚悟しておくくらいですか・・・ (立ち上がって) 少しお腹が減りませんか? 何か食べる物でも・・・ |
■ヴァーン To:ジョージ |
ああ、たしか、ドリスの作った料理もどきが残ってたな。 でも、俺はやめとくぜ、人間様の食える代物じゃあなさそうだしな。これで十分 だ、暖まるしよ。 (と、酒袋を持ち上げて見せる。) |
■ジョージ To:ヴァーン |
(鍋の中を覗いてみて) うう・・・・確かにこれは・・・私も失礼ながら遠慮させていただきます。 そうですね・・・そろそろ交代の時間ですし、飲んでいても大丈夫でしょう。 |
しばらくして交代の時間になり、二人はアーギーとラクルを起こして、眠りについた。
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