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Sword World PBM #18 「追憶の彼方へ」

第四章「今日も臭い酒場」

盗賊ギルド支部

 酒場にカムフラージュされた盗賊ギルド。常闇通りにあるギルドの本拠と違う、 いわば出張所のようなものだ。
 特徴は、詳細に解説することもできれば、一言で表すこともできる。一言で表 せば、汚い、ということだ。

 相変わらず乞食が、酒場の入り口を塞いでいる。
■乞食(盗賊ギルドの門番)
 よぉ………また来たのかい………。
 ………今日は、何の用だい………。

■ヴァーン To:乞食(門番)のおっさん
(相変わらず、くせぇな、たまらんぜ。)  いやあ、ちょいと知りてぇことがあってよ。店長、まだいるかい?

 乞食は少し黙って、こちらを伺っている。
 そして、軽く顎で店内を示した
■乞食 To:ヴァーン
 入んな。

盗賊ギルド支部・支部長室

 ギルドの中はあいかわらず暗い・臭い・汚いときている。
 そして、昨日もくぐった「支店長室」と書かれたドア。これは、店内で唯一、 奇跡的な程上等な代物で、正常の70%くらい正常に設置されている。
■ヴァーン
 (ドアを軽くノックして、) 
店長! ヴァーンだ! じゃまするぜ!

■「支店長」
 おう、開いてるぜ。

■ヴァーン To:店長
  まだ起きてるとは意外だぜ。このおっさん、いったいいつ寝てやがんだ?
(と、ぶつぶつ呟きながら、壊さないように慎重に扉をあけて、中に入る。)
 店長、朝っぱらから邪魔してすまねぇな。
 ……。
 まあ、世間話をしに来たんじゃねぇから、さっさと用件に入るぜ?

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 あ。
 ん、もう金の工面ができたのか?………違うって顔だな。なんだ?

■ヴァーン To:店長
 うっ、そっちの方は、今度ののヤマが終わるまで待ってくれよ。頼むぜ……。
 (と、顔をしかめてから、気を取りなおして、)
 いやな、その今度のヤマのことで、妙に気になることがあってよ。
 で、ギルドのほうで、なんか関係ありそうな話をつかんじゃいねぇか、と思ってな。
 (一旦言葉を切って、おもむろに、)
 なあ、店長、アングラードって町、知ってるかい? オランから、歩いて一週間ほどのとこにあるらしいんだが……。

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 あー。ちょ、ちょっと待てや。

 と言って、「支店長」は羊皮紙とペンを取り出し、ヴァーンの言葉をメモした。
 外見―――に限らずその他ありとあらゆる要素―――からは想像もつかないほど丁寧な字でさらさらと書き留める。
■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 よし………。で?

■ヴァーン
 ま、要はだな、今度のヤマの依頼人が妙なこと言ってやがるんだ。
 まだ15歳くれぇのガキなんだけどよ。その町の領主の娘だって言ってるんだ。え〜と、アングラード子爵家っていったっけな。で、俺も今度の仲間も、誰もその町の名前すら知らなかったもんでな。
 ホントにそんな名前の貴族がいるのかどうか、怪しくてナ。

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 ………アングラードの町の…子爵の…娘………っと。
 ふむ…まあこの程度なら一時間もあれば調べは付くが………肝心の予算の方は いくらほどあるんだ?あまり高くふっかけるつもりはないが―――

 そこまで言って、「支店長」は噛み煙草で黒くなった唾を床に吐いた。
■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 あー、そうだな。あまり高くふっかけるつもりはないが、はした金だと出せね え情報もあるかもしれねえ。
 まあ、おまえさんの気持ち次第ってところだ。

 にやにやしながら、机の上をとんとんと叩く。金を催促しているらしい。
■ヴァーン To:店長
 わ、わかってるよ、そのへんのこたぁ。急かさなくても、その分の金はちゃんと用 意してきたぜ。
 (と、懐の辺りをポンポンと叩いて見せてから、指を一本突き出して、)
 とりあえず、前金で100、それでなんとか頼むぜ。あとは、でてきた話次第で上 乗せって事で、手を打っちゃあ、もらえねぇかな。  (と、店長の顔色を窺う。)

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 100か。シケてやがるな。
 まあいい、調べてやる。
 で、何を調べればいいんだ? 詳しく言いな。

■ヴァーン To:店長
 すまねぇな。じゃあ、まず、
  • アングラードって町が、どのへんにあんのか
       
  • アングラードやそのあたりの町で、キナくせぇ噂とかねえか
       
  • 道中、障害になりそうな事件とかおきてねえか
って事と、ちなみに、その自称ご令嬢はレイチェルって名乗ってんだが、
  • その領主のアングラード子爵家ってのが、ホントにあんのか
      
  • レイチェルって娘はホントにいるのか
      
  • お家の事情は最近どうなってんのか
     
  ってぐれぇだな。なるべく詳しく頼むぜ、店長。

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 お、任せとけや。

■ヴァーン To:店長
 じゃあ、俺は外で待ってっからよ。よろしく頼むぜ。

■『支店長』ガノン To:ヴァーン
 ああ、よければ酒場の方で何か飲んで待ってな。水ならタダにしとくぜ。

■ヴァーン To:店長
 ああ、そうさせてもらうぜ。もっとも、いくらタダでも、ここの水はいらねぇけど よ。きっと腹壊しちまうぜ。

 にやっと笑って、手をひらひらさせながら部屋を出る。
 そして、バタン、という音だけが部屋に残った。


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ゆな<juna@juna.net>