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第三章「通商ギルド」 |
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商業地域 |
オランの港湾区域一帯は、商業地域となっている。
その一角に、通商ギルドはあった。
建物自体は大きいが、さほど豪華な印象は受けない。どちらかというと実用一 点張りといった感じだ。
馬車や、商人風の人々が、ひっきりなしに出入りしている。
■パオル To:ジョージ&レイチェル |
人がたくさんいますね。これがツウショウぎるどかぁ〜・・・。 結構大きいんですね。 |
■ジョージ To:パオル&レイチェル |
そうですね・・・。オランほどの大都市になりますと、物品の流通量も膨大に
なりますからね・・・。 管理する部署もそれ相応のものが必要なんでしょう。 ・・・・・ここに立っていると通行の邪魔になりますので、早く中に入りましょう。 |
通商ギルドの中 |
通商ギルドの中も人は多いが、窓口の数は十分あるようで、待ち時間はさほど長くなく窓口まで案内された。
窓口では痩せた中年の男が、面倒そうに書類を書きつつ、こちらに視線を移した。
■受付 To:ジョージ&パオル |
はい。次の人。 |
■ジョージ To:受付 |
オラン近郊の地図の購入と、その近辺についての情報を伺いたいのだが、担当の部署はどちらかね? |
■受付 To:ジョージ |
はいはい、地図はここでいいよ。細かい情報は、あっちの(と指さす)窓口ね。 さて。オラン近郊………っと。 |
受付の男は、面倒くさそうに(だが意外と早く)奥から地図を持って帰ってきた。
■受付 To:ジョージ |
はい、地図ね。50ガメルだよ。 |
■レイチェル To:受付 |
では、わたくしが払いますね。 ………49…50…、50ガメルですわね。 |
■受付 To:レイチェル |
はい、確かに受け取りました |
■ジョージ To:レイチェル |
どうですか?レイチェルさん。 見た感じでアングラードの場所は判りますか? それとも、もっと詳細な地図の方がよろしいでしょうか? |
■レイチェル To:ジョージ |
ええ。これで十分ですわ。 ええと……… |
と、比較的小さな街道の途中を指さす。そこには、「街」の存在を表すマークと、「アールブルグ」という小さな文字が書かれていた。
■レイチェル To:ジョージ |
………? おかしいですわね。この「アールブルグ」と書かれている場所がアングラードのはずなのですけれど…。 アールブルグというのは、アングラードの古い呼び名ですわ。もう長い間使われていない名だと聞いておりますのに…。 |
■ジョージ To:レイチェル |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「アールブルグ」・・・・・ですか?確かに「アングラード」ではありませんね。 なるほど・・・少し、担当の方に話を伺った方がよさそうです。 とりあえずはあちらの窓口に行きましょう。 |
■レイチェル To:ジョージ |
………はい…そうですわね…。 |
■パオル |
ひょっとして・・・・この地図、古い地図なの? |
相談用窓口 |
三人は別の窓口に移動した。
事務手続き用の窓口とは違う、各種相談用の窓口だ(ちなみに、メインの窓口で処理すると邪魔になるようなくだらない相談事がこっちに回される)
こちらはあまり盛況していないようで、若い窓口係の男が退屈そうにしている。
■ジョージ To:当局の窓口の人 |
(窓口の人に) アングラード、又はアールブルグの街について伺いたいのだが、いいかね? |
■相談窓口係 To:ジョージ |
は、はい。なんのご用でしょうか。 ふむ………アングラード、と、アールブルグ………ですね。 どの辺りの街でしょう。オラン近辺ですか? |
■ジョージ To:相談窓口係り |
オランから徒歩7日あたり・・・・・この地図でいう所の・・・ (地図を指し示す)ここだ。 とりあえずはこの街の歴史と現在の人口、統治者、治安、交易頻度及び内容。 それと、この街までの徒歩による行程の安全性又は最近起こった事件を聞きた い。 |
■相談窓口係 To:ジョージ |
分かりました。少々お待ち下さい。 |
と、しばらくして、窓口係が帰って来た。
■相談窓口係 To:ジョージ |
アールブルグの街ですね?アングラード様というのは、領主様のお名前のようですから。 まず、現在の人口ですが、1000人弱といったところです。統治者はディオン=アングラード子爵。治安は比較的良好。交易はあまり頻繁ではなく、主な交易品は小麦です。 行程は、この(と地図を指さす)街道をそのまま進むだけですよ。ここ数年、特に盗賊が出たという報告はありません。 こんなところでよろしいでしょうか。 |
■ジョージ To:相談窓口係 |
なるほど。
では、アールブルグの街との過去10年間の交易推移はわかるかね? 主だったことだけでいい。 たとえば、品目、量等が急に変わったとか、領主が変わったとかだが。 |
■相談窓口係 To:ジョージ |
5年ほど前から取引量が徐々に増えていますね。7年前に領主が代って、大幅に
税が軽くなったと記録されております。その効果でしょうね。 交易品目には特に変化はないようです。 |
あまり具体的な数値が出ないのは、無料のサービスで提供してくれる情報はこの程度だということだろう。
細かい情報―――交易量の具体的な数字や、高利益の出ている品目など―――は、さすがに通商ギルドメンバーでなくては提供されない。
■ジョージ To:レイチェル |
レイチェルさん。ディオン=アングラードという人物はご存じでしょうか? 現在の御領主だそうなんですが。 |
■レイチェル To:ジョージ |
ディオン=アングラード…わたしの叔父です………。お父様の弟にあたります。 でもなぜ………。 |
彼女自身、混乱している面もちだ。
■ジョージ To:相談窓口係 |
以前の領主の名前、若しくは以前の街名はわかるかね? |
■相談窓口係 To:ジョージ |
以前の領主、ともうしますと、7年前に代る前ということですね。 ええと………ああ、ありました。オーズ=アングラード子爵となっています。 領主が代る前はアングラードの街と呼んでいたようですね。 |
■レイチェル |
……… |
レイチェルは黙って聞いている………。
■ジョージ To:レイチェル |
パオル君やレイチェルさんは、何か尋ねたいことは無いでしょうか? |
■パオル To:ジョージ |
う〜ん、ボクは・・・特に無いです。 |
■レイチェル To:相談窓口係 |
………あ………ええ、ひとつだけ。 あの………おとうさ…オーズ=アングラード子爵は、現在どうなさっているのでしょう? |
■相談窓口係 To:レイチェル |
はぁ、さすがにそこまではここの資料ではなんとも…。 |
■レイチェル To:相談窓口係&ジョージ |
あ、そ、そうですか。ごめんなさい、それならよろしいですわ。 ジョージさん、わたくしも、もうよろしいですわ |
■ジョージ To:レイチェル |
とりあえずいったん戻りまして、他の方と今後のことを相談いたしましょう。 よろしいですか? |
レイチェルはまだ混乱が収まっていない様子だが、ジョージの言葉には無言で頷いた。
■ジョージ To:相談窓口係 |
よくわかった。丁寧な応答感謝する。 では、これで失礼する。 |
■相談窓口係 To:ジョージ |
いえいえ、お役に立てましたか? それでは、またご利用ください。 |
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