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第二章「銀の網」 |
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「銀の網」亭・カウンター |
話が一段落し、個室を出る。
酒場の中は、まだあまり客は多くない。
個室を最初に出てきたドリスに気づき、おやじが声をかけてきた。
■おやじ To:ALL |
お、話は終ったか。意外と早かったな。 で、この後どうするんだ?何かと準備も必要だろ。 |
■ドリス To:おやじ |
うん、これから手分けしてみんなで情報収集することになったの、あ、そうだ あのねレイチェルさんから聞いたんだけど… |
と、言いかけて―――
■ヴァーン To:ドリス & おやじ |
お嬢さん、ここの前に倒れてたんだってな。一言教えといてくれりゃあ、いいのに よ、おやじも人が悪いぜ。 |
―――いきなり、いつの間にか個室を出たヴァーンが話に割り込んできた。
ドリスに向かってにやっとして、ヴァーンが話しかけてくる。
■ヴァーン To:ドリス & おやじ |
おっと、わりぃな。驚かすつもりはなかったんだが。 (カウンターに腕をついて、おやじに向かって) んでよ、二週間は旅の空ってことになるし、すまねぇが、昨日の火酒『エフリッツ タン』な、酒袋に詰めて欲しいんだ。一番のお気に入り『サラマンダラテル』は、い つも一袋もって歩いてんだが、『エフリッツタン』もなかなかいけるしな、長旅のお 供だ |
■おやじ To:ヴァーン |
はは、火酒の銘柄まで指定してくるやつは珍しいな。なかなか分かってるじゃ
ないか。 『エフリッツタン』だな。5ガメルになるが、いいかい? |
■ヴァーン To:おやじ |
おう、ありがとうよ。 |
詰めてもらった酒袋を受け取って、とってもうれしそうに頬擦りはじめる………。
■ヴァーン To:おやじ |
こいつら(おさけ)、いくらあったって多すぎるってことはねぇよ
な〜♪ だいたい、もしも道中で切らしちまったりしたら、俺は生きてけねぇから
な〜♪ ン〜、かぐわしい♪ (……酔いどれ男ヴァーン……しばし惚(ほう)ける……。) |
ドリスは目が点になっている………。
■ジョージ To:ドリス |
では、ドリスさん。私たちは通商ギルドの方へ行ってまいります。 買い物の方は大変でしょうが、宜しくお願いします。 |
■ヴァーン To通商ギルド組 |
ん、もう行くのか。じゃ、またあとでな。パオル、ジョージおぢさん、お
嬢さんのこと頼むぜ。 (レイチェルに向かって、ニヤニヤしながら小声で、) ……お嬢さん、世間にゃホントに悪い人もいっぱいいるか ら、ちゃんと二人にくっついて、離れちゃダメだぜ。 |
なんだか、ご機嫌である。ひそかに一口飲んでしまったらしい。
■レイチェル To:ヴァーン |
心・配・ご・無・用ですわ。そこまで子供ではありませんの。 |
腰に手を当てて胸を張って見せるレイチェル。
しかし、仕草がまるっきり子供である。
■ヴァーン To:レイチェル & 買い物組 |
(レイチェルの仕草に、笑いをこらえきれずに、) ハハッ、そうかい? じゃあ、心配ねぇな、ハハハ。 (買い物組に向かって、) んじゃ、アーギーちゃんたち、買いモン、よろしくたのむわ。 俺も、ひとっ走りいってくらあ。じゃな。 |
と、妙に軽快な足取りでヴァーンは出ていった。
■ドリス To:出ていく人 |
あ、は〜い。みんなも頑張ってね。 |
■アーギー To:ヴァーン |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
アーギーは、複雑な表情で、無言のままヴァーンを見送る。
ヴァーンとレイチェル達が出ていくのを見送ったあと―――
■ドリス To:おやじ |
………えっと何だっけ。 あ、そうそう、マスターに聞いておきたいことがあったんだ。 あのさ、レイチェルちゃん気がついたらここの店の前で倒れてた って聞いたんだけど…。 倒れてたときの状況とか詳しく教えて欲しいんだけど。いいかな? レイチェルちゃんを見つけたのは誰かとか、 レイチェルちゃんを見つけたとき何か気がついたことはなかったかとか |
■おやじ To:ドリス |
あぁ。 見つけたのはかみさんなんだ。しかし、気付いたことと言われても、何から話 していいやら。 とりあえず、運び込んで介抱したんだが、なにやら記憶がないとかでな。 故郷に帰りたいんだが一人じゃ帰り方も分からない、何か方法はないかって聞 くから、冒険者を紹介してやろうって話になったんだ。話は突飛だが一応つじつ まは合っているようだし、依頼料も払えるって言うんでなぁ。 |
おやじは、依頼用の掲示板を提供はするが、さすがに内容まで保証しているわけではない。また、今回の依頼に関しては、記憶喪失の(と称する)少女を助けてしまった行きがかりもあるのだろう。
■ドリス To:おやじ |
ふ〜ん、見つけたのはおかみさんなんだ…。 それなら、おかみさんからも一緒に話を聞きたいな。 できたら呼んできてもらえないかな? |
■おやじ To:ドリス |
うーむ。と言ってもな、今、買い出しに出てるんだ。 帰ってくるのは夕方になると思うぞ。 |
この店は大きいわけではないが冒険者の出入りが少ないわけでもない。
買い出しとなれば、かなりの量になるということだろう。
夕方と言われて、アーギーがカウンターに近づいてきた。
■アーギー To:ドリス&ラクル |
夕方か・・。どうしよう?待って話聞いた方がいいかな・・? 先に買物の方を済ませておいてさ・・。 |
■ドリス To:ラクル&アーギー |
そうだね。 買い物から帰ったら、おかみさんが帰るの待って、話聞くことにしよっ。 |
アーギーの提案は基本的に聞くらしい。ドリスはあっさりと頷いた。
そして、ふと思い出して、少し気になっていたことを、おやじに訊ねておく。
■ドリス To:おやじ |
あ、レイチェルちゃんは、アングラードまでの道についてほとんど知らない
みたいで、徒歩で7日くらいだと聞いたって言ってたけど、
それ教えたのってマスターなの? もしかしてマスターはアングラードって街について知ってるのかな? あたしたち、誰もアングラードってとこ知らないんで知ってることあったら 教えて欲しいな。他の人にも情報集めにいってもらってるけど情報は多いに こしたことはないし……。 |
■おやじ To:ドリス |
ん?いや、俺もアングラードの街というのは聞いたことがないんだがな。オラン
から7日、というのは初耳だな。 しかし、俺もこれで結構オラン周辺のことは詳しいつもりなんだが、オランか ら徒歩7日の範囲で、アングラードなんて街に心当たりはないな。 ふぅむ………昔そんな名前の街があったとか聞いたことはあるが、今はなかっ たはずだしな。 もっとも、俺が名前も知らないような小さな村はごまんとあるはずだから、あ まりアテにはしないでくれよ。 |
済まなさそうに、ぽりぽりと頭を掻く。
■ドリス To:おやじ |
おやじさんも知らないんだ。 (レイチェルちゃん誰に聞いたのんだろ? アングラードにいた頃に誰かに聞いたのかなぁ) |
■アーギー To:おやじ |
?・・じゃあおかみさんがアングラードについて知ってるって事か・・? だってそうじゃなきゃレイチェルさん、ここから徒歩7日でアングラードってこと 知ってるはずないし・・。 (一息ついて)んー、そっか・・。じゃあますますおかみさんからも話聞かないと ダメだな・・。 |
■おやじ To:ドリス |
いや、俺も詳しくはないが。 10年…てことはないか、7〜8年くらい前だな。詳しい場所までは知らないが、 なにやらごたごたで街の名前を変えたとかいうのがあったな。変える前の名前が アングラードとか言った覚えがある。 ちと記憶があやふやなんで、あまり参考にはならんと思うが。 |
■ドリス To:おやじ |
街の名前を変えた? 何でまた? あ、ごめん…詳しく知らないんだっけ。 |
■アーギー To:ALL |
・・あくまでオレの考えだけど・・・・街の名前と領主の名字が一緒なら、街の名
前が変わったって事は領主そのものにも何かがあったと考えておかしくはないような
気がする・・・。 だからもしおやじさんの記憶が正しかったとしたら、アングラードの領主である レイチェルの父親に7、8年前になにか・・・・ って、何変な事言ってんだろオレ? |
考えを巡らしつつ、アーギーは苦笑した。
■ドリス To:アーギー&ラクル |
どうしよう? その昔アングラードって名前だった街についても調べた方がいいかも…… 土地の人はまだ昔の名前で呼んでるって可能性もあるし… ああ、でも領主の娘ならそんなこと知らない筈ないか…… 困ったな…レイチェルちゃんがいるときに聞けばよかった。 |
■アーギー To:ドリス |
焦らなくてもいいよドリス・・。 だからこそギルドとか他のところでも情報を、ってことにしたんだろ? あとでみんなと合流したあとにゆっくり聞けばいいよ・・。 |
■ドリス To:アーギー |
う、うん。そうだね。 それじゃ、さっさと買い物すませて来て。早くみんなと合流しよっ。 あっ? 何か他にも聞きたいことある人いる? |
特に誰も言い出すものはいない。
それを確認すると、ドリスはおやじの方に向いた。
■ドリス To:おやじ |
あ、ありがとね、マスター。 それから、おかみさんが帰ってきたら、 「あたしたちが話を聞かせて欲しいって言ってた」 って伝えておいてね。 それじゃ、ラクルちゃん。アーギー様。行こっ! |
と、アーギー・ドリス・ラクルの三人も、店を出た。
「銀の網」亭の前 |
■ドリス To:アーギー&ラクル |
えっと、買い物なんだけど、あたし、ちょっと予備の武器として飛び道具
を何か買って置こうかなと思うんだけど……。 ラクルちゃんやアーギー様はどうする? 特に買うものとか無いんなら、アーギー様たちは先に道具屋で買い物してて もいいよ。 あたしは武器屋に寄ったあと、急いで道具屋へ回るから。 |
■アーギー To:ドリス&ラクル |
いや・・そんなに急がなくても、みんなやおかみさんが戻るまでまだ時間は十分あると
思うから、別行動までしなくてもいいと思うよ。 それに、オレもちょっと武器屋で見て見たいものがあるから行こうと思ってたし・・。 (ラクルの方を向いて)・・まさかラクル一人に道具屋で買い物させて荷物いっぱい持た せるわけにはいかないからね(^^)。 だから、武器屋も道具屋も3人で一緒に行こうよ。2人ともそれでいいよね・・? |
アーギーの提案で、三人は武器屋へと向かった―――
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