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第十三章「追憶」 |
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| ワイン小屋の外 |
ドリスが、レイチェルとタニアを連れて戻ってきた。
| ■仮面ラーダ To:ディオン |
| さあ、ディオン。7年前の真実を話してくれるな? |
| ■ディオン To:仮面ラーダ |
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何を知りたいというのかね。君たちは全て知っているから、ここにいるのだろ
う? ………7年前、オランの盗賊ギルドに所属する男に珍しい『シュガー』という毒を手に入れさせた。下っ端の料理人だったルーカスを抱き込んで、兄が毎日食べるジャムに混ぜた。狙い通り兄は死んだ。ルーカスはついさっきアリルに命じて口を封じさせたよ。 ―――そして、今こうやって醜態をさらしているわけだ。 |
| ■アーギー To:ディオン |
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・・・・やはり、そうだったのか・・・。 ・・・・・・レイチェルさんの記憶がまだ戻ってなかったから、その辺はあくまで推測でしかなかったけど、やっぱり・・・・。 |
| ■ドリス To:レイチェル |
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(レイチェルが手にしてる箱を見て) その箱に、いまの話に出て来たジャムが入ってるの? …………… ねぇ、レイチェルちゃん。もう本当は大分記憶が戻ってるんじゃないの? だったら教えて! 7年前に何があったのかを!! |
一斉に、視線がレイチェルに集まる。
そして、レイチェルはぽつりと呟いた。
| ■レイチェル To:ドリス |
| ………玄関で叔父様に会った時に………全て思い出していました。 |
| ■アーギー |
| (・・・全て・・・思い出してたのか・・。) |
| ■ドリス To:レイチェル |
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!? …………そう。` それなら……話してくれる? 全てを……最初から。 (そういってレイチェルの目を見つめる) |
| ■ヴァーン To:レイチェル |
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(集めた武器をワイン小屋の中に放り込んでから、戻ってきて、) そうかい、思い出してたのかい。ところで、お嬢さん、その箱ちょっと見せてもらえるかい? |
| ■レイチェル To:ヴァーン |
| ………どうぞ。 |
素直に箱を手渡すレイチェル。
| ■ヴァーン To:レイチェル |
| それで、その7年前のことを話してくれるのかい、お嬢さん? |
| ■レイチェル To:ALL |
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……7年前、お父様が暗殺されたことを知って、わたくしはオランに証拠となるジャムを鑑定してもらいに行こうとしました。 ………その途中で、盗賊に襲われて……… |
そこで、レイチェルは言葉を切った。なにか少し考える様子をし、そして続ける。
| ■レイチェル To:ALL |
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………殺された、と思いました。………でも、正直言って、何が起こったのか、わからなかったのです。………動くことはできなくて、ネックレスを奪われたことだけが分かって………視線だけはずっとネックレスを追いかけていて……… ………………盗賊は、ネックレスを売り払ってしまいました。ネックレスを手に入れた商人は………自分の娘の誕生日に。ネックレスをプレゼントしました………。 ………そして………気付くと、わたくしは、その人に、なっていました……… |
| ■アーギー |
| ?・・・・その人に・・・・なる・・・・? |
| ■ドリス |
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…………!! (うそ…じゃやっぱり本物のレイチェルちゃんは…ああっどうしよう) |
| ■仮面ラーダ To:レイチェル |
| なんだって!?それじゃあ、その商人の娘はどうなったんだ? |
| ■レイチェル To:仮面ラーダ |
| ………今…ここにいます。わたくしがいなくなれば………彼女は戻ってきます。 |
| ■ヴァーン(心の声) |
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(なるほどね……。 ともかくも、戻ってきて7年前の真相を明らかにすることは出来たわけだ。それで、お嬢さんの気が済んだのかどうか……。) |
| ■パオル(心の声) |
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(手当てをしながら話を聞いている) ((  ̄□ ̄;)!! なにー!じゃあレイチェルさんは幽霊だったの!?) |
| ■アーギー |
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いなくなれば・・・って・・・? (悩む表情) ・・・・えっと・・・・それは一体・・・・どういう・・・・・・・。 |
| ■ヴァーン To:アーギー |
| つまり、お嬢さんはそのどこぞの娘さんの身体をかりてるだけってことなんだろう。身体は一つしかねぇから、元々の身体の持ち主の娘にもどるには、その、間借りしてるお嬢さんの魂がどかねぇとならねぇってことさ……。 |
| ■アーギー |
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魂が・・・・・・。・・・・・そういうことか・・・。 じゃあ・・本当の「銀髪」のレイチェルさんは・・・・ ・・・・・・・・・・・。 |
| ■仮面ラーダ To:レイチェル |
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そうか………。 それで君はこれからどうするつもりなんだ? |
| ■レイチェル |
| ……… |
彼女はディオンの方をじっと見つけている。迷っているのかもしれない。
| ■ドリス |
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レイチェルちゃんがいなくなる…? いやっ! 駄目っ!! そんなの嫌ッ!! |
| ■ヴァーン To:ドリス |
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まあ、落ちつきなって。 (と、ドリスの肩をポンポンとたたいてなだめる。) ともかく、7年前に何があったのか、そいつを全部確かめようぜ。そうすりゃ、お嬢さんの事だって、何かイイ手が見つかるかも知れねぇしよ……。 |
| ■ドリス To:ディオン |
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ディオン子爵……。 あなたは本物のレイチェルがここに居るはずがない…と確信しているような口ぶりでしたね。 もしかして、7年前に本物のレイチェルちゃんを盗賊に襲わせたのもあなたなんですか?(キッと睨み付ける) |
| ■ディオン To:ドリス |
| ………そうだ。 |
| ■アーギー To:ディオン |
| ・・・・で・・・今、その消したはずの「真相を知る者」が現れてしまったので、慌てて「これは何としても消さねばならぬ」・・・・ということか・・・。 |
| ■ディオン To:アーギー |
| まぁ………そういうことになるな。 |
| ■ディオン To:レイチェル |
| で、私をどうするか決めたかね? |
| ■レイチェル |
| ……… |
レイチェルは無言で、護身用のナイフを抜いた―――
| ■アーギー |
| (!・・・・自らの手で、裁きを下す、か・・・・・・。・・・・・しかし・・・・・!) |
| ■ドリス(心の声) |
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レイチェルちゃん……。 ああ…どうすればいいの……。 ディオン子爵のしたことは許されることではないかもしれないけど……。でも、だからといって命を奪うなんて……。 でも…でもレイチェルちゃん気持ちを考えると…駄目。あたしには…あたしにはレイチェルちゃんを止められない…… |
| ■ヴァーン To:レイチェル |
| お嬢さん! そいつはいけねぇ! |
ヴァーンが、レイチェルからナイフをもぎ取った。
| ■レイチェル To:ヴァーン |
| っ!!………わ、わたくしは……… |
| ■ヴァーン To:レイチェル |
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お嬢さんの気持ちはわかるぜ……だけどな、それだけはいけねぇと思うぜ。これ以上、身内で殺しあってどうする? それに、この人はクリスさんの父親でもあるんだぜ? 父親を殺されたら、クリスさんはどうすればいい? 復讐にお嬢さんを殺すのかい? そんなことしてたら、みんな死ななきゃなくなるぜ? 良く考えるんだ。この人を殺したって、お嬢さんの気は済むかも知れねぇが、この人の罪は償われない。お嬢さんが、罪を増やすだけなんだぜ? |
| ■ドリス To:ヴァーン |
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ヴァーンくん……。 (自分には出来なかった『レイチェルを止める』…という行動をしてくれたヴァーンを感謝のまなざしで見つめる) |
| ■アーギー |
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・・・・・(クスッ) ・・・・・・先を越されたみたいだな・・・・・・ ・・・・・ま、オレにはヴァーンの言ったその辺のことはよく分からないけど・・・ とりあえず、相手は降伏してることは確かな事だから・・・そこにいきなり死を持って裁きを下すのが間違ってる事だけは確かだろうな・・。 |
| ■パオル To:ALL |
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そっちは片付きましたか? まぁ殺してすむ問題なら、いくらでも代わりにやってもいいけど・・・。 でもそんなに簡単な問題じゃないでしょ? もちろん、レイチェルさんの気持ちも分かりますよ・・。 しかしこれは、法をもって裁くべき事。 レイチェルさんが手を汚すまでもなく、ここまではっきり解った以上は法がディオン公を裁いてくれますよ。 それでいいでしょう?レイチェルさん、クリスさん。 |
| ■レイチェル To:ALL |
| ………はぁ………そうですわね、そういわれてみれば、なんだかもう……どうでもよくなってきましたわ………。 |
少し疲れたように、レイチェルはワイン小屋の外壁にもたれかかった。
| ■レイチェル To:ALL |
| ………なんだか、つかれましたの。 |
| ■ドリス To:レイチェル |
| レイチェルちゃん……。 |
ドリスは、今にもレイチェルの魂が去っていくんではないかと、心配そうに見つめている。
| ■パオル To:レイチェル |
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そーですね・・長旅の疲れもありますから、何にせよ今日はゆっくり休んで今後の事はまた明日にでもを考えたらどうです? (ぐぅ〜〜〜!!) あー・・・お腹空いた・・・。けどお風呂も入りたいなぁ〜。(ぼそっ) |
| ■ドリス To:クリス & ディオン |
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(ロープを取り出し) クリスさん、申し訳ありませんが念のためにディオン子爵を拘束させていただきます。よろしいですね。 |
| ■ディオン To:ドリス |
| フン………別に逃げたりはせんよ。 |
ディオンは、なすがままに腕をロープで縛らせた。
| ■アーギー |
| ・・・・・・・・・・。 |
ディオンが縛られたのを見て、アーギーはようやく剣を収めた。
| ■仮面ラーダ To:おおる |
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何とか収まったようだな………。 では、私はこれで去るとしよう。アディオス! ラァーダッシュ!! (全力疾走で夕日に向かって走り去る。) |
| ■アーギー |
| ? |
| ■ドリス To:仮面ラーダ |
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へ? あ、あの… (仮面ラーダの行動見て呆然) |
| ■ヴァーン To:仮面ラーダ & パオル |
| アディ…って、おい?! ちょっと、待てって……あぁ〜あ、 行っちまったよ。ま、そのうち戻ってくるか。 |
| ■パオル To:仮面ラーダ |
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ちょ、ちょっと待って・・・・。 あー・・、まだ助けてもらったお礼も言ってなかったのにぃ〜。 |
| ■ドリス To:レイチェル |
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(くすっと笑ったあと…レイチェルにすたたたと近づき、クリスやディオンに聞こえないよう耳元で囁く) レイチェルちゃん。ねえ、これで満足? 人殺しは、あたしもいけないと思うけどさ…ディオン子爵をバシンと一発引っぱたく位のことはしてもいいと思うんだ。レイチェルちゃんには、そうする権利があると思う。 だから最後に…ううっ…そうして……思い残すことがないように…さ……ねっ… (レイチェルとの別れの予感に最後の方はぐすぐすと泣きながら) |
| ■レイチェル To:ドリス |
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………大丈夫ですわ。 それよりも………怪我をしている人たちを………手当してさしあげないと……… |
今にも座り込んでしまいそうだが、レイチェルはタニアに肩を借りて立ち上がった。
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