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第十一章「作戦会議・再び」 |
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アングラード邸別館 |
一行は、ワイン小屋に行くことを一旦断念し、再び別館に戻ってきた。
■パオル To:ALL |
へ〜・・・別館とはいっても、かなりの大きさなんですね。それでどこでお話をしますか? 結構こみいった話なんで、あまり他の人には聞かれちゃまずいですよ。 そうだボク達が泊まる客室でお話しましょうか? |
■ヴァーン To:ALL |
そうだな、それがいい。 (クリスさんにとっちゃあんまり聞きたくない話だろうけどなぁ。) |
■クリス To:ALL |
分かりました。 |
アングラード邸別館・客室 |
■パオル To:ALL |
ふむ・・、なかなか良い部屋だな〜。 それじゃあ、ジョージさんに説明を任せてボクは・・・。 (ゴソゴソと背負い袋を漁ってる。) |
取り出した干し肉を一枚掲げる。
■ドリス To:パオル |
(やっといつものパオルに戻ったかと安心) パオルくんさっきの演説凄かったね……。 ジョージおぢさんが乗り移ったみたいでさ、あたしビックリしちゃった。 パオルくん冒険者やめても物真似で食ってけるんじゃない(ニコニコ) |
■パオル To:ドリス&クリス |
(カミカミカミ・・、一心不乱に干し肉をかんでる) へ?ええ、そうですね。ゴハンが食べられるなら、冒険者を辞めて役者になるのも良いかもしれませんね でもあの時はボクも必死でしたよ、それにクリスさんの口添えがなかったら無理でしたよ。 クリスさん本当にありがとうございます。(ペコリと頭を下げる) |
■クリス To:パオル |
いえ、我が家の見苦しいところを見せて申し訳ありませんでした。 |
■クリス To:ALL |
それでは、事情を聞かせてもらえますか? |
■ジョージ To:クリス |
そうですね。まず、我々の当面の目的ですが………。 現在のところ、レイチェル様の考えに依存するところが大きいですね。 できるだけ依頼主のご意向に沿うよう努力するつもりです。 |
■クリス To:ジョージ |
なるほど。 で、レイチェルは――― |
視線がレイチェルに集まった。
ディオンに会ってから、レイチェルはひどく沈んでいるように見える。言葉を出すことさえおっくうという様子でレイチェルは呟いた。
■レイチェル |
わたくしは………ただ、家に帰りたかっただけですわ……… |
レイチェルからはそれ以上聞き出せそうにない―――
■クリス To:ジョージ |
………続きをお願いします。 |
■ジョージ To:クリス |
次にレイチェル様の記憶についてですが………。 ルーカスさんの持ってきたジャムを持ってオランを出たことと、それと同じ物をこのお屋敷のワイン小屋に隠したらしいことがわかっております。 そのジャムなのですが………。前領主、オーズ=アングラード氏の死因と関係がありそうだと見ています。 (シュガーの説明) つまり、このような特殊な薬品が使われた可能性です。 |
■クリス To:ジョージ |
つまり………父上が、叔父を、毒殺した………と? ………。 ………噂はありました。………父がルーカスに命じて、毒を盛らせたのだ、と。 肯定する材料はありませんが………否定する材料もありませんね。ですが、レイチェルの存在と、ジャムについて、父には明らかに何か含むところがあると感じました。 ………他には? |
■ジョージ To:クリス |
実は現在のところ、ディオン子爵ご本人が事件に関わっているとは言えませんので………。 とりあえず、その場所にジャムがあるのかを確認したかったことと、ルーカスさんにお話を伺おうとした次第です。 しかし、先ほどは感情的になりすぎてご迷惑をおかけしました………。 他には………。 ・レイチェル様の身に何が起こったのか? ・また、7年間どうしていたのか? ・姿が変わってしまったのは何故なのか? ・何故オランで倒れていたのか? これらについては今のところ全くわかっていません。 |
■クリス To:ジョージ&レイチェル |
………なるほど。 レイチェルは?何か思いだしていない? |
■レイチェル |
……… |
しかし、相変わらず、レイチェルはなにやらうつむいて震えている―――
■アーギー To:レイチェル |
(真っ直ぐにレイチェルの表情を見つめて) ・・・・・どうしたの、レイチェルさん・・・・・・? ・・・・・・思い出したのなら、怖がらずに全部言ってみて・・・・・! ・・・それとも何か、そんなに震えちゃうほど「思い出したくなかった」ようなこと、思い出しちゃったとか・・・そういうことなの・・・・? |
■レイチェル To:アーギー |
………!!! |
レイチェルは、声をかけられてびくりと顔を上げ、大きく目を見開いてアーギーを見つめている。
■レイチェル To:アーギー |
………わ…わ…わたくし……… |
凍り付いた表情で震えながら、レイチェルはただ首を横に振っている。
■アーギー |
・・・・・・・・・・・。 |
■ヴァーン To:レイチェル |
そんなにおびえなくたって大丈夫だぜ。みんながついてるじゃねぇか。なにがあったって、お嬢さんのことはみんなで守るさ。 だから、な、落ちついて。 |
■ドリス To:レイチェル |
そうよ、ヴァーンくんのいう通り。 あたしたちが絶対守ってあげるから。だから安心して。 |
■アーギー To:ヴァーン |
待って・・・。 (耳元で、レイチェルに聞こえない程の小声で) そういう事とは・・・違うかもしれないから、もう少し待とう・・・。 これはオレの勝手な考えだけど・・・・・・・・・・・・今レイチェルさんは・・・・ひょっとしたら何ていうか「思い出したく無かった自分」を思い出してしまった可能性もあるから・・・。 言いにくいけど・・・・あくまで例えて言えば・・・・・・例えば、自分が犯した「罪」を思い出してしまったとか・・。 あ、いや、もちろん全然違うかもしれないんだけどさ・・・・・・。 |
■レイチェル |
……… |
レイチェルは答えず、相変わらず震えたままだ。
■ドリス To:ALL & クリス |
それで、この後どうする? レイチェルちゃんの護衛という当初の依頼は果たしたともいえるけど、こんな中途半端な状態でレイチェルちゃんを放り出して終わり…なんてことにしたいって人はもちろんいないよね? とすると、やらなきゃいけないことはワイン小屋に隠したというジャムの確保。その次に…えっとルーカスさんだっけその人に会って話を聞く。 結局さっきやろうとしてたことのやり直しだけど……。 ディオン子爵が戻ってきてしまってやりにくくなったけど……クリスさんが協力してくれるのなら、出来ないことはないと思う。 (クリスに向かい) クリスさんは、協力していただけると考えていいんでしょうか? |
■クリス To:ドリス |
………ええ。この期に及んで僕が逃げ出すわけにもいきません。むしろ僕の方から、皆さんに協力を求めたいくらいですから……… |
■ドリス To:ALL |
ただ、あたし思うんだけど…
7年前に何があったかを明らかにするのもいいけど……あたしとしてはレイチェルちゃんの身の安全を第一に考えたいの。 (クリスの視線をちょっと気にしながら) たとえ暗殺の噂が本当で、それをあばいて裁きを受けさせたとしても……それでレイチェルちゃんが幸せになれなければ意味がないと思う。 ディオン子爵によって治められるようになって…領民の生活も以前よりよくなっているという話だし…無理に旧悪をあばいたら不幸な人を増やすだけにもなりかねない……。 我ながらひどい…正義にもとる行動だとは思うんだけど、正直いって、あたしは7年前に起こったことの追求もあきらめ、全てを忘れてアールブルグを出て他で生きる道を探すというのも幸せになる一つの道かもって思うんだ……。(自嘲気味に笑う) ねぇ、レイチェルちゃんはどうしたい? |
■レイチェル |
………わたくし………7年前にできなかったことを………終わらせます………。 ………それが、今わたくしがいる意味で………本来の姿に…戻るための…唯一の方法ですから……… |
レイチェルは、相変わらずうつむいたまま、ほとんど上の空といった様子で言った。それが、ドリスの問いに答えたものだったのか、単なる独り言だったのか、それは分からない。
■アーギー |
本来の・・・姿に・・・・。 (・・・・・かなりの所まで、思い出してるのか・・・?) |
■ジョージ To:おおる |
いかん!レイチェル様は混乱しているご様子です。 今はそっとしておいてさしあげましょう。 |
■パオル To:ALL |
ふぅ〜・・・、美味しかった!(どうやら干し肉は食べおわったらしい) あのボクは思うんですけど、記憶を取り戻すのがそんなに重要なんですか? 別に記憶の全てを失ったんじゃないし、記憶には良い思い出だけでなく嫌な思い出もあるもんでしょ? それなら無理に記憶を掘り起こそうとせず、そのままにしとけばいいんです。 とりあえず今はそんな事よりも、レイチェルさんが平穏に暮らせるように手を打ちましょうよ。 まぁ最初はディオンさんにレイチェルさんを保護してもらおうと考えてましたけど、どうやらそれも今のままでは無理なようですしね。 とりあえず当初の予定通りにジャムの回収とルーカスさんからお話を伺いましょう。 その上で今後の方針を考える、ということで良いですよね。 え〜とジョージさん、ドリスさん、アーギーさん、ラクルさんはクリスさん、レイチェルさんと一緒にワイン小屋に行ってジャムを回収して下さい。 ヴァーンさんとボクはちょっと屋敷内を一回りしてきます。 タニアさんにはボクらの案内をしてもらえますか? |
■アーギー |
・・・・・・・・・・・。 (目を閉じ、軽く首を横に振る仕種を見せる) |
アーギーは、心中「それは違うよ………」と呟いた………。
■アーギー(心の声) |
(レイチェルの様子を見ながら) この場所でレイチェルさんに平穏が来ることは・・・、それは全ての過去が、真実が、明かされない限りは絶対にありえない話・・。・・・それは、屋敷にたどり着くはるか前からわかってたこと・・。 少なくとも、屋敷に戻った際「7年の空白などどうでもいい。帰ってきたのなら歓迎する」などと言われることだけは絶対に有り得ないと思ってたし・・・。 ・・・もう今、ここ以外に平穏が訪れる場所なんて・・・ありえないはず・・。もちろん、記憶を忘れたままどこかに逃げれば、何か「幸せもどき」のようなものは、手に入るんだろうけど・・・・。 ・・・・・・最初、レイチェルさんは・・・「他に戻る所はない」って言ってた・・・。それに・・・・・・レイチェルさんは今・・。 ・・・今、何か必死に「自分自身の平穏を手に入れるために、自分と戦ってる」・・・・そんな気すらする・・。 だから・・・・だから、最後に誰が不幸になるのかは分からなくても・・レイチェルさん自身のためにも、記憶は・・・過去は全て知らなければ・・・駄目だよ・・・多分・・・・。 |
■ドリス To:アーギー |
???(通じてない) |
■ジョージ To:パオル |
わかりました。ではそちらは引き受けます。 アーギー君、ドリスさん、それでよろしいですか? |
■アーギー To:ジョージ |
・・・(無言で頷く) |
■ドリス To:ALL、レイチェル |
あ、うん。あたしはいいけど……。 レイチェルちゃん。もう落ちついた? 大丈夫? 今すぐ行ける? もう少し落ちつくまで待とうか? |
■レイチェル To:ドリス |
………はい。大丈夫です。 |
■ヴァーン |
……。 |
ヴァーンは、無言でレイチェルの様子を窺っている。
■クリス To:パオル |
パオルさん。本館に入るなら、僕が一緒の方がよくありませんか? タニアでは、衛兵に何か言われた時に対処できないかと思うんですが。 |
■パオル To:クリス&タニア |
う〜ん・・・(少し考えて)、そうですね。 案内はクリスさんにお願します。 それじゃあタニアさんは、自分の仕事をして下さい。後でまた何か、手伝ってもらう事があるかもしれませんから。 |
■タニア To:パオル |
それなら………お食事の準備でもしておきます。本館の食堂でってわけにもいかないみたいですし。 |
■ドリス To:ALL |
あ、でもこっちの組には屋敷の人に顔がきく人がいないし、 タニアさんに、こちらに来てもらった方がいいんじゃないかな? |
■パオル To:ALL |
ふむ・・5人も6人も同じだし、タニアさんに一緒に行ってもらった方が、言い訳もしやすいかもしれませんね。 ジョージさん、アーギーさんはそれでいいですか? |
■ジョージ To:タニア |
わかりました。ではタニアさん、ご同行願えますか? |
■タニア To:ジョージ |
わかりました。 |
■パオル To:ALL |
とりあえずジャムを回収したら、そのままルーカスさんの方もお願します。 それではクリスさんボクらも行きましょうか? |
■ジョージ To:パオル&ヴァーン&クリス |
はい。そちらも、気を付けてください。 |
■ヴァーン To:ジョージ & ワイン小屋組 |
ああ、そっちも気をつけてな。 |
■クリス To:ジョージ |
分かりました。 ………レイチェルのこと、よろしくお願いします。 |
■ジョージ To:クリス |
はい、おまかせください。 では、ワイン小屋の鍵をお貸しいただけますか? |
■クリス To:ジョージ |
どうぞ、これです。 |
ジョージは、クリスからワイン小屋の鍵を受け取った。
■ジョージ To:おおる |
ごそごそ……。(荷物から装備を取り出し。ソフトレザーの上から法衣を着る。) それでは私たちも出発しましょう。 |
■ヴァーン To:パオル & クリス |
さてと、それじゃあ、俺たちも行こうぜ。 |
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