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第一章「依頼人はお嬢様」 |
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「銀の網」亭・カウンター |
ちょうど朝食が一通り終った頃、おかみさんが女性を一人連れて帰ってきた。
女性、といってもまだ少女の域を抜けていない、10代半ばといったところか。 黒い髪、黒い目、身長はあまり高くない。彼女は、半身おかみさんの後ろに隠れ ながら、こちらを見ている。
■おかみさん |
ただいま〜 あら?みんな揃ってるのかしら? ちょうどいいわ。依頼人を紹介しておくわね。 レイチェルさん。この人たちが話しておいた冒険者よ。 |
■ヴァーン |
(なんだ、まだ、ガキじゃねえか……。) |
■アーギー |
(まだ幼い・・。・・・ドリスと同じくらいかな・・?) 〈PL注:アーギーはPCレベルではドリスが18歳であることをまだ知りませ ん(笑)〉 |
レイチェルと呼ばれた少女は、おかみさんに背を押されて、冒険者達の前に出た。
少しためらっていたようだが、おずおずと口を開く。
■レイチェル(?) To:ALL |
あ、あの…。レイチェル=アングラードと申します。…レイチェルとお呼び下
さい…。 あなたたちが、わたくしの護衛をして下さる方々ですの…? …わたしくし、右も左も分かりませんの。あの…その…どのようなことをお話 すれば、よろしいのかしら…? |
ひどく緊張しているのか、見るからに全身ががちがちになっている。
■ヴァーン |
(……う〜ん、まさしく予想通りのお嬢様だな。先が思いやられるぜ……。) |
腕組みをして、首筋を伸ばしながら、内心ぼやくヴァーン………
■ジョージ To:レイチェル&おやじ&おおる |
依頼人のレイチェルさんですね?ジョージ・マクドヴァルです。 とりあえず、仕事の内容を詳しく伺いたいのですが・・・・ ここではなんですので、個室の方に移りませんか? (おやじに) マスター、個室をお願いできますか? |
■ラクル To:レイチェル |
あ、こんにちはっ(^^) 僕、ラクル。 (とてとてと近寄り、手を差し出す) せっかくだから、お仕事の間仲良くしようね(^^) |
■レイチェル To:ラクル |
………? |
きょとんとして、ラクルの手を見つめる。
少しして、握手を求められていることを理解したのか、ラクルの手を握り返した。
■レイチェル To:ラクル |
あ、はい。はじめまして、ラクルさん。 よろしくおねがいしますわ。 |
■パオル |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(ドリスさんやラクルさんとは、全然違う タイプの女性だね・・。) |
と、ヴァーンの後ろから見ているパオル。
■ドリス |
(レイチェルとラクルの握手を見て) (貴族のお嬢様だっていうから気難しい人だったらヤダなーと思ってたけど、 そうでもないみたいね……。よかった) |
ドリスがほっと息をつくのと同時に、奥からおかみさんが戻ってきた。
■おかみさん |
ハイ。個室の用意できたわよ。 詳しい話は、個室でしたらどうかしら? |
■ジョージ To:おかみさん&おおる&レイチェル |
(おかみさんに) どうも、すみません。早速移らしていただきます。 (みんなに) みなさん。個室の準備ができたようですので、場所を変えましょう。 (レイチェルに) レイチェルさんもそれでよろしいですね? |
■レイチェル To:ジョージ |
ええはい。そうですね。 …そ、それでは、行きましょうか。 |
■ドリス To:レイチェル&おおる |
(不安そうなレイチェルを安心させるようにニッコリと笑いかけた後、
みんなを振り返り) それじゃ、みんな個室へ移りましょ。 |
「銀の網」亭・個室 |
昨日さんざん騒いだのと同じ個室に案内される。もちろん、既に片づけられて おり、掃除も終っているようだ。
一同が席につく。
緊張しているのか、レイチェルは話を切り出すタイミングを見計らいかねてい る。その様子を見たドリスが、先に口を開いた。
■ドリス To:レイチェル |
自己紹介がまだでしたね。私、ドリスと申します。それから、こちらからアー
ギー、パオル、ヴァーンです。 (と、まだ自己紹介してない仲間を順に示しながら簡単に名前だけ紹介する) それでは、依頼について詳しい話をお聞きしたいのですが…。 (終始ニコニコ笑顔で話してるが、口調は真面目) |
ドリスは、相手が貴族のお嬢様ということで、彼女なりに応対に気を使ってい るようだ。
■アーギー |
(・・え゛?) |
ドリスの真面目な口調に少し驚くアーギー。
■ラクル |
(へー、なんだかドリスちゃん、かっこい〜い(^^)) |
ラクルは持って来たたまごサンドをぱくついている。
■ヴァーン |
(ドリスに紹介されて、) ヴァーンだ、よろしくな。 |
さりげなくレイチェルを値踏みしながら、ヴァーンは軽く頭を下げた。
服装に特に不自然な点はない。厚手の生地の長袖シャツに、革のジャケット。 革のズボン。淡いインディゴのマント。おかみさんが選んだものなのだろう、ず いぶんと機能的だ。
機能的な割には可愛くまとまっていて、レイチェルに似合っていると言える。もっとも、貴族のお嬢様のファッションと言い難い点は、否めない。有り体に言えば、冒険者の服装なのだ。
目に留まったのは、意匠の凝った銀のネックレスで、はめ込まれた無色透明の 宝石はヒビが入っているが、ずいぶんと値打ちものに見える。これだけは、他の衣類と比べて異質に見えた。
■レイチェル To:ALL |
あの…その…どのようなことから…お話しするのがよろしいのかしら…? |
緊張しているのか、元々要領が悪いのか、レイチェルはためらいがちに言う。
■ジョージ To:レイチェル |
まず、依頼内容をお願いします。 「依頼主の護衛」と言うことですが、護衛対象と、期間もしくは目的地 を・・・ それに危険手当とありますが、その「危険」について心当たりがお在りでした ら伺いたい。 |
■パオル |
・・・・・・・・。(ジー・・・。) |
パオルは、ヴァーンの後ろに隠れながらレイチェルを見ている。
■レイチェル To:ALL |
はい。 ええと、護衛対象はわたくし一人だけですわ。 |
とりあえず、迷わず答えられることから答えることにしたらしい。
■ジョージ To:レイチェル |
それはあなた本人のみを危険から護衛するものと理解してよろしいでしょう
か? たとえば、あなたの所持品・・・・・・とかは護衛対象には含まれない と・・・・・・ |
■レイチェル To:ジョージ |
え………? そうですわね………。でも、所持品といっても、今持っているのは旅に必要な ものばかりですわ。これがなくなってしまうと、とても困ると思いますの。 |
と、首を傾げるレイチェル。本気で考え込んでいるらしい………。
■ジョージ To:レイチェル |
失礼。確認までに伺っただけです。お気を悪くなされたのなら謝ります。 |
■レイチェル To:ジョージ |
いえ、とんでもないですわ。 気になったことは遠慮なく聞いてくださって結構ですのよ。 |
考えこむのはやめたのか、レイチェルがにっこりとほほえんだ。
そして、話を次に進める。
■レイチェル To:ALL |
目的地は、父が領主をしているアングラードという街なのですけれど…ご存じ ないかしら…? |
■ドリス To:ALL |
アングラード? (仲間に向かって)ねぇ、誰かアングラードって街、知ってる? |
しかし、残念ながら、誰も「アングラード」という街に聞き覚えはなかったようだ。
■ヴァーン To:レイチェル |
はぁ、アングラードねぇ……っと、聞き覚えはねぇな。 (俺は西方生まれだから、この辺の小さな町なんてよく知らねえんだよな… …。) で、アンタはそこの領主様のお嬢さんで、これから里帰りっていうことかい? |
無遠慮にじろじろ眺めながら、ヴァーンが言った。
あまりじろじろ見られるのには慣れていないのか、レイチェルが視線を避けるように少しうつむく。
■レイチェル To:ヴァーン |
え、ええ、はい………。 |
消え入りそうな声で頷くレイチェル。
ジョージはマイペースに話を続ける。
■ジョージ To:レイチェル |
アングラードの御領主でいらっしゃるお父様のお名前をお聞かせ願えないでし
ょうか? それと失礼ですが、何かご自身の身分を証明できる物をお持ちですか? |
■ドリス(心の声) |
ジョージおぢさんってば、いきなりレイチェルちゃん(←既に心の中では
ちゃん付け)を疑ってかかるようなこと言わなくてもいいじゃない。 (ちょっと非難を含んだ視線をジョージに向ける) レイチェルちゃん、気を悪くしなかったかな? |
と、ドリスは、不安そうな目でレイチェルを見る。
が、当のレイチェルはと言えば、ジョージの質問をもっともだと思ったのか、少し恥ずかしそうに答えた。
■レイチェル To:ジョージ |
ま、まぁ。そ、そうでしたわ。わたくし、自分の身分も
名乗らずに何をしているのかしら…。 父は、オーズ=アングラード子爵。代々、子爵の位を賜っておりますわ。 それと…身分の証明になるものですわね。このネックレス……… |
と、レイチェルは自分のネックレスを掲げ…少しなにか考えるように手を止め た。ややあって、何事もなかったかのように言葉を繋ぐ。
■レイチェル To:ジョージ |
………このネックレス、ひいおじいさまの代から伝わっているもので、家の紋 章が入っているのですけれど………このようなものでよろしいのでしょうか? |
■ジョージ To:レイチェル |
(仕草がちょっと気になったようだが、無視して) ええ、十分です。よく見せていただけますか? |
■レイチェル To:ジョージ |
え、ええ………。 |
少しためらいながら、ジョージにネックレスを見せるレイチェル。
■ドリス |
…………。 |
ドリスは、ジョージとレイチェルのやりとりを横目で見ながら、そのネックレスに気になるところはないか観察している。
材質は銀のようだ。凝った意匠は、少し古風だが、価値は高そうに見える。無色透明な宝石が一つついているが、材質は分からない。ただ、宝石にはヒビが入っていて、宝石単体では価値はあまりなさそうである。
■ヴァーン To:パオル |
(まあ、あのネックレスも、ちっと傷がいってるが値の張りそうな代物だし、
アングラード家とやらの御令嬢ってのはホントみてぇだな……。) (と、おもむろに振り向いて、にやにや笑いながら、) ところで、パオル、なんで俺の後ろに隠れてんだよ?! |
■パオル To:ヴァーン |
え!?いや・・別に〜、え〜と・・その・ですね
〜・・・まあ〜、 ボクが尋ねることは何も無いから、ヴァーンさんの後ろで聞いてようかな〜。 なんて・・・、思ったんです・・よ。 ・・・・・・・ダメです? |
■ヴァーン To:パオル |
べつにいけねぇってワケじゃないが……なっちゃいねぇなんだよなぁ。
もっと、気づかれないように気配を殺してだな、
こう忍び寄って、背後から……。 |
と、思わず講釈始めそうになり、慌てて我に返る。
■ヴァーン To:レイチェル |
(おっと、俺としたことが……) (レイチェルの方に向き直って、何事もなかったかのように) それじゃあ、お嬢さん、ただの里帰りなのに、わざわざ「危険手当」と但し書 き してあるってのは、どういうわけなんだ? |
ヴァーンの質問に、レイチェルはついと首を傾げた。
少し考えて、答える。
■レイチェル To:ALL |
危険手当は、あまりよくわからないのですけれど、こちらの冒険者の店のマス
ターさんが「とりあえず書いておいた方がいい」と言われましたの。 書いておかないと、危険手当と称して依頼料をつり上げようとする方が時々い るそうですわ。 無事にわたくしが屋敷にたどり着くまで全部合わせての報酬という意味です の。 |
■ジョージ |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 (危険じゃない冒険なんてあるのか?冒険者って・・・・・何?) |
■ヴァーン To:レイチェル |
(なるほど、そういう手があるのか……。) いや、べつにそういうことはしねえがな……。 それよりも、例えばだ、仲の悪い継母に命を狙われてて、きっと襲ってくるに 違いないとか、そういう心当たりはねぇのかってことさ。ただの道中のお供っ てだけなのかい? |
■レイチェル To:ヴァーン |
特に命を狙われるような…覚えは…ない…ない…(少し 考えて)…ええ、ないですわ。 |
■アーギー To:レイチェル |
(んっ・・!?) |
レイチェルの喋りかたを見て、アーギーが目つきを険しくした。
■アーギー To:レイチェル |
(気のせい・・? いや・・・。) ・・・ちょっと、聞いていいかな・・? さっき、屋敷まで護衛って言ったよな? どういうことだ? なぜ「街まで」 じゃない? まさか街の中にこそ刺客がいるとでも言うのか・・? |
■レイチェル To:アーギー |
え?刺客…ですか? いえ、そのようなことはないと思いますけれど…屋敷まででは何か不都合があ りますの…? わたくし、街の中もあまり一人で出歩いたことがありませんから、できれば屋 敷まで、と思ったのですけれど………。何か不都合がおありならば、街の入り 口までで結構ですわ。 |
■アーギー To:レイチェル |
ああいや、そういう事ならいいんだ。別に不都合なんてものはないよ・・。
ごめん、変なこときいちゃって。屋敷までの護衛、だね・・。 |
と、今まで黙っていたラクルが、首を傾げながら口を開いた。
■ラクル To:レイチェル |
うーんと、そうだねぇ… やっぱり、どうして僕たちみたいな冒険者の護衛がいるのか、教えて欲しい な。 信頼出来る冒険者ばっかりとは、限らないでしょう? 下手すると、雇った冒険者がなんか悪い事をしたりとか、 父さんに聞いた事あるし…あっ、 (慌てて打ち消す様に手をふり) 僕たちは大丈夫だからねっ。みんないい人だし… って、自分で言っても信用ないかなぁ……う〜〜〜ん… (こほんと咳払いして) と、ともかく、何か危険があって、腕利きの人を雇うとしても、 お金持ちの人なら、信用のおけるお供の人の一人くらい、 連れるもんじゃないのかなぁ? レイチェルのお父さんとか、そういう事心配しないの?? |
■レイチェル To:ラクル |
………そういうものですの?今は供の者もおりませんし、お父様も道中一人よ
りは護衛がいた方が安心すると思いますの。 それに、みなさん、とてもいい人に見えますわ。 |
■ヴァーン To:レイチェル |
そうかい、俺は多分悪い人だぜ。 (と、にやっと笑う) (う〜ん、温室育ちだな、このお嬢さんは……しかし、どうも話が見えてこねえ なぁ……。) |
■レイチェル To:ヴァーン |
(少しおどおどして) え…え……そ、そうですの?あの…その……あの………。 |
あっさり真に受けてしまう性格らしい………。
■ヴァーン To:レイチェル |
(ちょっと慌てて、) おおっと、今のは冗談だぜ、ジョーダン! 頼むから、あんまり真に 受けないでくれよな、お嬢さん。俺はちょっと口が悪いだけだし、みんな、いい 人間だから大丈夫だって。そんなに困らねぇでくれ……。 |
■アーギー To:ヴァーン |
ヴァーン! (ヴァーンの方は向かずに、少し沈んだような表情で) ・・・やめておけよ、その手の悪い冗談は・・。 |
■ヴァーン To:アーギー & ALL |
(アーギーの強い口調にちょっと驚いて、皆のちょっと冷たい視線にも気づいて、)
す、すまねえな。ちょいと、いらねぇ事を言っちまったようだ。俺が悪かっ た、今のは無かったことにしてくれ……。 (あっちゃ〜、あんまり真に受けられるのも困りもんだが、そんな本気で怒らな くてもいいじゃねえか……う〜、口は災いのナントヤラ、気をつけねぇとな… …。) |
頭を抱えて、困り果てているヴァーン。
その後ろで、パオルだけは目が笑っていた。
■パオル To:ヴァーン |
(素直じゃないからな〜、ヴァーンさんは・・・。) まあまあヴァーンさん、気を落とさないで・・。 そもそも「悪い人」ってのはヴァーンさんには似合いませんよ! だって!ヴァーンさんて「悪っぽい人」でしょ? 確かに、口が悪いのも本当のことですけど〜、ヴァーンさんは単に「素直」 という言葉とは 無縁だから、少々・・(首を傾げるパオル)いや ・・・(ちょっと溜めて)・・・ かなり誤解されてるだけですよ・・ね?(ニコニコ) |
ちょと楽しげなパオル
複雑な表情でパオルのほうをみるヴァーン、だが何も言えない。
■レイチェル To:ALL |
………え?え?え? |
狼狽した様子で視線をさまよわせるレイチェルだが、すぐにからかわれたこと に気が付いたようだ。顔を赤らめてうつむいてしまった。
少し恨めしげな目でヴァーンを見る。そして一度大きく息をつき、少し緊張の ほぐれた様子で顔を上げた。
■レイチェル To:ALL |
もう。 いいですわ。ヴァーンさんは悪い人ですのね。覚えましたわ。 |
■ヴァーン |
……い、いや……だから、それは冗談だって…… |
と、頭を振って深いため息をつく。
■アーギー(心の声) |
(ヴァーンの様子を見て) あ・・・! (苦い表情を浮かべて) ・・・しまった・・!・・ちょっと言い過ぎたかな・・・。 |
■ドリス To:ヴァーン&レイチェル |
(くすくす笑いながら) あ〜あ、嫌われちゃったね。ヴァーンくん。 (レイチェルに向かい) あの、あんまり怒らないであげてください。 男の人って可愛い娘を見るといじめたくなるとか、そういうしょうがない とこがあるし、きっとレイチェルさんがあんまり可愛いから、からかいたく なっちゃったんですよ。 ねっ。そうなんだよねっ?(とヴァーンを見てニコニコ) |
■ヴァーン |
(ますます情けなさそうな顏でドリスの方を見て、) ……あ、ああ……もう、なんとでも言ってくれ…… |
もう、穴があったら入りたい、とでも言いたげである………。
■レイチェル To:ドリス&ヴァーン |
(くすくす) はい、ドリスさん。それでは、ヴァーンさんにからかわれるということは、可愛いと言ってくださっているのと同じなのですわね。そう思うことにしますわ。 |
ヴァーンが狼狽するのがおかしかったのか、レイチェルは表情を緩めた―――
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