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第十章「作戦会議」 |
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アングラード邸 |
パオルとドリスは、庭園の散策を早々に切り上げて、アングラード邸へと戻ってきた。
■ドリス To:クリス |
すみません。 それで先程お話しいただいたレイチェルさんの絵姿は、どこにあるのでしょうか? |
■クリス To:ドリス |
こちらですよ。 |
レイチェルの絵姿の前 |
■ドリス |
これが7年前のレイチェルさんですか? 確かに全然別人のようですね。 (まじまじと見つめる) |
貴族の絵姿を描くような絵師がどの程度忠実に描くものなのかは不明である。
額の中のレイチェルは、銀色の髪に青い目の清楚な令嬢で、椅子にすわり、どこか寂しげにこちらを見ている。どちらかというと、今の、ドリス達が知っているところのレイチェルの方が、ずっと生気に満ちているように感じられた。
■ドリス(小声でブツブツ呟く) |
疑問疑問ぎも〜ん なんで姿が変わっちゃったの? レイチェルちゃん えっと姿変える魔法っていうと、シェイプチェンジとかポリモルフとか…う〜ん。 はっもしかして本当のレイチェルちゃんは既に死んでいて、その霊が別の女の子にとりついてるとか…… でもそれじゃ高価な宝石や形見のネックレスを身につけてたのが何故か説明できないじゃない… う〜んう〜んう〜ん。わっかんないよ〜 |
■ドリス To:クリス |
(ふと気付いて) あ、えっと、すみませんお待たせして。 それではレイチェルさんのところへ案内していただけますか。 |
■パオル 独り言 |
なんらかの魔法の品物で、姿が変わったってのはどうでしょうかね。(ボソ) |
■ドリス(心の中で) |
魔法の品物…そういえば、あのネックレス魔法の品だったよね。 もしかして、あのネックレスにそういう力があったとか? あり得るかもしれないけど… クリスさんはそんな話全然知らないみたいだし、レイチェルちゃんは知っていたとしても覚えてないみたいだし……。 |
■クリス To:ドリス |
―――それじゃあ行きましょうか。 |
レイチェルの部屋の前 |
クリスに案内されて、パオル・ドリス・ラクルはレイチェルの部屋の前まできた。
アーギーが部屋の前で、何気ない様子で腕を組んで壁に寄りかかっている。しかし、目だけはしっかり動いているようだ。
■クリス To:パオル&ドリス |
ここですよ。昔、僕が使っていた部屋ですけど、今は客室になっているんです。 |
■パオル To:アーギー |
ん?・・・・アーギーさん、部屋の前でどうしたんですか? |
■ドリス To:アーギー |
アーギー様、なにかあったの? |
■アーギー To:パオル他 |
(小声で) 今ちょっと重要な話してる・・・・。 他に話が聞こえるような人がいないかとりあえず見張ってた・・。 ・・・・とりあえず中に入って話を聞けばいいよ・・・。 |
■パオル To:アーギー |
はい・・。それじゃあ、失礼します。 (・・・やれやれ、「おとりつぎ願いたい!!」ってボケなくて良かったよ・・。そんな事したら目茶苦茶怒られるとこだったね。ふぅ〜) |
■クリス To:レイチェル |
入るよ。 |
レイチェルの部屋 |
パオル・ドリス・クリス・ラクルの四人は、部屋の中に入った。
部屋の中では、ジョージ達がタニアから事情を聞いている。
■ジョージ To:アーギー |
アーギーさん、すぐに見つかりましたか? クリス様もご一緒だったんですか……それなら案内は必要ありませんでしたね。 |
■ドリス To:ジョージ |
ねぇねぇどうなったの? なんか重要な話してるとかって聞いたけど……。何か記憶が戻ったの? (ふとタニアに気付いて) あ、えっとこちらの方は? |
■タニア To:ドリス |
あ、はじめまして――― |
と、タニアと、庭園に行っていた組が、相互に挨拶を交わし―――
レイチェルの部屋 |
■ジョージ To:ドリス |
つまり、レイチェルさんの記憶の断片の中に、ワイン小屋に入った記憶が残っている……と、そういうわけです。 行ってみたら、もしかすると記憶を取り戻す手がかりになるのではないかと。 |
■ドリス To:ジョージ |
へ? ワイン小屋? |
■ヴァーン |
……。 (黙って聞いている。) |
■ジョージ To:クリス |
クリス様、もしよろしければ、ワイン小屋を拝見させていただけないでしょうか? なんでもレイチェル様の記憶の手がかりがありそうなのですが………。 |
■クリス To:ジョージ |
ワイン小屋………ですか。 ………分かりました。後で鍵をとってきましょう。 |
■ジョージ To:パオル |
パオル君………。申し訳ありませんが、食事を10人分にしていただくのを忘れておりました。 今から私とタニアさんで、伝えに行こうと思うのですが、ついて来ていただきたい。 |
■パオル |
え!! ・・・・・・・・・・・・ボクは食事抜きなんですか? 食事は好きだけど、食事抜きなんて嫌だーーーーーーー!! |
単に一人前になっただけである。
しかし、空腹で錯乱したパオルにはそこまで思い至らない………
■ドリス |
食事ぃ? 何をこんなときに……(といいかけて) ………ま、パオルくんらしいといえばらしいか…… もうしょうがないなあ…くすくす (あきれるのを通りこして笑い出してしまう) |
■ヴァーン |
……。 (とにかく黙って聞いている。) |
一方、錯乱状態のパオルが見えていないのか、単に見ていないだけなのか、ジョージは全く動じずに話を続ける。
■ジョージ To:ヴァーン&アーギー |
では、ヴァーン君とアーギー君はレイチェル様とクリス様に付いていっていただけますか? ああ……ドリスさんもワイン小屋の方へ行かれますか? |
■ドリス To:ジョージ |
あ、うん。あたしもレイチェルちゃん心配だから一緒に行くね。 |
■ヴァーン To:ジョ―ジ |
あいよ。ワイン小屋ね。 |
■アーギー To:ジョージ |
・・・・・・・・・・・。 (ジョージの肩を軽く叩く) (他に聞こえないよう、耳元でヒソヒソ声で) ・・・ドリス、ワイン小屋に来るんだよね。・・だったら小屋に向かってる時にジャムのこと話しといた方がいいかな・・? |
■ジョージ To:アーギー |
(すれ違いざまにボソッと) それはお任せします。どちらかというと話しておいた方がいいでしょう。 |
■アーギー To:ジョージ |
・・・・・(無言で頷く) |
■クリス To:ALL |
それでは、ワイン小屋の鍵をとってきましょう。 皆さんも一緒にいらっしゃいますか? |
■アーギー To:ALL |
どうする・・・?・・・誰かついていく? ワイン小屋に行く人達全員でもう行っちゃうって手もあるけど・・。 |
■ドリス To:アーギー |
そんなにゾロゾロついていかなくても、 ここで待ってればいいんじゃない? |
■パオル |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
パオルは壁にもたれてボーッとしてる。
■ジョージ To:クリス |
では、私が御一緒させていただいてもよろしいでしょうか? 少しおうかがいしたいこともございますので。 |
■クリス To:ジョージ |
わかりました。では行きましょう。 |
そして、クリスとジョージが部屋を出ていった―――
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