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「銀の網」亭 |
依頼の引き受けを決めた冒険者たちは、今後の行動方針を話し合う。
■ ノエル To:リーシェ |
そこで、これから具体的にどうするつもりだったのか、なにか予定あれば教えて下さい それから、この子が発見された近くの村も訪ねているのでしょうか? もしまだなのであれば、一度行ってみたほうがいいと思うのですけれど。 オランにいても、手がかりになりそうなものはなさそうですから。 |
■ リーシェ To:ALL |
わたしとしては……。 |
言いかけたそのとき、彼女の手をくいくいと引く者があった。
■ ミシャルカ To:リーシェ |
……お姉ちゃん、眠い。 |
ミシャルカは、空いたほうの手で目許をこすっている。もはや、座っているのも大儀そうで、このままでは居眠りに突入するのも時間の問題だろう。
その様子を見て、リーシェは困ったように微笑する。
■ リーシェ To:ALL |
すみません、この子、昨日は寝るのがだいぶ遅かったものでして。 かくいうわたしも、恥ずかしながら、昨晩はあまり眠れなかったのですけれど。 |
眠れなかったのに、ふだん通り早く起きて、睡眠不足気味ということらしい。
■ リーシェ To:ALL |
あ、ごめんなさい。今後のお話の途中でしたね。 わたしとしては、「河沿いの街道」を北上しながら、手がかりを集めてみようかと考えています。いまのところ、それ以上は何も……。 |
ノエルは、二人への気遣いを見せる。
■ ノエル To:リーシェ |
それでは、早く出発したほうがいいでしょうね・・・ ミシャルカちゃんも眠いようですし、今夜はもうお休みになりますか? |
■ リーシェ To:ノエル |
それは……、助かります。 |
決して丈夫そうには見えないノエルに心配してもらって、リーシェは少しばかり恥ずかしそうだが、正直、安堵もしているようだ。
■ ノエル To:リーシェ |
私たちは、まだ夜も早いですから、これから出発する準備でもしています。 明日の朝もう少し話してみて、ここで出来ることが他にないようでしたら、そのまま「河沿いの街道」に向けて出発するということにしませんか? |
■ アトール To:ノエル |
ちょっと待った、ノエル。 街道を北上するのが最適な選択かどうかを判断するには、情報が少なすぎると思うけど。 もうちょっと、いろんな情報を集めてから今後の方針は決めた方が良いと思うぜ。 |
■ ノエル To:アトール |
リーシェさんたちが寝に行った後で、今夜のうちに調べられるだけのことを調べておくつもりはしていたのだけれど・・・ その結果が出たとしても、街道に行かなくてすむとは思えなかったの。 でも、考えが足りなかったかもしれないわね。ごめんなさい。 |
■ アトール To:ノエル |
いや、謝ることじゃないさ。 みんなの意見を出し合って、最適な方法を考えていけば良いんだから。 そのための仲間だろ? |
そう言って、ア・トールはノエルに笑顔で片目をつぶって見せた。
■ アトール To:all |
とりあえず、賢者の学院と盗賊ギルド、あとは大きな酒場とかから情報を聞いて、その内容から街道へ行くべきなのかどうかを判断した方が良いんじゃないか? ろくな情報が無かったら、しょうがないから街道沿いに手がかりを探しに行くしかないし、何か別な情報があればそちらを攻めた方が確実だし。 |
ちょっと考えてから、ア・トールは続ける。
■ アトール To:all |
例えば、こんなのはどうだろ? 明日の朝どこかで待ち合わせることにして、これから俺は盗賊ギルドに、ウィードには賢者の学院に行って情報を得てくる。 他のみんなは、どこか大きな酒場にでも行って、噂話を収集してくる、というのでは? |
■ ウィード To:アトール |
うん、「俺が賢者の学院に行く」ってのはいいアイディアだな。 幸い、そこには顔見知りがいるから都合がいい。 "バイナル"っていう1人身のおっちゃんなんだけど… そのおっちゃんを見つけて話を聞いてくるよ。 |
バイナルとは、以前ウィードバルが別の仲間とともに古代王国の遺跡の調査の仕事を引き受けたときに、その依頼主であった賢者のこと。
ちなみに、彼の研究課題は「何故ドワーフやグラスランナーには古代語魔法が使えないのか」という、独創的なものである。
■ アフル To:アトール |
それじゃあ、俺は酒場で最近行方不明になった女の子がいないかとか噂話を聞いてくるよ。 街道とかを捜しに行くんなら、保存食とかが必要だろうけど、そういうのは明日の朝に買いに行けばいいだろ。 |
■ ノエル To:アフル |
それじゃ、ついでに街道沿いに村があるかどうかもきいてみたいわね。 ミシャルカちゃんに関係あるかもしれないし、途中に村があれば保存食を買い込む数、減らせるかもしれないし(^^;; |
■ アフル To:ノエル |
うん、それじゃあ、それも聞いて来るよ。 |
■ アトール To:all |
あと出来れば、うーんそうだなぁ、ノエルの家にこの2人を泊めてあげること出来ないかな? もしかしたら、ミシャルカちゃんの寝言とか聞けるかもしれないだろ? |
■ ノエル To:ア・トール |
え? |
怪訝そうな様子のノエルに顔を寄せて、ア・トールは小声でささやく。
■ アトール To:ノエル |
記憶を失うような事があるぐらいだから、正直言って2人に何かあるかもしれないという心配もあるんだ。 ちゃんとした家に泊まっていれば、町中なら大きな騒ぎには出来ないと思うし。 何か変わったことがないか、観察できるかもしれないし。 どうだろ? |
ノエルの返事も、同じくひそひそ声だ。
■ ノエル To:ア・トール |
なにかあるかもしれないって心配するのはわかるけど、なにも私の家にいかなくても。第一、外はもう薄暗くなってきているし、
襲って下さいって言っているようなものじゃない? それに、ミシャルカちゃんこんなに眠そうにしているのに、外を連れ回すのはかわいそうだわ。 このままここに泊まったほうがいいと思うわよ。 (それにしても、ちゃんとした家ってここの宿の人に失礼じゃないかなぁ) |
■ アトール To:ノエル |
あ、別に一緒に泊まるんだったら、宿でも良いんだ。 宿だと部屋がバラバラになることもあるかなぁ、と思って。 まあ考えすぎだと思うけど、朝起きたら2人とも何処にもいなかった、とか嫌じゃない(^^;) |
あらためてじっと、ノエルの眼を見つめるア・トール。
■ アトール To:ノエル |
しかし、ノエルはやっぱ女の子だよねぇ。 俺にはミシャルカちゃんが眠そうにしているのを外に連れ回す、って発想がすぐ出てこなかったよ。 まだまだ人を思いやる気持ちが足りていないな、俺は。 |
鼻の頭をかいて少し照れながら、ア・トールは言った。
■ アトール To:ノエル |
いいお母さんになるよ、きっと。俺が保証する(^^) |
■ ノエル To:ア・トール |
こんなときに、なにバカなこと言ってるのよ・・・(-_-;; |
ノエル、ちょっと怒って見せつつ、実はうれしいらしい。
さて、こそこそ話す二人に、リーシェは少々戸惑い気味だ。
■ リーシェ To:ア・トール&ノエル |
あの、わたしたちでしたら、ここに泊まるので全くかまいませんから……。 |
ノエルは二人、特にミシャルカを「観察」するのに、別の方法を採りたいとの考えらしい。
■ ノエル To:リーシェ&ALL |
あの、今夜もここに宿を取っていらっしゃるのですか? もしよろしければ、私もご一緒してもよろしいでしょうか? できるだけ長くこの子のそばにいたほうが、些細な手がかりも見失わずにすむと思いますので。 |
そう言って、もう一度ミシャルカのほうを見る。
少女はかろうじて起きてはいるが、リーシェに寄りかかり、眼をつむっている時間が目に見えて長くなってきている。
■ リーシェ To:ノエル |
同室なさりたい、ということですよね? ええ、喜んで。 |
■ ノエル To:リーシェ |
よかった(^^) それでは、広い部屋を一つ、親父さんに言って借りてきますね。 |
■ アトール To:ソフィー&ルディ |
じゃあ、ソフィーとルディも、街の酒場かどこかで情報を集めに行ってもらって、その後、ノエルと一緒にこの子達と宿で泊まってくれるかな? まあ、町中で騒ぎがあるとは思えないけど、一応何かトラブルがあっても、3人いれば対処できるだろ? |
■ ノエル To:シルディア&ソフィティア |
そうね、できればあなた達も一緒に泊まって欲しいわ。 ミシャルカちゃんのそばにいるのはできるだけ大勢のほうがいいでしょう? 情報を集めにいくなら、それが終わってからでいいから。 |
■ ソフィティア To:ノエル |
できるも何も、わたしもここに泊まる事にしていたんだから良いわよ。一人で泊まるよりその方が都合がよさそうだしね。 |
■ シルディア To:ノエル |
それでは、私もこちらに泊まることにいたしましょう。昨日までの宿は引き払ってまいりましたから。 |
五人部屋が必要となるようだ。
■ ノエル To:シルディア&ソフィティア |
もし他に用事がないなら、リーシェさんたちの荷物運ぶの、手伝ってあげてもらえないかな? ベッド組み立てたりとかも、あるかもしれないしね。 |
■ シルディア To:リーシェ |
荷物を移動されるのでしたらお手伝いしますわ。あまりお役には立てないかもしれませんけれど‥(^_^;) |
その返事は、苦手としている情報集めに、自分は今回携わるつもりがないことを婉曲に伝えるものだった。オランの街に来てから日が浅いうえ、 酒をたしなまないシルディアとしては、夜の酒場での情報収集にあまり気乗りがしないというのも、納得できるところではある。
もっとも、エルフの彼女は、自分に力仕事が向いていないことも、同じく充分自覚してはいるのだが……。
■ ソフィティア To:ALL |
ルディが残るようだから私も情報集めに行ってくるわ。情報は多い方がいいからね。わたしは他の酒場をあたってみるわ。 |
■ アトール To:ノエル |
よし、じゃあ俺もギルドに情報仕入れに行ってくる。 せっかく貰った前金だけど、とりあえず200ほど貸してくれるかな? ギルドの情報は値切ってどうなるもんじゃないんでな。 |
■ ノエル To:ア・トール |
わかったわ。よろしくお願いね。 |
ノエルは、リーシェから受け取った前金の入った小袋の中から、200ガメルを取り出して、ア・トールに渡した。
■ ノエル To:ALL |
残りは必要になるまで私が預かっているから、必要な人は言ってね。 |
■ アトール To:all |
じゃあ、待ち合わせは明日の朝8時にこの宿の食堂って事にしようか。 良いかな? |
全員、特に異存はないようだ。
■ アトール To:all |
それじゃあ行ってくるわ。 |
軽く手を振り、ア・トールは「銀の網」亭を出ていこうとする。ノエルには、小さく投げキス、である。
彼に続いて、ほかの情報収集組も出入り口へと向かう。
と、そのとき、ソフィティアは、それまで言い出しにくかったことを切り出した。
■ ソフィティア To:all |
あ、あのさぁ。だれか……少しだけお金貸してくれないかなぁ? ほら、今度の依頼って少し日数がかかるじゃない。それに、前金も情報収集に使わなきゃならないみたいだから、その……生活費が…… |
かなり恥ずかしいらしく、ソフィティアは赤い顔をうつむきかげんにしている。
その様子を見て、ノエルは困ったな、という顔をしてみせた。自分の分で精一杯で、人にお金を貸せる状況ではないのである。
二人の女性を救ったのは、もう一人の女性だった。
■ シルディア To:ソフィティア |
私は今、手持ちに余裕がありますからお貸し出来ると思いますが‥どういたします? |
シルディアの申し出に、ソフィティアの表情がパッと明るくなる。
■ ソフィティア To:シルディア |
有り難う。助かるわ。必要最低限だけでいいからその都度お願いするわ。無け無しとは言えまだ20ガメルあるわけだしね(^^; さて、当面の財布の心配も無くなったところだし、私も情報集めに行ってくるわ。 |
少しホッとした顔つきで、ソフィティアは店主のいるカウンターへと向かった。心なしか足取りが軽くみえるのは気のせいだろうか?
そんな彼女の姿を見て、いったん足を止めていた男性陣は、出入り口から外へと出ていった。
当座の金の心配がなくなったソフィティアは、さっそく情報収集の用意に取りかかる。
オランの街を訪れて間もない彼女は、聞き込みを行う酒場の場所から決めねばならない。
ソフィティアは、店主に尋ねた。
■ ソフィティア To:おやじ |
おじさん、ちょっと聞きたいんだけど、ここらへんにあるの酒場の場所って教えてもらえないかな? イヤ、「ここが気に入らない」とかじゃなくて(^^;、情報集めに行きたいのよ。 |
■ おやじ To:ソフィティア |
ほぉう。 |
ちょっと微妙な感じの返答である。
■ ソフィティア To:おやじ |
そんな怪訝なかおしないでよぉ(^^; みんなが、手分けして情報集めなきゃね。捜査は足からっていうし。おじさんに他の店の場所聞くのは気が引けたんだけど、そういう事で……ね。 |
ソフィティアは、ちょっときまりの悪そうな顔で舌をだしている。
■ ソフィティア To:おやじ |
オランは初めてだし、いまいちわからないのよね〜。 とりあえず、アフルも酒場に行くって言ってたから、彼が行きそうな店は除外して構わないわ。 |
■ おやじ To:ソフィティア |
アフル? ……ああ、槍持った、少年みたいな半妖精のことだな、きっと。 さすがのオレも、ここに来る冒険者たちの全てのことを把握してるわけじゃないから、そのアフルとかいうのの行きそうな店というのは、いまいちよく分からんがな。 |
主人はちょっと考えてから言った。
■ おやじ To:ソフィティア |
ここからはちょっと距離があるが、河向かいにある「踊る白ウサギ」亭なんかがいいんじゃないか? そこそこ大きくて、店主も親切なほうだったと思うし、なによりこの店からほとんど一本道だから、このあたりに不案内らしいお前さんでも迷わずにたどり着けるだろう。 |
彼はソフィティアに、「踊る白ウサギ」亭までの非常に簡単な道順とだいたいの距離とを教えてやった。
■ ソフィティア To:おやじ |
おじさん有り難う。さて、ちょっと行ってくるかな。帰ってきた後の事もあるから、今から行ってくるわ。 |
こうしてソフィティアも、夜の街へと出ていった。
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