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「銀の網」亭 |
二階の個室で、改めての自己紹介と簡単な相談を終えたパーティ一行は、仕事の斡旋を受けるべく、一階に下りてきた。
店の主人のいるカウンターへ向かう途中、アフルはある人物を見かけ、近寄っていった。
■ アフル To:クロス |
やあ、クロスじゃない。 |
■ クロス To:アフル |
あっ、アフル! 元気にしてました?(^▽^) |
■ アフル To:クロス |
あ、そうだ、借りてたお金やっとたまったんだ。 忘れないうちに返しとくよ。 |
アフルは言うと、財布から500ガメル分の硬貨を取りだして、クロスに手渡す。
■ クロス To:アフル |
ホント? じゃあ遠慮なく。 |
クロスはほっとしたような表情で、受け取った金を自分の財布にしまい込んだ。
■ クロス To:アフル |
そろそろ上納金おさめなきゃなので、ちょっと不安になってたんですよ。(^^;
仕事順調みたいですね。そう言えば次のパーティーも組めたんですよね? |
二人は再会を約し合うと、それぞれの新しい仲間たちの許へと戻った。
テーブル席同様、カウンターもかなりすいてきている。どうやら、ほとんどの冒険者は仕事の仲間を見つけ、個室に移動し終えたようだ。
主人は店内を片づけるべく、カウンターの中からてきぱきと指示を出している。
■ アフル To:おやじ |
おやじさん、なんか面白そうな依頼ない? |
■ アトール To:おやじ |
さっきちらっと見た掲示板には、なんか護衛の依頼が妙に多かったようだな? 俺とノエルはちょっと前に護衛の依頼を受けたことがあるから、出来れば毛色の違うのがあるとうれしいんだけど。 なんか、面白いのあるか? |
主人は、二人の言葉に困ったような表情を浮かべた。
■ おやじ To:ALL |
漠然と「面白いの」と言われてもなあ……。 護衛の依頼以外ということなら、いくつかあるだろう。まあ、そこの掲示板を見てくれよ。 |
主人は、カウンターの脇にある、依頼書貼付用の掲示板を指差した。一行は一斉にそちらに振り向く。
■ ノエル To:アトール&ALL |
毛色の違うって・・・どんなのがいいの? 今日はまだ掲示板に依頼が残ってるから、一つぐらい気に入ったのが見つかるんじゃないかな? 例えば・・・この身元調査の依頼とか(^^) |
掲示板に貼られた数ある依頼書の中で、ノエルの示したその一枚は、少なからず人目を引くものだ。
真新しい羊皮紙に記された文字は、明らかに「銀の網」亭の主人の筆跡ではない。
一語一語に至るまで丁寧に書き込まれたその文章からは、書き手の人柄さえ伝わってくるかに思われる。
■ 依頼掲示板 To:冒険者各位 |
ある女の子の身元調査を手助けして下さる、心のやさしい冒険者の方を探しています。 最長で5日間、貴重なお時間をお貸しいただけないでしょうか? なお、報酬は心ばかりの額しかお支払いすることができません。 ご連絡はご主人までお願いします
|
■ ウィード To:ALL |
なになに、ある女の子の身元調査…心のやさしい冒険者の方を探してます…か。
なんか訳ありの依頼みたいだな。 毛色の違う依頼だと思うけど…どうする? |
■ アフル To:ALL |
ふーん、面白そうだね。 特に、ここの「心やさしい冒険者」ってとこが(^^)。 これが一番面白そうだし、俺もこれがいいな(^^)。 |
■ ソフィティア To:ALL |
なんだか、めずらしい依頼よね。しっかし、女の子の身元調査ねぇ〜、いったい何するのかしら(^^; 心ばかりのお礼って言うのが気になるけど面白そうだから一口乗ってみない? |
■ ルディ To:ALL |
そうですわね…。 心ばかりのお礼、と言うのは私も少し気に懸かりますけれど皆さんが 「これが良い!」と仰るのなら‥構いませんわ。 |
■ アトール To:ルディ |
まあ、新米の冒険者なんてそうそう都合良く金儲けできる仕事なんてないさ 最初から心ばかりの謝礼って言ってくれてるんだから、きっと依頼人もいい人なんじゃないか? 他の掲示は護衛ばかりだし、とりあえず話だけでも聞いてみようぜ。 気に入らなければ、話を聞いてから断れば良いんだし。 |
ア・トールは、ちょっと苦笑いした。そこに込められた心情を、ノエルだけは正確に知っている。
■ おやじ To:ALL |
では、とりあえず依頼人の話を聞いてみるということでいいかな? ちょっとそのまま待っててくれ。 |
主人はカウンターから出ると、掲示板からその依頼書をはがし、そのまま二階へと上がっていった。
しばらくして彼は、2人の人間を連れて、冒険者一行のところへ戻ってきた。
■ おやじ To:ALL |
こちらが依頼人だ。 リーシェさん、じゃ、話がまとまったら、オレのところに一言頼む。 |
主人はそう言うと、カウンターの中に戻って片づけ仕事を再開した。さて、二人のうちの一人――おそらく「リーシェ」と呼ばれたほう――は、20代半ばくらいのやや小柄な女性だ。肩の高さで切りそろえられた黒髪に、 鳶色の瞳をしている。麻の法衣を身にまとい、首からは大地母神の聖印を提げていることから、まず間違いなく神官であろう。
もう一人は、亜麻色の髪を持つ、10歳くらいの女の子である。リーシェに片手を引かれ、翡翠色の両眼で冒険者たちをじっと見つめている。
■ リーシェ To:ALL |
みなさまが、わたしの依頼を引き受けて下さるという方々ですね? あ、立ち話もなんですから、こちらにおかけになって下さい。 |
その言葉に、冒険者たちは遠慮なく、テーブル席の手近な空き椅子に腰掛けていく。
■ アフル To:リーシェ |
あ、よろしくお願いします。 |
■ ソフィティア To:リーシェ |
(ふぅ〜ん、この子の身元を調べるのかしら?) まずは依頼の話しを聞いてみなきゃならないわよね。じゃぁ、わたしも腰掛けさせてもらうわ…… ドッコイショっと(ヤバイ、この癖止めろって義父に言われてたんだっけ。(苦笑)) |
■ アトール To:リーシェ |
じゃ、俺も失礼して。 |
■ ノエル To:リーシェ |
では、遠慮なく(^^) |
シルディアとウィードバルも椅子を引いて座り、最後にリーシェと少女が席についた。二人の手は、なおつながれたままである。
一同のまとめ役らしく、ノエルが切り出した。
■ ノエル To:リーシェ |
私はノエルといいます。どうぞよろしく。 リーシェさん・・・とおっしゃいましたね? さっそく詳しい話をお聞かせ願えますか? 正式に依頼を受けるかどうかはそれからにさせて下さい。 |
彼女の頭の中には、実力が足りず、断らざるをえなかった前回の依頼のことが浮かんでいた。
■ リーシェ To:ノエル |
はい、そのあたりの手順は承知しています。わたしも一応、冒険者として暮らしてきましたから。 |
それを聞いて、ソフィティアは、リーシェの冒険者としての力量を見定めようとした。彼女自身が駆け出しのため、はっきりと判断することはできなかったが、 少なくとも彼女よりは多くの経験を積んでいそうだ。とはいえ、熟練の域に達しているという風でもない。
■ ノエル To:リーシェ |
身元調査とは、そちらにいるお嬢さんのことでしょうか? |
■ リーシェ To:ノエル |
ええ、そうです。 |
リーシェは、傍らの少女にちらりと目をやった。
その少女にほほえみかけながら、ノエルはちょっと考えてから東方語で話しかける。
■ ノエル To:少女 |
はじめまして(^^)。お嬢ちゃん、名前はなんて言うの? |
■ 少女 To:ノエル |
……ミシャルカ。 |
言ったきり、黙りこくってしまう。大勢の見知らぬ人の前でおびえている、あるいは緊張しているという風ではなく、むしろ彼らに何の関心も抱いていないといったような様子である。 気のせいか、充分かわいらしいといえる目鼻立ちに張りついた表情も、どことなくうつろに見える。
■ ノエル To:ミシャルカ |
ミシャルカちゃんっていうの・・・かわいい名前ね。 |
その名前自体から、特に思い当たることはなかったようだ。
■ アトール To:独り言 |
リアクションの少ない子供だな(^^;; |
■ リーシェ To:ALL |
この子は一昨日の夕方、わたしと当時の仲間たちが、「河沿いの街道」を通ってこのオランの街へと戻ってくる途中に保護しました。街の方角に向かって、 たった一人でとぼとぼと道を歩いていたのです。 |
「河沿いの街道」とはその名の通り、ハザード河に沿って延び、オランの街とエストン山脈の麓とを結ぶ、小さな街道のことである。
ノエルの知識によると、街道上に大きな街がないことに加え、多少お金のある人はハザード河の水上交通を利用するため、人通りはかなり少ないはずだ。 安全度は「自由人たちの街道」や「蛇の街道」ほどではないが、さすがに荒野を歩くよりはだいぶまし、といったところだろう。
■ リーシェ To:ALL |
わたしたちはミシャルカにいろいろ尋ねてみたのですが、その答えは全く要領を得ませんでした。 どうやらこの子はかわいそうに、記憶の全てを失ってしまっているらしいのです。自分の名前さえも忘れてしまっていました。「ミシャルカ」というのは、 服の裾にある縫い込みから、わたしたちがおそらくこの子の名前だろうと判断したものなのです。 |
見ると確かに、少女の身に着けている木綿のワンピースの裾には、東方語の綴りで「ミシャルカ」との縫い込みがされている。
■ リーシェ To:ALL |
わたしたちは昨晩街に帰ってきてから、この子をどうするか話し合いました。 わたしは、ミシャルカの面倒をみてやるべきだと主張しました。身元をつきとめ、家に無事送り届けてやるべきだと。 しかし、仲間たちはそろって反対したのです。 確かに、無理もないかも知れません。そんなことをしても、わたしたちには1ガメルの得にもならないでしょうから。ですが、わたしはマーファ神の尊ばれる慈愛の精神の実現のためにも、 是が非でもこの子の力になってやりたかったのです。 そこでわたしは仲間たちと別れ、一依頼主として、ミシャルカの身元調査とこの子を無事家に送り届けることとに協力してくれる冒険者の方をお雇いすることに決めたのです。 |
口調はまったく穏やかだが、両の瞳には、強い決意の光が宿っているのが看て取れた。
■ アトール To:リーシェ |
なーんか、あんたの仲間ってのは、ずいぶん冷たい奴だったんだなぁ。 金にならないからって、ほいほいと捨てていくか? 数日ぐらい、情報集めるのぐらい手伝ってやればいいのに。 |
ア・トールは、少々不機嫌といった面持ちだ。
彼の様子にリーシェは、複雑な表情を浮かべる。ア・トールの言葉の中に、受け容れたい部分と受け容れたくない部分とがあるのだろう。
一方、借金地獄にいるときなら、その数日さえもったいないと思えることだってありそうだけど、とノエルは感じたが、あえて口には出さなかった。
■ ノエル To:リーシェ |
そうですか・・・あなたは、自分の信仰のために、あえて仲間と離れてでもその子を助けようというのですね。それも、一銭の得にもならないばかりか依頼主として私財をなげうってまで。 |
■ ソフィティア To:リーシェ |
大体の状況は飲み込めたけど、リーシェさんもマーファの信者なんだから、当然、一回は神殿に相談に行ってるのよね? この子の事で。 私たちに話しが廻ってくるってことは、マーファ神殿は積極的に協力してくれなかったってことかしら? |
■ リーシェ To:ソフィティア |
いいえ、神殿には参っておりません。神殿にこの子を預けることはいつでもできますし、わたしには、必ずしもそれが最上の解決策とは思えませんので。 結果、神殿に面倒をみてもらうことになるとしても、その前にわたしのできる範囲で、この子のために努力をしてみたいのです。 |
■ ソフィティア To:リーシェ |
「神殿を頼らずに」っていうその心意気は認めるわ。全て任せるっていうのも問題だけど、神殿の援助があるかもしれないのにそれを敢えて無視するっていうのはどうかしら? |
ソフィティアは、少女のほうに目を向ける。
■ ソフィティア To:リーシェ |
ミシャルカちゃんの記憶を取り戻すにしても早い方がいいんじゃないかしら? わたしはそう思うけど……。 |
再びリーシェに向き直る。
■ ソフィティア To:リーシェ |
わたし達を頼ってくれるのは嬉しいよ。でも、最優先させるのは早いところミシャルカちゃんの記憶を取り戻させるって事よね? だったら、 神殿にも協力してもらえるなら、協力してもらうのが一番だと思うわ。 |
■ アトール To:ソフィー |
神殿に協力を依頼するかどうかは、仕事を受けた後に方向をみんなで決めれば良いことであって、仕事を受けるか否かの条件とは切り離して考えた方がいいぜ。 それに勘違いしたら困ると思うけど、依頼は「この子の記憶を取り戻す事」じゃなくて「この子の身元を調査する事」のはずだぜ。 似てるようで、やることは全然違うからな。 例えば、親を見つけることが出来たら、この子を引き渡して、記憶を戻すのは親の仕事って場合もあり得るんだから。 まあ、結果的に記憶が戻ることが起こるかもしれないけど、あくまで依頼は身元調査なんだから、仕事を仮に受けたとしたらその線で情報を収集すべきだと俺は思うな。 (まぁ、ただこの依頼はもっと複雑そうな気はするけどな) |
■ ソフィティア To:アトール |
リーシェさんに提言するつもりで言ったのよ。確かに、アトールの言うとおり「この子の記憶を取り戻す事」は別だったわね。 大丈夫、私たちにとっての依頼の内容はわきまえてるつもりよ(^^; |
■ リーシェ To:ア・トール&ソフィティア |
はい。わたしとしては、身元調査と親御さんの許へ送り届けることとにご協力いただければ、それで充分です。 ミシャルカの記憶のことについては、マーファ神の思し召し次第でしょう……。 |
リーシェは小さく印を結び、再びミシャルカを見つめた。
少女は相変わらずぼんやりとしているが、どうやら眠気を催してきたらしく、さかんに目をしょぼしょぼさせている。
ソフィティアの質問は、なおも続く。
■ ソフィティア To:リーシェ |
それと、報酬の件がまだだけど目安ぐらいは提示してもらいたいわ。助けたいのは山々なんだけど、私たちも命を売り物にしてる様なものだから一応ね(^^) |
と、口では言っているものの、どうやら彼女は、すでにこの依頼を受ける気でいるらしい。冒険者としての初めての仕事へ向けての昂揚感で、 右眼は黒曜石もかくやとばかりに爛々と輝いている。
■ リーシェ To:ALL |
そのことなのですが、依頼書にも書きましたように、お気持ち程度の報酬しかお支払いすることができません。 具体的な額としては、最長で5日間お手伝いいただいて、必要経費込みの1200ガメルでお願いできますでしょうか? お引き受けいただけるならば、 前金として300ガメルお支払いします。あ、5日間で解決できなかったとしても、報酬は満額をお渡しするつもりです。 一般的な相場からして、額が安すぎることは重々承知しているのですが、これがわたしのお支払いできる精一杯なものですから……。 |
■ アトール To:ALL |
まあ、個人で支払うんじゃ、きついわな。 1200ガメルなら、俺らは6人のパーティーだから一人200ガメルか。 盗賊ギルドとかに情報仕入れに行ったら、一人100ガメルぐらいになっちゃうかもしれんな(^^; 今回は依頼の内容も内容だし、人助けだと思ってそれで手をうっても良いんじゃないか?
それに、もしかしたら大富豪の娘で、親元に連れていったら死ぬほど謝礼もらえるかもしれないし(笑) |
■ ノエル To:リーシェ |
私の信仰する神とは違いますけれども、あなたのその信仰の強さには敬服いたします。ぜひ、協力させて下さい。 ・・・みんなそれでいいかしら? |
パーティの面々を見回すノエル。
それを見たア・トールは、彼女と同じような動きをしたあとで、言った。
■ アトール To:ALL |
よし、俺は手伝う方に賛成票な。 この依頼受けるべきだと思う。 冒険者であるとか、金儲けとか、そういう以前の問題だぞ。 |
■ アフル To:ノエル&ALL |
うん、俺もこの依頼を受けるのに賛成だな。 そういう事情なら、協力しないわけにはいかないだろ。 |
■ ルディ To:ALL |
私もご依頼を受ける方に賛成いたしますわ。 |
シルディアは、ミシャルカを穏やかに見つめた。
■ ルディ To:ALL |
その子の心からの笑顔を見てみたいですから…。 |
彼女は、少女の生気に欠けた表情に、なにも信じられなくなっていたころの自分の姿を重ねていた。
■ ソフィティア To:ALL |
わたしは生活費が残るなら(苦笑)、報酬が安くても今回は受けるのに賛成よ。 |
その苦しい懐具合を鑑みるならば、彼女に事実上、選択の余地がないのは確かである。
彼らの中でひとり、ウィードバルだけが、少し異なった反応を示した。
■ ウィード To:ALL |
あぁ、異論は無いぜ。だが… |
彼は、少々難しい顔をした。
■ ウィード To:ALL |
1つだけいいかな…… その…ミシャルカがそれを望んでいるのかってのが気になったんだ… 言いにくい事だけど… 記憶を失うってのは普通に生活している限り起こるはずのない事だろ? なら、よっぽど衝撃的な出来事に遭遇したのかもしれない。 もし、悲しみを掘り起こす事になるのだったら… |
そこまで一気に語ると、しばし沈黙する。
■ ウィード To:ALL |
…いや、すまない。可能性を述べただけだ、流してくれ。 |
■ ノエル To:ウィードバル |
あなたがそう思うのも無理ないわ でも、それでも、この子の記憶は取り戻してあげたいと思う |
ノエルは、空色の瞳でミシャルカを見やった。
■ ノエル To:ウィードバル |
さっき話しかけたときのこの子の表情・・・まるで人形みたいだった 記憶だけじゃない、喜びも悲しみも、すべて封印してしまったかのような・・・ それでも生きてはいけるのでしょう。けど、それでは人間として生きていることにはならないと思うの。 ルディのいうとおり、笑顔まで失ったままじゃ悲しすぎるじゃない |
■ アトール To:ウィード |
可能性の一つとしてはもちろん考えられるけど、それは結果がわかって初めて言えることだぜ。 現在わかっている状況は、この子が記憶喪失で街道を一人とぼとぼと歩いていたという事実。 この状況下で、俺らは何が出来るのか・・・何をなすべきなのか・・・。 結果については、やれることをやってから考えても、悪くはないだろ。 今、出来ることを精一杯やろうぜ。
ま、なんとかなるって。 |
そう、今は出来ることをやるだけなんだよね……と、ノエルは微笑みながら、ア・トールを見つめるのであった。
しかし、その微笑みもすぐに消え、いつものきまじめな表情に戻る。
■ ウィード To:アトール |
ああ、分かってる。 だが「悲しい結末になるかもしれない」っていう心構えは必要だと思うぜ。 不完全燃焼で、そうなってしまったらやるせないからな。 そうさせないためにも全力を尽くすさ。^^; |
やや固い面持ちで、ウィードバルは答えた。
これで一応、全員の賛同は得られたようだ。
■ ノエル To:リーシェ |
では、正式にこの依頼受けさせていただきます。 |
■ リーシェ To:ノエル |
どうもありがとうございます。 |
リーシェは深々と頭を下げると、膝の上に置いてあった小袋をテーブルの上に乗せた。ジャリ、と鈍い音がする。
■ リーシェ To:ノエル |
前金の300ガメルになります。どうぞお受け取り下さい。 それから、ノエルさん……でしたね、あなたがみなさんのまとめ役と理解してよろしいのでしょうか? |
リーシェの問いかけに、ノエルは小袋の中身を簡単に確認しながら答えた。
■ ノエル To:リーシェ |
ええ、まぁ・・・ 形ばかりのまとめ役ですけれど・・・できることは精一杯やって行くつもりです(^^) (まとめ役っての、いい表現だなぁ。リーダーってなんとなく肩肘張った感じで緊張していたのよね・・・) |
なにはともあれ、これで仕事は確保である。
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