ガリオ達学院の衛視は、眠っているカーランを縛り上げた。手荒に引き起こそうとするのを見てカヴァレスが注意する。
■バーレルン研究室 |
☆From:カヴァレス To:ガリオ |
おっと,衛視殿よぉ,ヤツを起こす前にいっておくぜぇ。 どうやらその隊長殿は死にてぇらしいぜぇ・・ クックック,こんなに良いガタイを持ちながらよぉ 精々良く調べて置かねぇと,この上カーランに死なれでもしたら恥の上塗りだぜぇ? |
それに従って衛視がカーランの身体検査を行うと、懐から「アイオケーン」が出てきた。隅々まで調べてからカーランを手荒に引き起こす。その勢いで、彼の目が覚めた。しばらく呆然としていたが、ようやく状況を理解したようで、床に膝を突いて俯いた。
■バーレルン研究室 |
☆From:カーラン To:独り言 |
私は… 失敗したのか? |
■バーレルン研究室前 |
☆From:シュウ To:カーラン |
失敗したっていうか‥‥『間違っちゃった』ね、カーランさん‥‥ お父さんの無念‥‥もっと別な形で表せば成功してたかも‥‥よ? |
カーランは一瞬顔を上げてシュウを見つめたが、すぐにガックリとうなだれてしまった。
最期の毒を取りあげられ、舌を噛もうとしたがそれも阻止された。
命を賭けた復讐に失敗し生き残ってしまったカーランは、涙ながらに訴える。
■バーレルン研究室 |
☆From:カーラン To:冒険者 |
頼む、死なせてくれ… |
アフルがとことことカーランのそばに寄って来た。奇麗事かもしれないけれど、これが偽らぬ本心。衛視やバーレルンに聞こえないぐらいの声で、こうささやく。
■バーレルン研究室 |
☆From:アフル To:カーラン |
生きていれば何かができる、と思いますよ。 まあ、これは俺の母さんの受け売りなんですけど。 (ボソッと)死んだらバーレルンさんの罪を暴く事もできませんよ。 (同じくボソッと)殺すのではなく、罰を与える、ということなら協力しますから… |
しばらく沈黙があった。
カーランは、いまだ俯いている。アフルが離れようとしたその時、小さな声でではあるが確かにこうつぶやいた。
■バーレルン研究室 |
☆From:カーラン To:アフル |
…ありがとう |
カヴァレスは、最後の謎を問い掛ける。
■バーレルン研究室 |
☆From:カヴァレス To:カーラン |
ククク,お目覚めかぁ?隊長殿よぉ。 ロドンってぇ野郎は何処に隠しやがったんだぁ? |
■バーレルン研究室 |
☆From:カーラン To:カヴァレス |
彼は、私の私宅にいる。 早く助け出してやってくれ。 |
■バーレルン研究室前 |
☆From:シュウ To:カーラン |
にゅ。教えてくれて、ありがとぉ(^^) |
それが、カーランの最後の言葉だった。後ろ手に縛られ、猿轡(自殺防止)を噛まされた状態で連行されていく。もう抵抗することはなかった。
ようやく平常心を取り戻したバーレルンは、カーランが連行されるのを見て、こう悪態をついた。
■バーレルン研究室外 |
☆From:バーレルン To:カーラン |
ふん。愚か者が… 早く愚かな父の元へと行くんだな。 |
聞きとがめたシュウがアフルに耳打ちする。
■バーレルン研究室前 |
☆From:シュウ To:アフル |
(バーレルンに聞こえないように) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥(--; ねぇね、りぃだぁ。あのおっちゃん、このままのへのへと暮らすのぉ? ‥‥‥なんか、カーランさんが可哀相だよぉ‥‥‥ なんとかして、あのおっちゃんの悪事をバラすコトってできないかなぁ‥‥(--# |
気持ちはみんな同じだろう。
バーレルンのところに、学院の衛視が駆け寄って来た。
■バーレルン研究室外 |
☆From:学院詰め衛視 To:バーレルン |
恐れ入ります、バーレルン師。 2、3事情をお伺いしたいのですが、お時間をいただけますでしょうか? |
バーレルンは、鷹揚にひとつ肯いて衛視の後について階段を下って行った。
ガリオはカヴァレスとその仲間に目で挨拶をして、その後について行く。去り行くガリオの背中に向かって、カヴァレスが釘を刺す。
■バーレルン研究室 |
☆From:カヴァレス To:ガリオ |
よぉ,もしこのままバーレルンの野郎が釈放になっても目を離すんじゃぁねぇぜぇ? なぁに,ちぃと気になる事が有ってなぁ。 悪いようにはしねぇ,クク,出世のチャンスが来ると思ってしっかり見張っておけやぁ。 |
■バーレルン研究室 |
☆From:ガリオ To:カヴァレス |
ああん? まぁ、他でもないカヴァレス先生の言うことだからな。 わかったぜ。十分気を付けることにしてやるよ。 |
■バーレルン研究室前 |
☆From:シュウ To:ガリオ |
(カヴァと話しているのを見て) あっあの、あたしカヴァと一緒に仕事した者なんですけど‥‥‥ カーランさん、すぐに殺さないで欲しいんだ。 っていうか、あの、んと、今回の事件は、ただの殺人事件じゃないってわかったから‥‥ どうして衛視隊長であったカーランさんが、あんなコトしたのかってのを、 ちゃんと調べてあげて欲しいんだ。 こんなコト頼める義理じゃないかもしれないけど‥‥でも、んと、あの、 カヴァの知り合いサンなんだよね? あたし、貴方以外に頼めるヒト知らないんだ‥‥お願いだよぉ(TT) |
たどたどしいが、一生懸命に説明しようとするシュウ。
「貴方以外に」と言われてガリオは照れくさそうに鼻の頭を掻く。
■バーレルン研究室前 |
☆From:ガリオ To:シュウ |
そう言われると、なんだかくすぐってぇなぁ。 なんだかよくわかんねーけど、わかったぜ。 ちゃんと調べるよ。 カヴァレスといいあんたといい、他人のことに一生懸命な 奴ってのは好きだぜ。 |
シュウは、ロドンを探しにカーランの私宅捜索隊に加わり、カーラン邸へ向かった。
他のメンバーはバーレルンの戻りを待つ。
だが、バーレルンはそのまま帰ってこなかった。
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