大展開

(最終更新日: 1998/10/19)


昨夜遅くに宿に帰り着いた冒険者は、情報交換もそこそこに眠りについた。カヴァレスは魔法を使った分を回復しなければならない。慌ただしかった一日目もとうとう終わっていく。

そして翌朝…

冒険者は銀の網亭でさわやかな朝を迎えた。眠い目をこすっておやじの用意した朝食でもとり、さぁ、今日も元気に調査に出かけよう。

今日の目的地は、とりあえず 3 箇所。
シュウが盗賊ギルドに探りを入れに行く間、アフル、カヴァレス、セリス、ジョン、ユリはロマ宝石店を訪問する。そしてその後、いよいよ本命のバルス=ホーカニッツの家を訪ねることにした。それ以外にも、夕べの無くなった剣も気になるし、詰め所へも寄ってみよう。


盗賊ギルド

シュウがギルドへ行くと、まだ朝も早いというのになんとミスティ姉さんがいる。彼女はシュウを見つけてにやりとした。

■盗賊ギルド
☆From:ミスティ  To:シュウ
おや。いやに鼻が利くね、シュウ。風邪は治ったのかい?
ロマ宝石店の店主が保護を求めて来ててね。例の件に関係しているらしいよ。 あたしも朝っぱらから呼び出されたって訳さ。
今、奥の部屋にいるけど、必要なら会うかい?

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ミスティ
 姉さんおはよう!
 (と話を聞いて、ちょっとびっくり)
 風邪‥‥は、治ったよ(^^;。っていうか、ひいてられないしねっ(てへへっと笑う)
 で、朝からこっちにゃお客サマがいらっしゃってるのか‥‥ こいつは会って話がしてみたいね。
 ミスティ姉さん、ちょいとロマ宝石店の店主さんに会わせてもらえるかにゃ?

と言いながら、催促される前に情報料を 100 ガメル差し出す。

■盗賊ギルド
☆From:ミスティ  To:シュウ
おや。言われる前に出すなんて、気が利くねぇシュウ。
奴は奥の部屋にいる。人払いしてあげるから、何でも好きなことをお聞き。 誰にも邪魔はさせないからねぇ。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ミスティ
 ミスティ姉さん、恩に切るよ(^^)
 んじゃ、行ってくるねぇ〜☆

奥の部屋では、ふてくされた顔の 50 歳台の男がソファーにどっかり座っていた。彼 1人だけで、他には誰も居ない。シュウは元気に話し掛けた。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ店主
 みゃ!おっちゃん‥‥どうしたの?顔色が悪いよ??
 ギルドに保護を求めてきたって言うけど‥‥誰かに狙われているのかい?
 何やらアヤシゲな商売をしてるみたいだけど‥‥‥ねぇね、 すぱって言ってもらえるとさ、守れるモノをさらに守りやすくなるんだ(^^)
 ‥‥
 おっちゃん、例の事件に関係してるんでしょう?
 知ってるコト、教えてもらえる‥‥よね?
 (後半は珍しくまぢめな顔になって聞いている‥‥)

■盗賊ギルド
☆From:ロマ宝石店店主  To:シュウ
狙われてるもなにも、もう 2 人目が殺されたっていうじゃないか。 いつこっちに刃が向けられるかと思うと、オチオチ店になんかいられんよ。
ここならまぁ、いきなりバッサリ…って訳にゃいかんだろうからな。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ店主
 ‥‥ふぅーーん‥‥‥。
 おっちゃん、おっちゃん。 あたしがなぁーんにも知らないでおっちゃんに話しかけているとでも思ってるのかなぁ?
 教えてくれないのなら、それはそれでいいんだけどね。
 ただ、誰かさんの部屋から出てきたモノ‥‥粉‥‥‥(^^)
 おっちゃん。何があってこんなコトになっちゃったのか、教えてくれるよね(^^)(にっこり)

店主はニヤリと笑ってシュウに顔を近づけた。

■盗賊ギルド
☆From:ロマ宝石店店主  To:シュウ
そいつは失礼したな、兄弟。まぁ座んな。
お前さんも知っての通り、俺の商売は宝石商だよ。 そのかたわら、ちょっと他の奴に部屋を貸したりはしてるがね。 そこで奴等が取り引きしてたのが、その「粉」だ。 今じゃその筋じゃかなり有名な仲買人として知れてるが、 奴等も昔はかなり無茶なこともやってたさ。 その逆恨みかなんかで狙われるってこともあるだろうよ。
そうそう、一度なんか密偵に来た騎士を魔法でぶち殺したって言って気勢を上げてたな…
部屋貸してるだけっつったって、俺もまったく何にも知らないわけじゃない。 巻き込まれちゃかなわんと、ここに逃げてきたって訳さね。

どうやら、仲間ではないようだが全く関係無いというわけでもないらしい。巻き込まれて迷惑至極、という顔をしている。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ宝石店店主
 (にぃっと笑って)
 わかってくれて、うれしいよおっちゃん(^-^)。

 その‥‥粉の取引してる連中が「例の三人」なのかな?
 それで、一人が殺されている‥‥か。残りの二人も危なさそうだね(^^;
 そうそう、その逆恨みのことで‥‥「密偵に来た騎士」ってどんなヒト?
 もしかしたら、そのヒトの関係者が恨みを晴らす行動をしてる‥‥って考えられるよね。
 ねぇね、その殺されちゃった騎士の名前教えてもらえるかなぁ?
 おっちゃんもさ、ハンニンが捕まれば「命の危険」にゃさらされないでしょう? 教えてもらえると、すっごく助かるんだけどなぁ〜〜〜‥‥‥
 (じぃーーーっと店主を見ています)

■盗賊ギルド
☆From:ロマ宝石店店主  To:シュウ
騎士の名前ね。確か、レオン=レンテルリンクと言ったな。
しかし、あれはかれこれ 20 年も前の事だぞ。 20 年前の事件の関係者っていうと…

一体誰だろう?

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ宝石店店主
 そっかー。騎士の名前は「レオン=レンテルリンク」っていうの‥‥
 ‥‥れんてるりんくぅ?
 ‥‥‥
 た‥‥たしか‥‥‥ 衛視隊長のカーランさんもレンテルリンクって名前についていなかったかなぁ‥‥  ‥‥‥‥‥
 おっちゃん、いや、兄弟♪強力な情報ありがとぉ(^-^)

シュウは慌てて走り出しそうになったが、もう一点確認するべきことがあったのを思い出してかろうじて踏みとどまる。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ店主
 そうそう。ちょいと聞きたいコトがあるんだ。
 おっちゃんの店にさぁ、コモンルーン持ちこまれたりしなかった?
 ちょいと珍しいコモンルーンだから‥‥おっちゃんの店に行ってないかなぁーって 思うんだけど‥‥
 コモンルーンについて、何か知ってたら教えてよ。

■盗賊ギルド
☆From:ロマ宝石店店主  To:シュウ
コモンルーン?知らんねぇ。
残念だがそういうのはうちじゃ扱ってないな。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ宝石店店主
 にゅぅ?そっか‥‥おっちゃんのトコにはコモンルーンはながれていないんだね‥‥
 ありがとぉ(^^)。でも、ホントだよね?(にっこりと笑いながら言います)

■盗賊ギルド
☆From:ロマ宝石店店主  To:シュウ
そんな事で嘘ついてどうするんだ。
魔法の品物のひとつでも流れてくりゃあ、大儲けだろうがなぁ…

店主は笑いながら答えた。どうやら本当のことらしい。シュウもけらけら笑う。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ロマ宝石店店主
 それもそーだね(けらけら)
 きっとおっちゃんなら、コモンルーンもきっと上手く売りさばくんだろーね(^^)

 とっても参考になったよ!んじゃね☆
 (とそそくさと‥‥でも急いで部屋から出ます)

部屋から出たあとは廊下を走り出す。

■盗賊ギルド
☆From:シュウ  To:ミスティ
 (走り去りながら)
 姉さんっ!ちょっとこの事件はヤバいヒトがハンニンだって目星ついちゃったよ(^^;
 コレ以上犠牲者出したくないから、あたし行くね!
 情報さんきゅっ!!
 (返事も聞かずに駆け抜けます)

シュウはギルドから出ると、仲間と合流するべく一目散に合流地点へと向かった。


ロマ宝石店

さすがに朝日はどの地にも平等なようで、怪しげなロマ宝石店の周囲にも明るい朝日が射している。眩しい朝日の中では、夜の闇には洒落てみえた金文字の看板も、いかにも安っぽく見える。

時刻は 9:00 頃。せっかく普通の店ならそろそろ開店準備をする頃を見計らって来たのに、この通りには人の気配がない。夜の街はようやく寝静まった後のようだ。

しかし、ロマ宝石店には人の気配があった。扉が半開きになっていて、中では 1 人の男が大慌てで荷物をまとめている。店主かな〜?と思い、アフルが声をかけた。

■ロマ宝石店
☆From:アフル  To:店主?
すいません、ここの人ですか?
少し聞きたい事があるんですけど。

■ロマ宝石店
☆From:店員  To:誰?
わっ、スイマセン、スイマセン。俺何にも知らないっスよ!
ど、ど、どうか、命だけはお助けを〜

まとめていた荷物をほっぽりだして、店の隅っこで小さくなっている。なんだか激しく誤解して命乞いしてるようす。彼は20台後半のひょろっとした男で、隅っこで小さくなりながらも目は抜け目なく逃げ道を探しているような奴だ。隙をついて一目散に逃げ出した!

めんどくさいので逃げるものは追わず。
アフルは残された荷物を調べることにした。念の為カヴァレスに魔力探知をしてもらうが、魔力は感じられなかった。 いくつかの安物の宝石、衣類、シーフ用ツール、食糧など。あの男は店のものを持ち出して高飛びする予定だったらしい。
興味を引かれるようなものは見つからなかった。

一行はロマ宝石店を後にした。


バルス宅

シュウと合流を果たし、全員でひいらぎ通りにあるバルスの家に向かう。シュウから盗賊ギルドで得られた情報が公開された。真犯人はバルスではないのだろうか?
時刻は 10:00 位になっただろうか。日が高くなってきた。

ひいらぎ通りのバルス宅の周辺は、5、6人の衛視がうろうろしていた。近所の見物人で人だかりができている。ここでも何か事件が起きたようだ。

うろうろしている衛視の中に、昨夜剣を見に行った時に会ったツイエンがいた。カーランの姿もある。ツイエンが冒険者を見つけて、人垣の外からバルス宅内部に入れてくれた。

■バルス宅
☆From:ツイエン衛視  To:シュウ
… 一足遅かったぜ。やられたよ。バルスが殺された。

2 人目の犠牲者が出た !?

室内に入るとバルスの遺体がまだそこにある。無残にも、心臓のあたりに剣が突き立てられている。ジャックの時もこんな感じだったのだろうか。

アフルは気を取り直して遺体を調べた。
遺体には剣の刺し傷の他に傷はまったくない。しかし、剣で刺し殺されたにしては出血が異常に少ない事に気がついた。事件が起きた時刻は、昨夜遅くから今朝方にかけてのようにみえる。

■バルス宅
☆From:アフル  To:ツイエン衛視
この剣って昨日詰め所から盗まれてた剣ですか?

■バルス宅
☆From:ツイエン  To:アフル
そうだ。これが無くなった剣だ。
一体どうしてこんな所にありやがるんだ…? なぁ、あんたどう思う?

■バルス宅
☆From:アフル  To:ツイエン
なんか、この剣の傷って出血が少ないですよね。
生きてる間に刺されたんだったらもっと血が出てるはずだし、死んでから刺されたんじゃないかなぁ。

■バルス宅
☆From:ツイエン  To:アフル
なるほどな、確かにそのとおりだ。
なかなかやるな、お前(ニヤリ)。

他の衛視が、調べの済んだ遺体から剣を抜き取った。証拠物件として、また倉庫で保管しなおすつもりなのだろう。

遺体のそばのテーブルの上には水差しに入った水と倒れたコップ、足元にはこぼれて染みになった水の跡。水の跡は少なくとも 3、4 時間前にこぼれたもののようだ。

アフルは考えた。このような死をもたらすものは毒や魔法だろうか?しかし、残念ながら具体的にどんな毒や魔法が使われたかについては心当たりがなかった。

■バルス宅
☆From:アフル  To:ALL(衛視含む(笑))
この剣の傷の他には傷らしい傷もないし、魔法か毒かなんかで殺されたみたいなんだけど、こんな魔法か毒に心当たりないかな?

シュウは首を横に振った。
カヴァレスには心当たりがあった。
無職透明で無味無臭、抵抗に失敗すれば一瞬で死にいたる恐ろしい毒がある。名前は「アイオケーン」。

ここで冒険者たちには事件の全容を見ることができた。
バルスは毒殺された後に剣を突き立てられた。ジャックも同じ剣を突き立てられて殺された。動機は、おそらく…。そして、犯人は…

アフルは周囲を見回した。だが、何処にもカーランの姿を見つけることはできなかった。先程バルスから抜き取られた剣も見えない。衛視に確認すると、「隊長に渡した」とのこと。

■バルス宅
☆From:アフル  To:ALL
麻薬の取引をしてた3人のうちの2人が殺されてるんだから、残りのバーレルンさんも 危ないんじゃないかなぁ?
一応警告には行っておいた方が良いんじゃない?

衛視には気づかれないように、わざとのんびりとアフルは全員を促した。シュウも事件の概要に気づいたのか、駆け出していきたいようなそぶりをみせる。冒険者はバルスの家を出た。家を出たところで、我慢していたシュウが悲鳴をあげる。

■バルス宅前
☆From:シュウ  To:アフル&ALL
 っていうか、これって絶対20年前の復讐だよぉ!
 依頼主のバーレルンさんもきっと関与してるから‥‥バーレルンさんが危ないぃ!
 みんなぁ!はやく学院に行こうよ!!(と走り出します)

走り出してしまったシュウを追って、全員学院まで走る。走りながら、アフルが全員に事情を説明する。

■路上
☆From:アフル  To:ALL
ジャックさんとバルスさんを殺したのはカーランさんだと思うよ。
あの人なら剣も持ち出す事も簡単だし、20年前に殺された衛視の知り合いだったって考えれば動機も有るし。
それにその剣を持っていなくなってるんだから、残りの一人のバーレルンさんも殺そうとしてるんじゃないかな。
だから、早く行かないとバーレルンさんが危ないと思うよ。

前方からシュウが応える。

■路上
☆From:シュウ  To:アフル&ALL
 うん、あたしもそう思う。
 ギルドで聞いた話だけど、 20年前に殺された衛視ってきっとカーランさんのお父さんだと思うし‥‥
 カーランさんがハンニンだって、衛視達は気が付いていないよね? だとしたら、カーランさんはごく普通に学院に出入りできる人物だから危ないよぉ!
 ねぇね、早くいこう!!

シュウはさらにスピードを上げた。
冒険者は惨劇の起きる前に間に合うようにと祈る気持ちで、学院へ向かって昼前の街を疾走した。



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