ひとさらいの森

探索

前のページへ 次のページへ

このページでは新しい投稿が下に表示されます。

 清々しい空気と賑やかな鳥の声と共に、朝早く一行はオズワルド達に見送られ森へと出発した。
 シリルの案内で祠に通じる道へ行く為に北西の口から出て森へ向かう。
 森は朝の空気の中でさえも重苦しい雰囲気を醸し出し、一行が入り込むのを拒むように下草も繁っている。

■村(村長の家)
☆From:シリル To:一行
ここが祠への道の入口です。
誰も通らなくなってすっかり道が隠れてしまったようですが。

 シリルは下草を先頭に立って、打ち払った。確かに土が若干他の部分より固めで所々に石が埋めてある。

■村(村長の家)
☆From:シリル To:一行
道といっても大した道じゃないんですよ。
それでは行きましょう。

 一歩森の中に入ると、眩しいくらいだった光が遮られて薄暗く、ひんやりとした空気が一行を包み込んだ。

■村
☆From:ミュン
”久しぶりの感覚だなあ。森を出て少ししか時間がたってないのに、ずいぶんと時間がたったように感じられるのはなぜだろうか。”

 話に聞かされていた程、陰湿な雰囲気では無い。

■村
☆From:ポム 
久しぶりの森はやっぱ嬉しいや♪

 ポムはご機嫌で地面を眺めた。

■森
☆From:ルタード
<ミュンどの、心なしかいつもより生き生きしているようにみえるのう。 やはり森の中では、気持ちがほっとするのかな。
ポムどのも、いつもにまして元気のようじゃし。>

 一行は離れ離れにならないように固まって慎重に道を進んで行く。
 ポムはそれとなくコボルドやダークエルフを警戒しつつ、子供やその他の足跡を捜ながら進み、 時折耳を澄まして歩いている。最近何者かがこのあたりを通った事はわかったが、それ以上の情報は得られなかった。

■村
☆From:ポム To:みんな
足跡薄いけど、最近通った奴がいるぞ
誰か判んないから気を付けろ〜

 アイシャは、なんとなく昨晩のルタードとオズワルドの会話を思い出しながら歩いていた。
 ご機嫌なポムに笑いかけた後、ルタードを振り返った。

■森
☆From:アイシャ To:ルタード
・・・・ねぇ、ルタードさん。コボルドってろくでもないの? キケンな生き物なの?

■森
☆From:ルタード To:アイシャ
いや、奴らは基本的に臆病じゃからの、普通は恐れるような相手ではないんじゃ。
ただ、一匹一匹ではなにも出来んくせに、徒党を組んで弱い者をおそったりする、卑劣きわまりない性質での。
まあ、ろくでもないといえば、これほどろくでもない妖魔もおらぬかな。
それに連中は、銀を腐らせるともいわれておるので、 特にわしらドワーフにとっては不倶戴天の敵といえるじゃろうのう。

■森
☆From:アイシャ To:ルタード
銀を腐らせるってほんと?なんだか怖いな。
みんなで弱い者いじめなんてひどい事するのね。 そんな事しちゃダメだってお母さんは教えてくれなかったのかしら。

ほんとにそうならコットンくんが心配ね。早く探し出さなくちゃ・・・。
(アイシャは心の中でそっと、マーファ様にコットンの無事を祈った 。)

 太陽が少しずつあがってきて、森の中にも光が差し込むようになってきた。
 上を見上げると木漏れ日がキラキラと宝石のように瞬き、下草の影には羊歯や苔が朝露を湛えてぷるぷると震えている。

■森
☆From:ルタード
んー、別にどうということもなさそうな雰囲気じゃのう。
凶悪な妖魔どもが跳梁しているという感じではなさそうじゃが……。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
やぁ、おはよう(^^)/
ちぃと聞きたいんだけど
最近なんかここら辺りを通ったか?

 羊歯はぷるるんっと震えて答えた。

■森
☆From:羊歯 To:ポム
うん、通った。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
そいつは、大きい人?森の人?あたしみたいな小さい奴?
いっぱい通ったか?

 羊歯は浅い黄緑の葉をゆらんと揺らす。

■森
☆From:羊歯 To:ポム
大きい?森の人?わからない。今、おまえ達、通ってる。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
あたし達の他は通ったか?

■森
☆From:羊歯 To:ポム
通るよ〜たくさん。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
そいつからやな感じはしなかったか?

■森
☆From:羊歯 To:ポム
いやな感じ?どんな?からからに乾くこと?虫が喰うこと?なにがいや?

 ゆらゆら揺れてすっかり露は落ちてしまったようだ。
 アイシャがポムを不思議そうに見ている。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
どっちの方に行ったんだ?

■森
☆From:羊歯 To:ポム
おまえ達行く、行く方向に行く。
どっちってなに?

■森
☆From:ポム To:羊歯達
あたし達の他の奴も、あたし達と同じ方に行ったのか?

■森
☆From:羊歯達 To:ポム
いったよ。あっち、そっち。光のいるほう。

■森
☆From:ポム To:羊歯達
光?何だそれ???

 ポムは首をかしげた。

■森
☆From:アイシャ To:ポム
ポム〜、何をしてるの?

 アイシャに声を掛けられ、ポムが振り向いた。

■森
☆From:ポム To:アイシャ
うに?

■森
☆From:ポム To:羊歯達
ありがとう(^^)/

 ポムは彼らに挨拶して仲間のところへ戻ると、今し方、羊歯と話したことをみんなに話した。

■森
☆From:アイシャ To:ポム
羊歯とお話しできるなんてすごいのね(^^) 素敵〜♪

 照れながらにんまり笑った。

■森
☆From:ポム To:みんな
光って昨日の夕飯の時に聞いたやつかな?

 と言いつつ昨日の夕飯が頭を過ぎった(笑)

■森
☆From:アイシャ To:ポム
そうかもしれないね。
(と言いながら首をかしげて光の事を考えている。)
うんとね〜、お日様の事だったりして〜。

先に進んでみればわかるかも。ねっ、行こう〜(^^)

 朝に比べると空気が軽くなり気温も上がり始めているようだ。
 一行は先頭に案内のシリルを守るようにシェルナとポムの二人が歩き、続いてミュンとアイシャ、次にクロスとルタードという組み合わせで 2列縦隊で慎重に進んでいる。
 シリルは記憶を辿りつつ道を進む。

■森
☆From:シリル 
えっと、ここでこっちのはず・・・。

 森へ入ってからおおむね北東の方向へ向かっているようだ。
 木が密集しているせいで相変わらず薄暗い。
 ポムが少し進んでは足跡と周りの物音に注意を払っている。
 さっきまでみつかっていた足跡がこの辺で見当たらなくなったので、ポムは不思議そうに辺りを見回した。怪しい物音は特に聞こえない。

■森
☆From:ポム To:シェルナ&みんな
足跡が無くなってるぞ! 何でだろう?

 足跡は一行が進む道から外れて行っていることがわかった。

■森
☆From:ポム To:みんな
うにに〜おっかしいな〜足跡が…
あっ!(^^;
(気付くとシリルに追い越されて行かれてしまいそうになっている)
えっと…

 ポムは後ですぐ見付かるようにと1ガメル銀貨を道から外れている足跡の上に落とし 慌ててシェルナの横に戻った。

 ふと、ミュンは誰かの視線を感じたような気がして立ち止まった。

■森
☆From:ルタード To:ミュン
ミュンどの、どうかしたのかの?

■森
☆From:ミュン To:ルタード&ALL
・・・ちょっと誰かに見られているような感じがしたものですから・・・

 しかしあたりを見廻してみても、誰もいる様子はない。

■森
☆From:ルタード To:ミュン
そうか? わしにはなにも感じ取れぬが……。

■森
☆From:アイシャ
なんだろう?
(キョロキョロと辺りを見まわしたが特に何も見つけられなかった。)

■森
☆From:ルタード To:シリル
シリルどの、祠まではあとどれくらいになりますかのう?

 ルタードが前方のシリルに問い掛ける。

■森
☆From:シリル To:ルタード
道が進みにくくておもったより時間がかかりそうですね。
午後か、夕方までには着くと思うんですが・・・

■森
☆From:ポム 
風か?

ちょっと怪しんでいる。

 先程、妙な気配を感じたミュンが再びなにか違和感を感じて立ち止まった。
 今度は視線ではなく、なにか森に異様な雰囲気を感じる。
 前方の木の枝の上に数体のモンスターを発見した。

■森
☆From:ミュン To:ALL
待って!そこに何かいる!

■森
☆From:ルタード To:ミュン
なんじゃと!?

 道の上には太い枝が数本伸びていたのだが、その一本に
 ぶよぶよした固まりがいくつか張り付いている。

■森
☆From:シェルナ 
何あれっ!?あんなの文献で見たことないっ!

■森
☆From:アイシャ 
なんだろう・・・・生き物なのかな?

■森
☆From:ポム To:アイシャ
わかんないけど、なんかイヤな奴だな〜
木もイヤがってるぞぜったい!

■森
☆From:ミュン To:ALL
あれは、ハンガーレッグの繭。大型動物の頭に寄生して、宿主を操る嫌な相手です!

■森
☆From:ルタード To:ポム
大型動物というと、わしやポムどのは平気かも知れんの(笑)。

■森
☆From:ポム To:ルタード
うに、あたし達は大きくないからな(にやりん)
でもあれが大きい人や森の人の頭に乗ってるのは、なんかイヤだぞ(^^;
それが襲ってきたらもっとイヤだぞ(^^;;
(恐い想像になったらしい(笑)で、弓を構えられるようにしながら後じさります<隊列入れ替え用意)

■森
☆From:ミュン To:ポム
彼らにとっては、我々全てが十分大型生物の部類にはいりますよ。

■森
☆From:ポム To:ミュン
あたし達も…か?
(引き攣った笑みを浮かべながら更に後じさる)
シリルさん!もっと下がった方がいいと思うぞ

■森
☆From:アイシャ To:ミュン
えぇっ、操られちゃうの?そんなのイヤ〜。 見つからないように通れないかな〜?

 クロスは山ガタナに加えてスモールシールドを構え直して前へ出る。

■森
☆From:クロス To:みんな
いえ、そんな危ないものなら、放ってはおけませんよ。
だって、こんなに村の近くに住み着いていたら、いつ村の人や、子供が犠牲になるかも知れ無いじゃないですか。
幸い僕とミュンとポムが弓を持っていますし、ハンガーレック…ですか? あれはそんなに素早く動けそうにはみえませ んから少し離れたところから狙い撃ちにすればやっつけることが出来そうに思えるんですけど、どうでしょう?

 足音等から動物の存在を察知したか、肉玉の一つが動いた。
 ずぶずぶと裂け目が走ったかと思うと、ぎょろりとした目玉が露わになる。

 ほかの肉玉が目覚めるのも、時間の問題に思える。

■森
☆From:ルタード To:クロス
しかし、クロスどの、ミュンどのの話ではあれは動物なんじゃろ?
普通動物というものは、むやみに襲いかかったりはしないものじゃ。
このままやり過ごすことはできんものかな?

■森
☆From:ミュン To:ルタード&ALL
いえ、ハンガー・レッグの生態上、あの枝の下を通る又は彼らに見つかると必ず襲ってきます。 あれを大きく迂回すれば大丈夫ですが、この森の密度だと迷う可能性があります。ここは、彼らには可哀相ですが、撃退して前に進みましょう。

■森
☆From:ルタード To:みんな
うむ、回り道している余裕もわしらにはあまりなさそうじゃし、いたしかたないかの。

■森
☆From:ポム To:クロス&ミュン&ルタード
わかった!(真剣な顔で頷く)
もう少し離れていても弓は届くから
そっとここから道を戻ろう

 その時、足音等から動物の存在を察知したか、肉玉の一つが動いた。
 ずぶずぶと裂け目が走ったかと思うと、ぎょろりとした目玉が露わになる。

 どうやら気づかれてしまったらしい。一呼吸おいて、4つの肉玉が弾けた!


 戦闘開始時点での彼我の距離は22m。ハンガー・レッグにとって、あまり得意な距離とは言えない。
 それをわかっているハンガーズはパーティの足元にまとわりつくことに全力を挙げることにした(全力移動)。

戦闘第1ラウンド

 ミュンは闇の精霊召喚の呪文を唱えている。(行動ディレイ)

 ハンガー・レッグが接近するより早く、ポム(敏捷度19)の弓がハンガー・レッグを撃ち抜いた。
 体の中心部をあやまたず捉えた矢は、一撃でハンガー・レッグAを絶命させる。(ダメージ:2回クリティカルで15点(!))

 だがハンガー・レッグ(敏捷度18)も、繭を破った以上宿主を見つけないと生存はおぼつかない。  同族が射倒されるにも構わず、果敢な突進によって前衛を守るシェルナ、ルタードに接近した。
 シェルナに2体、ルタードに1体が襲いかかる。

■森
☆From:ポム To:シェルナ&ルタード
シェルナ!ルタード!!

 シェルナ(敏捷度17)は目の前に迫ったハンガー・レッグにハルバードを振るう。
 ハンガー・レッグBは身を捻ってかわそうとしたが、加速のついた身では取りうる回避行動にも限界があり、足を数本打ち落とされてしまった。(ダメージ:5点)

 アイシャ(敏捷度14)はシリルをかばうように周囲を警戒している(防御専念)。

 クロス(敏捷度12)は敵の突進が早いと見て弓をダガーに持ち替えて前進し、ハンガー・レッグCに斬りつける。
 突進してきたハンガーCはこれにまともに突っ込む形となり、深手を負った。(ダメージ:1回クリティカルで7点)

 ルタード(敏捷度11)の斧も、的確に相手を捉えていた。重量感あふれる一撃がハンガー・レッグDの柔らかい体を打つ。(ダメージ:6点)

 ミュンは結局召喚呪文を中断した。

戦闘第2ラウンド

 ことここにいたり、ハンガー・レッグはこの動物に寄生することの不可能を悟り、慌てて向きを変え逃走する。
 冒険者側も、深追いして道を見失っては元も子もないと見逃すことにした。
 アイシャはハンガーズの為に祈りを捧げた。


 戦闘が終わってもミュンは相変わらず何者かの気配を感じている。

■森
☆From:ミュン
・・・・・

■森
☆From:ルタード To:ミュン
ミュンどの、まだ何か気になることでも?

 ハンガーレッグと遭遇したところを後にして、一行は道を急ぐことにした。
 太陽はすっかり頭上に近い位置まであがってきている。
 昼になっても森の中はあいかわらず、薄暗い。
 木に絡んだ蔓草が視界を遮るように茂り、見通しはかなり悪い。

 あいかわらずミュンは何者かの気配を感じている。
 特に殺気は感じられないが、一向を少し離れたところから見つめている。
 あたりをつけて探りを入れるが、それらしきものはみつけられない。

■森
☆From:ルタード To:ミュン
ミュンどの、まだ何か気になることでも?

 ルタードもあたりの気配に神経を配るが、特に怪しい様子は感じとれない。
 気配は感じられないが、ミュンと一緒に周囲を探ってみる。しかしなにもみつからない。
 探索のついでに罠がしかけられていないかどうか調べてみたが、特に罠らしきものもみあたらなかった。

■森
☆From:ルタード
別に何もないようじゃがなあ……。

■森
☆From:ポム To:ミュン&ルタード
二人とも何かあるのか?

 ポムも二人につられて念入りにまず足元を探るが、足跡らしきものはみつからない。
 聞き耳を立ててみると、かさっ、と木の葉が揺れる音がした。
 気配を察知しようと全身の感覚を研ぎ澄ますが、怪しい気配は感じない。
 音のした方を重点的に探すが、何もみつからない。

■森
☆From:ポム To:ミュン&ルタード
(首をちょっと傾げた後の服の裾をつんつんと引っ張り ミュンとルタードに小声で囁く) 近くで葉が揺れる音が聞こえたけど…
何かいるのかな?

■森
☆From:ルタード To:ポム&みんな
なんじゃと?
となると、やはりこのあたりにまだ何かおるのかのう?
ミュンどのも、どうも何者かの気配を感じているらしいんじゃ。
(しばし考えたのち、シリルとパーティの仲間のみに聞こえるような小声で)
とりあえず、先に進もう。気配だけでは、わしらにはいかんともしがたいからの。
わしらの近くに敵が潜んでいるかも知れんということを心に留めておくだけでも、いざというときの備えになるじゃろうて。

 目を閉じてミュンは気配のする方を重点的に、この辺一帯の精霊力を探った。
 広げた感覚に触れる力を丁寧に識別する。
 生命力にあふれた森の中には、植物の精霊達がひしめき合い、ところどころに大地、風の精霊の力が感じられる。

 ミュンは気配の方向に冷静に声を掛けた。

■森
☆From:ミュン To:何者かの気配
そろそろ出てきたらどうです。

 沢山の精霊の中にひっそりと精神の精霊の力が働いているのをミュンは見逃さなかった。

■森
☆From:ミュン To:何者かの気配
長い間、スプライトの力をかりてるのは疲れるでしょう。

 アイシャは慌てて辺りを見た。  すると近くの草むらがカサッと揺れたような気がした。
 腰に手をあて草むらの方をビシッと指差して言い放った。

■森
☆From:アイシャ To:何者かの気配
そこにいるのはわかってるのよ〜。

 しばし息の詰まるような時間が流れた。

■森
☆From:何者か To:ミュン
さすが森に生きる者だけあるな。
ずっと私に気が付いていたようだが…

 アイシャの指した方向と反対の方から男性の声で返事が返ってきて慌ててそちらの方に身体を向けた。

■森
☆From:アイシャ 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(顔があかい)

 姿はまだ現わしていないが、声がした事でいる方向ははっきりした。

■森
☆From:何者か To:ミュン
おっと、待ってくれ。私はおまえ達と戦うつもりは無い。
できれば話をしたいのだ。

■森
☆From:何者か To:ミュン
・・・とりあえずは話を聞きましょう。それからどうするかは話を聞いてから決めます。

 ルタードが油断なく戦斧を構え直す。

■森
☆From:ルタード To:何者か
話といってものう、相手の姿が見えんままでは、気味が悪くて仕方がないんじゃが。
わしらとて、無用な争いは避けたい。手負いのハンガーレッグを見逃したのを見ておれば、分かることと思うがの。
都合が悪くなければ、わしらの目の前にお主の姿を見せて欲しいんじゃが。

■森
☆From:ポム To:何者か
あたしも話の前に姿を見せてほしいな
声だけの相手と話し合いなんて、なんかイヤだぞ

 ポムがミュンと同じ方向を見て眉を顰めている。
 男はためらうようにしばし沈黙した。

■森
☆From:何者か
・・・おまえ達は子供を捜しに来たのか?
もしそうなら頼みがあるのだ。
私が身をさらしたら、私の姿に囚われず私の話すことを信じてくれるか?

■森
☆From:クロス To:誰にともなく
…姿? なにか恐ろしい姿をしてるのかな…

 ぼそっとつぶやくクロス。

■森
☆From:ミュン To:何者か
・・・もし姿を見せることによって、我々に対し間違った情報を与えかねないというなら、その状態のままでもかまわない・・・
話を聞かせてもらえますか、我々は人間の子供を捜しに来たものです。

■森
☆From:ポム To:ミュン&何者か
あたしは姿で決めたくない
(ミュンをじっと見た後、何者かがいるらしい場所に視線を戻す)
もし、信用してくれるならあたしは姿を見せて欲しい
そうしたら姿で話が本当かなんて、あたしは決めたりしない

■森
☆From:ルタード To:何者か
わしも、できれば姿を見せて欲しいの。
わしは、見た目にはとらわれんつもりじゃ。人や物事を見た目だけで判断するのは、 どす黒いからといって、貴重なミスリル銀の鉱石の価値を理解しようとしないのと 同じようなこと、愚かなことじゃからの。

■森
☆From:クロス To:みんな。そして何者か
少なくとも話の通じない相手じゃなさそうですし。
…姿を見せてくれた方が、僕たちとしても安心できます。

■森
☆From:アイシャ To:何者か
コットンくんを知ってるのねっ?
あなたの姿に囚われずにちゃんとお話聞くって約束するわ。
だから出てきてくれる?

 小さく息を吐く気配の後、木の枝が揺れ、一人の細身の男が目の前に降りてき た。
 漆黒の髪に縁取られた繊細な顔立ちをした男だ。細く切れた瞳が黒く輝き髪を押し分けて長い耳が伸びている。 身長はミュンと同じくらいだろう。
 手はだらんと下げられ、武器を持っている様子はない。

■森
☆From:アイシャ
(わぁ〜、ミュンと同じお耳だわ〜。)

 違うのはその闇のような肌の色だけだ。

■森
☆From:クロス To:誰にともなく
だ…ダークエルフ……?

 びっくりして思わず身構えるが、かろうじて武器に手はやらない。

■森
☆From:ミュン
・・・・・・

 その姿を見て、ミュンが憎々しげな表情を浮かべた。

■森
☆From:何者か To:一行
子供は無事だ。すぐ先にいる。

 シリルが身を乗り出す。

■森
☆From:シリル  To:男
ほっ、本当ですかっ!

■森
☆From:アイシャ To:何物か
無事なのね。良かった〜

 アイシャの顔色がパーッと明るくなった。

■森
☆From:何者か To:一行
そこには子供をさらった女も一緒にいる。
できれば女を傷つけずに子供を取り返して欲しいんだ。
おまえ達は力がある。女ひとりでは到底太刀打ちできないだろう。
できるだけ説得して取り返してくれないか。
俺の言うことは聞いてくれないが、そこにいる父親が説得すれば、もしかしたら素直に言うことを聞くかもしれない。
もちろん、いきなりこんなことを言われても面食らうのはわかっているんだが、こうするより他に思い付かなかったのだ

 アイシャは、相手がダークエルフだった事を特には気にしていない様だ。

■森
☆From:アイシャ To:何物か
ん〜、もっとよくわかるように教えて欲しいの。
女の人はなぜコットンくんをさらったの?

そうだ、わたしはアイシャっていうのよ。 良かったらあなたの名前も教えて〜(にこっ)

■森
☆From:ポム To:何者か
あたしはポムだ♪

■森
☆From:クロス To:何者か
クロスです。

■森
☆From:男 To:アイシャ
私の名前はクラウスだ。
アガサは…子供を攫った女だが、子供の頃に知り合って恋をした人間をずっと探していたんだ。
村にあった互いの姿を映し出す鏡を盗み出し子供に与えたのが発覚して村を飛び出し、以来30年以上ずっと探していた。 目指す相手をとうとう見つけたと女は思い込んでいる。 人間の子供が昔のまま子供の訳があるはずないのに。
そうであって欲しいという気持ちで現実を否定しているんだろう

 ルタードは、姿を現したのが妖魔のダークエルフだということで、さすがに動揺を禁じ得ないものの、 「姿にとらわれず話を聞く」といった手前もあり、さしあたり強硬な姿勢をとるつもりはないようだ。

■森
☆From:ルタード To:クラウス
……なるほど、話は分かった。
で、わしらとしては、一刻も早く安全にコットン坊やの許へたどり着きたいと思う。
そこでじゃが、お主にそこまでの道案内をお願いしたい。 いわば仇敵同士のわしらが協力するというのは、まさに前代未聞のことじゃろうがな。

■森
☆From:ミュン

 ミュンが驚いてルタードの方を振り返った。
 男はルタードの言葉を聞いて、少し肩の力を抜いた。

■森
☆From:男 To:ルタード
助かる。俺としてもこんな事は初めての事だ。

 クロスは少しの間考えていたが、突然思いついたように顔を上げた。

■森
☆From:クロス To:シリル
互いの姿を映し出す鏡………あっ!
それなんですよ、コットンくんがもって出た鏡は!
アガサさんもダークエルフなのでしょう? ほら、鏡に映ったって言う女性の特徴!

■森
☆From:シリル To:クロス
なるほど。
あの鏡にそんな由来があったなんて知りませんでした。

 ポムは特にクラウスの姿に動揺した様子もなく、普段と変わらない調子で彼に話し掛けた。

■森
☆From:ポム To:クラウス
傷つけずにかぁ難しいなぁ…
怪我をさせないってのは出来るかも知れないけどな
アガサを最後に助けるのはあたし達じゃない
コットンを助けるのはあたし達だけどな(にやりん)
お互いいい結果になるといいなぁ

■森
☆From:男 To:ポム
怪我をさせないが、傷つけるかもしれない?
難しい事をいうグラスランナーだ。まるで詩人のようだな。

 怪訝そうな顔でポムの顔を見る。

■森
☆From:ルタード To:クラウス
そうか? 別段難しいことではなかろう。
アガサやらいう女の身体には怪我をさせないようにできるかも知れんが、 その心に傷を負わせるのは避けがたいということじゃろうて。
全くもっともなことじゃよ。

 クラウスはなるほど、という顔をして頷いた。

■森
☆From:ポム To:クラウス
あたし達は冒険者で、コットンを見付けて家族に届けるのが仕事だ
クラウスの頼みより大事な事だし、利害が一致する所があるから協力も出来る♪
それがこの森にいるあたし達の理由だな
で、クラウスはなんでここにいるんだ?
なんでアガザに怪我をして欲しくないんだ?

■森
☆From:男 To:ポム
俺は、あいつを村へ連れ戻すためにここにいる。
村を抜け出すのは重罪だ。
せめて焦がれる相手に一目逢いたいという、あいつの夢を叶えて やってからでも良いだろうと思っていたら、こともあろうに あいつは攫ってきてしまった。
そんな事をすればお前たちのような者達がくるのはわかっていたのに。 あのままお前たちと戦えば、殺されてしまっただろう。
馬鹿な女だが一応、村の仲間だ。連れ戻すという俺の使命もあるしな。

■森
☆From:ルタード
使命のう……。

■森
☆From:男 To:ポム
…本当に馬鹿な女だ。
前しかみない、後ろの事なんてまったく見ない。
人がどんな気持ちで追いかけているかなんてわかってないんだろう。

 男は小さくため息をついた。

■森
☆From:アイシャ To:クラウス
どんな気持ちなの?(不思議そうに首をかしげている。)

■森
☆From:ポム To:クラウス
詩人?
あたしにとってクラウスの方が判らないぞ
傷つけたくない、殺したくないそう言ってるのに
罪人だ、村に連れ戻すと言っているなんて変だ!
村に連れ戻す?それがここにいる理由か?
あたし達と協力し合うのは?あんたのその気持ちは?
ほんとはどうしたいんだクラウス?

■森
☆From:男 To:ポム
・・・・。 俺の気持ち?

 クラウスがポムの言葉を反芻する。

■森
☆From:ポム To:クラウス
ほんとの気持ちがアガサを助けるんだ
だからあたし達はコットンを助ける事しか出来ないんだ
まちがったらダメだぞ♪

 複雑な表情でポムを見る。なにか言おうとしたが、そのまま口をつぐんで前を向いて歩き出した。

 クラウスとの会話の間、ミュンは一言も中に加わろうとはしなかった。

 一行はクラウスに案内されるままに、道をゆく。
 少し道が傾斜して低い土地を歩いているようだ。
 突然、クラウスが薮の前で立ち止まった。

■森
☆From:男 To:一同
この先に子供がいる。

 クラウスが目の前の薮をざっとかき分けると、暗い森に慣れた目にまぶしい光が飛び込んできた。
 目の前にはぽっかりと開けた空間があり、奥に洞窟の入り口らしきものがみえる。
 暖かい広場に子供とフードを被った女が遊んでいるのが見えた。

■森
☆From:シリル
あっ!コットン!

 思わずシリルが声をあげる。子供が顔をあげて、こちらを見た。
 父親が目に入って、微笑んで駆け寄ろうとするのを後ろから女が引き止めた。

■森
☆From:アガサ To:一同
あなたがたはなんです?

 隣に立つクラウスが目に入り、美しい眉根を寄せた。

■森
☆From:アガサ To:クラウス
どういうつもり? あなた、私を売ったの?

■森
☆From:ルタード To:アガサ
待てぃ、早合点をするな。
わしらはそなたに何の危害を加えるつもりもない。もちろん、この男がそなたをわしらに売ったなどということも全くない。
わしらはただ、この親御さんの許にその子を返してもらうために参ったのじゃ。

■森
☆From:ポム To:アガサ
あたし達はお話に来たんだ(^^)
その子供のお母さんが心配している お姉さん達だって、お祖父さんだって心配している
すっごく、すごく心配しているんだ
お父さんのシリルさんは、危険な森の道案内を進んでするくらい
心配していたんだ

 シリルが一歩前に進み出た。

■森
☆From:シリル To:アガサ
お願いです。その子を返してください。
その子は、コットンはあなたが探している子供ではないのです。

■森
☆From:ポム To:アガサ
コットンにはお父さん、お母さんが必要だよ
シリルさんを見るコットンの顔を見れば解るだろ?
嬉しそうじゃないか?

 コットンは引き止める手を振り解こうとしたが、アガサはぎゅっと子供を抱き寄せて頭をなでた。

■森
☆From:アガサ To:ポム
この人は親はいないっていってたわ。
あなた達は嘘を言っているのよ。
彼は私を迎えにくるって言ってたの。でも私は村を出てしまったから私が彼を探していたの。
鏡にずっと映らなかった時期はなにかあったのじゃないかって心配で胸がつぶれそうだったわ。

 瞳を閉じて寄せる頬に、一筋の涙がつたう。
 コットンは泣くアガサの頭をなでて、困ったように父親の顔を見た。

■森
☆From:クラウス To:アガサ
アガサ、よく聞くんだ。
その子供はお前が好きだった男とは違う。 30年もの間、いつまでも子供の姿でいるわけがないんだ。

■森
☆From:シリル To:アガサ
私も、20年程前にあなたの姿を鏡の中でみました。
20年前の子供が今の私です。あなたが探していた人は少なくとも私より年上の筈です。

■森
☆From:クラウス To:アガサ
もう気はすんだろう。一緒に村へ戻るんだ。

■森
☆From:アガサ To:クラウス
いやよ!だって、やっと見つけたの。 村なんて帰らない。ここで暮すわ。
あんな村、戻ってもいいことなんてひとつもない。もともとあの村に居場所なんてなかった。
待っている人もいない。鼻つまみ者だった私を必要とする者なんて誰もいないわ。

 頭を一振りしてフードを肩に落した。豊かな銀髪が流れ出て長い耳が姿を現わした。 しかしよくみるとその耳はクラウス程エルフの特徴を示してはいない。

■森
☆From:アガサ To:クラウス
帰って私は死んだと報告して頂戴。
腕の一本でもくれてやれば、納得するのかしら?

■森
☆From:アイシャ To:アガサ
そんな事しちゃダメー!

■森
☆From:ポム To:アガサ
コットンが困った顔をしてるよアガサ

 アガサがキッとポムを睨んでコットンを強く抱きしめる。

■森
☆From:コットン To:アガサ
おねぇちゃん、痛いよ。

■森
☆From:ポム To:アガサ
アガサはここに残って幸せになれるのか?

■森
☆From:アガサ To:ポム
幸せよ。
やっとみつけたの。私の…

 涙で言葉が詰まってしまう。
 アガサの涙につられてアイシャが泣きそうな表情で言う。

■森
☆From:アイシャ To:アガサ
アイシャには、そうは見えないわ。
ちっとも幸せそうじゃないもんっ。だって・・・泣いてるじゃない。

■森
☆From:シェルナ
(同じく、涙を堪えながら)
・・・ 同じね・・・ この前と。
永い時間、希望を待ち続けている、ひと・・・

■森
☆From:コットン To:アガサ
ねぇ、おねぇちゃん、泣かないで。
ほら、いい子だから

 コットンは母がよく自分にしてくれるように頭をなでて額にキスした。

■森
☆From:コットン To:シリル
お父さん達、おねぇちゃんをいじめないで。

■森
☆From:ルタード To:アガサ
まあ、落ち着くのじゃ。
そなたには、すべての事情が分かっているはずじゃ。 そのコットンが、そなたが想いを寄せ続けている人間とは別人だということも、 この森で暮らし続けることなど到底許されないということも。
村ではつらい目にあったのじゃろう。そなたの種族に限らず、 異質なものが疎まれるというのは、残念なことじゃが世の習いのようじゃからな。
じゃが、だからといって、未来への希望から目を背け、 過去の切ない思い出のみにしがみついて、これからずっと過ごすというのか?
そなたの後ろ向きの幸せのために、コットンをはじめとする多くの人々に、 耐えがたい苦しみと悲しみを与えてもかまわないと思うのか?

■森
☆From:クラウス To:アガサ
俺はお前を連れて帰りたい。それが俺の役目だからだ。
お前がどうしても村へ帰りたくないなら、これ以上無理強いするのはやめよう。

■森
☆From:ルタード To:アガサ
この男の気持ちに思いをいたしてみなされ。
そなたを探し出して村に連れ戻すのは「使命」だと、この男はわしらに語った。 じゃが、使命だけのために、何十年も捜索の旅を続けることが可能じゃろうか?
そなたはさきほど、自分を待っている人も、必要とする人もいないと言った。本当にそうじゃろうか?

 アガサの腕の力が弱まった。

■森
☆From:コットン To:アガサ
おねぇちゃん、ごめんね、僕もう帰らなくちゃ。お母さんが心配しちゃう。
遊んでくれてありがとう。ね?

 コットンはそっとアガサの手を外して、シリルの方へ歩き出した。
 シリルが駆け寄ってコットンを抱き上げた。
 クロスも、ふっと緊張を解いた。

■森
☆From:クラウス To:一行
これで約束は果たした。
あいつを傷つけないでくれてありがとう。
はやく子供を村へ連れて帰るといい。すぐに夜になる。夜になれば もっと沢山の危険が待ち構えているだろう。

 アガサは声もなく、泣き崩れた。
 アイシャは彼女の側に近寄って、そっと涙を拭きながら言った。

■森
☆From:アイシャ To:アガサ
泣かないで・・・。あなたは1人ぼっちじゃないわ。
コットンくんだって、あんなにあなたの事好いてるじゃない。
アイシャもあなたの事が好きよ。
ここにいるみんなは誰もあなたの事を嫌ってなんかないわ。

 クラウスはアガサの足元に落ちている鏡を拾い上げた。

■森
☆From:クラウス To:シリル
これはもうあいつが持っていてもしかたのないものだ。
村へ帰るつもりがないのなら、村に持ち帰る必要もない。
礼といってはなんだが、受け取ってくれ。

■森
☆From:シリル To:クラウス
あ、はい…。

■森
☆From:クラウス To:アガサ
好きにするがいい。一人で生きるのは辛い。もし気が向いたら村に戻ってこい。
誰が待っていなくても…俺は待っているから。

■森
☆From:アガサ To:クラウス
クラウス…

■森
☆From:ポム To:クラウス
…クラウス、間違ってるかもしんないけど
このまま帰って大丈夫なのか?

■森
☆From:クラウス  To:ポム
無能のそしりは受けるだろうが、 失敗したからと言って殺されるようなことはない。

■森
☆From:ポム To:アガサ&クラウス
それとアガサが村に帰っても大丈夫なのか?
アガサを連れていないのに、どんな理由を考えているかはわかんないけど
何年かしてクラウスが村を出る方が、いいような気がするんだけどなぁ

■森
☆From:クロス To:クラウス
(頷くクロス。ポムもだけれど、自分の属している組織は裏切りに対してとてもきびしいから)
あなたもこのままどこか落ち着けるところで身を隠したほうが、安全じゃありませんか?

■森
☆From:クラウス  To:ポム
・・・もしかして、俺達を心配してくれているのか?

 クラウスが驚いたような顔でポムを見つめた。

■森
☆From:ポム To:クラウス
……そんなに変か?心配したら?
あたしは外見で判断しないと約束したろ?(にやりん)
あたしがあたしであるように、あんた達はあんた達だ
クラウスって言う名前のここにいる奴をあたしは嫌いじゃない
だから心配もするよ♪
アガサの心配もな(^^)

■森
☆From:クロス To:クラウス・それから仲間たち
そうですね。はじめは驚きもしましたし、正直疑いもしました。

(ポムは最初から疑いもしなかったみたいだけどね(^^; …と、多少は後ろ暗い世界も見てきたらしいクロ スは、ポムのことを少しうらやましく思ったりして)

でもあなたがアガサさんを気遣う気持ちは本物みたいだ。
あなた方を妖魔と呼んで僕たち人間や光の妖精族は嫌ってきたけれど、僕はあなた方のことは嫌いじゃない。
アイシャが言うように、たぶんここにいるみんなね。

 ミュンは黙って会話を聞きながら、あたりの気配に気を配った。
 クラウスとアガサを監視するものがいないかを考えての事だ。
 先程と同じように丹念に働いている精霊力もチェックする。
 しかし、特にミュンのアンテナにひっかかってくるものはなかった。

 クラウスは少し黙っていたが、ふっと息を抜いて遠くを見詰めた。

■森
☆From:クラウス  To:ポム
・・・アガサを村に連れ戻すのが俺の使命だと言ったのは、嘘だ。

俺の村はそんな理由で人を一人出すほど、大きくないし、そもそも村から 離れて一人で生きる事そのものが罰に値すると考えられているからだ。
事実、村を離れて長生きした奴はいない。
寂しさに負けて里に出て、人に追われ殺されるのが関の山だ。
俺は自分の意志でアガサを追ってきた。鏡は俺のおやじの物だったし自分でそれなりに理由もつけてきたが、 本当は俺はあいつに死んで欲しくなかっただけなのかもしれない。

 アガサが顔を上げた。

■森
☆From:アガサ  To:クラウス
ひどいわ。

 立ち上がってクラウスに詰め寄る。

■森
☆From:アガサ  To:クラウス
なんで今頃になってそんな事言うの?
私はずっと寂しかった。村でも村を離れても。

 どん、とクラウスの胸を叩く。

■森
☆From:アガサ  To:クラウス
私を支えていたのは、鏡とあの人の思い出だったわ。
でも今気がついたの。あなたがいなくなる時になって気がついてしまったの。
私はあなたがいたから村を出てから生きてこれたのね。
今、あなたがいなくなったら私は本当に寂しくて死んでしまう。

 そっとクラウスがアガサの手を取った。

■森
☆From:クラウス  To:アガサ
アガサ。村へ帰ろう。
俺からよく頼んでみるから。俺が必ず守るから。
それでも駄目ならお前と二人どこかでひっそり暮らそう。

 アガサの睫から一滴、涙が零れ落ちた。

■森
☆From:シェルナ 
「知」を司るラーダ神よ、「妖魔」と忌避される彼らにも かかる一面のあることをお教え頂き感謝いたします・・・

■森
☆From:コットン  To:クラウス
黒いお兄ちゃん、おねぇちゃんをいじめちゃだめっ!

 コットンの抗議にシリルが苦笑する。

■森
☆From:シリル  To:コットン
コットン、あれはいじめてるんじゃないんだよ。
おまえがもっと大きくなったらわかる日がくるだろうけどね。

 そして微笑ましく二人が抱き合う様子を見つめた。

前のページへ 次のページへ


シナリオ9トップへ戻る
シナリオリストへ戻る
メインページへ戻る

製作管理責任者:MA/basile@uhwl.com
このページに関する、ご意見、ご要望は、上記にまでメールをください。