盗賊ギルド連絡所にて

(1998/04/05 更新)
キルティング実家にて 集結


クロスとマーズの2人はクロスの記憶を便りに盗賊ギルドへと情報を得に向かった。

クロスは、比較的すんなりと公園から近いギルドの連絡所を見つけることができた。 ここは裏通りに面したある酒場の入口。入り口の横には男が1人立っていて、鋭い目で出入りする人間をチェックしている。

■入り口前
☆From:マーズ  To:クロス
じゃあ、ギルドでの情報収集はお任せしますね。
僕は入るわけにはいきませんから。

■入り口前
☆From:クロス  To:マーズ
入り口前にただ立ってるのも変ですよ。一応普通に酒場の営業もしてますから、中へ入って座って待ってて下さい。……でも、なにか起こっても、なるべく知らんぷりで穏便にしてて下さいね。

■入り口前
☆From:マーズ  To:クロス
う〜ん、それもそうですねぇ。 じゃあ、ちょっとお邪魔してみましょうかね。

クロスは入り口の見張りに向き直って、交渉を始めた。

■入り口前
☆From:クロス  To:入り口の男
今夜のパーティーの席はまだ空いてますか? あ、一人連れが居るんですけど。

(意訳:メンバーですけど、入って良いですか? こっちの人はギルドメンバーじゃない仲間ですから、酒場で待っててもらいますけど)

■入り口前
☆From:入り口の男  To:クロス
ああ、開いてるぜ。連れがいるならテーブル席はどうだい?
冷たいデザートがいいならあんたがマスターにそう言ってくれ。

(意訳:かまわんぜ。待ってる奴はテーブルを使ってくれ。
用件はマスターに言うといい。)

見張りは、クロスに中へ入るように促し、マスターへ目配せをした。

■店の前から中
☆From:クロス  To:男
ありがとう。そうしますよ。

(マーズに「任せといて下さい」って感じに軽く笑いかけて、先だって店内へ足を踏み入れる。ウェイターにマーズの案内を任せて、自分は少なくとも外見上は気楽に見える足取りでカウンターの方へ歩み寄った。ギルド会員ではあるが駆け出しのクロスには、どうもまだ気疲れする場所だったりするのだ。油断のならない同業者の集まる場所というのは)

マスター、デザートは冷たいのでお願いしたいんですけど。

(意訳:今日は情報が欲しくて来たんですけど)

マスターはコップを磨きながら気軽にクロスに返事を返した。
カウンターにたむろしている他の男達がクロスを見てひそひそと話をしている。どうやらここは、ギルドの連絡所としてだけでなく、酒場としてこのあたりに住む男達の溜まり場にもなっているようだ。

■店の前から中
☆From:マスター  To:クロス
よく来たな。いつもの通り美味いのがあるぜ。

(小さい声で) 右側の二番目の扉を入んな。中にいる奴に用事を話すといい。
緊張せんでいいぜ。ギルドは裏切らんさ、お前が俺達を裏切らなければな

冗談めかしてそう言うと、隠し扉を操作してギルドへの階段を開けた。
狭い通路を通って目指す扉を開けると、部屋の中のカウンターには一人の男が座っていた。小柄で目つきのぎょろりとした男で、隙のない雰囲気でダガーをもてあそんでいる。クロスが入ってくると愛想よく笑って迎えた。

■奥の部屋
☆From:情報屋  To:クロス
よう兄弟。どんな情報が欲しいんだ?


一方、酒場に残ったマーズの方は...

カウンターの横に座っていた男達の中から1人が立ち上がった。どうやらウェイターのようだがあまり人相がよくない。にやにやしながらマーズをテーブル席に案内して注文を聞いた。

■酒場
☆From:ウェイター  To:マーズ
あんちゃん、注文はなんだい?

■店内
☆From:マーズ  To:ウェイター
え・・・えっと、じゃあチョコレートパフェを下さぁい。

■店内
☆From:ウェイター  To:マーズ
チョコ...? (プッ)
わかった。チョコレートパフェだな、だ・ん・な
(去ってゆく肩が震えている)

カウンターに戻って注文内容をマスターに伝えたとたん、その周囲にいた男達の間でどっと笑いが起こった。マーズの方をちらちら見ながら笑っている。酒場でパフェを注文したのがよほど面白かったらしい。
しばらくしてしずしずと酒場特製「チョコレートパフェ」が運ばれてきた。

■店内
☆From:ウェイター  To:マーズ
ほいよ、だ・ん・な。(にやにや)
お待ちかねのチョコレートパフェでございます。

でん、とマーズの目の前に大き目のエールグラスが置かれた。見た目はカンペキなチョコレートパフェだが、キョーレツなリキュールがたっぷりかかって、さらに生クリームにチョコレートソースもたっぷり。
食べる前から、強いアルコールのにおいが感じられた。

■酒場
☆From:マーズ  To:無し(半ば独り言)
う〜ん、なんだかお酒臭いですねぇ・・・・。
しかも、結構強そうですし、気持ち悪くなるかも知れないですねぇ・・・。
(しばし葛藤後、パフェの誘惑に敗北)
ま、いっか。パフェはパフェですし、食べちゃいましょう!

さすがの「食欲魔人」マーズもこのパフェを食べた後の事が気になった。酒は時として毒にもなる。 (毒としての知名度判定:(目標値5) 2D が 11 で余裕でクリア!)
しかし、パフェの誘惑には勝てなかったようだ。

■酒場
☆From:マーズ  To:パフェ(笑)
モグモグモグモグ・・・・おや?
これはなかなか・・・・モグモグモグモグ
うんうん、予想外の美味ですねぇ・・・・モグモグモグモグ

(毒に対する生命力抵抗:(目標値 10) 2Dは 9 で達成値13。抵抗に成功!) 胃の弱いものなら見ただけで胸焼けしそうなこのパフェを、まったく支障無く食べきってしまった。
カウンターでにやにやと成り行きを眺めていた男達は、唖然とするばかり。どうやら彼らは、マーズが食べきるかどうかで賭けをしてたらしく、結果は一番隅にいた男のひとり勝ちのようだ。

■酒場
☆From:マーズ  To:唖然としている男達
ん?どうしたんですか?
・・・あ!クリームかなんか付いてます?
すいませぇん!オシボリくださぁい!

先ほど賭けにひとり勝ちした若い男が上機嫌でおしぼりを持ってきた。 男はすでにちょっと飲んでるのも手伝って、ずいぶん機嫌がいいようだ。

■酒場
☆From:若い男  To:マーズ
ほらよ、おしぼりだぜ。
どうだいニイさん、俺に一杯奢らしちゃくれないか?
何を飲む?エールでいいのか?遠慮しないでいいんだぜ?

あんたの度胸と、俺の幸運に乾杯しようぜ、神官さんよ!

■酒場
☆From:マーズ  To:男
やぁ、ご機嫌ですねぇ。
しかも、お酒を奢ってくれるなんて、ありがとうございま〜す。
(グラスを手にして)
・・・では、カンパ〜〜イ!
(でも、僕の度胸ってどういうことなんでしょうねぇ・・・?パフェ食べただけなのに)

■酒場
☆From:男  To:マーズ
ひょ〜、いいのみっぷりだねぇ。
気にすんなよ、あんたのおかげでちと儲けさせてもらったのさ!幸運を一人占めしたらチャ・ザのバチが当たるってもんだぜ。

ところでよう、あんたそんな服着てるとこを見ると司祭なんだろ?こ〜んな所に来ていいのかい?あんたの神様は盗人と付き合うなんてけしからん!とか言ったりしないのかい?

冗談めかしてこう話し掛けてきた。むこうも暇つぶしの相手を探していたようだ。

■酒場
☆From:マーズ  To:男
いやぁ、大丈夫ですよぉ。
僕は職業で人を判断したりしませんからねぇ。
ところで、シャレゼールさんっていう家で、何かわかることはないですかぁ?

■酒場
☆From:男  To:マーズ
そーか、あんた良い奴だなぁ。 俺達を汚いモノでも見るような目で見る奴もいるんだぜ。 まったくよぅ(ぶつぶつ)。

ん?シャレゼールだって?(ヒック)知らないなぁ

男は一応ギルド員ではあるが下っ端らしく、「シャレゼール」という名前には心当たりがないようだ。
さて、その頃奥の部屋ではクロスが欲しい情報について聞き込みを開始していた。それを聞いた情報屋は、まずこう言って話を切り出した。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
オーケイ、情報料として全部で 100 ガメルもらおうか。

クロスの質問の要点は、次の4点にまとめられる。

まずひとつ目。
1:シャレゼール家についての、現在の家族構成、勢力などの一通りの情報。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
家族構成は第10代目当主と息子2人だな。夫人は既に亡くなっている。
伯爵位を持つ由緒ある貴族だが、現当主は老いて病がちなため一線から退いている。2人いる息子らが腹違いで仲が悪いもんで、問題が絶えないんだ。最近もちょっとキナ臭いことになってるらしいな。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
ははぁ、なるほど

そしてふたつ目。
2:シャレゼール家の内部情報をリークしてもらえるルート。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
心当たりはある。紹介してやってもいいが、高くつくぜ

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
今はまだいいですけど、いくらくらいになりますか? ひょっとしたら後でお願いするかも知れません

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
さぁなぁ。情報料ってのは売る奴の言い値さね。情報を流す奴がいくらだ、って言えばそれが値段になる。
まぁ、俺だったらコレ以下にはしないね

と言って、指を2本出した。2000 ガメル、と言いたいようだ。今のクロスにはかなり高額だ。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
うう……そ、そうですか(冷汗) 改めて検討してみます〜。

さらにみっつ目。
3:自分たちがシャレゼール家を利する立場で誰かに雇われて仕事をするとして、誰か他に自分たちと敵対しそうな仕事をしてるシーフが「いるかどうか」
  (名前まで教えてくれるならそれに越したことはないですけど)

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
敵対するかどうかは、そっちの仕事方針によるだろうなぁ。
シャレゼール家がらみで仕事をしてるやつがいるかどうか、という質問なら答えてもいいだろう。YES だ。キナ臭い所には金が集まるからな。もちろん、名前は教えられない。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
……
(? 『シャレゼール家を利する立場で』って言ってるのに…そっか、家庭内の内輪もめなのか……敵はシャレゼール家の中にいるんだ)

あの、さっきシャレゼール伯には息子が二人いるって話をうかがいましたけど、どっちが跡を継ぐことになってるんです?

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
順当に行けば、長男のエヴァンスが継ぐだろう。由緒ある家ってのは大概保守的なもんさね。
(少し考えてからこう付け加える)
まぁ、それを好まない奴もいるって事だな。弟のオルダスについた奴等だ。オヤジのエルクスはよぼよぼで兄弟の争いには力を発揮できないらしい。若いモンには勝てんって所だな

最後によっつ目。
4:(まあ、だめでもともと)シャレゼール家まわりでなんか美味しいネタはないか。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
あるぜ。ちょっとした金もうけだ。
ある娘を探し出してギルドに引き渡したら 1000 ガメルになるっつー話よ。あんたも一口乗るかい?

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
(う〜ん、『ギルドに引き渡せば』ってとこがミソか…。ギルドが間に入って、依頼者のプライバシーを保護している、ってことだから……依頼者の名前は、とすれば聞き出すのは難しそう……)

どうやらこの「ある娘」は、ギルド内で公開捜査の形になっているようだ。この捜査に「乗る」と言えば名前と風貌が公開されるしくみで、早い者勝ちで賞金が引き渡される。クロスはとりあえず情報を得ておくことにした。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
おう、これがその娘の似顔絵よ。持っていきな。
名前はアンナだそうだ。生かして連れてこいよ。それが条件だ。ま、多少怪我させてもいいってな感じだったがな

クロスの予想通り、この「娘」とは自分たちが探しているアンナのことだった。
あらかた聞きたいことは聞き出せた。クロスはここで情報収集を打ち切ることにした。アンナの似顔絵は、直接彼女に会ったときに役に立つだろう。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:クロス  To:情報屋
(さて、そろそろ帰らないと)
それでは今日はこれくらいで失礼しますー。また宜しくお願いします。

クロスはこう言って部屋を出て行った。来た通路を通って、マーズのとこへ帰ろう。後ろから情報屋の声が追いかけてきた。

■シーフギルド情報カウンター
☆From:情報屋  To:クロス
ああ。しっかり稼げよ、兄弟


狭い通路を通って酒場へ戻ると、マーズは見知らぬ男とエールを前ににこやかに談笑していた。クロスはマーズに声をかけた。

■酒場
☆From:クロス  To:マーズ
さあ、そろそろ引き上げましょうよ。待ち合わせの時間には少し時間には余裕がありますけど、僕たちの仕事の方は、ちょっと余裕のないことになりそうですから。

■酒場
☆From:マーズ  To:クロス
おや、どうしたんですかぁ?

■酒場
☆From:クロス  To:マーズ
それはみちすがらにでも…

と言ってとりあえず外へ出ようと促した。
話し相手の男はいいかげん酔っ払っていたようだが、マーズはきちんと挨拶するのを忘れなかった。

■酒場
☆From:マーズ  To:男
じゃあ、僕はそろそろ行きますねぇ。
どうもご馳走様でしたぁ。

■酒場
☆From:男  To:マーズ
おう、役に立てなくてすまねぇなぁ。(ヒック)
またどこかで会ったら酒でものもうぜぇ〜


ラーベナルトの家へ向かおうとして、クロスはふと考えた。ひょっとしたら自分たちに盗賊ギルドの尾行が付くことも考えられる。さっきの話がどっかへ漏れれば、自分たちがシャレゼール家にちょっかいかけるネタを何かしら持ってることが分かるはずだ...。

■酒場を出てすぐの道
☆From:クロス  To:マーズ
あの、ちょっと寄り道しながら行きましょうか。ちょっと僕たちも気を付けながら動かなきゃならないようですから。

■酒場を出てすぐの道
☆From:マーズ  To:クロス
そうですねぇ。では、寄り道しましょうか。

マーズは、素直にクロスの提案に同意した。

それは知らない人間から見れば奇妙な行動だった。2人は尾行に対する警戒行動のため、交差点を同じ方へ3度曲がる、急に引き返して見る、広いところを横切るなどしつつラーベナルト自宅の方向へ出発した。

途中である通りに出た時、2人はそこが思いのほか「銀の網亭」に近いことを見出した。

■道すがら
☆From:クロス  To:マーズ
そうだ、せっかく早めに用が済みましたし、これから銀の網亭へ行ってみませんか?シーアンやセリスと合流できるかも知れませんよ。

■道すがら
☆From:マーズ  To:クロス
そうですねぇ。
ここからなら結構近いですし、一旦戻りましょうか。

クロスは思った。
敵対勢力、しかもアンナを捕まえようとしている同業者がいることが明白になった今、ラーベナルト家の周囲にもすでに誰かの手が回っていてもおかしくはない。みんなと合流する前から、周囲によく気をつけていなくてはならない。それが自分の役目だろう。


キルティング実家にて 集結

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