キルティング実家にて

(1998/04/05 更新)
ルーブルにて 盗賊ギルド連絡所にて


セリスとシーアンは川を渡ってキルティング実家前へと到着した。依頼主からもらった地図があったので迷うことはなかった。

キルティングの実家はそこそこの中の上の家庭という感じの屋敷で、窓辺には花の鉢などが飾ってある。中の様子は伺えないが、人が生活しているような気配がある。家人は在宅のようだ。

■キルティング実家前
☆From:シーアン  To:セリス
 花なんか飾って、そこそこ裕福そうな家だよな。
さて、2人で正面から行ってもいいよな?
また裏口張り込みはゴメンだぜ。たいくつで死んじまうわな。

シーアンはちょっとすがるような目をした。

■キルティング実家前
☆From:セリス  To:シーアン
ふふふ、実はまた裏口をお願いしますね・・・

■キルティング実家前
☆From:シーアン  To:セリス
おいおい、マジかよ?

シーアンはとたんにげんなりした顔になった。表情がコロコロ変わるのでとても面白い。セリスもそう思ったのか...

■キルティング実家前
☆From:セリス  To:シーアン
(シーアンの表情を見て)
嘘です。もちろん一緒に来て下さいね。
(と、ころころ笑う)

■キルティング実家前
☆From:シーアン  To:セリス
あ、ああ。もちろん一緒に行くぜ(^^;
(もてあそんでないか(汗)?)

女は魔物、というではないか、シーアンよ。

相談も済んだところで、2人はあらためて目の前の扉に向き直った。セリスが扉に向かって声をかける。

■キルティング実家前
☆From:セリス  To:シーアン
すみません、マーファに仕えているセリス・キャラウェイと申します。
お聞きしたい事があるのですが開けて頂けないでしょうか?

シーアンはセリスの真後ろに立って、183cm の上背からセリスのつむじを眺めていた。セリスは 154cm で小柄なため、真上から覗ける格好になる。正面から見るとセリスの上にもうひとつ頭があるように見えるだろう。
セリスの呼びかけに答えて、キルティング家の扉が開いて家政婦が顔を覗かせた。中年の世話好きそうな女性だ。横はセリスの2倍位ありそうだ。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:セリス&シーアン
おやおや、かわいらしい神官様だこと。(にこにこ)
当家になんの御用ですか?

■キルティング実家前
☆From:セリス  To:おばさん
私、ローンドファル様の紹介を受けて参りました。
こちらが紹介状です。ご主人様にお取り次ぎ下さい。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:セリス&シーアン
あらまぁ、そうですか。
取り次ぎますので、こちらで少々お待ち下さい

家政婦はそう言って2人を応接室に入れて一旦奥に入った。
2人が応接室で待っていると、じきにこの家の女主人が入ってきた。おっとりした優しそうな婦人だ。探しているキルティングの母親である。少し眉根を寄せて、心配そうな顔をしている。

■キルティング家
☆From:奥様  To:セリス&シーアン
わたくし、キルティングの家内でございます。
あいにく主人は出かけておりますので、御用はわたくしが承りますわ。

ローンドファル様のご紹介ということは...。あの、たくの息子に何かありましたんでしょうか?

■キルティング家
☆From:シーアン
(たくの息子ぉ?
あー、駄目駄目、俺こーゆーの苦手)

声にこそ出さなかったが、シーアンはこう思ってふと目の前の婦人から目をそらした。この時に、壁に肖像画が掛かってるのに気がついた。男性の肖像画でこの家の主人の姿を写したもののようだ。厳格で実直そうな人柄がにじみ出ている。
シーアンは、「ふーん」と思って眺めた。

先程の家政婦が紅茶とお茶菓子を持って来て、給仕して奥様の後ろに立った。話に参加するつもりらしい。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:セリス&シーアン
いえね、さっきも何か人相のよくない男が坊ちゃまを訪ねて来たんですよ。帰ってないかってしつっこく聞くもんですから奥様もご心配でねぇ...

シーアンの耳がぴくりと動いた。

■キルティング家
☆From:シーアン  To:セリス
おい、それって―――

そう言ってセリスと目を合わせる。

■キルティング家
☆From:奥様  To:セリス&シーアン
ほんとに...。こんな時に主人は仕事で留守にしておりますし。
今までこんなことなかったんですよ。一体何があったんですか?

■キルティング家
☆From:シーアン  To:奥様、セリス
いや、それは俺達が聞きたいことなんだけど(^^;
(困ったようにセリスを見る)
(セリスに小声で)なぁ、(俺らの事)どこまで話そうか?

そのつぶやきを、家政婦が耳ざとく聞きつけた。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン
ちょっとちょっと、何か知ってるなら教えてちょうだいよ。
坊ちゃまに何かあったんだね?

シーアンはうっかり余計なことを言ってしまったと、やべっと言う表情をした。隣のセリスと目が合って、「すまん」という風に目で謝った。

正面のソファの上で、キルティング夫人は心配のあまり気も失わんばかりにハンカチを揉みしだいている。それを見てシーアンは口をつぐんだ。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン
坊ちゃまは、そりゃーもう奥様御自慢の出来た息子さんですよ。
なんたってあのシャレゼール家に騎士見習いとして勤めることになってからずーっと上の方の覚えもめでたくて、あたしもちっちゃい頃からお世話した身として鼻が高いってもんです。
あんな人相の悪い男が坊ちゃまを訪ねてくることなんて、絶対なかったんですよ?心配にもなるってもんでしょう。

■キルティング家
☆From:シーアン  To:セリス
出来た息子さんだからと言って、問題を起こさないということもないよな・・・。
出来すぎてて妬まれたり、正義感が邪魔に思われたり、恋なんかしちゃうと回りも見えないぐらい一直線で駆け落ちなんかしちゃったり・・・。

シーアンはまるで独り言を言うようにつぶやいたが、後半はいつのまにかセリスに向かってしゃべっていたらしい。
小声とはいえ、応接間の小さなテーブルをはさんで向かいの2人に聞こえないはずはない。ここで奥様はとうとう心配のあまり貧血を起こしてソファに崩れ込んだ。

■キルティング家
☆From:奥様
ああ...(ふらっ)

■キルティング家
☆From:家政婦  To:奥様
あっ、奥様!お気を確かに!!
さ、ここはあたしに任せて、お部屋でお休みになってください。
(セリスとシーアンに)ちょっと待ってて下さいね

家政婦は奥様を部屋で休ませるために、一旦席を外した。
シーアンは信じられないものを見た、という顔をしてソファーの上で硬直している。

家政婦は少しして戻ってきて、奥様の座っていたソファにどっかりと座ると、2人に顔を近づけて話しはじめた。シーアンは、思わず顔を離したい衝動を必死にこらえた。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン&セリス
(シーアンに)あんたの言うとおりだよ。
あたしもちょっと坊ちゃんには気短なところがあるって思ってたんだ。それに坊ちゃまは恋もしてるよ。アンナっていう娘さんなんだけどね、孤児なんだけどいい娘なんだよ、これが。優しくって清純でねぇ。姿形もかわいらしいのさ。まったく坊ちゃんも隅に置けないわよねぇ(笑)。
あらやだ、笑ってる場合じゃないわね(それでも笑う)。

で、何の用なんだっけ?

■キルティング家
☆From:セリス  To:主人
いえ、用と言う用では無いのですが・・・
彼の仕事を手伝う様にローンドファル様から申しつかりましたので
彼を捜しているのです。
所が彼は外に出ているので連絡を取りたいと思い、お伺いしました。
もし彼が帰って来られましたら私ども、銀の網亭と言う宿屋におりますので
ご連絡頂けないでしょうか?

セリスが上手に切り出したので、シーアンはほっとしている。かえって奥様がいない方が話が早く進みそうだ。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン&セリス
(仕事を手伝うように...に対して) あらそう。でも変ね。
坊ちゃまがついてるのはローンドファル様じゃないのに。
騎士見習いだからね、騎士様について習うんだってよ、ほら、あの、剣の稽古とかマナーとか騎士道ってやつ?坊ちゃまは剣は昔からよくお出来になったのよ。小さい頃から騎士になるんだなんて言ってねぇ。それはよく出来たかわいい子だったのよ〜。それが今はすっかり立派になっちまって、あたしゃちょっと寂しい感じもするんだけどねぇ。いつの間にか恋人なんか作ってイッパシの男になっちゃってさぁ...。

おばちゃんの話は長く、そして果てがない...
きちんと知りたいことを聞き出すには、よほどの集中力が必要だ。
シーアンとしては、「いやぁ、野郎が可愛くてもちーっとも面白くねーんだけどよぉ」とツッコミたかったが、声にだしては

■キルティング家
☆From:シーアン  To:家政婦
はぁ・・・。

と言うのが精一杯だった。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン&セリス
えーっと、坊ちゃまのついてる騎士様は...なんて言ったっけな、あらやだ、どわすれしちゃったわ(笑)。
そうそう、シャレゼール家のオルダス様に仕えてる偉い騎士様よ。う〜ん、やっぱり名前は出てこないわ、ここまで出てるんだけど。

■キルティング家
☆From:シーアン  To:家政婦
おばちゃ・・・家政婦さーん、思い出してくれよぉ(^^;!

と言って片手でテーブルをドン!と叩いた。
お茶がちょっとこぼれたり・・・。慌ててふいたり・・・。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン
あらあら、大変。どーしましょ
(あんまり慌てた風もなく、ふきんを持ってきてこぼれたお茶の始末をする)

ごめんなさいねぇ、やっぱり思い出せないわぁ。
ほら、なんせ おばちゃん だからもう忘れっぽくって

と言ってちょっと意地悪そうに笑った。どうやらシーアンが「おばちゃん」と言いかけたのに反応したようだ。この件に関しては、きっと一生思い出してもらえないだろう。

■キルティング家
☆From:家政婦  To:シーアン&セリス
あら、何の話だったっけ?
あ、そうそう、坊ちゃまが帰ってきたら連絡するのね。わかったわ。大丈夫、銀の網亭なら知ってるわよ。うちに出入りしてる酒屋が銀の網亭の話をしてたから。なんでも、変わった人がたっくさん泊ってるんですってねぇ。
あらやだ、あなたたちも泊ってるのね〜(笑)。
そんなつもりじゃなかったのよ。....

家政婦のとりとめのないおしゃべりはさらに延々と続いた。その中には役に立ちそうな話はなかった。ほとんど確かそうでない噂話に終始した。

セリスとシーアンが暇乞いをしてようやくキルティング家を出た頃には、すでに外は暗くなりかけていた。いくらかの情報は手に入れられたが、それを上回る疲労感が残った。

■キルティング家
☆From:シーアン  To:セリス
ふぅ。疲れたな(^^;
じゃ、戻るか


ルーブルにて 盗賊ギルド連絡所にて

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