依頼

(1998/02/17 更新)


■奥の小部屋
☆From:カナル  To:おやじ
で、その騎士さんの名前はなんて言うんだい?
いくら急いでたからって、名前を告げ忘れるほど間抜け じゃないだろう。

さすがに冒険者の両親を持ったあって一番場慣れしているカナルは、最後に依頼主の名前を確認する事を思い出したようだ。

おやじも頭を掻き掻きレストランまでの簡単な地図を手渡しながら告げる。「依頼主の名はローンドファル」。

■路上(レストランに移動中)
☆From:カナル  To:全員
自分で会うまでは断定できないが、おやじさんの話からすれば、 「後ろ暗い」っていうよりは「体面を気にして」俺達に内密に 仕事を依頼してきたって感じか?
まあ、とにかく会ってみてからだな。

そんな分析をしつつも、一行がレストランへ向かって川を渡ると、街並みが急に変わるのが感じられた。
敷地の大きな家屋が増え、道路も掃除され、道ゆく人もどことなく幸福そうな顔だ。

指定のレストランは2階建で白い壁の瀟洒なお店。
営業中を示す札が控えめに下がっている。時間はちょうど昼前くらい。

入り口を入って左側には右手に白い布をかけた紳士のような男が、自分の正面の壁を見つめるように姿勢よく立っていた。

■レストラン
☆From:セリス  To:受付のボーイさん
私、ローンドファルさんとお約束があって来たのですが お取り次ぎ願えますでしょうか。
あ、私はセリス・キャラウェイと申します。

■レストラン
☆From:受付けのボーイ  To:セリス様
お話は伺っております。
2階の個室でお待ちでございます。ご案内いたしますのでどうぞこちらへ...。

■レストラン
☆From:セリス  To:ボーイさん
では、彼らの武器をお預かり願えますでしょうか。
こんな綺麗なレストランに無骨な武器は似合いませんものね。
にっこり

■レストラン
☆From:受付けのボーイ  To:セリス様
(職業スマイルで返しつつ)
それではお預りさせていただきます。お帰りの際はお申し付け下さいませ。

■レストラン
☆From:シーアン  To:ボーイ
(武器を預かろうとするボーイさんに対して、 バスタードソードを王に献上するかのような仕種で手渡す)
 へへ〜っ、どうぞ大事にお取り扱い下さいませ。
(周囲の人が何事かとこっちを見てる)

■レストラン
☆From:マーズ  To:シーアン
シ・・・シーアンさん??何やってるんですか?
そこまでかしこまらなくてもいいんですよ? 普通でいいんです、普通で。

さすがに天然ボケを自認するマーズといえども、このシーアンのマジには感じる所があったようだ。

■レストラン
☆From:アフル  To:カナル
(シーアンの方は見ないようにしてぼそっと)

俺、あいつの仲間と思われるのはいやだな。

■レストラン
☆From:カナル  To:アフル
この店の奴らにとっちゃ、俺達だって「ちょっとはまし」程度さ。
そうだなぁ、ゴブリンとホブゴブリンぐらいの差じゃないか? 知ってる奴から見れば全然ちがうが、知らない奴らにとっちゃ同じようなもんだ ろ?
どっちがどっちかって? それは好きな方にすりゃいいさ。


事務的なボーイに導かれて冒険者たちは2階奥の個室へと入った。10人はかけられそうな大きな丸テーブルの向こうに依頼主である騎士ローンドファルが、略式ではあるがきちんとした騎士の鎧をまとい、腰には愛用の剣を下げたまま静かに座っていた。

入ってきた彼らをちらと見て、席に着くように目で促す。眉間には内心の苦悩を表すしわが刻まれている。

■レストラン個室
☆From:シーアン  To:ローンドファル
(ローンドファルの腰に下げた剣を見て)
(心の声)『なんだ、剣持ってレストラン入ってもいーんじゃねーかよ。』

ボーイは人数分の紅茶を給仕し、静かに去って行こうとした。

■レストラン
☆From:マーズ  To:ローンドファル
(紅茶を出されて)
あ、どうも(にこやかに会釈)

すいません、食事もいただいていいですか?

マーズは、そう言うが早いかすかさず立ち去ろうとするボーイをつかまえた。

■レストラン
☆From:マーズ  To:ボーイ
すいませぇん。ポテトグラタンを1つ下さい。

テーブルの向こうの騎士はマーズの方をちらっと見やると、ボーイに下がってよいと目で合図した。

ボーイはうやうやしく会釈しながら静かに扉を閉めて退出した。

■レストラン
☆From:マーズ  To:ローンドファル
そうですか・・・お腹すいてたんですけど、我慢しましょう。

■レストラン個室
☆From:シーアン  To:ローンドファル
失礼しまっす!
(元気よく挨拶すると、席に着席する。)

■レストラン個室
☆From:クロス  To:みんな
それでは失礼して、座りましょう。
(と、みんなを促します。それっからセリスに目配せ。リーダーから挨拶して、 って感じ。)

■レストラン個室
☆From:アフル  To:ローンドファル
(軽く会釈して席に座り、じっと見詰める。)

■レストラン個室
☆From:セリス  To:ローンドファル
初めまして。
私はセリス・キャラウェイ。ご覧の通りマーファの神官です。
この度は私どもに仕事の話があるとの事ですが。
さっそくで恐縮ですがお話を聞かせて頂けますでしょうか?
きっとお力になれると思います。

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:全員
うむ。

...冒険者というのはもっと無礼なやからかと思っていたがそうでもないようだな。常識もわきまえておられるようだ。わしはそういった世界についてよく知らん。まず、急な呼び出しに答えてくれたことについて礼を申す。

急いでいるので単刀直入に申そう。実は大至急、人を2人探し出して欲しいのだ。この2人は今朝から行方不明になっている。重要な情報を持っている可能性があるので大至急身柄を保護したい。名前はキルティングとアンナ。立ち回りそうな先は大体分かっているのだが...なるべく内密に探したいのだ。わしが直接動けばおおごとになりかねん。
彼らが行きそうな先としては、それぞれの実家と、アンナの身寄りである叔父が経営しておる古美術店「ルーブル」くらいしか思いつかん。

探すのに必要な質問があれば答えよう。

■レストラン個室
☆From:セリス  To:ローンドファル
お仕事の内容は分かりました。
ですがそのお話だけだと私達はオランの人々に聞き込みをする以外方法がありません。
それでは『内密に』と言うお約束に反してしまいますからもう少し立ち入った事情をお話願えると探しやすいのですが。

■レストラン
☆From:カナル  To:ローンドファル
(心の声)
昼前に呼んでおいて、飯もださずか……。結構しけた依頼人だな。

なんて表情はおくびにも出さず、

どんな世界にも、無能な輩もいれば有能な人材もあるものですからね。
それでは早速お聞きしたいことがあります。
今朝から行方不明といっても、まだ昼前じゃありませんか。それなのに 行方不明とし、そして私たちに捜索と身柄の保護を依頼するとは……。 そこまで断定なさるには、何か根拠がおありなんですか?
とにかく、今朝の状況をお聞きしたいですね。何故、どういった経緯で いなくなったのか。何故それが行方不明事件なのか。身柄の保護とは、 拘束ですか? それとも安全を確保する必要があるというのなら、何故に?  そもそも、その二人は何者なのか。
私たちは、まだ二人の名前のほかには、たいした情報を得てませんから。

(心の声)
面倒くさいしゃべり方だ。

■レストラン個室
☆From:シーアン  To:ローンドファル
(カナルの質問に、うんうんとうなずく)
 まったくだ。名前だけじゃ流石に探せないぜ。
似顔絵の類はあんのかい?
本人だと確定出来る特徴とかは?

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:全員
キルティングは騎士の見習いで、アンナは下女だ。共にわしの仕える...「さる貴族」の館に住み込みで勤めておった。いなくなった経緯はよくわからん。寝起きを共にしておる者達は「朝起きたらいなかった」と申しておる。
私の依頼は、彼らを見つけ出し安全を確保して欲しいということだ。重要な情報を持って身を隠したらしいのだが、...それのせいで2人が危険な状況においこまれる恐れがある。そうなる前に、ぜひとも見つけ出さねばならん。
似顔絵はない。キルティングは 20 代前半の若者で見習い騎士だ。髪と目は黒。アンナは10 代後半で髪と目は茶色。特徴か...特に思いつかんな。普通の若者達だ。あるいは、それぞれの実家に行けば似顔絵や肖像画のたぐいがあるかもしれん。

質問は以上か?

■レストラン・個室
☆From:シーアン  To:ローンドファル
その二人が、危険にさらされるような情報を持っていると言うことは、その身柄を保護しようとしている俺達も当然危険に巻き込まれるわけだよな。
その二人を追ってる別の組織があるって事かい?
そいつらのレベルだとか、教えてくれよ。

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:シーアン
2人が別の組織に追われているかだと?それは、今はまだ何とも申せん。ただ、その可能性はある。時間が遅くなればさらにその危険は増すだろう。
だが、危険とは申せどあちらも命を奪うような事だけはするまいと思う。そのような...本来関係無い者を殺すなどという卑怯なことは、恥ずべき行為だ。彼ら2人を探すだけでその情報には触れなければ、諸君らに危険が降りかかる事はない。それは約束しよう。
あの2人はまだ若い。わしには姿を隠した理由も分かるような気がする。どうしても、手後れにならんうちに助けてやりたいのだ。

頼む、力を貸してくれんか?

■レストラン
☆From:セリス  To:ローンドファル
マーファ神は困った人をお見捨てにはなりません
私がここにいるのも神の思し召しでしょう・・・
ご安心下さい、必ずあなたのお力になって差し上げます。

セリスの親身な言葉に救われたのか、ローンドファルは彼女に向かって黙って頭を下げた。
パーティは顔を寄せ合って、さらにローンドファルから何を聞き出すべきかを相談している。
...が。約一名、別の事を考えている者がいるようだ。

■レストラン
☆From:マーズ  To:なし(行動のみ)
(お腹すきましたねぇ・・・・)
と考えつつ、瞑想している・・・・と見せかけて、ただボ〜〜〜〜〜〜〜ッとしている。

さらに約一名、痺れが切れたのがいるようだ。

■レストラン個室
☆From:シーアン  To:ローンドファル
 時間が経てば経つほど、二人の身は危険にさらされる訳だな?
(みんなに向って)
他に質問がなければ、そろそろ行かないか?
(またローンドファルに向き直って)
ところで、あんた・・・いや、あなたとはどうやって 連絡を付けたらいいんだい?

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:シーアン
うむ。ここの主人かボーイに連絡を頼んでくれ。さすれば、わしがここへ出向こう。

そこへ、パーティ最年少ながら最も世渡り上手と噂のアフルが最年長のシーアンを止めに入った。

■レストラン個室
☆From:アフル  To:シーアン
まあ、ちょっと待ってくれよ。

さらにパーティ中最も舌先三寸のカナルが揶揄するように続ける。

■レストラン
☆From:カナル  To:シーアン・セリス
まあ、慌てるなよ。急がないと二人の命に関わるというのも分かるが、俺達は慈善事業をやってるわけじゃないんだ。
困ってる人を助けたいのも分かるが、そのおかげで俺達まで困ってる人になるのはごめんだ。

■レストラン個室
☆From:アフル  To:ローンドファル
で、俺達は、2人の身の安全と情報を漏らさないという事のどちらを優先したらいいんだ?
そこのところをはっきりしておいて欲しいんだが。

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:アフル
わしに命と情報を選べ、ということだな。若造。

やれやれ、これで仕事にかかってもらえるらしい、と安堵しかけたのもつかのま。さらに親子も年の違う者にぞんざいな口を利かれたことが多少騎士ローンドファルの癪に触ったたらしい。そこをすかさずカナルがサポートに入る。見事な連係プレーだ。

■レストラン
☆From:カナル  To:ローンドファル
(ローンドファルの方に向き直り)

確かに時間は貴重ですね。話をスムーズに進めるためにも、これからお聞きする事は重要な事です。簡潔にお答え願います。
まずは、この依頼の達成条件について、確認をしたいのです。
先ほどから言っていますように、二人の身柄の確保と、秘密の漏洩を防ぐ事、もしこの二つを選択する状況になったとき、我々はどちらを優先すべきなのでしょう? 当然両方を守るよう努力しますが、ローンドファルさんの意見を聞いておきたいのです。

そして、それに関連しますが報酬の事です。
1000ガメルという報酬は、何処までの成果をもって支払っていただけるのでしょうか? 二人の命と、二人の持つ情報。値段を付けていただきたいのです。
また、この捜索に必要になった経費や、前金などについては、如何様にしていただけるのでしょうか?

先ほども言いましたが、私たちは仕事を依頼されているのです。気分を害されたのなら申し訳ありませんが、こちらも趣味や遊びで危険な仕事を請け負うほど酔狂ではないのです。

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:アフル
...なるほど、その方の言う事ももっともだということか。よかろう。わしも伊達や酔狂で諸君らに依頼した訳ではない。冒険者ならばこのような仕事を手早く確実にやり通せるだろうと考えてのことだ。

さらに全員に向かって続けた。

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:全員
まず第一に優先すべきは、2人の身の安全だ。2人の命が無事に返れば、約束通り 1000 ガメルを支払おう。
だが、2人が重要な情報を持っているという事は口外して欲しくない。2人に余計な危険を招く恐れがあるからだ。それ以外の事で今わしが話した事については守秘義務はない。行方不明だと言えばキルティングの両親やアンナの叔父は心配するだろうが、緊急事態だ。そうも言っておれん。ただあまり事を大きくしないようには注意してくれ。
前金は半額の 500ガメルだ。
必要経費については...仕方あるまい。かかった費用についてはわしが負担しよう。ただし、仕事が終わった後にまとめて渡す。何にいくらかかったかの明細を出してもらおう。あまり使途不明なものについては支払いを断るぞ。遊びに使う金はない。

さて、質問はもうよろしいか?

■レストラン
☆From:カナル  To:ローンドファル
分かりました。それでは、二人の実家とルーブルの場所を聞かせて下さい。
それと、ローンドファルさんには、紹介状を書いて頂けないでしょうか?
いきなり見ず知らずの私たちが訪ねていっても、いたずらに相手を混乱させる事になりかねませんから。

(セリスの方を向き、もういいという風に頷く)

■レストラン個室
☆From:クロス  To:カナルとローンドファル
……そうですね。いきなり胡散臭い冒険者が訪ねてきて、お宅の息子さんの事を教えて欲しい、って言われても、普通なら答える気にはならないでしょうから。
(クロスはさっきから黙って話を聞いていて、あまり明るい表情をしてなかったが、やっとそれだけ言ったと思うと、また黙ってしまった。)

■レストラン個室
☆From:ローンドファル  To:カナル&クロス
なるほど、よかろう。ではわしの名前でキルティング家とアンナの叔父ラーベナルト宛ての紹介状を書こう。そうそう、「ルーブル」の主人は名をラーベナルトというのだ。これでキルティングの実家と古美術店「ルーブル」にはすんなり入れるだろう。しばし待たれよ。

では、この書状を持って行かれよ。それと、3個所への地図がこれだ。諸君らの代表はそなたか?セリス殿。ではそなたにこれと前金の 500 ガメルを預けよう。よろしく頼むぞ、諸君。

パーティで唯一名を名乗っているセリスにすべてが渡された。ローンドファルから提供されたものは、次の通り。

■レストラン個室
☆From:セリス  To:All
 ではそろそろ行きましょうか? ローンドファル様もそれを願っている様ですし。

リーダーであるセリス嬢の号令一下、パーティの男達はおもむろに動き出す。これ以上質問を続けようという者はいないようだ。

■レストラン個室
☆From:アフル  To:ALL
ま、これだけ聞けば十分じゃないか。
結構急いだ方がいいみたいだし、そろそろ行こうぜ。
まずは、二人の実家とルーブルに行くんだろ。
どこから行こうか?

アフルがこれからの計画を立てようと全員を促す。だが相変わらず一名、のんびりと食事の夢を見ていた者がいた。

■レストラン
☆From:マーズ  To:ALL(と言っていいのだろうか・・)
「Zzzzz・・・・・・・んにゃ?もう出発ですかぁ?」
と目をこすっている

後には少し心細げなローンドファル1人が残された。

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