#03:スラムの賢者
第5章.それぞれの行き先

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 ここからは、2つに別れた班の行動を、交互に追っていくことにしよう。

学院調査班の行動

■ スラム街
☆From:リュセラ To:ダーナ
(歩きながら、ちょっと真剣な顔で)
もしもの話だけど。
今、私達がネズミやごろつきに襲われたりしたら、ダーナは 私とヘス参謀のどっちをかばってくれる?

(内心、ダーナをだしにした暇潰しを楽しんでたりする(笑))

■ スラム街
☆From:ダーナ To:リュセラ嬢
しかめっ面でしばらく考えた後。
 うむ、リュセラ嬢がねずみやごろつきごときにやられそうなら
助けようと思うな。
 まあ、そんな真剣な顔をしなくても要らん心配だと思うぞ。
なあ!ヘス参謀。(知らん顔してるヘス参謀に話を振る)
わはははは....。

■ スラム街
☆From:ヘルムンス To:ダーナ&リュセラ
(笑いをこらえつつ)
そうですね、どうやらそういう心配は残念ながらいらないみたいですよ、 リュセラさん。

まぁ私のことでしたら、町のごろつき程度なら適当なあしらい方もあります ので、さほどは心配いりませんよ。

■ スラム街
☆From:リュセラ To:ダーナ
なんだ、つまんないの。
聞かない方が良かったかな。

(ちょっと考えた後で、今度はすました顔して)
それで、「やられそうなら助けようと思う」って随分歯切れの悪い 言い方だけど、
つまりは襲われても やられそうかどうかしばらく様子見する って事なのかしら?
そうだとしたら賢明な答え、ね。私がダーナの立場でもそうするかも 知れないな。

何にしても、別に気にしないからいいけど。
私って、ネズミやごろつきにはやられそうにない女の子みたいだから。

 そうこうするうちに、ようやくスラムの出口に着いた。
時刻はもう昼をまわっている。

■ スラム街
☆From:リュセラ To:ダーナとヘルムンス
私、この角曲がった方が近そうだから、ここで別れるね。
それじゃ、3時までに銀の網亭で合流しましょ。

 ここで、リュセラは二人と別れた。彼女はシーフギルドへ情報を求めに行くのだ。

■ スラム街
☆From:ダーナ To:ヘス参謀
リュセラの後ろ姿を見送り十分に離れてから。
 ふぅ、リュセラ嬢は行ったか。
ずいぶん絡んできたが、ラフィアンとの事で機嫌が悪かったのだろう。
 リーダーも大変だな。
 ところでヘス参謀私も学院の位置は知っているので先に買い出しを
しておこうと思うのだが、忘れては皆に申し訳ないのでな。
 だから先に行っておいてくれ。

■ 街中
☆From:ヘルムンス To:ダーナ
...(くすっ) まぁ、パーティの皆をまとめあげて 常に100%以上の力を出せるようにするのがリーダーの役割ですからね。
気苦労はお察し申しあげますよ。

ところで、私が1人で先に行ってもよいのですが、隊長はファレンさんの 学院での師にあたる方をご存知ですか?
私の記憶が確かなら、ハーゲンとかいう御老人なのですが...
確かに持っている知識たるや相当なものなのですが、ちょっとお堅いところ があるんで、私達が別々に行って同じことでも聞いたりしたら、へそを曲げ かねないようなお方なのですよ。
もしこの方に事情を聞くとすれば、2人同時に行ったほうがいいと思うので すが。

 ファレンが賢者の学院に在籍してたときの、師匠が禿げのハーゲン(笑)。
ヘルムンスは、ファレンが破門になった直後あたりに学院に入ったので、 学院のスキャンダルとして、先輩達からこの話を聞いてたのである。

■ 街中
☆From:ダーナ To:ヘス参謀
 ん、ハゲ?どの禿げだ学院には沢山いるだろ。 それに学院の知り合いは少ないのだ、父なら知り合いは多少いるだろうが。 学院には私は聡くないのでヘス参謀と一緒に行こう。 あと食料の事なんだが、周りを見渡せば冒険者の宿が多いから。 そこいらの店でぱっと買い物は済ませるのでここで待っててくれ。

■ 街中
☆From:ヘルムンス To:ダーナ
そうですね、早めに買い物を済ませてしまいましょうか。 私も自分の分は買いますよ。
ついでに、そのあたりで昼食もとってしまいませんか?
その後で学院のハーゲン師のところへ向かうとしましょう。

 ダーナとヘルムンスは近くの冒険者の店に入ると、みんなからの頼まれものを購入した。

ダーナ:保存食4
レンシオ君:弁当1、保存食4
ジル殿:弁当1、保存食3
ラフィアン:酒一袋、保存食3、つまみの材料
ヘルムンス:保存食4

という内訳だ。おごりではもちろんない(笑)。


スラム班の行動

 その頃、スラム班はようやく目的の小屋(診療所)に着いた所だった。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:ラフィアンさん&家の中にいる人
(ラフィアンの方を振り向いて)
確か直接ノックしてはいけないんでしたよね、スラムでは。
(再び家の方を向く)

すいません、アインスさんが治療を受けている と聞いて参ったのですが、少し話を聞かせて もらえないでしょうか?

心の声:
・・・やはり近所迷惑なような気がするな。もう、やらないことにしよう。

 寂しい通りだけど、まったく人がいないわけではない。
数人がこっちを見て「何事か?」って顔をしたね(苦笑)。

■ 東の診療所の前
☆From:ラフィアン To:ジル
(にやり)
おっ、一度教えたことちゃんと覚えてるなんてなかなか優秀だねぇ!
よお、爺さんこういうのを格言でなんて言うんだっけ?

■ 東の診療所の前
☆From:ジル To:レンシオ
「森へ行ったらエルフに聞け」と言うやつじゃな。
一見変わったことでも、そこに住むものが長年している習慣には何かしら理由が あるのじゃ。
ここに詳しいラフィアンの意見には耳を貸した方が良いの。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:ジルさん
確かにそういう言葉はありますね。
でも、ラフィアンさ・・・。(ジルが先にしゃべりだす)

が言おうとしてたのは・・・
心の声:
ちょいと使うべき慣用句が違うような気がするんですけどね。

■ 東の診療所の前
☆From:ジル To:レンシオ
じゃがな。これには続きがあっての
「森に行ったらエルフに聞け。
 海に行ったらマーマンに聞け。
 草原に行ってもグラスランナーには聞くな」 つまり、聞く相手を見極めることも大切じゃということじゃな。 ラフィアンが「エルフ」なのか、それとも「グラスランナー」なのかは自分で見 極めることじゃな。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:ジルさん
ラフィアンさんが「エルフ」なのか、「グラスランナー」なのかはこの際置いてお きましょう。
それ以前にラフィアンさんは物憶えが早い、すなわち「賢者には一言で十分だ」で はないでしょうか?
あ、いや、別に私が賢者だといってるわけではないですよ。

■ 東の診療所の前
☆From:ラフィアン To:レンシオ
いやいや、いいんだレンシオ。爺さんのが「当たり」だ。
(と、言ってニヤニヤ笑いのままおもむろにノブをに手を伸ばし)
返事がねぇようなら、勝手に失礼するぜ。

 ラフィアンがノブに手をかけようとしたその時、 扉が開いて、男が―――老人が顔を覗かせた。

■ 東の診療所
☆From:老人 To:表で騒いでる者
 おまえらか?大声出しおって。
わしゃ歳じゃが、ノックすりゃ聞こえるわい。 ここには病人がおるんじゃ、うるさくされたらかなわん。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:老人
お騒がせして申し訳ありません。(_ _)
何でもスラムで人の家を訪ねるときにはこうするものだと聞いたもので・・・。
心の声:
「やっぱり明らかに近所迷惑だったようだ・・・。しかも、こう不機嫌そうなとこ ろをみると実はこうするのが当たり前ではないようですね。今度からラフィアンさ んの話は半分くらいに聞き流しておこうかな・・・。」

ところで、アインスさんの容態はいかがでしょう?
もし会って話ができるようなら訪ねたいことがあるので、
あわせていただきたいのですが。よろしいでしょうか?

■ 東の診療所の前
☆From:老人 To:客人?
 なんじゃ?あの男の知り合いか?
(じろじろ見て)そうは見えないがな。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:老人
いえ、知り合いというわけではないのですが・・・。
(少し考えて)
あの、ファレンと言う人をご存じでしょうか?
実は私たちは、その人にちょっとした仕事を依頼された者でして・・・。
仕事をするに当たって情報収集が必要なため話を聞いてみようと思ったのですが・ ・・。

■ 東の診療所の前
☆From:老人 To:客人?
 賢者ファレンの依頼と言ったか?
・・・そうか、賢者は冒険者を雇いなすったか。
こりゃわしも手伝わにゃな。

 アインスに会いたいと言うなら会わせんでもないが、たいして話しは出来んぞ。
 容態は悪くなる一方じゃし、毒が脳にまでまわったか、言ってる事は支離滅裂 じゃ。
 それでも良いか?
なら、そっとお入り。

 老人は3人をそっと手招きした。

■ 東の診療所の前
☆From:レンシオ To:老人
ありがとうございます。
それでは患者の体に触らぬよう気をつけて話をしますので。
心の声:
「そんなに重体なのか・・・あまり期待はできそうにないな・・・」

 3人が老人について部屋に入ると、すぐに苦しそうな男の姿が見て取れた。
アインスは粗末なベッドに寝かされており、全身の節々が大きく腫れ上がり、 高熱の為に顔は深紅の染まっていた。

■東の診療所
☆From:ジル To:レンシオ&ラフィアン
(アインスの様子を見て)
ウム、ここまで容体が悪化しているのは予想外じゃの。
あまり悠長に過ごすほどの時は残されていないようじゃ。
今日の探索は様子見のつもりじゃったが、一匹はしとめて帰ってもいいかもの。

■東の診療所
☆From:ラフィアン To:ジル
待ってました!!そうこなきゃあ!
一匹とは言わず何匹でもオッケーだぜ!!
よし!じゃあ出かけるか!!

■ 東の診療所
☆From:レンシオ To:ラフィアンさん
(あわてて肩を捕まえる)
ちょっと待ちなさいって。まだ肝心な聞き込みが終わってないのですよ。
ラフィアンさんも何か質問考えて下さいよ。

■ 東の診療所
☆From:レンシオ To:アインスさん
アインスさん、あなたの病気をなおすためにも重要な質問があるのです。からだに 無理のでない範囲で質問にお答え下さい。
まず、あなたが廃屋で襲われた時の正確にはどこら辺にいたのでしょう?
廃屋の辺りは人通りが多いのでしょうか?少ないのでしたら、何故廃屋の辺りを歩 いていたのでしょう?
何か気づいたことはありませんか?

 老治療師は、難しい顔をしていた。今のアインスに質問に答える事が出来るだろうか?
それでもアインスは何かつぶやいた。―――それは答えると言うよりもつぶやきに近い。 おそらく、高熱のせいで頭が朦朧とし、レンシオ達には気づいていないのだろう。

■ 東の診療所
☆From:アインス
 廃屋に・・・近づく・な。ね・・みがたくさん・・・。光が・・・何故だ? 来るな、やめろ・・・助け・・て・・・。

 後は低いうめき声にとって変わった。

■ 東の診療所
☆From:老治療師 To:冒険者
 ・・・こんな感じだ。
 この男から何かまともな事を聞き出そうと言うのは、 無理じゃろう・・・。
 こんなので役に立ったかね?

■ 東の診療所
☆From:ラフィアン To:レンシオ
だから言ったろー!!
病人尋問するなんてひでえやつだな!
さあ!早く行こうぜ!!

 すぐにでも行きたそうなラフィアンを無視して、レンシオが続ける。

■ 東の診療所
☆From:レンシオ To:治療師
そこの治療師の方、あなたは廃屋の辺りは人通りが多いかどうかは分かりませんか ?
それと、アインスさんはあとどれくらい持ちそうですか?

■ 東の診療所
☆From:ホーフ To:レンシオ
 そこの治療師じゃと?わしの名前はホーフじゃ。

 廃屋の辺りの人通りじゃが・・・日中はともかく、 夜はあまり人は通らんじゃろうな。
アインスが言うには、その日は酔っ払ってうっかり廃屋に 近づいてしまったそうじゃ。まだ意識がある時に、 わしがなんで廃屋なんかに近づいた?と聞いたら、そう言うておった。

・・・4日前はまだ元気があったからの。
賢者ファレンを呼んで初診をしてもらったんじゃが、 その時は持って10日の命だと言うことじゃった。
もう4日目の昼じゃ。思ったより容態は悪い。もうあと4日持てば、 良い方じゃなかろうか・・・。

■ 東の診療所
☆From:ジル To:他のみんな
 では、アインスの看護頼みましたぞ。 ワシらもなるべく早く薬を調達してきますのでな。
ラフィアン、レンシオ。ぐずぐずしてはおれんぞ。現場へ出発するとしよう。

■ 東の診療所
☆From:レンシオ To:ホーフ&パーティーメンバー
(心の声)
「もう少し、質問をしておくに越したことはないと思うんですけどね・・・」

分かりましたジルさん、それでは行きましょうか。
(くるりと振り返る)
ホーフさん、先ほどの無礼な態度、申し訳ありませんでした。
どうも、お騒がせしました。それでは失礼します。

 これ以上アインスからは情報を引き出せないと判断した3人は、 ホーフの診療所を後にした。
(今度はホーフが戸口まで見送ってくれた)

■ 東の診療所前
☆From:ホーフ To:レンシオ、ジル、ラフィアン
 たいして役に立てなくて申し訳なかったの。
わしゃ、あんたがたに何もしてやれんが、無事ねずみを退治出来るように 祈らせてもらうよ。
 1治療師として、1住民として、ここのねずみをほっとくわけにはいかんでな。
・・・上の方はスラムの事だと思って、なかなか動いてくれんのじゃ。 あんたがただけが頼りじゃ。気をつけて行きなされよ。


シーフギルド班?の行動

 その頃リュセラは裏路地を歩いていた。やがて1軒の酒場の前で止まると、 店の入り口に突っ立っている男に声をかけた。

■ 裏路地の酒場前
☆From:リュセラ To:扉番
こんにちは。今晩のパーティーって席空いてる?
(意訳:メンバーだけど入っていい?)

■ 裏路地の酒場前
☆From:扉番 To:リュセラ
 ああ、カウンターの席が開いてるぜ。
今晩のパーティのデザートは温かい物、冷たい物の どちらがいいかい?
(意訳:良く来たな。顔見せの為にここに来た(温かい物)のか、
それとも(情報売買等の)仕事の依頼(冷たい物)で来たのか?)

■ 裏路地の酒場前
☆From:リュセラ To:扉番
 冷たい方でお願いしていいかしら。
とりあえず、細かい打合せの続きは中に入ってからするね。

■ 裏路地の酒場前
☆From:扉番 To:リュセラ
(情報売買等を受け持っている)場所は覚えているよな?
(店の奥へ入るよう顎で示し、店のカウンターにいる酒場のマスターらしき人に目配せする)

 カウンターのマスターのいる足下のあたりには、地下に繋がる隠された扉 があって、そこからギルド本部へ行くことが出来る。
 ここに幾度か足を運んだことのあるリュセラは、 ギルドの情報売買 等をする場所もすでに承知している。

■ 裏路地の酒場・カウンター
☆From:酒場のマスター To:リュセラ
(小声で)
 ああ、そうそう、今日の担当はリーザらしいな。お前も付いて無いよ(苦笑)。
・・・わかってるだろうが、ここで喧嘩だけはしてくれるなよ。迷惑だからな。

 リュセラはラフィアンと銀の網亭の酒場、”幸せの木”でもケンカをしていて、 どうもケンカっぱやいイメージがあるらしい(^^;。

■ 裏路地の酒場・カウンター
☆From:リュセラ To:酒場のマスター(同じく小声で)
 へぇ。リーザが真面目に仕事してるんだ。
そんな珍しいの見られるなら付いてるのよ、今日は。
――もう、そんなに心配な顔しないで、ってマスター(^^;
今日はこっちも真面目な仕事なんだし、その相談相手が 親愛なるリーザちゃんなら喧嘩なんてしないから。

…ちょっと賑やかに話が弾むかも知れないけど。

 マスターが苦笑いをしながら、うなづく。
リュセラは開いた隠し扉から、素早く身を滑り込ませ、 盗賊ギルドへの階段を降り始めた。

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連絡先

GM:澤口 佳子(かなめ)
E-mail:kaname@yk.netlaputa.ne.jp