SW-PBM Scenario #88 | 目次 |
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スラム街入り口 ファレンの新診療所 |
調査2日目。この日もヴィトリスは医者関係の情報を中心に集めることにした。
朝早く起きると、マーファ様へお祈りを捧げ、まずは昨日聞いておいたファレンの診療所に行く事にする。
ファレンの診療所はスラム街の入り口にある。もともとはもっとスラムの中心にあったのだが、そこは少し前に売り払ってしまった。その後、多くの人の助けを借りて、現在の場所(今度はスラムの入り口付近で、一般の人も入りやすくなっている)に診療所を設けたのだ。
そういうわけで建物はまだ新しい。しかし、立派な―――とは呼べないような診療所だ。この大きさでは入院患者は2,3人が限度だろう。ともかく、ヴィトリスは診療所を見付け、その前に立っている。
■ヴィトリス To: |
さてっと… え〜と…あの〜すいませ〜ん。 |
扉を開けて声をかける。
■ファレン To:患者さん? |
はぁぁぁ〜い、こちらへどうぞぉぉぉ〜。 |
奥の部屋から、とぼけた声が返ってきた。
これが銀の網亭のおやじさんが言っていた”スラムの賢者”?
とにかく、待合室を抜け、診察室へ行く事にする。
■ヴィトリス To:ファレン |
どうもこんにちは。ファレン先生いらっしゃいますか? |
■ファレン To:患者さん? |
僕がファレンだけど――― |
ファレンは20代前半ぐらいの男だった。黒髪で茶色の目。クリクリっとした瞳に、人懐っこい笑顔。はっきり言って童顔だ。
■ファレン To:患者さん? |
!?こりゃ、ひどい! あなたちゃんと食べてますか? 駄目ですよ〜もっと太らなきゃ。ああ、こんなにやせ細っちゃって――― |
ヴィトリスを見るなりこう言った(笑)。
■ヴィトリス To:ファレン |
えと、一応食べてるんですけど…どうしたもんでしょう? |
■ファレン To:患者さん |
食べてるのに、これ? んー・・・ってことは肝臓が悪いのかな。胃か腸かもしれないね。 顔も青白いし・・・。 はい、上着を脱いで〜 |
■ヴィトリス To:ファレン |
はい。 |
素直に脱ぐ。
■ヴィトリス To:ファレン |
んじゃ、折角なんでよろしくお願いします。 …けど、今日来たのは違う用件なんですけど… えと、、先生、最近ここの方に食事を取らなくて体調崩されたような方は見えられてないです? |
■ファレン To:患者さん |
ふんふんふん、やっぱり痩せすぎだよ、いくらなんでもこれじゃぁ・・・。 ん・・・?君、ちょっと胃が下がってるね。胃下垂って言うんだけど、それで太れないのかもしれないな。 |
ヴィトリスの体をつつきまわして、やっとここで顔をあげる。
■ファレン To:患者さん・・・じゃないの? |
は? 違う用件って言いました? ―――ええっと、食事を取らなくて体調を崩した人を探してるって言いました?? |
ヴィトリスに上着を手渡すと、首を横に振る。
■ファレン To:誰? |
あのねぇ、ここでは”食事出来なくて倒れそう”なんてのは日常茶飯事なんですよ。君は幸いちゃんと食べれているようだけど、スラムじゃそうは行かないんだよ。3日間何も食べてないとか、1週間水だけ・・・なんてのもいるんだから。 |
■ヴィトリス To:ファレン |
あう、それは…そうですね。すいません。え〜と、申し遅れましたが僕はヴィトリスと申します。で、一応その…使用方法を誤るとあぶなそ〜な薬が出回ってるかも…てなことで調査をしておりまして… こいうこと言うと更に怒られそうで大変その…なんといいますか…その薬、ちょっと高級なダイエットの薬の様なんで、あの…そいう人が行きそな医院をご存知でしたら、一応その…伺っても? |
■ファレン To:ヴィトリス |
はぁぁ〜〜〜、何かと思えばダイエット薬だって? うん、君も気付いたと思うけど、ここには来ないね。 そういう医院ねぇ・・・ハーゲン先生の所なら、そういう人が来てもおかしくないかな。 |
■ヴィトリス To:ファレン |
そうですか。 |
■ファレン To:ヴィトリス |
ハーゲン先生に会いたいなら紹介状書こうか? 普通に行ったら多分、追い返されるよ(笑)。 ま、僕の紹介でも同じかもしれないけどね・・・。 |
■ヴィトリス To:ファレン |
え〜と、紹介状、お願いします。 で、その、ハーゲン先生ってどの様な方なのですか? |
ファレンは羊皮紙を1枚取り出すと、紹介状を書き始めた。
■ファレン To:ヴィトリス |
ハーゲン先生は・・・僕の恩師・・・かなぁ。 先生は診療所をやりつつ、賢者の学院でも先生をしていてね、僕はそこで医学を学んだんだ。 厳しい人でねぇ・・・んー学生からはあまり好かれて無かったかもしれないね。あはは。 あ、いや、僕は嫌いじゃなかったけど―――つい最近かな、先生の良さに気付いたのは。厳しくて短気で怖い人なんだけど・・・嘘の無い人だし、約束はきちっと守るし、マジメで良い先生だよ。 はい、書けた。 |
ファレンはにっこり笑って紹介状を手渡す。
■ヴィトリス To:ファレン |
どうもありがとうございます。 では、失礼します。・・・と・・・そいえば診察代がまだでしたね。 |
■ファレン To:ヴィトリス |
あ。診察代はいいよ。患者さんじゃなかったしね。 君、痩せてるだけで別に内臓とかには異常なさそうだから、安心して冒険者やるといいよ。 |
笑いながらヴィトリスを廊下まで見送る。
ヴィトリスは帰り際、入り口付近に募金箱があるのに気付く。
”めぐまれない人達に愛の手を”
などと書かれている・・・。
■ヴィトリス To: |
(微妙なとこですけど・・・) |
100ガメルほど募金箱へ。
(ヴィトリスのこの善意はファレンが見てなくても、きっとGMが見てる事でしょう、あと読者も(笑))
ハーゲンの所へは明日行く事にし、取り合えず今日は銀の網亭に戻ることにした。
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