SW-PBM Scenario #88 | 目次 |
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スカルノ邸前 |
翌朝、一行は軽く朝食を済ませると、すぐさまスカルノ邸へ向かった。
川を越え、王城の方に進むにつれて、町の様子が変わってくる。
王城にほど近い、この辺りは高級住宅地なのだ。通りを行き交う人々の服装、また高級店が建ち並ぶ通りそのものからも、そうと知ることが出来る。
■ランス |
確かこのあたりのはずなんやけど・・・。 それにしても、なんというか・・雰囲気が全然違うなぁ。 |
依頼人が居候していると言うスカルノ邸は、大通りから少し入った所にあった。手入れの行き届いた緑濃い庭に、白く瀟洒な建物。
入り口には(この屋敷には少し不似合いの)ガッシリとした一人の武装した男が立っている。
■ランス |
あれがそうかな? うぁ、門番がおるわ・・って、こういう所じゃ当たり前か。 |
ランスの声が聞こえたのか、門番がこっちを見た。
■門番 To:不審人物 |
そこで何をしている? |
■アンリ To:門番 |
半分はお散歩〜♪半分はお仕事〜♪ |
■ランス To:門番 |
あ・・・わいらは冒険者で、ここに滞在されていらっしゃる ミランダさんからの依頼を受けてきたんですが。 |
ミランダの名前を出した途端、門番の態度が変わった。
■門番 To:冒険者 |
ミランダ様の? これは・・・失礼しました。 屋敷に案内致しますので、どうぞついて来て下さい。 |
門番は屋敷の入り口まで一行を案内すると、ノッカーを力強く叩いた。
小さく応答する声が聞こえ、すぐに両開きの扉の、片方だけがそっと開かれた。
■門番 To:メイド |
ミランダ様に御用の冒険者の方々だそうだ。 案内をよろしく頼む。 |
そう言って門番は元の場所に戻っていく。
■メイド To:冒険者達 |
今、ミランダ様は奥様とご歓談中です。 お客様がいらした事をお伝えして参りますので、少しの間、応接室でお待ち願えますか? |
■ランス To:メイド&パーティの面々 |
わかりました。 ほな、いこか・・。 |
■アンリ(独り言) |
うわぁ〜!!豪華〜!!くすねないように気をつけないとナ☆ |
辺りをキョロキョロ見回しながらとりあえず、自分の左手を押さえつけておく。
イグレッタは無言で後についていく。
スカルノ邸 応接室 |
応接室で待つこと数分。ノックがしてすらりと背の高い女性が入ってきた。後ろには先ほどのメイドも一緒だ。こちらはお茶の準備をしてたらしい。
■ミランダ To:冒険者の皆さん |
お待たせしました。私がミランダです。 私の依頼を受けてくださる冒険者の方々と聞いています。 |
ミランダは美人と言って良い顔立ちをした20代後半の女性だった。しかし、あまり顔には注意が行かないかもしれない。
それは彼女の抜群のプロポーションのせい・・・。
普段から気をつけているのだろう。ただ痩せているだけではなく、ほどよくついた筋肉、きめ細やかな輝くような肌―――思わずそれらの方に視線が行ってしまうのだ。
銀の網亭のおやじが言っていた”目の保養になる依頼人”とは彼女の事だろう。
■ランス |
おおぉ・・・・ (@O@) |
ランスの視線はミランダに釘付け。
■イグレッタ |
(男ね…) |
呆れてランスを見ていたが、ついナミキに視線を向ける。
■ナミキ |
(^-^メ) |
一見笑顔だが、なにやらこめかみがピクピクしているご様子。
■レイン |
(不穏な空気…) |
■メイド To:冒険者達 |
どうぞ、召し上がって下さい。 |
■アンリ To:メイド |
わぁ〜い!!ケーキ、ケーキ♪ |
メイドは紅茶とケーキをテーブルに並べ、一礼して去って行く。
ケーキはチーズタルトだった。ラズベリーソースがかかり、上にちょこんとミントの葉が乗っている。
■ミランダ To:冒険者の皆さん |
どうぞ、お座りになって下さい。 ここは私の家ではありませんが、滞在中は家族のように使用する事を、夫人から許可されていますから。 |
そう言ってにっこり微笑む。
■ランス To:ミランダ |
あ、そしたらいただきますぅ |
鼻の下が伸びっ放し・・
■ナミキ |
(^-^メメ)(ピクピク…) |
■レイン |
(不穏な空気………) |
■アンリ To:ミランダ |
いっただっきま〜す!! わ〜い、ケーキを食べるの久しぶり〜♪ |
ランスにもミランダにも目を向けることなくただケーキのみを見つめる。
■アンリ To:ナミキ |
そういや、ナミキのお姉ちゃん、こんな甘いの食べていいの? 太るよ〜!!ダイエットのためにもオレにちょうだい!! |
■ナミキ To:アンリ |
あぁん(-_-メ)!? ど〜せあたしは太ってるからいいのよ!! |
■ミランダ To:ナミキ |
?ダイエットをなさっているんですか? |
ダイエットと聞いて、即座に反応。
■ナミキ To:ミランダ |
……は? |
■ミランダ To:皆さん |
実は・・・盗まれてしまったものと言うのは、ダイエット薬なんです。 |
■ナミキ To:ミランダ |
……ダイエット薬? え〜っと……。 ……なんでまたそんなものを? |
確かに常識で考えれば少し変な気がする。
■ミランダ To:皆さん |
ええと、どこからお話したらいいのかしら・・・。 ええと・・・。 |
ちょっと考えた後、
■ミランダ To:皆さん |
皆さんは”ドランブイ”を知ってらっしゃいますか? |
逆に質問して来た(笑)
■ナミキ To:ミランダ |
あたしは知らないわ。 |
■ランス To:ミランダ |
ん?それってべっぴん・・・いや、食い物でっか? |
■ミランダ To:ランス |
は? |
怪訝な顔(笑)。
■ナミキ To:ランス |
……しね。 |
ぼそっとひとこと。
■ランス To:ナミキ |
ん?なんか言うた? |
神経逆撫。
■レイン |
(ええと…) |
■ナミキ To:ランス |
……。 なんにもいってないわよぉ♪(‥メ) |
声は明るい。が目は笑ってない。心なしか背後に「ゴゴゴゴ……」という擬音が見えるような。
■アンリ To:ミランダ |
んっとね・・・キャロ、キャロ・・・キャロラインじゃなくて・・・あ、そだそだ。キャロリン村ってトコの特産の植物でそこ以外に生えてない奴なんでしょ? んでもって、何故かダイエットの薬になるとか聞いた気がするケド・・・合ってるカナ? |
素晴らしい、合っている。しかし・・・キャロラインって誰(笑)?
■ミランダ To:アンリ |
その通りです。良かった、知ってる方がいらして。 そのドランブイですが、今まで長期保存法が確立されておらず、色々と苦労があったんですが、研究に研究を重ねまして、ようやく長期保存法を確立したんです。 そして、私達はドランブイを丸薬にして、オランで販売するための計画を練っていた最中だったんですが・・・。 盗まれてしまったのです。まだ販売前の試作品が。 |
■アンリ To:ランス |
わ〜い!!合ってたよ!!エライ?エライ? 誉めて、誉めて!!んでもって、ランスの分もケーキちょうだい!! |
自分のケーキをMyケーキとしてキープしながらもランスのケーキにフォークを突き刺して三分の一くらいごっそりと貰っていく(笑)
■ランス To:アンリ |
あっ!ちょいまてやぁ!! |
■ナミキ To:アンリ |
ぐ……チビすけに知識で負けた……。 人間としてヤバイ? |
この敗北が、後日彼女がセージ技能をとるきっかけとなるのだった(本当か!?)。
■アンリ To:ミランダ |
そういえばサ、そのお薬ってどこで盗まれちゃったの? オラン?その村?それとも、街道? |
■ミランダ To:皆さん |
村です。 はっきり言って盗むものがいるとは思っていませんでしたので、厳重な管理はしていませんでした。 夜半に何者かが忍びこんで机の上の試作品を瓶ごと・・・。 犯人は2人組だったようで、その後、オラン方面に駆けて行く馬が2頭目撃されています。残念ながら、人物までははっきり見えなかったそうです。 ここまでは村の官憲派出所で調べてくれました。 犯人は村の住人でない事は明らかです。不在者はいなかったので。 |
■アンリ To:ミランダ |
オラン方面ってことは、オランにいるわけじゃないかもしれないんだネ♪ 居場所から探さないといけないんだ〜・・・大変〜!! |
■ミランダ To:皆さん |
あれは、ただのダイエット薬ではないんです。 使用方法を誤ると、大変危険な代物なんです。 どうか、薬を見つけ出して下さい、お願いします。 |
■ナミキ To:ミランダ |
使用方法を誤るとどうなるの? あと、どのくらい効果があるのかも聞きたいわ。 もしかして、飲んだらすぐにやせちゃうとか? |
■ミランダ To:ナミキ |
使用方法を誤ると、最悪、死に至ります。 試作品ですと、1日3錠までですね。それ以上飲むのは危険でしょう。 飲むと、満腹感を感じるのです。飲みすぎれば食事が取れなくなる筈ですので、栄養不足で死亡するケースが考えられます。 効果覿面の薬なんです。未確認ですが、満腹感を与えると共に、皮下脂肪、内蔵脂肪をも溶かしていっているのではないかと、私は考えています。 用法さえ誤まらなければ、本当に夢のようなお薬なんです・・・。 |
■ナミキ To:ミランダ |
なるほど、凄そうね……。 それで、それを取り戻した場合の報酬なんだけど。 依頼書には「その残量に応じて」って書いてあったけど、具体的にはどんな感じなの? |
■ミランダ To:ナミキ |
瓶には60錠入ってた筈なんです。 1錠につき160ガメルお支払します。 |
■ナミキ To:ミランダ |
ってぇと、一瓶でまるまるで……9600ガメルか。高っ。 あ、あと、その薬ってなんか特徴ないの? 見た目とか、匂いとか……。 |
■ミランダ To:ナミキ |
匂いは少しありますね。爽やかな柑橘類系と言うか・・・。 錠剤の色は白なんですが、よく見ると黄色の小さなツブツブが見えると思います。 そして、舐めるとほんのり甘酸っぱい味が致します。 瓶そのものにはこれと言った特徴はございません。これぐらいの・・・茶色の小瓶でした。 |
と言って右手の親指と人差し指で形を作って見せる。たいして大きいものではなさそうだ。
■ミランダ To:皆さん |
使用法などは小さな羊皮紙に書いて、瓶の中に錠剤と一緒に入れておりましたので、盗んだ方がそれを読んでいればいいのですが・・・。 |
■ランス To:ミランダ |
なんにせよ、早く探し出さんと厄介なことになりそうやな・・ あ、そういえばわいらのメンバー紹介がまだやったな。 わいはランス。このパーティのリーダーを務めとる。 |
ランスがリーダーと聞いて、一瞬とまどいの表情を見せるミランダ。
今の今までナミキがリーダーだと思っていた模様(笑)。
■ミランダ To:ランス、皆さん |
あ、よろしくお願いします。 他の皆さんのお名前も伺ってよろしいですか? |
■ナミキ To:ミランダ |
あたしはナミキ。名乗るのがあとになっちゃってごめんなさいね。 |
■アンリ To:ミランダ |
オレはアンリだよ〜♪ |
■ヴィトリス To:ミランダ |
ヴィトリスです。どうぞよろしく。 |
■イグレッタ To:ミランダ |
イグレッタ・マロックよ |
■レイン To:ミランダ |
僕はレイン。 |
立て続けに紹介が続く。
■ミランダ To:皆さん |
(リーダーの)ランスさん、 (元気の良い)ナミキさん、 (お菓子大好きな)アンリさん、 (人の良さそうな)ヴィトリスさん、 (背が高く無口な)イグレッタさん、 (寡黙な少年)レインさん。 はい、覚えました(^^)。 改めてよろしくお願いします。 |
ミランダは商売柄、人の名前と顔を覚えるのは得意である。
しかし・・・その覚え方って・・・。心の声が聞こえちゃったら大変だよ?
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