【第34繭洞:居住地区】 |
■子どもの声 To:母親? |
かあさん、「にんげん」ってみたことある? |
■母親の声 To:子ども |
……ええ、いちどだけ。 そんなにむかしのはなしではないわ。 |
■子どもの声 To:母親 |
「にんげん」って、ほんとうにおっきいの? |
■母親の声 To:子ども |
おおきかったわ。 「もんばんのぞう」よりもっとおおきかった。 |
■子どもの声 To:母親 |
みんながいってた、「にんげん」がくるって。 かあさん、「にんげん」って……こわい? |
■若い女の声 To:子ども |
どうかしらね。 ドッツはどうして、こわいとおもったの? |
■子どもの声 To:母親 |
ビントおじさんや、ギッテおばさんたちがいってた。 「あらくれもの」とか「ろくでなし」とか……。 なんかすごく……こわそうじゃない? |
■母親の声 To:子ども |
かあさんがみた「にんげん」はね。 おおきかっただけでなく、ローゲだんちょうよりもつよそうだったわ。 でもね、とってもやさしそうなめをしていたの。 こわがっているひとたちを、すこしかなしそうにみていたわ。 |
■子どもの声 To:母親 |
かなしい……こわがると「にんげん」はかなしくなるの? |
■母親の声 To:子ども |
ドッツはどう? おおもぐらたちがドッツをみてにげていったら、どうかしら。 |
■子どもの声 To:母親 |
………。 うん、そうだね。 でもやっぱり……ちょっとこわいかも。 「にんげん」って、このあなにもくるのかな。 |
■母親の声 To:子ども |
わからないわ。 じゃあ、ドッツにこんなおはなしをしてあげましょう。 「上の王ドレッダールと冒険者たち」、しってる? |
■子どもの声 To:母親 |
ドレッダールはむかしのおおさまだよね。 「ぼうけんしゃ」ってなあに? |
■母親の声 To:子ども |
さあ、それはきいてのおたのしみよ。 むかーし、むかし、ハチホンがわのみずがまだ、きらきらひかっていたころ。 ドワーフぞくをおさめていたのはドレッダールというなのおおさまでした。 おおさまには、たくさんのともだちがいました。 「どうくつ」だけでなく、「そら」のしたにも、「もり」のなかにも、「そうげん」のむこうにも。 なぜかというと……。 |