SW-PBM #172 “死にたがり”のメアリ |
■ 対決 ■ | ||
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【 フランネル邸 】 |
ティティから託された【魂の連鎖】の契約書を手に、冒険者たちは三度フランネル邸に足を踏み入れた。
この来訪で、全てに決着が付くことを願いながら。
ミシミシと足音の響く階段を降り、薄暗い地下室へと進んでいく。
メアリは、以前に会った時と同じようにして、その地下室の真ん中でぽつんと座っていた。
■メアリ To:ALL |
あ……みなさん。 |
来訪者の顔を見て、ほんの少しだけその表情がほころぶ。
僅かではあるが、心を開き始めてくれているようだ。
■カラレナ To:メアリ |
メアリさん、こんにちは。 突然押しかけちゃって、ごめんね。 あの、今日はあなたにお話があって来たの。 女の子同士で、相談したいことがあって…… |
俯きがちにそう言うと、ちょいちょいとメアリを手招き。
■メアリ To:カラレナ |
あ、はい……。 |
メアリが立ち上がろうとすると、ゆらりとその後ろの空間が歪み、その肩を押さえつけるようにした格好のルービッドが姿を現した。
■ルービッド To:ALL |
ん〜? 僕にナイショってなんだい? メアリ、隠し事はよくないなぁ。……僕にも聞かせてくれるよね? |
ぎり、と華奢なその肩に爪が食い込むのが見て取れる。
■メアリ To:ルービッド |
……あ、う。 |
■カラレナ To:ルービッド |
やめてくださいっ。 女の子の身体に、傷をつけていいと思ってるんですか? |
じり、とルービッドのほうへ詰め寄る。
右手をマントの中に隠しながら、その目を睨みつけ――
■カラレナ To:ルービッド |
それに…私たちがこの数日間、あなたについて何も調べなかったとでも思ってるの…? |
■ルービッド To:カラレナ |
……うん? |
マリィはやれやれと言う表情でルービッドに問う。
■マリィ To:ルービッド |
あらあら、淑女(レディ)だけのお話を紳士が聞くのは感心しませんね。 ルービッドさん、あなたも紳士ならちょっと待つ位できるでしょう? (周囲を見回し埃を被ったチェス盤と駒を見つけて) その間、チェスで一局如何です? 安心しなさいな、メアリさんの拐かす何て真似が出来ないのは貴方が一番ご存じでしょう? |
■ルービッド To:マリィ |
悪いけど、人間のレベルの低い遊びに興味は無いんだ。 でもまぁ、紳士と呼ばれてそれにそぐわない真似はしたくないしね……。 いいよ、メアリ。行ってごらん。 ただし、僕の目の届かない場所に隠れないようにね。 |
掴んでいた肩を離し、軽く押し出すようにしてメアリを冒険者たちの方へと歩かせる。
しかしその目は、どんな些細な隙も見せまいと光っていた。
■アイライ To:ルービッド |
そんな怖い顔をしなくても、心配は無用でありんすよ。 |
メアリが十分に近づいたことを確認して、アイライは入れ替わるようにルービッドの方へ歩を進めた。
■アイライ To:ルービッド |
わっちら、メアリさんとただ遊びたいだけなのでありんす。 いっしょにダイフク食べたり、 どっちの方がスリが上手か競い合ったり、 そんな普通の女の子同士の遊びがしたいだけなのでありんす。 |
気を引くために話を続けながら、さりげなくメアリとルービッドの間に入り、さらにルービッドとの間合いを詰める。
■ルービッド To:アイライ |
こらこら、メアリに何を教えようとしているんだい。 そういう悪い遊びを教えるような奴は、お仕置きをしないといけないかな。 |
どうやら「スリを競い合う」というのが癇に障ったらしい。
以前にアイライが喰らったものと同じく、その手に魔力が集中し始める。
◆ ラウンド1 ◆
ルービッドの戦闘態勢を見て取ったパーティも、陣形を組んで各々の得物を構える。
ティティとセラ、そしてメアリは通路へと押し出して避難させ、契約を急がせる。
■ティティ To:ALL |
急ぐけど、それでも1分はかかるわ〜! それまでは倒しちゃダメよ〜、メアリさんにも影響が出て契約が失敗になっちゃうから〜! |
ジンの咄嗟の判断で先攻をもぎ取った冒険者たち。
まずはマリィが魔法攻撃に備えて、全員にカウンター・マジックを唱える。
続けてカラレナが極限まで集中を高めたミュート!
なんとこれが決まり、ルービッドは一撃を与える暇もなく魔法を封じられてしまった。
ジンとクローエは防御体勢で様子を見る中、アイライとシロノワールがルービッドに肉薄して接近戦を挑む。
アイライのカトラスは惜しくも外れてしまったが、ルーサーン・ハンマーを腰溜めに構えたシロノワールの突撃がヒット!
かなりのダメージを与える事に成功した。
ルービッドは怒りの形相でシロノワールにお返しの鉤爪を振るうが、命中はしたものの硬い鎧に阻まれて思うようなダメージを与えられない。
◆ ラウンド2 ◆
マリィは接近戦を挑む二人の援護にルービッドにウィーク・ポイントを掛ける。
しかしこれは抵抗されてしまった。
ジンも二人へとプロテクションの魔法を掛け、前衛を援護する。
カラレナがウィスプを飛ばしてわずかな傷を与え、続けて前衛組が再び武器を振るう。
アイライの攻撃は今度は命中するもダメージが通らず。
シロノワールはその場で構えた武器を突き出し、再びダメージを積み重ねる。
その背中から、歌声が響き出した。
クローエが抵抗力を高めるレジスタンスの呪歌を歌い始めたのだ。
対する反撃。突如ルービッドの角に火花が散ったと思うと、シロノワールとカラレナの身体を電撃が貫いた。
直接的な打撃では倒せないと考えたか、雷撃を繰り出してきたのだ。
だがマリィやクローエ、ジンの援護が効いているのか、これも思ったほどのダメージを与えるには至らない。
◆ ラウンド3 ◆
まずはマリィが受けた傷を癒すためにシロノワールとカラレナにキュア・ウーンズを掛ける。
カラレナはまたもウィスプで攻撃し、わずかずつもダメージを積み重ねる。
そしてシロノワールの攻撃。振りかぶったルーサーン・ハンマーがなんとクリティカル!
一撃でルービッドに致命傷を負わせた。
■ティティ To:ALL |
ちょっとちょっと〜! 倒しちゃダメって言ったでしょ〜、気をつけてよ〜! |
このティティの声を聞いたからという訳でもないだろうが、「契約が終わるまでは倒せない」という足枷を持つ冒険者たちはここからしばらく攻めあぐねる事となる。
◆ ラウンド7 ◆
攻撃をすれば倒してしまいかねない冒険者たちは、攻め手を休めるしかない。
一方そんな事はお構いなしルービッドの攻撃を受けては回復し……その繰り返しを続ける。
ルービッドもいくら攻撃をしても倒しきれないことにいらだち始めたか、さらに奥の手となる口から高熱の火球を吐き出した。
アイライ、シロノワールに加え前線に立っていたカラレナの3人がこれをモロに喰らう。
特にシロノワールはその重装備が祟ったか回避が遅れ、全身を猛火に晒されて昏倒してしまった。
ようやく一人を沈め、ルービッドがかすかな笑みを浮かべる……その時、ティティの声が響いた。
■ティティ To:ALL |
お待たせ〜! 無事契約は終わったわ〜、全力で倒しちゃいなさ〜い! |
前衛の傷を癒さんとマリィがキュアを唱える中、ティティのその言葉を待ち構えていたジンがお返しとばかりに渾身のファイアボール!
これがトドメとなり、ルービッドはついに崩れ落ちた。
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GM:倉沢まこと