SW-PBM #172 “死にたがり”のメアリ |
■ 母の日記 ■ | ||
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【 フランネル邸 】 |
メアリとセラの関係を示す証拠を探すためにと、マリィとジンはセラを連れ再び長い坂道を登っていた。
軽く息が上がるのを感じ始めた頃、ようやく見覚えのある景色と屋敷が視界に入った。
■セラ To:ALL |
……あの家がそうなの? |
少し苦しそうに息を乱しながらセラが尋ねる。
■マリィ To:セラ |
ええ、そうよ。 早速行ってみましょう。 |
■ジン To:マリィ、セラ |
まずはメアリの意思確認だな。 万が一に備えて、俺たちはここで待機しておく。 何かあればすぐわかるように、タークスを同行させていってくれ。 |
入り口に貼られた張り紙を無視して、先日メアリが居た地下階へ向かう。
部屋に入る前に一旦立ち止まり、メアリに声を掛ける。
■マリィ To:メアリ |
メアリさん、この前の冒険者ですが、お邪魔しますよ。 |
■メアリ To:マリィ |
ん……はい、どうぞ……。 |
許可を得て室内に入ると、前回と同じように薄暗い空間に一つだけぽつんと置かれた椅子にメアリは座っていた。
その背後には、これも同じようにルービッドが立ってこちらを眺めている。
■ルービッド To:マリィ |
おや、これはこれは。 この間あれだけ言ったのに、また僕とメアリの時間を邪魔しに来たのかい? ……人数を見る限り、まともに戦いに来ましたってワケじゃあなさそうだけど。 |
■マリィ To:ルービッド>セラ |
まあ、ね。 それは兎も角、あなたもメアリさんが嬉しそうにしていれば嬉しいのかしら? ちょっとだけ良いニュースを持ってきたのだけど。 セラさん、この娘さんがあなたの縁者のメアリさんよ。 |
■メアリ To:マリィ |
縁者……? でも、私には、血縁の方はもう……。 |
突然現れて「親類だ」と名乗られた事に戸惑いを覚えている様子。
■セラ To:メアリ>マリィ |
あー、うん。 まあ、直接血が繋がってるわけじゃない……らしいんだけど。 ねぇねぇ、どうやって説明すればいいのかな? |
■マリィ To:セラ>メアリ>ルービッド |
それじゃあ、わたしが変わって説明するわ。 メアリさん、あなたのお父さんの弟……と言っても養子なのだけど、 その弟さん夫妻の子供がこちらのセラさんなの。 この説明で理解して頂けるかしら? なので残念ながらあなたの契約には関係無いわ。 |
最後はルービッドを一瞥しながら補足する。
■ルービッド To:マリィ |
そんなに警戒しなくても、メアリ以外の娘に手を出す気はないってば。 契約は「最初に生まれた娘」だからね。それを破る気はないよ。 ……まぁ、僕やメアリに危害を加えようっていうなら、邪魔者を排除はするけどね。 |
■メアリ To:マリィ |
お父さんの、弟さん……はい、聞いた事、あります。 お子さんがいた事は知りませんでしたけど……。 でも、それなら、なおさら……私に関わらない方が……。 |
■マリィ To:メアリ |
ご存じかもしれませんが、弟さんのお店は火事で無くなってしまったの。 なので、本家の此処には、何かセラさんのご両親の遺品でも残されて居ないかと思いまして。 言い方は悪いですが、家捜しをさせて貰えないか、と言う事です。 |
■メアリ To:マリィ |
あ、そういう事ですか……それなら、ご自由にどうぞ。 ただ、この地下室以外は何年も使っていませんから……ちょっと、埃っぽいかもしれませんけど。 えと、弟さんが使っていたお部屋は確か……。 |
うろ覚えながら、一階の一番端の部屋のはずだと教えてくれる。
■マリィ To:メアリ>セラ |
それじゃあ、遠慮無く捜させて貰うわ。 おいで、タークス。 セラさんも行きましょう。 |
タークスを肩に乗せ、教えて貰った部屋へと移動する。
示された部屋はメアリの言うとおりまるで使われた形跡はなく、数年分になろうかという埃が層になっているほどだった。
くしゃみが出そうな鼻を押さえながら部屋を捜索した結果、やがて一冊の日記を見つけ出した。
レミーナの物らしいそれは、ぽつぽつと日を飛びながら短い書付が綴られている。
ページを繰っていくと、その中でも比較的長い文章が目に付いた。
今日、娘を母に預けてきた。 最初は理由を言う気はなかったけれど、母に強く問い質されて仕方無しに教える。 結局はそれで納得して預かって貰えたのだから、良かったのかもしれない。 なぜ私も戻らないのかとも聞かれたけれど、それだけは答えられなかった。 マークと娘とを、天秤に掛けた気がして。 マークは、孤児だった自分を拾って育ててくれたフランネル家を離れる気はないと言った。 そして、私もそれに付いていく事にした。だから、娘を置いておくわけにはいかない。 勝手な言い分だけれども、手許から離すことが娘のためだと。 そういう愛情もあるのだと。誰にでもない、私自身がそう信じたい。 そしていつかは、マークと娘と3人で暮らせる日がくるのだと信じたい。 |
その後は日々の事に加えて、時折届く母親からの手紙とそこに綴られた娘の事が書かれている。
そして日記は、その約一年後に途切れていた。
■マリィ To:セラ |
これで間違いないとは思いますが……。 この日記は貰って帰りましょうか。 |
■セラ To:マリィ |
うん……。 お母さん、あたしが邪魔で人に預けたわけじゃないって、それが分かっただけでも充分。 |
その時、日記の入っていた引き出しの奥で何かがきらりと光るのを見つけた。
どうやら、セラの持つペンダントの対のようだ。
■マリィ To:セラ |
セラさん、あなたのペンダントと対になっている物ですわ。 これは一応メアリさんに確認してから頂いて帰りましょう。 |
■セラ To:マリィ |
そうだね。とりあえず、この部屋出よう。 なんだかもう、鼻がむずむずして……。 |
■マリィ To:セラ |
はい、ではメアリさんの所に戻りましょう。 |
二人と一匹はメアリの居る部屋に戻った。
■マリィ To:メアリ |
と言う訳で、形見の品らしきこの日記とペンダントをお借りしたいのですが、宜しいですか? |
メアリに確認したところ、日記とペンダントの持ち出しはあっさりと許可を得た。
■マリィ To:セラ>メアリ |
ここは一旦帰りましょう。 他のメンバーの情報を聞きたいですし。 メアリさん、また伺います。それでは。 |
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GM:倉沢まこと