SW-PBM #172 “死にたがり”のメアリ |
■ 追憶 ■ | ||
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【 ? 】 |
■皺枯れた声 |
――この子は呪い子じゃ! |
生まれてすぐに掛けられた言葉。
■*** |
……ちがう……。 |
小さな声は、かき消された。
■子供たちの声 |
寄るなよ! 不幸がうつるだろ! |
物心がつく頃には、誰からも避けられるようになっていた。
■*** |
……そんな事、ない……。 |
誰にもその声は、届かなかった。
■神官の声 |
すみません……我々では、手に負えません。 |
どの神殿からも見放された。
■*** |
……どうして……。 |
ずっと、生まれてからずっと。良い事なんて、何一つ無かった。
■男の声 |
……この子には……何もしてやれないのか……。 |
毎日のように聞こえる、苦悩の声。
■女の声 |
どうして、この子ばかり……。 |
彼らはそれでも、常に庇ってくれた。
……けれども。
■大人たちの声 |
その子を自由にさせるな! 不幸が撒き散らされる! |
大勢の怒号に、小さな思いは押し潰された。
……そして、昼なお薄暗い地下へと閉じ込められる。
■*** |
……いっそ、死ねれば……。 |
いつしか、魂までもが縛られた。
■女の声 |
……なんて、こと……。 |
絶望に打ちひしがれた声がする。
■男の声 |
……もう……どうしようもないのか……。 |
諦めの声もする。
■*** |
……死ねれば、楽になるのに……。 |
それでも、死ねなかった。死ぬことは、できなかった。
■何者かの声 |
ダメだよ。君は僕のものなんだから……。 |
死という名の自由への逃避。それすらも、選ぶことは許されなかった。
■*** |
……死にたい……。 |
何度も何度も、願った。何度も何度も、祈った。
それでも。その度に。
■何者かの声 |
……ダメだよ……。 |
耳元で、常にその声が囁いた。
■*** |
……死なせて……。 |
それ以外の希望は、何もなかった。
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GM:倉沢まこと